ゴジラVSスペースゴジラ」(94)を見た。

 ま、毎年の事なので、ゴジラについてしつこく語るのはアレなのだが
簡単に言えば、広島・長崎原爆に続いて、第5福竜丸が被爆し、
日本人が核の恐怖を再認識した頃に、核の産物として登場し大ヒットしたもの。
その後、シリーズ化されにつれて、大衆化・幼児化しシリーズは途切れたが、
ゴジラで育った世代が大人になった切望したものだから、リアル路線で復活。
悪役である事は必須とされて、強引に悪役で居続ける展開に。
ビオランテ・キングギドラ・モスラ・メカゴジラと言う並み居る連中を蹴散らし
(モスラには負けたと言う説もあるが、結局死にはしなかった)
今回、スペースゴジラという新怪獣と対決するわけ。
これに伴って、前作で同種ゴジラザウルスの赤ちゃんとして登場した
ベビーゴジラがちょっと成長して、リトルゴジラとして再登場。
前作でもずいぶん情けなかったが、今回ちょっと成長した姿を写真で見ると
前の方がマシと思え、シリーズ幼児化の根源と言われる、往年のミニラを思わせる。
さらに、ゴジラに対抗する兵器として、
メカゴジラを改造したとか言って、モゲラが登場。
モゲラは「地球防衛軍」と言う単独作品で、宇宙人ミステリアンの兵器として登場。
転倒すると、自分では立ち上がれないと言う弱点があって、簡単に倒されたが
今回はGフォースの兵器として登場。
デザイン的にも、前回のメカゴジラよりも古臭くて、逆行してどうするという感じ。
そして、前々作で隕石を阻止するため宇宙に向かったモスラが
地球の危機を伝えるため、使者と言う形で超小型で登場。妖精モスラと言う名前だ。
当然、欠かせない小美人(コスモス)の連中も、
前作では別の役で出ていたにもかかわらず再登場。
九州を舞台に戦いを繰り広げると言う。
監督は新しい人で、特撮は相変わらずの川北紘一。
音楽は伊福部にあらずと言うのが、一番残念。
本当は、メカゴジラでシリーズをいったん終わらせるつもりだったのだが、
アメリカ版ゴジラの製作が遅れていて、スペースゴジラとなったわけ。
あちらの監督は、大ヒット作「スピード」の監督に決まり、
かなり特撮に金をかける様子。
宿敵ガメラも来春、新作が公開の予定。
一度倒産した大映に公開網がないため、東宝系で公開されると言う皮肉さ。
しかし、今回は日本テレビが出資しているため、
金曜ロードショーで放送する事は間違いない。
ま、そんなこんなで、怪獣映画は終わりそうもなく、
夏の「ヤマトタケル」がいまいちだった事もあって、
次回の対戦相手は何かと言うのも気になるし、年中行事だからこれは。

 (前作までのあらすじ)
 復活したゴジラは、帰巣本能を利用されて三原山に沈んだ。
だが、ゴジラの細胞(G細胞)を狙うテロ組織によって、三原山が破壊され、
5年間飯も食わずにいたゴジラが復活。再び猛威を奮う。
白神博士が、ゴジラと植物と沢口靖子をかけあわせたビオランテが誕生。
ゴジラに敗れ、その細胞は宇宙空間に飛び散った。
一方、未来人はゴジラ誕生を阻止すると言う言い訳までして
タイムトラベルを利用してキングギドラを誕生させる。
それでもゴジラは現れ、改心した未来人がキングギトラをメカに改造。
海に沈めるが、たいした効果はなかった。
続いて、地球の環境破壊を巡って、モスラとバトラが復活。
通りかかったゴジラと三つ巴の戦いになり、ゴジラを海に沈めるまでは成功。
モスラは地球に迫る隕石を阻止するため、宇宙へ飛び立った。
たびかさなるゴジラの被害に、Gフォースが設立。
メカキングギトラを研究した、メカゴジラが誕生。
片や、ゴジラと同種のベビーゴジラやラドンが見つかり
何かと手助けするものだから、強力なメカゴジラもゴジラに敗れてしまった。

 宇宙から謎の物体が、太平洋のバース島に落下していた。
一方、Gフォースでは、メカゴジラの弱点を研究したんだか、しないんだか
同様のメカ、モゲラを開発していた。
Gフォース内部では、前回の失敗から何の反省もしていないモゲラ計画、通称M計画と
ゴジラを超能力でコントロールしようと言う、T計画が進められていた。
唯1人連続出演している、超能力者でGフォースメンバーの三枝未希(小高恵美)は
どうした事かゴジラに同情的になっていて、この計画に懐疑的だ。
権藤千夏(吉川十和子)と大久保晋(斎藤洋介)と言う連中は、未希の参加を希望。
拒否するなら、他の子供たちを代わりにと言う事になるが、
コントロールできない連中には、この任務は危険すぎる。
そんな彼女は、なぜか耳に前回はしていなかった、
例のモスラの放送禁止マークイヤリングをしていた。
彼女の耳には、コスモス(小美人)の「聖なる泉」の歌が聞こえていた。
隕石に向かってる宇宙のモスラの羽根から、毒蛾の粉が舞い散ったかと思うと
それが何と無数の小型のモスラになって、地球に飛び始めた。
その1つが、未希の前に飛来。突然、コスモスになってメッセージを伝える。
彼女たちは、宇宙怪獣が迫っていると警告。
びっくりしている所へ、千夏らが現れ、決心はついた?等と聞かれるものだから
宇宙怪獣が何なのか、よくよく考えもせずに、未希は同意してしまう。

 一方、バース島にはGフォースの新城功二(橋爪淳)と
佐藤清志(米山善吉)が到着。
彼らの目的は、後から来る千夏らの研究をサポートする事だった。
この島には、何やら奇妙で巨大な結晶体が埋まっていて、
それが生物のように口を開いて動いているが、(これが冒頭落下したもの)
最後まで研究員たちは、この結晶体には関心を示さない。
さらに、Gフォースの結城晃(柄本明)が、以前から1人で生活していた。
彼は何やらゴジラに恨みを持ち、半ば無断でゴジラ退治の機会を狙っているのだ。
その真相は後半にちょっと語られるが、結城は実は千夏の恋人で
(映画ではそういう描写はあまりないが)
千夏の兄である権藤吾郎は、彼の親友だったのだ。
だが、吾郎はビオランテ戦で戦死し、それで恨んでいると言うわけ。
吾郎を演じたのは、峰岸徹でニヒルな一匹狼という感じだったが、
今回似たような役柄をやるのが柄本明で、ちょっと似合っていない感じ。
いろんな薬品を混合して、特製の結城スペシャルと称する弾を作り、
それをゴジラの首の後ろに撃てば、さしものゴジラも死ぬと言う。
(そんな単純な考えで死ぬなら、今までにやっていると思うが)
この島には、ベビーゴジラが妙に成長して、体長30mになった
リトルゴジラ(劇中では「ちびゴジ」と呼ばれている)がいた。
これがどうした事か、結城になついているのだが、
ちびゴジがいるなら、同種のゴジラも現れるに違いないと言うわけだ。

