Huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye



    
菩薩蠻 
    
黄鶴樓

            一九二七年春
茫茫九派流中國,
沉沉一綫穿南北。
煙雨莽蒼蒼,
龜蛇鎖大江。


黄鶴知何去?
剩有游人處。
把酒酹滔滔,
心潮逐浪高!





毛主席去安源

******

菩薩蠻
      
黄鶴樓

茫茫たる 九派は  中國を流れ,
沉沉 たる 一綫は  南北に穿つ。
煙雨  莽 蒼蒼として,
龜蛇  大江を鎖す。


黄鶴  何
(いづ)こに去りたるかを 知るや?
(のこ)して有るは  人を游ばしむるの處。
酒を把
(と)りて  滔滔と酹(そそぎいの)れば,
心潮  浪を逐ひて  高まる!


私感注釈

※菩薩蠻:詞牌の一。 四十四字。双調。詳しくは「構成について」を参照。

※一九二七年:国民革命の主導権争いの時期を控えての詞作。国民政府は武漢に移転していた時期で時代は昏迷の中にあり、毛沢東は革命に行き詰まって武漢の国民政府にも幻滅を感じていた時期。この詞も、挫折感とそれを克服しようという気持ちを詠った。(革命に挫折して途方に暮れ、それでも(酒を飲んで)無理に自分を奮い立たせている詞。)
   黄鶴樓
大陸旅游倶楽部三國志篇」の紫氏より賜る

※黄鶴楼:黄鶴楼のある武昌にて。 ・湖北省の武昌(現・武漢市武昌区)の西南の蛇山北黄鵠(現・湖北省武漢市武昌区黄鶴楼南路)にある楼の名。道士が黄鶴に乗って飛び去ったという言い伝えがある。盛唐・催〔さいかう:Cui1Hao4〕はその故事に基づいて、『
黄鶴樓』「昔人已乘白雲去,此地空餘黄鶴樓。黄鶴一去不復返,白雲千載空悠悠。晴川歴歴漢陽樹,芳草萋萋鸚鵡洲。日暮ク關何處是,煙波江上使人愁。」を作り、盛唐・李白は楼前で『黄鶴樓送孟浩然之廣陵』「故人西辭黄鶴樓,煙花三月下揚州。孤帆遠影碧空盡,惟見長江天際流。」と作る。

※茫茫九派流中国:果てしなく遥かでぼんやりとしてはっきりとしない長江は、中華の地を流れて。 ・茫茫:〔ばうばう;mang2mang2○○〕 果てしなく広々としているさま。遥かなさま。ぼんやりとしてはっきりとしないさま。東晉・陶潛『挽歌詩』其三に「荒草何
茫茫,白楊亦蕭蕭。嚴霜九月中,送我出遠郊。四面無人居,高墳正嶢。馬爲仰天鳴,風爲自蕭條。幽室一已閉,千年不復朝。千年不復朝,賢達無奈何。向來相送人,各自還其家。親戚或餘悲,他人亦已歌。死去何所道,託體同山阿。」とあり、盛唐・劉長卿の『平蕃曲』に「渺渺戍煙孤,茫茫塞草枯。隴頭那用閉,萬里不防胡。」とある。 ・九派:多くの河の流れ。長江を謂う。九は多数を謂う。派は川の支流をいう。湖北、江西一帯を流れる長江は支流が多く、このように呼ぶ。 ・流中國:中華を流れる、の意。*「穿南北」の対になるところで、中國とは、國の中、内地、本土、中州、正州、中央の地域の意味。『史記』、『晉書』など二十四史によく使われている。わたしの持っている二十四史は標点本で、固有名詞には傍線が引かれているが、「中国」の部分には引かれていない。日本風に言えば「中(なか)つ国(くに)」、「中華の国」「天下の中央の国、世界の中心の国」の意。今日謂うところの国名の「中国」(=China)とは、やや異なる。

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武漢市の武昌区(地図中心に黄鶴樓)

