Nゲージ蒸気機関車>蒸機の工作>夕張鉄道11号機の組み立て(ワールド工芸)
最後の瞬間までどうなるか、よくわからない動力部です。基本的な構造や、使われているギヤの種類などはずっと同じだと思うのですが。
ギヤが付く側の車輪座(主台枠)のエッチングパーツです。
たいてい車輪座には洋白が使われていますが、今回はリン青銅です。こちらのほうが高いのか安いのかはよくわかりません。
折り曲げルールとして、180度折り返すところは溝を外側にする山折り、90度以下のところは溝を内側にする谷折り…なのですが、結構思い込みで間違えることがあるので気を付けないといけません。
上が何とか折り曲げた公式側の車輪座、下が非公式側の車輪座です。
いずれも、下側の前後2箇所には、あとで車輪押さえを留めるためのネジを、また先端部分の下には先台車を取り付けるためのネジを切っておきます(いずれもM1.4タップ)。
公式側の車輪座を表側から見たところです。上面にも、前方に2箇所、中央に1箇所のM1.4ネジを切ります。
ネジ切りはあとでもできます。
左右の車輪押さえです。車軸が入るところは、U形の折り返しになっています。表側に山折りしてハンダ付けしました。
軸受け周辺は、最終的には動輪に隠れて見えなくなります。
内側にはギヤスペーサーを重ねます。エッチング板を折り重ねたものです。
私はいつもギヤの取り付けの際にただ重ねているだけですが、今回は先にハンダ付けしてしまいました。
部品の洗浄の際などに、なくしそうだったので…。
1. モーターブラケットを折り曲げて組み立てました。しっかり組み立てないと、微振動が発生して走りに影響するかも…です。
2. 後台枠・端梁を折り曲げて組み立てました。ステップも一体になっています。
3. 左右のステップの中段を固定しました。
モーターブラケットの底部の2箇所の穴には、M1.4ネジを切りました。ここを主台枠の後部に重ねて、下からネジ留めします。接触面は通電するので塗装時にはマスキングしておきました。
後台枠と、モーターブラケットを組み合わせてハンダ付けしました。
何か間違えているのですが、このときにはまだ気づいていません。
1. ブレーキシリンダーを固定。
2. 分配弁を固定。
いずれも、ハンダごてで簡単に溶けてしまうホワイトメタルなので、素早くハンダ付けしました。
が。
モーターブラケットの前後を間違えているではないですか!
ハンダ付け固定したあとですから、外すために熱を加えると、ホワイトメタルのパーツが大ピンチ。
何とか付け直しました。後ろから見たところです。こちら側にモーターの後端と端子が出ます。
先ほどの向きでは、モーターの軸とウォームが後ろに出っ張るところでした。説明書に図がちゃんと出ているのですが、私は本当にアホで…。
間違えようもない先台車と車輪押さえを組み立てました。先台車にはM1.4ネジを切ります。
加減リンクの取り付け座です。両側の穴にはM1.0ネジを切ります。ここだけM1.0なのでご注意。
M1.0やM1.2のタップを売っている店が、ずいぶん減ってしまったように思います。よく使うM1.4も次第に見なくなってきました。
シリンダーブロックも主要部分は1枚で、中央部の上板と、左右の外板が別になっています。
外板には、あらかじめRが付けられています。
取れやすそうな部分を先に付けてしまいました。板は上の写真の裏返しになっています。
1. 前後の蓋を折り重ねて固定。
2. 真鍮挽物のバルブカバーを差し込んで固定。
中央部に上板を重ねてから、左右を折り曲げて凹形にしました。
ひっくり返したところです。
片側のシリンダーブロックの3方を折り曲げて、箱にしつつあります。
左右のシリンダーブロックを箱にして、残りの部品を取り付けました。
1. 外板を重ねてハンダ付け。ずれないように要注意です。