 一方、Gフォースの作戦会議には、前回同様瀬川長官(佐原健二)らがいた。
アメリカの宇宙船が破壊され、その映像に怪獣らしき物が映っていた。
科学者は宇宙怪獣と断定。ただちにモゲラを出動させる事となる。
そのため、対ゴジラ対策は、T計画の方で行く事に。
バース島に千夏や未希たちが到着する。
未希は、新城らがゴジラを倒す事ばかり考えていると知り、
そんな事だから、ゴジラが好きになれないのよ等と怒るが、
どうして好きになる必要があるのか、皆目見当がつかない。
結城らが海岸に埋めた催涙ガスの地雷を、リトルゴジラが踏んでしまい失敗。
かと思ったら、海岸から本物が出現する。
テレパシーを同調させるための装置を、新城らがゴジラに撃ち込む事に。
そんな大変な作業をしていると言うのに、
すぐ横では結城だけがゴジラを殺すつもりでいて、手助けもせず撃つ機会をうかがう。
新城がテレパシー増幅装置をゴジラに撃ち込む事に成功。
未希が頭にこっぱずかしい装置をつけ、念ずると、
ゴジラは彼女の命ずるまま、海岸を歩き始めた。
だが、ありがちな事に、装置が火を吹き出して、実験は中断。
未希は再度コスモスからの連絡で、宇宙怪獣の接近を知る。

 怪獣の存在も不確かなまま宇宙へ来てしまったモゲラは、飛来してくる怪獣を発見。
モゲラは目からプラズマレーザーと言う光線で攻撃。
宇宙怪獣は口から凄まじい光線を吐いて反撃。
モゲラはむざむざと宇宙怪獣に接触してしまい、機械が故障。
仕方なく帰還する事になり、まんまと宇宙怪獣は大気圏突入に成功する。
宇宙怪獣はまっすぐバース島へ。これは結晶体があるからだろうが、
何で偶然にもゴジラたちの住む島に結晶体が飛来したのか。
同族だからとでも言うのだろうか。
ゴジラは放射能で宇宙怪獣を攻撃。しかし、バリアーで反射されてしまう。
しかも、宇宙怪獣の吐く光線は、そこらをウロウロしているリトルゴジラに命中して、
ゴジラもなかなか手が出せず、けっこうやられてしまう。
リトルゴジラは結晶体の口の中に閉じ込められ、身動きできなくなる。
宇宙怪獣は飛び去り、傷ついたゴジラはリトルゴジラはほっといて
傷を癒すためとでも言いたげに、海へ去っていった。ガメラのように。
結局、結城はゴジラを撃てずじまいで、傷付いた奴は撃てん等と言う始末。
大久保はT計画は失敗と断言し、彼らは引き上げる事に。
未希はリトルゴジラが気になるのか、ゴジラが気になるのか、島に留まると言う。
彼女が気になる新城らも留まる事になるのはいいが、
あれほどゴジラ退治に執念を燃やしていた結城まで帰るのは、納得がいかない。

 日本に戻った千夏は、モゲラに付着した宇宙怪獣の細胞が
ゴジラの細胞、すなわちG細胞であると断言。
すなわち、あれはスペースゴジラだと。(すなわちと言われても困るが)
ゴジラの細胞が宇宙に飛ぶ可能性は2回あった。
1度はビオランテ戦で、敗れたビオランテが粉状になって宇宙に飛んだ時。
2度目はモスラ戦で、モスラに付着した細胞が宇宙に出た場合だ。
(ここで過去2作の回想シーンが。同様に権藤戦死のシーンもある)
このG細胞がブラックホールからホワイトホールへ抜け、
結晶生物とか言うものと結合して生命体となったとか言う強引な仮説を
地球にいるだけの権藤千夏博士が発表する。
瀬川長官は、そう言う意味も含めて、モゲラをパワーアップするとか言っているが
毎度毎度実に安易な作戦だ。
一方、結城の自衛隊時代の上官と言う麻生司令官は、
前作ではタカ派として出てきたが、今回は微妙に違う。
それと言うのも、映画では触れられていないが、麻生は権藤のライバルだったため
結城の権藤への仇討ちからくる命令無視にも、目をつぶっていると言う設定なのだ。
そんな麻生は、モゲラを操縦できる最高のパイロットはおまえしかいないと
結城をパイロットに任命する。
そんな有能な人材が、無人島にずっといたかと思うと……。

 一方、バース島で何をするでもなく滞在していた未希は、何者かに誘拐される。
結局、何の役にも立たずにいた新城らは帰国。
結城らに相談すると、それは企業マフィアの仕業に違いないと言う。
ゴジラ対策が仕事のはずのGフォースの結城が、
なぜか企業マフィアとやらの隠れ家を知っていて、(警察にも言わず)
彼と新城らは潜入に成功する。
その頃、再びスペースゴジラが飛来し、札幌を破壊し始める。
宇宙から来ても、やはり破壊するのは日本だけだ。
その札幌には、UFOキャッチャーをする会社員として、小堺一機と松村邦洋が。
小堺が人形をとるのに夢中でいて、松村が怒るが、
スペースゴジラの影響で電気がおかしくなって、人形がたくさん転がり出る。
しかし、今度は怪獣が苦手な松村が泣き出すというご愛敬。
続いて、スペースゴジラは山形へ。
Gフォースは、このままでは首都圏に来るのは間違いないと
モゲラ出動を決断するが、(例によって首都圏は守りたがる)結城がいない。
そうこうしているうちに、なぜかスペースゴジラは首都圏を通過して神戸へ。
そんな頃、実は企業マフィアの手先だった大久保は、
捕らえた未希の脳波を記録し、ゴジラを意のままに操縦しようとしていた。
そこへ新城たちが到着。「FBIだ!」みたいな感じで
「Gフォースだ!」とあわてる連中。逮捕権とかはあるのだろうか。
撃ち合いの末、未希を救出。彼らは脱出。
ビル自体がスペースゴジラの影響で電気を帯び、大久保はその場でおだぶつ。
一行はあわててGフォース本部へ帰還。

