Nゲージ蒸気機関車2016年のメモ>2016.12.5

エッチング廃液の後始末

プリント基板を作るのに使うエッチング液(塩化第二鉄)の廃液を、そのまま保管しておりました。


エッチング液

サンハヤトのエッチング液には廃液処理剤が付属しているのに、いつでもできると思って相当年月が経ってしまいました。さすがに地震などで外に漏れだすとマズいと思い、ようやく片づけることにしました。

200mlの廃液が全部で4本あります。

未使用のエッチング液には毒性はありませんが、使用済みの銅が溶けた溶液には毒性があるので、そのまま捨てられないのです。

処理剤

付属の処理剤。左のポリ袋に廃液を入れ、A剤とB剤を順に入れて反応させ、最後に自分で用意したセメントで固めて捨てる方式です。

A剤は鉄で、B剤は水酸化カルシウムです。処理の理屈については説明書に書かれています。

説明書

付属の説明書。進行役のお姉さんのイラスト。
ちなみにこの製品(サンハヤト プリント基板工作キットPK-5)自体には、特に萌え要素はないと思います。

廃液

早速始めます。
廃液を付属のポリ袋に入れたところです。この中で処理を進行させます。まず試しに、一番古い1本(200ml)を処理することにしました。

10年以上放置したためか、元のボトルの底にヤバそうな沈殿物が固着していまして、それを棒で砕いてポリ袋に移すのに時間がかかりました。砕いては少量の水でゆすいで袋に移すうち、かさが増してしまいました。

A剤投入

真っ黒なA剤(鉄粉)を投入しました。
発熱するので、バケツの水で冷やします。最高80度程度まで上がるそうです。しかし廃液自体が古くて何か変化しているのか、それほど熱くはなりませんでした。人肌程度といった感じ。

銅?

特に大変化はないように感じましたが、数分後にポリ袋の底を見ると、ピンク色の沈殿物が!銅が析出したのでしょうか?

CuCl2 + Fe → FeCl2 + Cu↓

B剤投入

今度はB剤(水酸化カルシウム)を投入します。
これは細かい粉薬のような粉末で、大変飛び散りやすいので、マスクを付けて作業しました。

B剤処理中

袋の底をよく揉んで混ぜ(発熱します)、バケツの水で冷やしました。
こんなのでうまく進んでいるのでしょうか?でも説明書のとおりにやってはいます。今のところ、それ以上どうすることもできません。

FeCl2 + Ca(OH)2 → Fe(OH)2 + CaCl2

ここまでで30分足らずです。

セメント投入

最後に溶液の中にセメントを加えて固めます。
セメントもたくさんの種類が売られていて、何がいいのかわかりません。それぞれ何かしら機能をうたっていて、「ただのセメント」がどれかよくわからなかったですね…。まあ、何であれ固まればよいと思い、一番量が少なくて安いのを買ってきました。

分量は200mlにつき150gとのことでしたが、余分な水も結構入れてしまったので、結局様子を見ながら400gぐらい入ったと思います。

セメント硬化

待つこと1日半。「柔らかいコンクリート状になります。」とありましたが、「柔らかいコンクリート」ってどういうものか想像できず。一応、油粘土ぐらいの固さにはなったので、たぶんこれで終了でしょう。

説明書

これで無公害だそうです(見かけからは毒性の有無を実感できません)。やってみれば簡単でした。沈殿物が固まるほど放置せずに、そのつど処理しておけばよかったです。

残り3本はいっぺんに処理しましたが、セメントを入れすぎて本当に石のように固まってしまいました。セメントを余しても仕方ないと思って、残りを全部投入した次第です。

ところで、昔のエッチング液には廃液処理剤など付属していませんでした(少なくとも40年以上前)。
そのころ、エッチング方法について記した雑誌の中には、「使用済みのエッチング液は大量の水を流しながら処理します」などと恐ろしいことが書かれているものがありました。要は下水に流してしまうというものです。「大量の水」は金属製の配管を腐食しにくくする程度の意味はあるでしょうが、毒性のある廃液中の塩化銅は、結局全部環境に放出されてしまいますね。

当時の私は処理に困って、バットに入れたまま室内に放置していたのですが(今回と同じだこりゃ)、数年たって見るとすっかり乾いていました。それをどう処分したのかまったく記憶にありません。今もどこかにあるかもしれません。


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