小さいレイアウトでは、いつも列車がぐるぐる走っている姿が見えてしまうため、空間を分断して広がりを持たせるためにトンネルで一部を隠すことがよく行なわれます。ただし、小さいレイアウトにトンネルは大げさなこともあるので、林を作ったりビルを並べたりして、遠くにいる列車が見えっぱなしにならないように作ったりもします。
山は、ボウルを伏せたようにポコンと作るのではなく、大きい山の一部を切り取ったように作るのが普通です。山の稜線はベニヤ板などで作り、角材等を利用してパネル上にしっかり立てます。脱線の復旧や掃除ができる大きさの穴を一部にあけておきます。
トンネルポータル(入口)はベニヤ板等で作り、表面に厚紙を張ればコンクリート製のポータルになります。電気機関車や電車を走らせる場合は、パンタグラフの高さに注意してください。
内側には5センチくらいまで、厚紙を丸めて内壁を作っておくとよいです。あまり長く作りすぎると掃除のときに困ります。
小さい山は発泡スチロールを重ねて削り出すこともできます。やや大きい山は、適当な板材や丸めた新聞紙の上に、厚紙のテープや針金などを渡して形を作ります。さらに紙粘着テープなどを細かく張り巡らせていきます。金網などをかぶせる方法もありますが、このような小型のレイアウトではあまり使われません。
骨組みの表面には、あとでペーパータオルやプラスターなどを塗り重ねるので、山の稜線より5ミリくらい引っ込めておくと都合がよいです。
図では省略していますが、次からのプラスター作業に供えて、線路などに新聞紙をテープでかぶせ、汚れても大丈夫なようにしておきます。
平らな容器に入れた水の中にプラスター(乾きの遅い石膏)をふるい入れてかき混ぜ、とろとろのゆるいクリーム状にします。そこに5〜8センチ角に切ったペーパータオルを1枚ずつ浸し、山の表面にぺたぺたと貼り付けていきます。はじめは山の稜線やトンネルポータルの端から始め、前のペーパータオルと1/3くらいが重なるように貼り付けていきます。
小さい山ならプラスターを省略し、木工用ボンドの水溶液に浸したペーパータオルを重ねて貼り付け、乾かすだけでもOKです。また、KATOからはあらかじめプラスターをまぶした「プラスタークロス」という商品も売られており、塗らして貼り付けるだけで使えます。
今度は先ほどより固め、柔らかいパテくらいにプラスターを溶き、固まったペーパータオルの上からへらなどで塗りつけていきます。岩肌などは、バターナイフやスプーン、ペインティングナイフなどを駆使して表面にそれらしい形を作っていきます。
平地の地面も土がむき出しのところはプラスターで作れます。表面を固いハケで叩いたり、粉のままのプラスターを軽く振りかけたりすると、カラーパウダーよりきめ細かい地表になります。
プラスターを使ったら、固まる前に用具や容器を新聞紙などで十分拭き取り、それから水洗いします。くれぐれもそのままプラスターを流しなどに流さないでください。中で固まって大変なことになります。
プラスターは大きい模型店にありますし、トミックスからも「シーナリープラスター」として発売されています。私はホームセンター等にある、ヘンケルジャパン株式会社のドフィックス(dufix)カベ補修材(室内用)を昔からよく使っています。長時間の加工をせず、少量を使うだけであれば、美術などで使う普通の石膏(焼石膏)でも間に合いますが、あっという間に硬化してしまいます。
いずれもレイアウトのパネルがぐにゃぐにゃしていると、せっかく作った地形が端のほうからパリパリ割れてきてしまいますから注意してください。
本格的に作るには、あらかじめパネルの表面を切り抜いておき、削り込んだ発泡スチロールや、山を作るのと同じ要領でプラスターを使って水底を作ります。今では水面の表現のため、各種の素材が販売されています。KATOでもウォーターシステムと称して多数の水素材、着色材、水面効果素材などを扱っています。
小川なら、パネルの表面に直接水底を作り、透明接着剤などで流れを作り、両脇に堤防や土手を盛り上げて表現しても十分それらしく見えます。
この程度の山であれば、稜線さえしっかり作っておけば、それほど精密な骨組みを作る必要はありません。いくつかの板や角材で大雑把なものを作り、あとは新聞紙や紙帯で形作るだけで十分です。その上から正しくプラスターで加工すればがっちり固まるからです。骨組みの表面には紙粘着テープを少し細かく貼っておくとよいのですが、代わりに10センチ角くらいの新聞紙を塗らして全体をカバーするように貼っておけば、その上からプラスターペーパーを楽に張ることができます。
使うときだけ床に線路を組み立てるフロアレイアウトでも、山やトンネルを自作することによって面白く運転することができます。発泡スチロールやバスタオルなどを使って、軽く扱いやすいものを作ることもできます。
こちらに一例を載せました。→バスタオルのトンネル(別窓)