 スペースゴジラは福岡に腰を落ち着ける。
町には例の結晶体がニョキニョキ生え、スペースゴジラの巣のようだ。
首都圏を守るどころか、スペースゴジラが九州まで行ってしまった頃になって
ようやくモゲラが出動する事に。
そこへ結城らが到着したため、例の因縁もあって、麻生長官は結城に行かせる。
他に2人同乗する必要があるのだが、結城は新城らを指名。
いかにGフォースと言えども、訓練していない連中に操縦できるものなのか。
一方、海水で傷が完治したゴジラは、(それはガメラか)
またまた水中から放射能を吐いて登場。
これまた鹿児島に現れる。Gフォースの戦艦がかけつけるが一網打尽。
毎回、死者が出ているに違いないのだが、なぜ効果のない防衛を繰り返すのか。
続いて、熊本・別府と九州各地に登場。一応は、人々も逃げてみせるのだが、
どうも雰囲気的に、スペースゴジラ退治にかけつけたようにしか思えない。
ゴジラが現れたと知った結城は、先刻はみすみす見逃したクセに
今度は任務も放棄して、ゴジラ退治のため大分へ急行する。
攻撃を仕掛けるが、新城は彼を殴って、再び福岡に戻る事に。
命令違反とは言え、目の前にゴジラがいるのに、放置して戻ると言うのも何だ。

 複雑そうなモゲラも、意外や2人でも十分操縦できるようで、
スペースゴジラへ攻撃を加える。
まず、両手がミサイルになる、スパイラルグレネードミサイル。
続いて、目のプラズマレーザーや、腹から東宝自衛隊お得意のメーサー砲。
今度は反射はしないらしく、スペースゴジラも打撃を受ける。
だが、調子にのって、ドリルアタックとか言って、接近したのは作戦ミス。
モゲラのクチバシがドリルになっているので、いつかは使うと思ったが、
ドリルアタックと言う名前も安直なら、作戦も安易。
せっかく離れてダメージを与えていたのに、接近したために反撃を受ける。
あわててキャタピラで後退するが、光線を受けて転倒。
気がついた結城の指示で、上空へ避難。そこへゴジラが到着する。
しかし、スペースゴジラの凄まじい光線には歯が立たず、ゴジラも大苦戦。
ウルトラマンの引力光線みたいなので、空中に持ち上げられる羽目に。
結城もとりあえず当面の敵はスペースゴジラと認識し、
その上で、福岡タワーがスペースゴジラのパワーを増幅していると気づく。
ならば、それを破壊するため、と言うよりはモゲラの機能を公開するため、
モゲラを空を飛ぶスターファルコンと、地上を行くランドモゲラーに分離。
メカと言うと合体分離したがるが、それがいかに効率が悪い事ものやら。
それはともかく、結城が空中から攻撃する間、
新城らが地底からタワーを攻撃。ゴジラが押し倒して、破壊に成功する。

 スペースゴジラは途端に威力を失う。
モゲラは再度合体し、メカゴジラの時もやった、全兵器で攻撃と言うバカな攻撃を。
ゴジラもモゲラが敵とは思っていないようで、協力して攻撃。
その図は、どう見ても正義の味方だ。
モゲラは右肩に生える結晶を破壊する事に成功するが、反撃を受けて大破。
結城は新城らを避難させて、特攻と言うよりは、暴走のようにして体当たり。
さしものスペースゴジラも転倒。
結城も脱出しようとするが、脱出口が半開きで、足を挟まれて宙づりに。
新城が救出に向かうが、かけつけた未希が事情を察知し、
超能力で脱出口を開き、結城救出の手助けをする。
ゴジラはスペースゴジラへ最後の放射能攻撃。火薬の量を間違えたような大爆発に。
かけつけた未希は、新城に恋心を抱いているとでも言いたげに、
心配したのと言ったり、手をつないだりするが、展開的にちと無理がある。
結城は、仕事を終えて海に戻るゴジラに、
たいした奴だよとあきらめたような口調で言い放ち、特製の弾を捨て
前のように恋人である千夏と寄り添う。
1人だけノケ者の佐藤は、ゴジラに向けて、まだ決着はついていない等と言う。
それぞれ勝手な事をしているが、ゴジラをもはや驚異には思っていない感じだ。
千夏はいつまたスペースゴジラが現れたないとも限らないと、お約束のフレーズ。
未希は超能力で新城に、いつのまにか結晶体から脱出したリトルゴジラが
バース島で最初の放射能を吐くのを見せる。
それがきれいな光線にはならず、水滴みたいな物が出るだけ。ミニラそのものだ。
ほほ笑む未希は、超能力でゴジラのコントロール用増幅装置をはずす。
すると、再び現れたちょい役コスモスが、地球を守ってくれてありがとう等と
意味不明の言葉を残して映画は終わるのであった。

 と言うわけで、本来はメカゴジラでシリーズを終え
ハリウッド版へ移るつもりが、あちらが遅れたのでできた本作は
いかにも急造、つなぎ的な感じ。
リトルゴジラ、モゲラ、モスラといろいろ出したが、ただ出しただけだし。
脚本家は、今回は人間ドラマを重視したと言っていて、
確かに、未希の恋とかの部分もあるが、つけたしにしか思えず
そういう人間ドラマ的な部分が、怪獣ものにしては凝ったつもりかも知れないが
安直なので、全体的に安っぽい感じを受ける。
時間的にはシリーズ最長のようだが、どうも内容が薄い。
次回作の時に、この作品がなかった事にしても、何ら問題ない感じだ。
ゴジラ対策も、超能力を利用しようという発想はいいが、中途半端。
未希がなぜかゴジラに同情的になっていて、それは前作の最後からだが
かばうような事まで言い出すのには、ちとまいる。
せいぜい、自己矛盾に悩む程度にしてほしいものだ。
その他の対策は、相変わらずのメカ攻撃とか、発想に進歩がなく、
どうせ効果がないなら、素通りさせるのが、被害が最小限でいいはずと思えるほど。
とどめは平成ミニラで、本シリーズはゴジラを悪役で通すつもりらしいが、
子供や女性客を狙って、ミニラ的なリトルゴジラを登場させてしまった。
(幸か不幸か、ミニラは中盤全然出てこなかったが)
このミニラをかばうという行為が、ゴジラを悪役とは思いにくくさせていて
しかも、モゲラとの共同作戦でスペゴジを倒し
倒すと静かに去っていき、人間たちも見送る始末。
以前のシリーズでも、ゴジラは結果として地球のために戦っていただけで、
正真正銘の正義の味方になったのは、ヘドラくらいからだ。
つまり、同じ道を歩んでいるようにしか思えないのだが。