2. ドレンコックを差し込んで固定。
3. スライドバーをよく磨いてから、差し込んでしっかり固定。
とても大事な部品ですが、このように後ろが宙ぶらりんなので、よく曲げてしまいます。
これで部材の準備ができたので、各部のハンダ付けを点検し、洗浄のうえ塗装しました。
塗装はプライマー省略のアクリジョン(水性)で、ブラック:つや消しブラック=1:1ぐらいにしました。
指触乾燥はすぐですが、1週間乾燥させました。1日目よりは3日目、3日目よりは1週間目、そして1週間目よりは2週間目と、表面の粒状感がなくなっていきます。
その後は…まあ大して変わらないのではないでしょうか(笑)。
1. ライト内部を銀色に塗り、レンズを接着。
2. 安全弁と汽笛を金色に塗りました。
3. 窓ガラスを貼り付け。
4. キャブ側面と煙室扉に、凸部を磨き出しておいたナンバープレートを接着。
5. Zゲージ用マグネ・マティックカプラーをネジ留め。今回、前部ダミーカプラーは付属していませんでした。
1. ライト内部を銀色に塗り、レンズを接着。
2. マグネ・マティックカプラーMT-7をカプラーポケットに取り付け、ネジ留め。
3. 車輪をはめ込み、車輪押さえをネジ留め。
部品が全部そろったので、ようやく組み立てです。ここからが一番楽しいです。
先台車に先輪をはめ、車輪押さえをネジ留めしました。
車輪座にギヤを取り付けました。
1. 中ギヤ3個を、中ギヤ軸とネジで固定。
2. 大ギヤを、大ギヤ軸とネジで固定。すべてのギヤが軽く回転することを確かめます。
3. 前後に、左右の車輪座を挟むメカステーをネジ留め。間にワッシャーD1-8を挟みます。
左右の車輪座を合体しました。
前後2箇所のメカステーに絶縁ワッシャを挟み、絶縁ブッシュを介してネジ留めします。頭の大きいナベネジを使います(他のほとんどは頭の小さいコナベ)。
先に車輪押さえを仮止めし、軸穴を整えておきました。
1. 車輪押さえを車輪座に重ね、下からネジ留め。
2. 4箇所の軸受けを、2.5mmリーマーや、2.5mm丸ヤスリでさらって、塗装を落として磨きました。
軸受けを大きく削ってしまったり、キズを付けたりしないように十分注意します。
このあと、車輪押さえは一度外しておきます。
ギヤ軸に車輪を圧入しました。
もっとも、指ですっと入ってしまうところもありましたが…緩まないよう、あとで瞬間接着剤で固定してしまいました。
輪心はそのままではきついので、中央の穴を2.5mmヤスリでさらっておきます。
いつもは外周も少し削りますが、中央の丸穴をヤスるだけで簡単に入るようでした。
おっと、右手にカメラのリモコンが写りこんでいる…。
各動輪に輪心をはめ込んで軸受けに差し込み、車輪押さえを再び取り付けました。
レール上を転がして、不具合がないか確認しています。
モーターを取り付ける前に、後ろのラグにリード線をハンダ付けしておきました。ここは電気配線なので、金属用フラックスは使わず、ヤニ入りハンダを使いました。
意識的に上方に向けたのですが、これではモーターブラケットに触れてショートしそうだったので、少し後ろ向きに付け直しました。
モーターをモーターブラケットにネジ留めしました。
1. 先ほどの端子が、周囲の金属部に絶対に触れないようにします。極性が逆なので触れるとショートします。
2. リード線をモーターの端子にハンダ付け。
3. モーターブラケットの突起を、モーターの端子にハンダ付け。
ハンダ付けと書いていますが、ここではまだ付けていません。たまにモーターの極性が逆で、逆走してしまうものがあるので、念のため回転を確かめてからきちんと付けました。
ウォームギヤをエポキシ接着剤でシャフトに接着しました。
噛み合わせはそのままでちょうどよい感じでした。大体、互いの歯の高さの半分ぐらいが噛み合うぐらいでよいかと思います。きつすぎるとろくなことがないです。
