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汽車会社製Cタンク(その3)

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トミー/トミックス

HN-502/2001 K.S.KタイプCタンク 1976年 K.S.KタイプCタンク HN-502/2001
K.S.KタイプCタンク

1976年 (拡大写真)

トミーナインスケールの入門用蒸機といえば、外国型を輸入していた0-4-0ドックサイダー(Bタイプ小型蒸気機関車)しかありませんでした。
そのため1976年にこの製品が登場したときは、小レイアウト用に、入門セット用にと大変期待されました。
トミーナインスケール時代の型番はHN-502で、これはドックサイダーより若い番号です。時間がかかりましたが、企画は早くから始まっていたのかもしれません。

●発売時点のトミーナインスケールの機関車型番
  HN-501 ED75 ¥2,900
  HN-502 K.S.KタイプCタンク ¥2,500
  HN-503 DD13 ¥2,300 ※各カラーとも同じ型番
  HN-504 Cタイプ入替用ディーゼル機関車 ¥1,900 〃
  HN-506 Bタイプ小型蒸気機関車 ¥2,300

当時の動力に合わせて大きめになっていますが、全体のスタイルはうまくアレンジされており、今見ても魅力的な車両に見えます。
現在の一般的な製品に比べると走行が不安定な個体も多く、他のトミックス製品の進歩につれてカタログ落ちしてしまいました。

当時ホンコン製の日本型貨車は一通りのラインナップが完成していたので、牽くものには困りませんでした。一時期は入門用トータルセットにも使われていたスターです。

トミー K.S.KタイプCタンク

かなり出回ったため、今でも中古で時々出てきますが、ダイキャストが変形して走れなくなっているものもあります。
また、中古品には長い煙突が根元から折れているものがしばしばあるようです。現在無傷の方は、取り扱いにご注意ください。

↓発売当時の広告。※1976年トミー広告より画像引用
1976年K.S.KタイプCタンク広告

現在トミックスでは、入門用のCタンクは「きかんしゃトーマス」にその役割が与えられているようで、K.S.Kタイプのような模型の復活は難しいかもしれません。現在の同社なら走行性能抜群の製品が作れるに違いありませんし、発売されたら大喜びですが…。

ワールド工芸

始めは南薩鉄道5号機から発売されました。マイクロエースが9800を出し、蒸機シリーズのラインナップを一通り完成させた頃です。

南薩鉄道5号機 2004年 南薩鉄道5号機 南薩鉄道5号機
2004年 (拡大写真)

スケールを重視したKSK Cタンクのキットです。トミーのK.S.KタイプCタンクの大きさに慣れていると、とても小さく感じます。
モーターはシャープペンシルの消しゴムのキャップ程度の大きさで、B20など同社の小型機の多くに採用されていたものです。

一緒にテフ58荷物室付緩急車も発売されています。
南薩鉄道5号機+テフ58

ほか、当時は牽引力を補うためのモーター付きの客車も発売されました。

2年後には三井埠頭5号機が追加されます。

三井埠頭5号機 2006年 三井埠頭5号機

三井埠頭5号機
2006年 (拡大写真)

大きなタンクやP形の出入口が特徴です。

全体の構成は南薩鉄道5号機とほぼ同じです。サイドタンクの高さが高いため、南薩鉄道5号機よりも重厚な印象です。
トミーのK.S.KタイプCタンクは、こちらに似ているように思います。
サイドタンク上のつかみ棒なども追加され、ちょっぴり精密感が増しています。ただ南薩鉄道5号機も、サイドタンクに整然と並んだリベットなどに精密感を覚えます。

ここでKSKタンクのラインナップはいったん途絶えますが、6年後にこれらがリニューアルされ、新顔も登場しました。

三井埠頭5号機(II) 20tCタンク 2012年 三井埠頭5号機(II)

三井埠頭5号機(II) 20tCタンク
2012年 (拡大写真)

下廻りを中心にリニューアルされたものです。上廻りは水タンクのハッチの作りや、ナンバーの書体などが微妙に変わっていますが、外見は前作とほとんど変わりません。

南薩鉄道5号機(II) 20tCタンク 2012年 南薩鉄道5号機(II)

南薩鉄道5号機(II) 20tCタンク
2012年 (拡大写真)

同様にリニューアルされ、サイドタンク上のつかみ棒や屋根上の後部ライトなど、いくつかのディテールも追加されています。

汽車会社35t 1C1タンク 2012年 汽車会社35t 1C1タンク

汽車会社35t 1C1タンク
2012年 (拡大写真)

1C1タンクも新登場しました。先輪・従輪はとても小さいものです。動力部は他と同じです。
先輪の当たりを避けるためと思いますが、前デッキは長めになっているようです。

ワールド工芸では2010年頃から、動力ユニット素材の真鍮から洋白への変更や、高精度ギヤへの変更を順次行ってきました。それに準じて改良されたものです。
ギヤの配置や伝達方式などは初回品と同様ですが、第一動輪のクランクピンは省略され、連動の調整が楽になりました。
スライドバーやシリンダーブロックの取り付け方法も変更され、以前よりは調整や再組み立てが楽になっています。

今回の三井埠頭5号機はナンバープレートの書体が変わり、初回品のゴシック体風の数字から、南薩鉄道5号機と同様の書体になりました。手持ちの実物写真を見ると前回品のほうが合っているのですが、時期により違いがあったのかどうかはわかりません。

これらのシリーズは、いずれも上廻りは比較的簡単に組み立てられます。
しかし、工作経験がないと下廻りの組み立て調整は大変難しく、まったく初めての場合は満足のいく走りを得るのは難しいと思います。私はもともと工作がずさんだったため、心がけの入れ替えも含めて、うまく組めるようになるまで相当な時間がかかりました。
うまくできると低速も効いて、振動なく落ち着いた走りをするので本当に嬉しいのです。時間はかかりましたが満足して使っています。

ただ、何かあったときのメンテが困難なので常用には神経を使います。もしギヤのネジが緩んだりすると、場合によっては動輪をシャフトから引き抜く大修理が必要になります。

汽車会社Cタンク フリーランス南薩5号タイプ 2022年 三井埠頭5号機

汽車会社Cタンク フリーランス南薩5号タイプ
2022年 (拡大写真)

さらに10年後の発売です。上廻りがホワイトメタル製という、ワールド工芸としては珍しいキットです。ディテールや構造は少し簡略化されています。
下廻りの組み立ても比較的簡単ですが、スロースピードでの常用はやや厳しいようです。
フリーランス南薩5号タイプ(ワールド工芸)

現在はトミックスに続いてKATOからも、半径200mm以下の小半径の道床付きレールが発売されています。
2012年の「週刊SL鉄道模型」の小レイアウトが話題になったこともあり、これら小型機の走るレイアウトが実現しやすくなっているのは嬉しいです。


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