※沈沈一綫穿南北:重々しい一線(=鉄道線)は、(祖国の大地の)南北に通じている。 ・沈沈一綫:(南北に通る)鉄道。 重い一線。ややこしい句。鉄道か瓜州を通る運河か、苦労をした。周振甫に拠ると、鉄道の線をいう。北京から武漢(漢口武昌)を通り、広州の方へ行く、現在の京広線。 ・沈沈: どっしりと重いさま。重苦しいさま。*形容詞「沈」(おもい)の重ね型である「沈沈-」。形容詞を重ね型にすることで、強調の意味合いを添える。また、ここでは、語調を整えている。 ・沈:重い。 ・穿:うがつ。

※煙雨莽蒼蒼:霧雨でぼうっとかすんで。 ・煙雨:霧雨(きりさめ)。煙雨(えんう)。 ・莽蒼:景色などが茫漠としている様。「煙雨莽蒼」:(現代語)霧雨でぼうっとかすむこと。 ・蒼蒼:〔さうさうcang1cang1○○両韻〕老いたさま。青白いさま。頭髪の白髪交じりのさま。また、草木が青々と繁るさま。草木が鬱蒼と繁るさま。まっさおなさま。前者の意の用例に、中唐の白居易の『村夜』に「霜草蒼蒼蟲切切,村南村北行人絶。獨出前門望野田,月明蕎麥花如雪。」や同・白居易の『賣炭翁』「賣炭翁,伐薪燒炭南山中。滿面塵灰煙火色,兩鬢蒼蒼十指K。賣炭得錢何所營,身上衣裳口中食。可憐身上衣正單,心憂炭賤願天寒。夜來城外一尺雪,曉駕炭車輾氷轍。牛困人飢日已高,市南門外泥中歇。翩翩兩騎來是誰,黄衣使者白衫兒。手把文書口稱敕,迴車叱牛牽向北。一車炭重千餘斤,宮使驅將惜不得。半匹紅綃一丈綾,繋向牛頭充炭直。」がある。後者の用例に、北朝・齊・斛律金の民歌『敕勒歌』「敕勒川,陰山下。天似穹廬,籠蓋四野。蒼蒼,野茫茫,風吹草低見牛羊。」、盛唐・劉長卿の『送靈K』に「蒼蒼竹林寺, 杳杳鐘聲晩。 荷笠帶斜陽, 青山獨歸遠。」や清・王士モフ『即目三首』其一「蒼蒼遠煙起,槭槭疏林響。落日隱西山,人耕古原上。」がある。

※亀蛇鎖大江:(武漢の)亀山と蛇山は、長江をとざしている。/亀山と蛇山のある武漢の街(=武漢の国民政府)が長江(≒祖国)の行く手を阻(はば)んでいる。 ・亀蛇:亀山と蛇山。亀山は漢陽に、蛇山は武昌にあり、長江を隔てて向かい合う。 ・鎖大江:長江の流れを閉ざすように両山があることをいう。 ・鎖:とざす。 ・大江:長江。

※黄鶴知何去:(繁栄した漢民族の文化の象徴とも謂える)黄色い鶴はどこへ行ってしまったのか。/(漢民族の)古き良き時代は、どこへ行ったのか。 ・黄鶴:老人が酒代の替わりにかいた黄色い鶴。これが実際に飛び去り、記念に黄鶴樓を建てたという伝説による。 ・知:分かる。 ・何去:どこへ去ったのか。どこへ行ってしまったのか。前出・崔の七言律詩『黄鶴樓』「昔人已乘白雲去,此地空餘黄鶴樓。黄鶴一去不復返,を踏まえている。