 そんなこんなで、ある程度予想はされていたが、今回の出来はあまりよくない。
それよりは、予告編に出てきたガメラ新作の方が気になるものだ。
下町風の町並みの上をガメラと、妙にリアルなギャオスが飛び交っていた。
最後には福岡ドームで戦い、セガールの娘がからむらしい。
も1つ、ゴジラの続編だが、やっぱり96年公開予定があって、
1作目の山根博士の「あれが最後の1匹とは思えない」と言うセリフが
何とカラーにされて出てくる。
そして、「これが最後の敵となるか」とか出るが、疑問形なのはそうではないから。
誰も見たことがない敵が出ると言ってるから、バランかも知れない。
キングコング説もあるが、権利が取れないらしいし。
メカニコングでメカ3連続と言うのもバカだし。
山根博士の言葉から、ゴジラがもう1匹(リトルが成長するという手も)かも。
 



年に1回の恒例東宝怪獣ものもこれで終わりか?「ゴジラVSデストロイア」(95)を見た。

 54年「ゴジラ」で登場した怪獣王ゴジラは、水爆実験で蘇った太古の怪獣で、
故平田昭彦扮する芹沢博士が発明した、新兵器オキシジェンデストロイヤーによって
骨まで溶かされ、命を絶たれた。
その後、別のゴジラが正義の味方となっていった経緯は、
毎回説明しているのでよしとして、
いったん休止したシリーズも、84年に復活し、正義の味方になるのだけは避けようと
その点だけは注意した感じで、復活シリーズと言われるシリーズが登場した。
その中で、ビオランテ、キングギドラ、モスラ、メカゴジラ、スペースゴジラと言う
連中と対戦。一部負けたと言う説のある相手もいるが
何しろゴジラを絶命させる事は一度もできず、通算22作目の本作に突入したわけだ。
キングギドラ以降、毎作過去の怪獣が登場して、次は何かと期待させたものだが
今回はザ・デストロイアと言うプロレスラーだけで、過去の怪獣はいないらしい。
「VSメカゴジラ」で登場した同種のベビーゴジラも、リトルゴジラの時期を経て
本作ではゴジラジュニアに成長したと言うが
これが往年のミニラを思わせる等と言う点には、あえて触れずにおこう。
ここで特筆すべきは、このゴジラシリーズが、いったん終焉を迎えそうと言う事だ。
そんなこと言っても、「ゴジラ1984」でも、一度ゴジラは死んだはずで
「ゴジラVSビオランテ」で、火山の火口から、
何事もなかったかのように現れた過去があると言うのはあえて触れまい。
ゴジラ人気に、ハリウッドでゴジラが製作されるとの話があって、
そのために本家ゴジラもしばらく休止と言う話もあったが、
監督が交代して、どうなるものやら見当もつかない状態だ。
にも関わらず、ゴジラシリーズは本作で終焉と言う事になったわけだが、
本当に終わりと言うわけではなく、別の形でまた再登場するらしい。
ま、それはある程度予想がつく事だからよしとして、
そうなると、今回の作品でいったいどういう展開になるかに注目が移るわけだ。
唯一ゴジラを倒せたオキシジェンデストロイヤーに関係ある
デストロイアと言う怪獣が登場し、ゴジラがメルトダウンしそうで
第1作に出た河内桃子が再登場すると言うのも話題。
どうやら、シリーズの中でも、特別な1作になりそうな感じだ。
おかげで音楽の伊福部昭も再登場。
その他の出演は、辰巳琢郎、石野陽子、そしてレギュラーの小高恵美と言う面々。
高島兄も再登場だ。
何だかんだと言いながら、来年の暮れにはまた新作が公開される気がするし、
そうなると、その予告があるはずでそれも気になるところだ。
何はともあれ、これは年中行事だから。

 ゴジラ対策のために結成されたGフォースの三枝未希(小高恵美)は、
ゴジラとリトルゴジラがいるはずのバース島へ向かうが、
バース島は跡形もなくなっていた。
その頃、香港ではゴジラが現れ猛威をふるっていた。
復活シリーズ初めての、海外での暴れだ。その姿はなぜか真っ赤に輝いていた。
やがて、第1作の「ゴジラ」と言うタイトルが白黒で出て
それがカラーになって、「ゴジラVSデストロイア」となる。
Gフォースでの会議で、ゴジラの異変はバース島の異変と関係しているとの話が出る。
この会議には、三枝未希の他、国友長官(篠田三郎)、麻生司令官、
そしてアメリカ支部だかから、通信で小沢芽留(大沢さやか)らが会議に参加。
大沢さやかは、モスラが出てくる時には小美人コスモス役で出ているやつ。
片割れは今回は出演しないらしい。
彼らの考えでは、ゴジラの心臓部は原子炉のような物で、
バース島の噴火がゴジラの温度上昇を誘発し、核爆発を起こしかねない状態だと言う。
もしゴジラほどの大きさの原子炉が核爆発を起こせば、
大気が気化して、地球全体が滅びかねないのだ。
と言うと、東京の真ん中で爆発を起こし、地球が炎に包まれるイメージ。
今やゴジラに対する攻撃は危険だと、攻撃中止命令が出る。
アメリカの何とか博士は、インターネットで面白い情報を見たとか言い出して
1人の少年の名前を持ち出した。彼はゴジラについて面白い見解を持っていると言う。
国友長官はその少年を訪ねる。
山根健吉と言うその少年は、かつてゴジラ研究の第一人者だった山根博士の孫だった。
山根博士とは、第1作で故志村喬が扮した人物で、彼の顔写真も出てくる。
健吉はゴジラが趣味となっているが、Gフォースに協力する気はないと言う。
だが、三枝未希がGフォースにいると知り、彼女のファンらしくて、
急に気が変わって、協力すると言い出す。
それが、こんな少年にこの後、みんなが意見を求めるようになるから苦笑させられる。
一方、健吉の姉でニュースキャスターである山根ゆかり(石野陽子)は
物理学者の伊集院博士(辰巳琢郎)の発明についてTVで紹介する。
博士はミクロオキシジェンと言う物を開発していて、
これは水中の酸素を拡大するような発明で、これを利用する事により
例えば魚が巨大になったりして、食糧問題も解決できると言う。
だが、ゆかりは自然環境に対する悪影響の可能性を指摘する。
TV局員の中に、「ゴジラVSモスラ」にも出ていた、村田雄浩がチラリと登場。
ゆかりの叔母である山根恵美子(河内桃子)は、ゆかりの番組を見ていて
ミクロオキシジェンが、かつて彼女を愛した芹沢博士が開発した
オキシジェン・デストロイヤーと似たような物ではないかと心配する。
ここで若き平田昭彦と河内桃子の映像が出てくる。
ちなみに、恵美子は宝田明扮する尾形とは結婚せず、独身のままだったと言う設定だ。
恵美子は芹沢博士が危険な兵器だと、自らの命を絶ってまで守った物が
使われてしまうのではと心配する。
そこで、ゆかりは再び伊集院博士に会って、その点を追及する。
博士はオキシジェン・デストロイヤーに匹敵する物を開発する可能性を認めながら
人間は自らの発明で破滅への道を歩むほど愚かではない等と、楽観的な事を言う。
Gフォース会議で、健吉はゴジラに対して通常の攻撃はできず、唯一有効な手段は、
かつてゴジラを倒した唯一の武器、オキシジェンデストロイヤーだと言う。
健吉は伊集院博士と知り合いの姉を通じて、博士に製造の可能性を質問させる。

