蒸気機関車のC11形と貨車4両が含まれ、線路もパワーパックもすべて付属したトータルセット(スターターセット)です。
とりあえず走らせるだけなら、他に何か買い足す必要はありません。
これでKATOの新しい蒸気機関車のスターターセットは、先に発売されていたD51(10-032)と、このC11(10-012)の2商品になりました。
ある程度の大きさがあるパッケージで、会社帰りにこっそり買って帰るのは難しいですが(そのシチュエーションを毎度持ち出すのが必要かというのはありますが)、まあ全部入りですからこんなものでしょうか。
現代の製品群の中で特別コンパクトという感じはありませんけども、使いやすさを考慮しつつ無駄な大きさにならないよう努力されているのだろうなと思います。
対象年齢は8歳以上とされています。
外箱から中身の発泡スチロール仕切りを取り出したところです。
うわぁ…これは嬉しいですね。車両に線路にパワーパック。Nゲージを欲しがっている子供さんにプレゼントしたら大興奮でしょう。…のはずが、SLなんて嫌だ、新幹線がよかったなんて言われたときにどう対応するかは家庭の方針しだい。
私は今でもこういうのを見るとわくわくします。
梱包のデッドスペースになりそうな箇所に「秘密のポケット」が付いており、そこにあとで買い足した車両などを収納できます。
取扱説明書やリレーラーもここに入っています。
何だか隠し場所は充実していまして、車両トレイの下にも収納スペースがあります。
「お好みの車両(3両/4両トレー)を入れることができます」と書かれています。
※この表記は付属の車両トレーを外したところ(上段)に、代わりに別の車両トレーを入れられるという意味かもしれません。下段のくぼみは普通のトレーの幅より狭いので、長い車両のトレーは入らないようです。小物用ですね。
秘密のポケットに入っていた取扱説明書です。メインの説明書は「クイックスタートガイド」で、日本語版と英語版の2種が入っています。
内容は必要最小限のことがわかりやすく的確に書かれています。ただあまり低学年向きには振っていないようです。
なおC11のナンバープレートや付属パーツの取り付けに関しては別に説明書があり、C11の単品ケースの底に入っています。通常のKATOの蒸機と同じですけども、初めてだと発見しにくいかもしれません。
付属の車両です。D51セットでは客車が2両でしたが、C11セットは形の異なる貨車が4両入っているため賑やかに見えます。
というわけで入門者になった気持ちで、どちらかといえば初心者の方が読まれることを想定して書いてみます。
慣れた方にはつまんない記事かと思いますがご勘弁ください。
クイックスタートガイドに沿って、線路やパワーパックを準備してみます。
KATOはユニトラックという線路システムを採用しています。
ざっと線路を所定の位置に置きました。曲線半径は315mmで、KATOの新幹線も走れます。
設置寸法は1337mm×677mmです。
線路をつなぐ前に、特殊な線路の下準備をします。
KATOのフィーダー(レールに電気を与えるところ)は「フィーダー線路」という短い直線線路です。これにフィーダーコードを接続します。
コネクターに刻印されている「KATO」の文字が読める向きにして、フィーダー線路に差し込みます。
取り付けたコードは、道床の横にある切り欠きを利用して外側に引き出します。
このコードはあとでパワーパックにつなぎます。
次にはリレーラー線路にスロープを取り付けます。はめ込むだけです。
この線路と同等のものは、昔から各社のNゲージセットによく付属していましたね。使わなくてもたいてい手元にあったりします。
形が踏切に似ているため、この線路は以前「踏切線路」と呼ばれていたことがありました。現在の踏切線路は別商品です。
準備ができたので、並べた線路をつないでいきます。
レールの先端が、向き合うジョイナーと噛み合うようぴったり合わせ、まっすぐ押し付けます。
パチンという手ごたえとともに接続されます。レールの高さが食い違っていないか確かめておきます。
つながった状態でも、軽く動かすと少しぐらつきがありますが、KATOのユニトラックの場合それで正常です。
外すときは、2本のレールを水平に保ったまま、1本を手前に折るようにします。
ポキンと取れました。
付属の専用ACアダプターのプラグを、パワーパック背面のACアダプタージャックに差し込みます。
次に電源プラグをコンセントに差し込みます。このパワーパックには電源スイッチがないので、電源プラグを差し込むとすぐに電源が入ります。
電源が入るとパイロットランプが緑色に点灯します。
フィーダーコードをパワーパックにつなぐ前に、レールへの出力をカットしておきます。
逆転レバーをOFFの位置に合わせ、コントローラーを一番左に回します。
フィーダーコードのツメを上側にして、パワーパック背面の白色コネクターに差し込みます。
これで車両を載せる準備ができました。
蒸気機関車をケースから取り出します。取り出し方を誤ると車両を破損します(本当に壊れることがあります)。
まず車両ケースを机の上にきちんと置きます。
ケースのふたを外すと、右側に台紙の一部のフラップが見えます。これ大事です。
片手でプラケースを机に押さえ、もう一方の手でフラップを引き上げると、中身が車両ごと浮いてきます。
それをそっくり取り出して、机の上に平らに置きます。
機関車を取り囲んでいるウレタンの一部は機関車と噛み合っています。
ウレタンの前方の手前には切れ目があって、外側に開くようになっています。前方を開いて機関車から完全に離します。
下側も開いて機関車から離します。
うまく取り出せました。最初はドキドキしますが慣れるとそうでもありません。
輸送中に機関車がケースの中でガタついて破損しないように、ぴったり梱包されているのでしょうね。昔はもっと簡単に取り出せたのですが、時代が変わって模型を取り巻く環境も変わったのでしょう。
このセットから初めて機関車を取り出し、そのまま撮影した写真です。試走もまったくしていない、買われたての状態です。
どこも壊れていませんね。あとは走ればOK!