※剰有游人処:残されているのは、旅行客を遊覧させるところ(ではないか)。 ・剰:(古・現代語)のこる。あまる。これは前出「昔人已乗白雲去,此地空餘黄鶴樓。」の「空餘」を踏まえている。 ・游人處:人を遊ばしむる処。旅人を憩わすところ。(現代語)遊覧客のいる場所。 ・遊人:遊覧する人。宋・陸游の『水調歌頭』多景樓に「江左占形勝,最數古徐州。連山如畫。佳處縹渺著危樓。鼓角臨風悲壯,烽火連空明滅,往事憶孫劉。千里曜戈甲,萬竈宿貔貅。露霑草,風落木,歳方秋。使君宏放,談笑洗盡古今愁。不見襄陽登覽,磨滅遊人無數,遺恨黯難收。叔子獨千載,名與漢江流。」 とある。

※把酒酹滔滔:酒の杯を持って、酒を盛んに流して注ぎ祈れば。 ・把酒:酒の杯を持つ。北宋・蘇軾の『水調歌頭』に「明月幾時有?把酒問天。不知天上宮闕,今夕是何年。我欲乘風歸去,又恐瓊樓玉宇,高處不勝寒。起舞弄C影,何似在人間!   轉朱閣,低綺戸,照無眠。不應有恨,何事長向別時圓?人有悲歡離合,月有陰晴圓缺,此事古難全。但願人長久,千里共嬋娟。」とある。 ・把:手に持つ。つかむ。握る。動詞。また、…を。(処置を加えて)…を(…する)。…について…する。…を(××)してしまう。介詞。後に目的語をとる。文語の「将」(「…をもって」)とほぼ同じで、「以」とも似ている。動詞の用法では、北宋・蘇軾の『水調歌頭』「明月幾時有?
把酒問天。不知天上宮闕,今夕是何年。我欲乘風歸去,又恐瓊樓玉宇,高處不勝寒。起舞弄C影,何似在人間!   轉朱閣,低綺戸,照無眠。不應有恨,何事長向別時圓?人有悲歡離合,月有陰晴圓缺,此事古難全。但願人長久,千里共嬋娟。」の「把」に同じ。 ・酹:〔らい;lei4●〕注ぎ祈る。酒を地祇にいのり、注いで捧げること。北宋・蘇軾の『念奴嬌』に「大江東去,浪淘盡、千古風流人物。故壘西邊,人道是、三國周カ赤壁。亂石穿空,驚濤拍岸,卷起千堆雪。江山如畫,一時多少豪傑。   遙想公瑾當年,小喬初嫁了,雄姿英發。註綸巾,談笑間、檣櫓灰飛煙滅。故國~遊,多情應笑我,早生華髪。人間如夢,一樽還江月。」とある。  ・滔滔:水が盛んに流れる様。

※心潮逐浪高:心の動きは、浪をおって高まってきた。*「把酒酹滔滔,心潮逐浪高」は、「(途方に暮れ、暗く沈んでいた心は、)酒を飲んで酔い、やっと元気付いてきた」ということ。 ・心潮:心の動き。前後に河を詠っているので潮と表現した。 ・逐浪高:浪をおって高まる意。

                   ***********





◎ 構成について:

  菩薩蛮(『子夜歌』ともいう):双調。四十四字 換韻。韻式は「aaBB ccDD」。脚韻は、「國北」は、第十五部入声。「蒼江」は、第二部で平声。「去處」は、第四部で去声。「滔高」は、第八部で平声。

  韻式は、「a仄韻a仄韻・B平韻B平韻・c仄韻c仄韻・D平韻D平韻」と換韻する。一番目のa仄韻と三番目のc仄韻は別の韻目にする。また二番目Bと四番目Dの平韻も異なった韻目にする。aa同士は同じ韻目。同様にBBも同一韻目。以下同様。

仄平平(a仄韻),
仄平平(a仄韻)。
仄仄平(B平韻),
平平仄(B平韻)。 


平平仄(c仄韻),
仄平平(c仄韻)。
仄仄平(D平韻),
平平仄(D平韻)。

2000.7. 9
     7.10
     7.11完
2001.6.11補
     7.28
2002 9. 9
    11. 6
2007.7.21
2013.3. 6
     3.11 



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