今まで入門用セット「マイプランLT」のシリーズにはパワーユニットN-1が入っていましたが、今年の製品から新しいN-600に置き換えられました。
今までのN-1の弱点であった、操作性の面がどうなったか知りたかったので、ひとつ買ってきました。
用途的に代替となるN-600(左)とN-1(右)です。 ACアダプタ方式になりましたが、ごろんとした本体の大きさは同じです。N-1の入っていた基本セットのパッケージに、N-600がぴったり入ります。 N-1はマスコン風で、入門向けとして夢のある-見方によっては一癖ある-デザインですが、この速度調整レバーが渋くて微妙な調整が難しく、どうしても大雑把な運転になりがちでした。 |
N-600の出力は1Aとなり、N-1(0.5A)の倍になりました。
用途的に同一なKATOのパワーパック・スタンダードS(1A)に比べて、非力だった出力は改善されました。
ただ、最近の車両は室内灯などのLED化が進み、モーターも低電力で動きますから、0.5Aもあれば十分という状況も多くなったように思います。
右は上位機種になるN-1000-CLです。なお現在はN-1001-CLとなっており、ACアダプタ式になっています。 つまみやスイッチの位置は大体同じですが、高さもあるのでN-600よりかなり大きく見えます。常点灯用のアジャスターもついています(N-600にはありません)。 |
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こちらは他社製品ですが、入門用・一般用として同じ立場に立つKATOのパワーパック・スタンダードSです。 KATOには他にPWM方式のパワーパック ハイパーDがありますが、N-600とは用途的に絡まないのでここでは取り上げていません(メーカー違い×入り口違い)。 なお、N-600のACアダプターは、変圧のうえ直流に整流していますが、パワーパック・スタンダードSのACアダプターは交流出力です。整流は本体の中で行なっているようです。 |
N-1では難しかった低速での滑らかな発進がしやすくなっているか、実際の車両で試してみました。
入門用パワーパックに入門用セットということで、トミックスのE259系3両セットです。
速度調整はN-1に比べてかなりしやすいです。というか普通です。N-1との違いは、あとは運転気分や好みの問題かと思います。 一般用のためか、E259系の場合は、あまり超スロー発進にはなりません。飛び出し気味とまでは行きませんが、じりじりとゆっくり走り出すというところまでは行きません。本当に、まあ普通です。 |
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N-1000-CLでは、その低速での出発性能が抜群によいです。N-600も値段相応で悪くはありませんが、N-1000-CLは1ランク違います。高い製品なので同じでは困りますよね…。 |
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パワーパック・スタンダードは普通のトランジスタ制御ですが、E259系の低速発進はなかなかよいです。N-600とN-1000-CLの中間ぐらいです。当初から優れたコスト・パフォーマンスで話題になりましたが、今でも使いよいパワーパックです。 |
しかし低速性能に関しては、車両のモーターの性質によっても変わり、パワーパックとの相性のようなものが生まれることもあります。ですから常にN-1000-CLのほうがN-600より低速性能がよいとは言えません。
今度はKATOの新D51(コアレスモーター)を走らせてみました。 すると、N-600でも非常にスローが効きます。むしろ、N-1000-CLより良いくらいで、明らかな違いがありました。 では蒸機なら何でもN-600のほうがよいかというとそうではなく、トミックスの新C57の場合は、N-1000-CLのほうがN-600よりややよいという感じでした。しかしその差はそれほど大きくありません。 |
車両にも個体差があるかもしれませんし、手入れの状態によっても変わるかもしれません。あくまでも、手元にあったものではこうなったという程度のことです。
というわけで、(私にとっては)N-600はまったく普通のパワーパックでした。操作性はN-1より良くなって普通、性能も値段相応の普通のものでした。
入門セット用として考えるなら、まずは普通のものが一番よいと思うので、N-1がN-600に置き換わることで起きる問題は、好みの問題以外では特にないように思います。
N-600の値段は単品では6,090円であり、入門時に比較対象となるパワーパック・スタンダードSの4,725円に比べて少し高いです。でもこれが含まれている基本セット同士で比べると、ともに7,350円と同じ値段になります(トミックスのマイプランLTIIIと、KATOのエンドレス基本セットM1)。基本セットというのはずいぶん割安なものですね。