1. シリンダーブロックを台枠前方にネジ留め。
2. 加減リンクの台座を上部にネジ留め。
3. ラジアスロッドの先端をシリンダーブロックの後ろに差し込み、加減リンクの穴を重ねてM1.0ネジでネジ留め。
サイドロッドをクランクピンで動輪に取り付けました。
サイドロッドには、第1・3動輪を留めるもの、第2・3動輪を留めるもの(写真)、全動輪を留めるものの3種が付属しています。
いつも第1動輪ピンが干渉するので、最初は第2・3動輪を留めるものを選びましたが、どうも具合が悪くて第1・3動輪に替えました(説明書記載と同じもの)。
第2・3動輪を留めても、第1動輪側の先端が浮き気味で結局干渉し、さらに第2動輪ピンまで干渉しがちで、問題が大きくなったので、すぐにあきらめました。私はもう、こういうところに手間をかけるより、手っ取り早く組み立てて遊んだほうが楽しいと思っていまして。
1. ピストン棒は抜けないよう、つっかえないように注意してカットし、磨いてまっすぐにしました。
2. クロスヘッドの裏側の溝をヤスって磨き、メインロッドやユニオンリンクも軽く動くように調整しておきました。
3. エキセントリックロッドの先端を加減リンクの穴に通しました。
4. リターンクランクのピンで、メインロッドのビッグエンドとサイドロッドを第3動輪に留めました。
キットは右側90度先行とされていますので、輪心やリターンクランクはそのように取り付けました。
片側のリターンクランクが緩かったので、ハンダを盛って太くしておきました。緩いままにしておくと、走行中にずれて思わぬところが噛み込み、せっかくの調整をぶち壊しにしてしまうことがあります。
1. 組みあがった下廻りの前方を、M1.4×4ナベネジで、煙室下部にネジ留め。
2. 下廻りの後部2箇所をキャブ下にネジ留め。
3. 先台車を取り付け。ここに入るバネは、2巻ほどカットしておきました。
ロッド類が引っかからずに走ることを確認してから、軸受けに微量のシリコンオイルを与えました。試運転しているうちに調子が上がり、今回は成功したと思います。今のところはスローもじっくり効いて、揺れ挙動もなく安定しています。
できました。昔のエンジンドライブ機のキットなら、下廻りの組み立て調整のためによく徹夜しましたが、最近のキットではそこまでの苦労はなくなりました。色々なところが改良されて、ありがたいです。
9600よりも一回り小さく、整ったスタイルで、プラ製の2軸貨車6〜7両の編成がよくまとまります。走りの感じはいつものワールド工芸のエンジンドライブと同等なので、余裕たっぷりの走りというわけではありませんが、このクラスの機関車としては十分楽しく遊べています。
これを見ると、ワールド工芸には同じ手法で8620も行けそうに見えます。組み立てキットとして雰囲気優先と割り切り、動輪スポークは無理に抜かず、A8のようにロスト輪心などで作り、これと同様のエンジンドライブとするなど。モーターもボイラー内に入れなくても十分かと思います。
…なんていうものを望むユーザーがどの程度いるのか、というのは難しいところですね。私はキットのひとつの在り方ということで受け入れますけど。もしスタイルも走りも今までより良いプラ市販品が出たら食べられてしまうのですから、なるべく簡易な方法がよいと思うのですよね。
その後、姉妹製品として14号機も発売されています。何年か遅れて組み立てました。
模型の外見的には、前面スノープロー昇降シリンダーの追加、キャブのディテール、テンダー後方ハシゴの追加程度の違いです。
私はこの機関車の実物をまったく知りませんが、先に組み立てた11号機の模型の感じが良かったため、仲間を増やしてみました。14号機の組み立ては、不注意による失敗や修復のまずさが重なって、正直悔いも残っています。何とか終えました。