今までの水性ホビーカラーとはまったく違う塗料として発表された「アクリジョン」が販売されています。
メーカーのプレスリリースによると、Mr.カラーとほぼ同等の塗装強度と速乾性を実現したとあります。
安全性は世界で最も厳しいとされるヨーロッパの規制基準をクリアするレベル、ということで、近年の化学物質の使用規制の厳格化などの環境変化が背景にあると記されています。
さっそく買ってきました。
塗料のほか、エアブラシ塗装などで薄めるための「専用うすめ液」、そして乾いてしまった用具の洗浄などに使う「専用ツールクリーナー」です。
なお乾く前なら道具は水で洗えます。
ひとつ予期せぬことが。
用途の中から、「金属」が消えています。 まあ、主たる用途がプラ模型ですからね。金属の鉄道模型をこれで塗るなんていうことは考慮されていないでしょう。 |
もうひとつ、今までの水性ホビーカラーには「火気厳禁」「第4類第2石油類」の表記がありました(これは水性タミヤカラーも同様です)。
今回のアクリジョンには、その表記がありません。
有機溶剤が含まれている点は変わりませんから、その量や性質を変えてあるのでしょう。臭いが少ないので沸点が高くて揮発しにくいとか。←すみませんテキトーに書いています…。
さて、その臭いですが、
第一印象は、「薄いミシン油のような臭い」「銀座線の臭いを薄くしたような感じ(なんじゃそりゃ)」「ホンコン製の動力車を久しぶりに走らせたときのような臭い」
要するに、ごく薄いものですが、油の一種の臭いを感じました。
しかし、少し使ってからの感想はちょっと変わりまして、「出始めの頃の水性タミヤカラーの臭いを薄くした感じ」に近いかなと思います。
鼻を近づけて嗅がないとわかりませんが、あの独特の臭いを感じます。
今のタミヤカラーはちょっと甘い臭いになって、感じが変わっています。
Mr.カラー、水性ホビーカラーと違って、膜を作りやすい性質?があるようです。
たとえばキャップを開けると、口いっぱいにシャボン玉のような塗料の膜が張っていたり、エアブラシを洗浄しようとふたを開けると、そこに塗料が膜を張っていたり、など。
別に泡立ちやすいようなことはないようです。
エアブラシで塗装するときに使います。
私は通常、塗料をおおむね3〜4倍程度に薄めて塗っていまして、特につや消しは薄めに塗っていましたが、アクリジョンの場合それでは薄めすぎのような気がします。
薄い溶剤の中に粒子がザラザラと凝集したり散ったりしてしまい、一様に付着していかないので、塗り心地として快適ではありません。
Mr.カラーの場合、3倍くらいに薄めて吹くときれいなボカシのようになりますが、アクリジョンではごく細かいツブツブが私の老眼でも見えます。
もっとも、まだ色々試している最中なので確かなことはいえません。
つや消し黒の場合、2倍くらいのあたりに良さそうなポイントがあるようです。薄い塗料を丹念に重ねるという方法ではなく、缶スプレーのような濃さや塗り方にしたほうが適しているように感じました。
→今後の感想は変わるかもしれません。
シンナーの一種ではありますが、こちらも「第4類第2石油類」の表記は消えました。 臭いは、塗料の臭いを少し濃くしたような感じです。 |
乾いた塗料をぬぐい取るときなどに使うようです。
確かに、用具にこびりついたものは「専用うすめ液」では思うように落ちません。「専用ツールクリーナー」なら落としやすいです。
単に塗料皿などからぬぐいとるだけなら、今までのMr.カラーのうすめ液でもサッと落とせます。シンナー臭がするので水性塗料を使いたいという趣旨から外れますが。
ここで初めて「第4類第2石油類」が登場します。 ツールクリーナーの臭いは、プラモデル用のセメンダイン(笑)を薄くしたような感じです。いわゆるシンナー寄りの溶剤なのでしょう。 |
エアブラシ塗装を少し試した限りでは、この塗料の性質をつかむまで、やはりそれなりに練習が必要のようです。
乾きのほうはそれほど早くなったように思いません。専用うすめ液によるエアブラシ塗装では、水性ホビーカラーと変わらないような気がします。水性ホビーカラーもタミヤカラーも、エアブラシによる薄い重ね塗りなら、それほど極端に遅かったわけではないのです(私の感想です)。ただ、ドライヤーをかけてみると水性ホビーカラーよりは明らかに早く乾きます。うっかり厚塗りしすぎていつまでもベタベタする、という困った現象は減っているかもしれません。
光沢面などは、表面が平滑になるまでドライヤーをかけるわけにはいきませんから、じっとがまんの必要があります。その際の乾燥時間は水性ホビーカラーと変わらないような気がします。これも、まだ経験が浅いのではっきりしたことはいえません。
吹き付けた直後のツブツブのでき方、それがつながっていく過程、乾燥が進んで当初はザラザラに見えた塗膜が平滑になる時間経過など、今までと違う部分の性質をつかみきれていません。
なお初回の発売にはメタリック系の塗料がひとつもありませんが、プレスリリースによると今後追加されるようです。
2014年内に、水性ホビーカラーと同様の96色が揃うそうなので、本格的に使われだすのはその後になるのかもしれません。