 その頃、東京湾トンネルの工事現場で、
トンネルの先が溶けてしまうと言う事故が発生。
伊集院博士は調査に現れたのかと思いきや、そこで土を採集するのが目的だと言う。
何でも、その工事現場は、
かつてオキシジェン・デストロイヤーが使用された海底の下なのだ。
博士はこの土を分析させると、酸素のないはずの土の中から生命反応が検出される。
(そんな生命なら、通常の生命形態とは異なるはずで、
普通の装置では発見できない気もするが、その点には触れまい)
やがて、品川の水族館で、水槽の中の魚が一斉に骨にされてしまうと言う事件が発生。
監視カメラを分析する伊集院博士は、
骨にされた魚に未知の生物が接近しているのを発見。
かつて酸素がない時代にも生物がいたと言う説があり、
そうした生物が土中に生き続け、
水中の酸素を消滅させるオキシジェン・デストロイヤーによって
突然変異を起こしたのではないかと言う。
突然変異はいいが、そいつに襲われると骨になると言うのはまた不可解な話だ。
その機能は、ミクロオキシジェンを使用しているとしか思えない。
そうこうしているうちに、臨海副都心の人気のないビルのあたりに、
未知の生物が現れ、建物を次々と破壊すると言う事件が発生する。
オキシジェン・デストロイヤーが使用されたのは40年も昔だと言うのに、
どうやら例の生物が、ここへ来て急速に巨大化したらしい。
自衛隊だか何だかの特殊チームが、無人のビルに入り、
謎の生物を撃破しようとするあたりは、「ダイ・ハード」を思わせるが
天井に隠れていた生物を見つける事はできず、次々とやられてしまう。
生物に襲われると、生物が光線みたいなのを吐いて、飛ばされてしまうのだが
別に人間が白骨にされるわけではないので、拍子抜けだ。
取材の記者が殺到するあたりは、「ガメラ」を意識した感じ。
だが、生物が暴れ、突入した連中が次々やられ、逃げまどう記者たちの前へ。
ゆかりだけがなぜか別の方向へ逃げてしまい、パトカーの中へ逃げ込むが
そのパトカーが襲われると言うあたりは、「エイリアン」等を意識した感じ。
だいたい、この生物(デストロイア)のデザインが、
プレデターやエイリアンに似ている。
危機一髪と言うところで、なぜかいつも現れる伊集院博士に助けられる。
だが、生物を倒せたわけではない。

 ゴジラが台湾沖で発見され、引き続き北上。やがて豊後水道へ。
ゴジラには毎年年末になると、日本へ戻る習性があるのか?
Gフォースは、ゴジラへの攻撃を禁止され、代わりに自衛隊が出動。
実際、今までメカゴジラ、モゲラと巨大メカに金をかけてきたGフォースだが、
今回は基地で心配するばかりで、ほとんど役には立たない。
自衛隊でゴジラ攻撃に出動するのは、あいつしかいないと言う事で
黒木特佐(高島兄)が、自衛隊もゴジラ対策を忘れてたわけじゃないよと
スーパーXVで出動する。
映画の中で説明はないが、黒木と言う名前は、
「ゴジラVSビオランテ」で登場した若き自衛隊士官の名前で
その時はスーパーXUと言うのを飛ばした。
演じたのは高島弟だったが、やはり同一人物と言う事なのだろうか。
ちなみに、前回メカゴジラに搭乗した高島兄の役名は、青木で別人に違いない。
スーパーXVは発進。温度上昇を続けるゴジラに対し、冷凍弾で攻撃。
火器攻撃がダメなら、冷やしてしまえと言う作戦で、
さらにカドミウム弾と言うので眠らせてしまう。
今までメカゴジラとかで金をかけても全然効果なかったゴジラだが、
この意外に単純な作戦が効果あって、ゴジラを倒す事はできないが、
4時間だかの間だけ活動を止める事には成功する。
(と言う事は、それをこまめに続ければ、ゴジラを完全に止めれるのでは?)
時間が来ると、驚いた事に、4時間ちょうどからゴジラは活動を再開した。
しかも、超低温で冷やされたにも関わらず、ゴジラの原子炉は温度上昇を続ける。
このままではゴジラは、メルトダウンを起こしてしまう。
メルトダウン、すなわち原子炉自体が溶解して、地球に穴を開けると言う
いわゆる「チャイナ・シンドローム」と言う現象だ。
いずれにせよ、地球の運命は真っ暗だ。
さらにゴジラは原発を目標とはせず、どこかへ移動し始めた。
その頃、御前崎の海岸に別のゴジラが出現する。
いや、それはゴジラではなく、成長したリトル・ゴジラだった。
その外見はゴジラそのもので、麻生司令官も
「今やゴジラ、いやゴジラ・ジュニアと言うべきか」と
いったんゴジラと認めながら、格下げしてしまう。
ゴジラとゴジラジュニアの行動を分析した結果、
ゴジラがゴジラジュニアを追っていると判明する。