貨車はそのままひょいひょい取り出せます。
これはこのセットのオリジナルの、黄色のタムです。たぶん架空の「関水ソーダ株式会社」の私有貨車という想定です。
これが、真っ黒の編成を引き締めるアクセントになっていて、とってもヨイです。何か床板が反っているので今度直してみますか。
慣れると車両は線路にポンポン載せられるのですけども、せっかくリレーラーが付属しているので使います。
リレーラーの裏側の溝がレールにぴったりはまるように、直線線路上にセットします。
機関車をリレーラーの上に置きます。全部の車輪がリレーラー上に収まるように気を付けて置きます。
リレーラーの上を少しずつ滑り降ろすようにして、機関車を線路に載せます。車輪がちゃんとレールに噛み合っているか確かめます。
貨車も同じようにして線路に載せます。車輪が少ないので機関車に比べれば簡単です。
連結器はNゲージ標準のアーノルドカプラーですから、位置さえきちんと合わせれば突き当てるだけで連結できます。
機関車の連結器に貨車の連結器を合わせて、そのまま前に押します。どちらかの連結器が少し持ち上がります。
持ち上がった連結器がカチャンと戻って連結できました。
他の貨車も同様に連結します。
準備完了です。これから試走です。ドキドキしますね。
(まず機関車単独で試走してもよいのですが)
いきなり暴走しないよう、コントローラーが左いっぱいに回っていることをもう一度確かめます。
逆転レバーを前進(FWD)に切り替えます。まだ機関車は動きません。
コントローラーを少しずつ右に回し、レールに通電します。
C11の場合、青線で示したあたりまで回す間には、動き出しているかと思います。それ以上回しても動かないときは、機関車を軽く上から押さえて車輪をレールによく接触させてみると、動き出すことがあります。
一発で無事に走り出しました。やった!
もしバックしたときは、一度コントローラーを左に回して止め、逆転レバーを反対側に切り替えます。実際に走る向きとFWD・REVの表記は一致していなくてもよいのです。どうしても合わせたければフィーダー線路を外して左右の向きを変えてやるとよいです。もしくは機関車の向きを逆にするかです。
前進のときは前側のライトが点きます。
前進中はワフのテールライトも赤く点灯して印象的です。
なおバックさせるとワフのテールライトは点きませんが、機関車C11の後部のライトが点灯します。代わりに前部のライトが消えます。
全部で5両連結されているのに編成自体がコンパクト、しかしながら曲線半径が315mmと空間的余裕があるため、ぐるぐる走らせているだけでも一定の距離感があって楽しいです。野山を駆け巡る鉄道のイメージが感じられました。
正常な動作が確認できたら、説明書を見て機関車へのナンバープレートの取り付けなどを行うといいですね。
この編成は短いので、同じレイアウト寸法のままでもポイント(4番ポイント)を買い足して側線を設けられます。赤いところが買い足し部分です。
機関車をここで切り離し、側線を移動して反対側に連結し、バックして出発などという遊びもできます。
わずかな予算でもう少々直線を追加しても、さらに余裕のある運転ができるでしょう。
同じ貨車編成を別な機関車で牽いても楽しめますね。
スターターセット「SL貨物列車」のご紹介は以上です。D51やC11の旧製品が入ったセットは昔もありましたが、現行のD51・C11の蒸機セットは最新仕様のコアレスモーター機なのがすごいです。
蒸気機関車のNゲージセットそのものが少ないのですけども、それを除いても入門者の方にはお勧めできるかなと思います。初めて蒸気機関車セットを手にする楽しさのようなものが伝わりましたら嬉しいです。