先日、トーマモデルワークスのCタンクの動力が新型に変わり、左右のフレームの絶縁構造ががらりと変わりました。
Nゲージの蒸気機関車には、左右分割式の動力ユニットが多いのですが、どの位置に絶縁材を挟んで左右を分離するかはキットによってまちまちです。
新しいキットを組み立てるときは、そんな構造の違いが面白くもあります。
現在の金属キットのいくつかの通電構造を画いてみました。
以下の図は基本的な構造だけで、細部は正確ではありません。
ひとつを除き、前から見た様子です。
ワールド工芸 Aタイプ
(たぶんワールド工芸の動力の基本的な形式には名前が付いているのでしょうが、よく知らないものですみません)
クラウス10形やB20など、小型タンク機に使われています。
ワールド工芸のテンダードライブ動力も、通電構造はこれに似ています。
左右の車輪と車軸は、中央のプラ製ギヤで連結されており、互いに絶縁されています。
天井のベースプレートによって左右がショートしないよう、一方のフレームとの間に絶縁ワッシャーが挟まれています。
10年ほど前までは、天井のベースプレートは絶縁素材でできており、一番下の日車Cタンク新動力に似た構造でした。
ワールド工芸 Bタイプ
最近のキットによくみられるものです。
左右のフレームはメカステー(円柱状の金属スペーサー)で連結されており、片側は絶縁ワッシャーで絶縁されています。
比較的ホイールベースの長い機関車に使われているような気がします。
トーマモデルワークス 雨宮タイプ
※この図は上から見たところです。
雨宮タイプBタンクや、B6などに使われています。
片側のフレームの両端がコの字形に折り返され、そこに絶縁ワッシャーを挟んで左右が絶縁されています。
図では省略していますが、このほかに集電ブラシも併用されています(構造上、なくても集電は可能)。
トーマモデルワークス 日車Cタンク旧動力
これは左右分離型ではありません。
車体の大部分が同じ極性で、片側の車輪のタイヤと、そこに接している集電ブラシだけが別の極性です。
集電ブラシがタイヤだけに当たるようにするのが大切で、もし輪心にも触れてしまうとショートします。
集電ブラシが必須なのは片側ですが、キットでは一応反対側にも集電ブラシが付いています。
トーマモデルワークス 日車Cタンク新動力
新型では左右分離型に変更されました。
左右のフレームは、天井と床のプラ板によって間隔が保たれ、絶縁されています。
構造上は集電ブラシも不要ですが、キットには一応集電ブラシも付いています。
金属キットの動力を組み立てる際、最初のうちは動いていたのに、どこかの過程でなぜかショートを起こし、まったく動かなくなってしまうことがあります。
何かが接触していることは確実ですから、怪しい部品を1つずつ外したり、当たりそうなところにテープを貼ってみたりして、突き止めていくしかありません。
ネジの頭がどこかに触れていたり、ロッドピンを深く差しすぎて車輪に接触してしまい、そこからロッド→クロスヘッド→スライドバーと接触して反対側の車体に通電してしまうこともあります(左右のスライドバーがひとつの部品でつながっているキットもありまして)。
モーターのリード線の細い芯線が、1本だけほどけて接触していてもショートするので、なかなか目視でわからないことがありますね。上廻りを合体したとき、モーターの端子がウェイトに触れてショートすることも、キットによってはたまにあります。