 一方、ゴジラ対策に気をよくしたのか、自衛隊だか何だかわからない連中が
謎の生物に対して、冷凍メーサーとか言う兵器で攻撃する事となる。
効果はてきめんで、謎の生物は簡単に退治されたかに思えた。
しかし、何匹もいた生物は、合体して巨大な生物に変形してしまった。
伊集院博士は、もはやミクロオキシジェンどころではない
まさにオキシジェン・デストロイヤーそのものと、わけのわからない事を言う。
巨大になった怪獣は、そのためデストロイアと名づけられる。
決して、「噂のチャンネル」に出ていたからではなかった。
健吉は、その話を聞いて、1つのアイデアを持ち出す。
オキシジェン・デストロイヤーを作る事ができないなら、
そのオキシジェン・デストロイヤーと同じ威力を持つと言う
(なぜ持つのかわからないけど)デストロイアとゴジラを対決させるのだ。
麻生司令官らは、そんなバカな事ができるかと反発。
しかし、こんな部外者のアイデア以外に効果的なアイデアは出ない。
どうやってゴジラをデストロイアと対決させるのか、その方法は1つしかない。
未希の超能力を利用して、ゴジラジュニアを誘導すれば
ジュニアを追ってゴジラも来ると言う寸法だ。
ジュニアに愛着を感じている未希は抵抗を感じるが、他に方法はない。
芽留と言う初めて登場したやつは、妥当な意見だと評価して、
未希にやる気がないなら私がやると、唐突に超能力を持っている事を明らかにする。
そんな子供たちの話し合いで作戦が決まってしまい、
司令官も、確かに東京だジュニアだと言っている場合ではない、
今や地球の運命を左右する時なのだと、東京をあきらめ、住民を避難させる事に。
それはいいとして、ジュニアの事を気づかうフリをするのは困り者だ。
未希たちの超能力によって、ジュニアは誘導され、東京へ上陸する。
その後の戦いはやや退屈で、細かい事は忘れてしまったのだが、だいたいこうだ。
まずジュニアがデストロイアと対決。
しかし、ジュニアごときにやられるデストロイアではなく、
簡単にやられてしまい、かみつかれてオキシジェンデストロイヤーを注入される。
これは効果的で、ジュニアは虫の息に。
そこへゴジラがようやく上陸。羽田空港でゴジラとデストロイアが対面。
しかし、住民が避難したはずなのに、
空港では旅客機が動いているし、高速道路は渋滞で車のランプが輝いている。
ここまで来ると、伊集院博士もキャスターのゆかりもどこかへ行ってしまい
Gフォースも見守るだけで、未希たちも役立たず。
未希たちのヘリが不時着して、ゆかりたちが助けるくだりがあるが、
そんなに大勢1つのヘリに乗れるとは思えないし。
見ているこちらも、やや寝ていたかも知れない。
デストロイアすらゴジラの前には歯が立たず、
(ではどうして初代のゴジラは倒されたのか)
再びバラバラになってゴジラにまとわりつくが、そんな事が効果あるはずもない。
デストロイアが効果ないとわかり、少しでもメルトダウンを抑えようと
再び自衛隊のスーパーXVが出動。
ありったけの冷凍弾を搭載したので、もう来年の予算はない等と
わけのわからない事を言う。
デストロイアは最後の攻撃のため、再び合体して攻撃するが、
それを倒したのはゴジラではなく、自衛隊の冷凍弾だった。
ゴジラ死すと言うから、デストロイアが倒すのかと思ったら、そうではなかったのだ。
自衛隊がゴジラに冷凍弾攻撃するが、もはやゴジラの温度上昇は止められない。
ゴジラはすでに死んだかに見えるジュニアに歩み寄り、
はぁーと臭いそうな息を吹きかける。
これで生命エネルギーを吹き込んだと言う事らしい。
ゴジラの温度が2000度になれば、メルトダウンが始まる。
もはやそれを防ぐ方法はない。
驚く事に、2000度ちょうどになると、ぴったりメルトダウンが始まった。
ゴジラの体が赤く輝き、背ビレから溶け始める。
続いて体全体が溶け、やがて消滅していった。
こうしてゴジラは死んだが、それによる放射能で東京は死の町となった。
人間が核をもてあそんだ代償は高かった。
Gフォースの連中が落ち込んでいると、放射能値が急激に落ちた。
煙の中から、ゴジラジュニアの雄叫びが。
彼が放射能を吸収して、東京は救われたと言う事らしい。
これで映画は終わり、有名なゴジラのテーマに乗って、
1作目のゴジラの映像が出て、その後復活ゴジラ以降の各作品のシーンが登場。
(ちなみに他の怪獣は出てこない)
何だかんだと言いながら、シリーズの長さを考えると、
このエンディングはなかなか感慨がある。
しかし、最後の最後に来て、なぜか「キングコング対ゴジラ」のテーマが流れるのは
いったいどういう意図だったのだろうか。劇中では使われていないし。

 と言うわけで、まあ、別の形で再開する事はまず間違いないゴジラシリーズだが
復活以来、必然性もないのに、連続した話になっていて
やや脚本の面でも制約が多くなっていた事を考えれば、
ここらでこういう形で決着をつけるのも、1つの手ではあると思う。
そして、確かに1作目以来、ゴジラは負けた事はあっても、
死んだのはこれが2度目だ。
(復活第1作目で死んだと思わされたのは別としてだ)
そう言う意味では、ゴジラの死を描いた作品と言うのは他になく
シリーズの中でも重要な作品となる要素はあったと思う。
さらには1作目のオキシジェンデストロイヤーが、
1作目以来初めて登場したと言うのも、長いシリーズを考えると重要だ。
そこへ1作目で出てきた芹沢博士や、山根博士を会話に登場させたりするのもいい。
山根博士の孫とかが出てくるのもご愛敬だ。
そして、オキシジェンデストロイヤーの申し子とも言うべきデストロイアが
最後の敵と言うのも、なかなか感慨深い。
しかしながら、このデストロイアがたいして強くなく、
オキシジェンデストロイヤーのように、相手を骨にする事もないのでは
普通の怪獣と何ら変わりない。実際何の役にも立たなかった。
前半はそれでも最後の決戦的な演出があったが、
後半になるとただ退屈な戦いが続くばかりで、(寝てたせいもあるが)
出演者も何のために出ているか、わからなくなるほど。
今までGフォースと言うのが、かなり金をかけているに違いない
兵器を投入させてきたのにも関わらず、今回は何の役にも立たず
役割分担の違う自衛隊が再登場して、スーパーXと言う模型で戦うのみとなったのは
副都心と言う人気のない街を決戦の場所に選んだのと同様に
意図的ではなかったかも知れないが、手抜きにしか思えない。
ゴジラジュニアの扱いも、割と簡単で、申し訳程度。
ゴジラの死については、何者にも負けず、自滅するという形を取りたかったのだろうが
何か設定的に無理が出てきて困りものだ。
(オキシジェンデストロイヤーがゴジラに利かなくなってたり)
最後に東京が壊滅しそうになり、核をもてあそんだ人類の代償だと言う展開は、
第1作目以来、ようやく本格的に核の驚異に対する、徹底的な批判が出たと言う感じで
(復活第1作にも核批判はあったが、申し訳程度にしか思えなかった)
なかなかショッキングだが、
ゴジラジュニアと言う奴が放射能を吸ってしまい、
結局現実の地球と何ら変わりない社会に戻り、ジュニアも成長してゴジラになれば
まだまだ続編も作れるぞと言う、妙な計算が見えるようで、この決着はいただけない。
その後の、ゴジラシリーズ過去の作品の名場面集みたいなのは、なかなかよかったので
シリーズ完結編として、一部に他の作品に負けない見所があるものの
全体的にはかなり退屈な作品になったと言える。
ちなみに、来年正月はいったんゴジラから離れ、「モスラ」と言う事らしい。
いまさらゴジラ以外の怪獣を単発で出すとは思わなかったが
近作「ゴジラVSモスラ」が旧「モスラ」のリメイク的なところがあっただけに
いったいどうするつもりなのか。ガメラ2もあるらしいし。
 



