古いパワーパックで古い汽車を走らせていて、何となく思い出したことです。
昔々のレオスタット式パワーパックと車両では、滑らかな出発が難しいことも多かったと思います。ある程度つまみを上げたところでガクンと走り出すので、そうしたらすぐつまみを戻して一旦速度を抑えるという運転をしていました。
逆に一度走り出した汽車の速度をゆっくり落として止めることは、結構スムーズにできましたね。
半世紀以上前、1969年8月号の「子供の科学」に、パワーパックを改造してスロー運転が効くようにするためのTIPSが掲載されたことがありました。
この記事は、当時「鉄道模型趣味」の主筆であった山崎喜陽氏によるものです。機芸出版社以外の本にも記事を書かれることがありました。
ちゃんと「子供の科学」の読者層が考慮された優しい文章です。スケールスピードに対する考え方や、簡単にスロースタートを実現するための改造方法、そしてそれを長時間使用する際の注意点などがわかりやすく書かれています。
記事中の図を参考に描いた絵でご紹介しますと、当時の普及型パワーパックでよく使われていたセレン整流器の配線を一部カットするだけです。
意図的に半波整流にして脈流とし、断続的にモーターを叩いて動かそうというものです(もともと半波整流型のパワーパックの場合はできないと思います)。
切っただけでは都合が悪いということで、代わりにスイッチを付けて全波整流に戻したり、それを滑らかにつなぐために第二のレオスタットを付ける方法も補足されています。
記事をまるごとご紹介することはできませんけども、読んだ感じが暖かい文体です。
私はこれを自分でやってみたことはありませんが、予期せず配線が切れて同様の動作になってしまったことがありました。「ブーン」と唸りを上げながら、本当にスロースピード(専用)になりました。
ただ今の車両は走らせないほうが良さそうですね。半世紀前には使われていなかったコアレスモーターや常点灯基板なども今は普通に使われていますから、何が起きるか用心のため。今の車両は今のパワーパックで走らせたほうが自然でスムーズでしょう。