Nゲージ蒸気機関車>蒸機の工作>鉄道院160形の組み立て(3)
輪心にあるクランクピンの穴を、1.2mmドリルでさらい、輪心ブッシュを押し込みました。
取り付ける側の車輪を表裏から挟むようにして押し込みました。表から一方的に押しつけると、柔らかい車軸を曲げてしまうので要注意です。
輪心ブッシュの中央の穴は、0.6mmドリルでさらっておきました。
すべての車輪を軸受けに入れてから、左右の車輪押さえを取り付け、M1.4×1.5mmネジで固定しました。
2枚の車輪押さえの片側が入っても、もう片側が入らないときは、一度外して取り付け順を逆にすると入りやすいことがあります。
車輪を取り付けたら、レールの上で転がして、軽く転がっていくことを確かめました。もし引っかかるときは、左右の車輪座がわずかにずれているとか、軸受けの整え方が不十分である、ブレーキシューが曲がって車輪に当たっている、ブレーキてこが上に寄っていて輪心ブッシュに当たっている、車輪の圧入が不適切である、輪心や輪心ブッシュの挿入が不十分である、車軸が曲がってしまっている、小ギヤや大ギヤのネジが緩んでしまった、など原因があるかと思います。
シリンダーブロックを、M1.4×2mmナベネジで固定しました。
他の箇所のネジは「コナベ」ネジですが、ここは「ナベ」ネジなので、少しネジの頭が大きいです。
ネジの先が先輪のギヤに引っかかりそうですが、ぎりぎり大丈夫のようです。
クロスヘッドに付いている、ピストン棒の長さ調整を行いました。
ピストン棒は一番長い位置でランナーからカットし、クロスヘッドが一番前に来た時に、シリンダー前蓋にぎりぎりぶつからない長さまで少しずつ切り詰めて様子を見ました。
短すぎると抜け落ちるので、クロスヘッドが一番後ろに来たときにどうなるかの確認もいります。
動輪と軸受けにはわずかにぐらつきがあるため、ぴったりの長さにしたつもりでも、走行中に予想より前に押されてつっかえることもあるので、事後調整が必要になったりもします。
ここで左右のサイドロッドだけをロッドピンで取り付け、スムーズに転がるか確認しました。
問題なく転がったので次に進みます。
もし、サイドロッドを付けたとたんに動かなくなった時は、ロッドピンを深く差し込みすぎた、前後の動輪の向きがずれていた、などの原因があるかと思います。特に慣れないうちは後者(動輪向きのずれ)は頻出します。
もしロッドピンを、動輪の金属部に突き当たるほど深く差し込んでしまうと(長さ的にあり得るかどうかわかりませんが)、ロッド類やシリンダーブロックを介して、左右の車輪が電気的にショートしてしまうので、ちょっと意識はしました。左右のシリンダーブロックはつながっているものですから。
左側から順に、メインロッドの取り付けと転がりチェックを行いました。一度第一動輪のロッドピンを外し、クロスヘッドとメインロッドを取り付けて、再度ロッドピンで第一動輪に留めました。
直線レール・曲線レールの上であらゆる方向に転がして、スムーズに回転するよう調整しました。うまくいったら右側のロッドも取り付けて確認しました。一度でうまくいくこともありますが、今回は何か引っかかることがあり、いくつか調整しました。とはいってもこの機関車には問題が起きる箇所が少ないので、1時間以内ですみました。
調整箇所は細かく挙げれば色々ありますが、ほとんどクロスヘッドとピストン棒の角度やクリアランスでした。
モーターの取り付けです。最近ではワールド工芸の小型機にもコアレスモーターが使われるようになりました。
ウォームの噛み合い深さを確認しました。
この状態では走らせるまでもなくダメそうなので、噛み合わせを少し浅くすることにしました。
とはいえ一応はレールに載せて通電してみましたが、案の定ぎこちなく、ぐっ、ぐっとムラもありました。
モーターの高さを調整するための薄板(モータースペーサー)が付属しているので、それをモーターの下に敷いてわずかに高くしました。
今度は見た感じ、ぎりぎり大丈夫でしょう。
個人的にはもう若干上げてもいいかと思いますが(実際やって確かめましたが)、単に経験則であり、設計寸法との差が大きくなりすぎるのも良くないと思ってこれでやめました。
通電しての回転テストです。大変よく回転します。良かった…。
ウエイトを載せなくても、するすると静かに走行します(載せないと軽すぎて支障が出る場面もあるので、もちろん最後には載せます)。
シャッタースピードが遅いので何だかわかりませんが、いわゆるスケールスピードで走行中です。前後とも等しい滑らかさで一安心です。
→ボディーを載せたとたんにダメになったりするのであった
実際に、ボディーをネジ留めすると走りが全然ダメになる症状が起きました。
調べたところ、ボイラー後部の突起を削り取るのを忘れており、これがモーターを押し下げてウォームの噛み合わせが深くなっていました。
突起を削り取ったら噛み合わせが正常化し、すぐに快調な走りになりました。噛み合わせが深すぎると、とにかくろくなことがありません。
単純な色分けにしたため、質感には気を付けました。
番号は直接車体にエッチングされているため、21号機固定です。これを別付けのエッチングのプレートにしたときの形状やら厚みやらを考えますと、それも色々課題があるでしょうし、まあ現状で妥当なところなのかなと思います。
似合う客車を持っていないので、とりあえずマイクロエースの1号機関車の客車(1/120)を牽くことにし、それに合わせてカプラーはアーノルドタイプとしました。
しかし、前部は何かを付けるとこの機関車のフォルムが変わってしまい、かえって何も付けないほうがよいような気がしました。
一応、アーノルドカプラーを付けてみるとこんな感じです。
結構違った感じになりますね。初期のNゲージの小型機らしいといいますか。
でも走らせると楽しいですワ…。
マイクロエースの4両編成は普通に牽けました。イメージしたのは明治村の保存機なんですけど。
突然、真鍮線などをハンダ付けしてネジ式連結器もどきを作りました。
自分の印象だけで作ったので寸法はデタラメです。
あまりに適当すぎてデカイ(笑)。
ネジで脱着可能なので、必要なときにはアーノルドカプラーにもマグネ・マティックカプラーにも交換できます。
以前のいわゆる携帯モーター(大手メーカーへ特注の8V)のキットを私が組むと、ショリショリいうざらついた走行音になりがちでしたが、コアレスモーターを用いたこのキットは静かで、走りも小型機にしては安定感があります。
写真は後部をマグネ・マティックカプラーに交換したものです。
部品が少ないので、組み立て時間はそれほど長くかかりませんが、塗り分けや磨き出しを増やしたり、飾り帯などを描きこもうとすれば、それに応じて難しくなるかと思います。でもそれは、好きでする苦労ですものね…。私はそこは簡単に済ませてしまいました。
明治村つながりで、トーマモデルワークスのボールドウィン9号機と。どちらも小さいです。
ついこの間まで作っていたのは1/80のD51だったので、今回Nゲージになって作業が極端に細かくなりました。
というか、もとに戻りました(笑)。
1週間程度かけて、多すぎず少なすぎずのボリュームで取り組みたいときにはいい感じのキットだと思います。部分的に難しいところもありますが、楽しく組み立てられました。
構造的に怖かったのはスライドバーですかね…。知らずに曲がってクロスヘッドが引っかかることもありました。また、エッチングのシルエット的なものでよいので、ダミーのネジ式連結器も付いていればありがたいと思いました。