再復活した新シリーズ「ゴジラ2000」(99)を見た。

 1955年だかに登場したゴジラは、日本を代表する怪獣として世界的に有名に。
他の怪獣の出現で、一時期正義の味方になって子供向けになり中断。
初期の志を思い出して、90年代悪役として復活。
各地の観光地を破壊して、何やら妙に悪役である事を誇示しつつ
当初の主題であった、放射能の恐怖の話はどこへやら行った状態で数作が作られた。
キングギドラ、モスラ、ラドン、メカゴジラと言う過去の怪獣も登場。
だがついにゴジラを倒す事はできず、自らのパワーで自滅という形に。
そして再びゴジラは休みに入り、その間、モスラ、ガメラと言う連中でお茶を濁し
その一方で、海外にゴジラが進出し、ID4の監督が映画化するが
そこで出たのは、どう見ても巨大なイグアナで日本では不評。
そんなブランクを経て再度復活したゴジラは、
なぜかトゲが鋭くなり、口が大きくなってガメラ風。
今までの話はすべてなかった事にして、第1作の続編と言う形になるらしい。
そう言う設定の話は、復活版ゴジラ、ゴジラVSデストロイヤ等何作かあったので
またかと言う気もするが、今回はすごいのかも知れない。
題名は何と「ゴジラ2000」。
続編が「ゴジラ2001」になりそうな予感を残しつつ、
とにかく年中行事だし見てしまえ。

 根室。濃い霧の中、何やら調査する篠田(村田雄浩)と娘イオ。
変わり者の彼らを嫌いながら、他に権威がいないので仕方なくつき合う
雑誌社の女性記者一ノ瀬。
大気圏のプラズマ変動が地震に似ており、こんな数値が考えられるのは
あいつだけしかいないと、思わせぶりのセリフを言う篠田。
やがて、そのあいつと言うゴジラが登場。灯台の前に漁船をくわえたゴジラが上陸。
狭い路地の居酒屋が破壊されるシーンなど、細かい描写はガメラを思わせる。
人々は逃げまどうが、第1作以来の登場のはずなのに、意外に人々は驚いていない。
篠田は4WDで接近を試みるが、接近しすぎてフロントガラスが割られる始末。
何とか逃げるが、ゴジラは発電所を破壊する。
篠田は、ゴジラは人間のエネルギーを憎むのかとつぶやくが
その答えがこの作品の中であるのかと言うと、特になかった気がする。

 一ノ瀬は再び上司の指示で篠田らの所へ。
彼はゴジラの被害を最小限にするため、ゴジラ監視ネットワークと言う団体を設立。
篠田は自分の関心があるからいいとしても、メンバーにはベンガルとかもいるのだが
わざわざ金を払ってまで、なぜ篠田らの道楽につき合うのか、どうも理解できない。
そして、何を根拠にしたかはわからないが、
篠田はゴジラが茨城鹿島沖へ接近している事を突き止める。
一方、同じく鹿島沖の海底で調査するGセンサーと言う団体は
200メートルもの大きさの岩の塊を発見する。
それは地球外の未知の物質らしく、新しいエネルギー源になるかも知れない。
Gセンサーはゴジラを倒すのを目的とした組織で、
リーダーは内閣官房副長官の片桐(阿部寛)。
篠田も最初は一緒に働いていたが、必ずしもゴジラを倒す必要はないと対立したのだ。
Gセンサーの科学者宮坂(佐野史郎)が、なぜかゴジラを放っておいて
岩の引き上げに取り組むが、ある程度持ち上げると、岩は自力で浮上し始めた。
その頃、Gセンサーは、ゴジラが東海村に来ると確信し、自衛隊が待ちかまえる。
通常、待ちかまえるだけで特に対策を立てないのがゴジラシリーズの特色だが
今回はガメラの影響か、ちょっと対策を考える。
ただし、ここで突破されると、後はただやみくもに撃つだけの従来通りに逆戻りだ。
ゴジラが東海村へ接近。そんな状態なのに、なぜか電車は普通に動いていて
乗客は驚くが、その乗客の中にタモリ倶楽部の空耳アワーの人が。
ゴジラは機雷を簡単に突破。戦闘ヘリで攻撃するが、もちろん効果なし。
さらに戦車で攻撃。戦車隊を指揮するのは西村雅彦だが、チョイ役らしい。
今まで、やみくもに撃ってもゴジラの表皮にはじかれ効果なかったが
新開発のフルメタルミサイルは、ゴジラの表皮を突破し効果があるはずだ。
しかし、フルメタルミサイルは、山ほど撃ち込まれるが効果ないと言われる。
おいおい、ゴジラの腹の中はミサイルだらけだろうが。
そんな時、岩は突然浮かび上がり、何やら波動か何かでゴジラを吹き飛ばした。
ゴジラも応戦するが、海中に飛ばされ、岩の方は墜落する。

 どうやら岩は、6000年前に地球に飛来したUFOで
光を動力源とするため、長い間停止していたが、調査艇の光で復活したらしい。
Gセンサーは、再び岩が暴れ回らないよう、
電磁キャプチャーと言う電磁波を利用したような網で捕捉する。
一方、篠田は入手したゴジラの細胞を分析するため、宮坂の機材を借りる事に。
おいそれはG細胞だろうがと言う気もしたが、前作まではなかった事らしい。
その結果、ゴジラの細胞には、驚異的な治癒能力があり
ちょっとやられてもすぐ回復し、シリーズを続ける事ができると判明。
この細胞を、篠田は突然、オルガナイザーG1と名づける。
何がオルガナイザーで、何がG1かは映画ではまったく語られない。

