凍蠅 | |
南宋・楊萬里 |
隔窗偶見負暄蠅,
雙脚挼挲弄曉晴。
日影欲移先會得,
忽然飛落別窗聲。
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凍蠅
窗を隔 てて偶 ま暄 を負 ふ蠅 を 見る,
雙脚 挼挲 して曉晴 を弄 す。
日影 移らんと欲して先 づ會 り得て,
忽然 飛びて 別窗に落つる聲あり。
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◎ 私感註釈
※楊万里:南宋の学者、詩人。字は廷秀。号して誠齋。吉水(現・江西省吉水県)の人。靖康二年/建炎元年(1127年)〜開禧二年(1206年)。生涯、抗金に勤めた。南宋の「中興四大詩人」の一。
※凍蝿:冬のハエ。
※隔窓偶見負暄蠅:窓をへだてて、ひなたぼっこをしているハエをたまたま見た。 ・隔窓:窓をへだてて。窓越しに。 ・偶:たまたま。 ・負暄:背中を日光にあてる。ひなたぼっこ。「暄」は、暖かい日ざしが行き渡ること。
※双脚挼挲弄暁晴:二本脚をもんで、朝方の晴の天気にたわむれている。 ・双脚:二本脚。 ・挼挲:〔ださ;ruo2suo1○ ○(?)〕こする。もむ。さする。なでる。 ・弄:いじる。いじくる。(手で)動かす。たわむれる。もてあそぶ。 ・暁晴:朝方の晴の天気。
※日影欲移先会得:日の光が移ろうとしているのを、先ずよくわかり。 ・日影:日の光。また、日の影。 ・欲:…しようとする。 ・先:まず。 ・会得:〔ゑとく;hui4de2●●〕よくわかる。よく理解する。 ・会:さとる。しる。
※忽然飛落別窓声:にわかに飛び上がって、別の窓に留まる音がする。 ・忽然:にわかに。突然。急に。たちまちに。 ・飛落-:飛び上がって、…に留まる。 ・声:音がする。動詞として使う。
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◎ 構成について
韻式は、「AAA」。韻脚は「蠅晴聲」で、平水韻下平八庚(晴聲)・十蒸(蠅)。この作品の平仄は、次の通り。
●○●●●○○,(韻)
○●○○●●○。(韻)
●●●○○●●,
●○○●●○○。(韻)
2017.10. 9 10.10 10.12 10.13 |
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