 結局、岩は再び動き出し、電磁キャプチャーをものともせず破り、
復活版だから久々に都心でも破壊しようと、新宿へ向かう。
途中、ゴジラVSメカゴジラで破壊したはずの幕張も出るが、なかった事だから。
自衛隊も東海村ですべての作戦を使い果たしたらしく、手をこまねいているだけ。
ゴジラも岩を追って動き出す。篠田はつぶやく。ゴジラの目的はリベンジだ。
なぜ西武松坂が使った流行語を使う。
岩は新宿の高層ビルの屋上へ。何やら触手を伸ばし、ビル中の機器の制御を奪う。
ここは一ノ瀬の雑誌も入っているビルで、皆は逃げ出すが、
一ノ瀬は取材のチャンスと留まる。
岩はコンピュータネットワークに侵入し、何か情報を得ようとしている。
一ノ瀬はその意図を突き止めようとするが、片桐はビルの爆破を指示する。
自衛隊みたいな連中が、ビルに爆弾を設置する。
篠田もかけつけ、岩の意図を追求する仕事を受け継ぎ
意外に簡単に一ノ瀬は見届けるのをあきらめ、篠田の娘と逃げる事に。
片桐は篠田がビルに残っていると知るが、ビル爆破続行を決定。
普通、この手の役柄は悪役になるものだが、
こいつの場合は、悪役ぽいのはこの決定のみ。
篠田は何やらのダウンロードを終了。各モニターにはミレニアムと表示される。
岩の意図を知った篠田は、あわててビルから脱出。
まだ1階とかにいる時に爆破されるが、ビルの上の方がちょっと吹っ飛ぶだけで
悲壮感漂ったシーンが台無し。篠田は当然無事だが、岩にも影響なし。
結局舞い戻った一ノ瀬と合流。
篠田は何を見てわかったのか知らないが、岩の意図がわかったと言う。
それは地球を改造し、人類を抹殺。彼らのための千年王国を樹立すると言うのだ。
千年王国と言う目的はいいとして、なぜわざわざ2000年に来るのか
もちろんそんな説明はない。
ついに東京湾からゴジラが上陸。
岩はコンピュータを制御するだけに、各所にあるケーブルを自在に引っ張り出す。
これでゴジラは縛りつけられるが、こんな描写はスーパーマン3以来だ。
岩が変形し、火星人みたいな姿を現すエイリアン。
エイリアンはゴジラを襲って倒し、ゴジラのオルガナイザーを吸収。
エイリアンは、地球最強の生物はゴジラと思ったらしくて、
自身もゴジラになろうとしていた。
だが、オルガナイザーを制御できるのはゴジラだけで、うまく動けない。
平成ガメラによく似た怪獣オルガに変身するが、
まだ生きていたゴジラに簡単にやられる。今回の敵役怪獣、出番が短いぞ。
ゴジラは向きを変えると、いつの間にか合流していた篠田と片桐たちの方へ。
皆が逃げる中、なぜか急にやけを起こしたかのように、
片桐だけが残って立ち向かおうとするが、簡単にやられる。
自衛隊とかは全然攻撃しようともしない中、立ち去るゴジラ。
次回作は予想通りゴジラ2001だ。

 と言うわけで、またまた復活したゴジラは
ガメラを意識した感じで、リアル路線を追求。
レポーターがやたら出てくるし、デザインもちょっと似てる。
でもやっぱり、口が裂けて、横幅が広く、トゲが妙に尖ったデザインはいただけない。
自衛隊の対策も真剣に倒そうとしているが、それは前半だけで後半は野放し。
ゴジラ細胞はゴジラでなければ制御できないとか言う展開は
平成ゴジラの蒸し返しと言う感じだし
たまたま2000年に千年王国を作るために現れた宇宙人の意図もいまいち。
敵の怪獣は最後になるまで現れないため、派手な戦いもなく、ちょっと退屈だ。
 



 年末恒例「ゴジラ×メガギラス」(2000)を見た。

 年末と言えば、東宝系特撮もの。今年もゴジラ。
昨年が「ゴジラ2000」で、その最後の予告編で「ゴジラ2001」と
呼ばれていたので、当然2000の続編かと思ったが、どうもそうでもないらしい。
今回の相手は、何と「ラドン」の超脇役メガヌロン。
これが変化するとメガギラスになるらしい。
そして今回の対決の場所は、フジテレビのあるお台場。
何だかあまり期待できないのだが、とりあえず年中行事だし見てしまえ。

 1954年。東京にゴジラが現れ、甚大な被害を与える。
ここは1作目のシーンの再現。わざわざ白黒のフィルムを再現していると
自慢げにパンフに書かれているが、どう見ても今のゴジラで、
ちょっと色がついているあたりもいただけない。
この東京の被害の結果、首都は大阪に移動。
パラレルワールドとしての設定はまあまあ面白いのだが
大阪城の隣に、東京の国会議事堂がある図は
国会議事堂が、たぶん54年より前にできていた代物だけにちょっと変な感じ。
例えば、東京都庁が大阪にあるとかだと、いいのだが。
66年。再びゴジラが現れ、東海村の原発を襲撃。
またも甚大な被害を与え、政府はクリーンエネルギーの使用を決定。
96年。ついに夢のエネルギー、プラズマエネルギーの開発に成功。
しかし、中性子が漏れて、大阪にゴジラが現れる。
自衛隊はゴジラに立ち向かい、宮川(永島敏行)と辻森(田中美里)は
バズーカで攻撃するが失敗。
永島敏行はガメラでも自衛隊の役だったはずで、何か似たような感じだ。
宮川は犠牲となって死に、辻森は復讐を決意する。
早く逃げろ等と言って、なぜか上官が留まり、
崩れたがれきの下敷きになると言うあたり、お約束と言える。

 そして2001年。大阪が首都なのに、秋葉原は現実の秋葉原と同様に発展。
しかも、リニアモーターカーが走っている。
今回の出だしは、パラレルワールドの紹介になるわけだが、
これ以降、この設定、たいして生かされない。
度重なるゴジラの襲撃に、「Gクラスパー」と言う組織が結成され
辻森はその隊長となる。少数精鋭と言うと聞こえはいいが
設定のためのご都合主義と言う感じ。
以前は、Gフォースとか言っていたし、毎回組織が変わるのは
ウルトラシリーズみたいで、あまり好感が持てない。
辻森は、秋葉原で怪しい小型機器を作って売っている、その道の天才工藤をスカウト。
なぜ彼だけに白羽の矢が立ったのか、これまたご都合主義という感じ。
最初は、バカにしていた工藤だが、その道の先輩である
吉沢(星由里子)もメンバーにいたので、結局参加する事に。
司令官は杉浦(伊武雅刀)。
今までのような大きな組織という感じがせず、
他のメンバーは、何が得意なのかよくわからない連中ばかりだ。

 吉沢が考えたゴジラ消滅作戦とは、
何やら特殊な機械で小型のブラックホールを製造し、
ゴジラを宇宙のどこかへ放り出してしまうと言う強引なものだった。
放り出す先がよくわからないと言う事は、ブラックホールの謎を解けていないわけで
そんな状態で、人工的にブラックホールが造れたりするものだろうか。
物体が消えたとしても、それが何か物理的に破壊されたのでなく
ブラックホールでどこかへやられたと、どうやって証明するのだろうか。
とにかく、このいかにも危険な作戦を、山梨山中で実験する事に。
廃校になった小学校を標的にする。
母がかとうかずこと言う少年淳は、立ち入り禁止のはずのこの実験を偶然目撃する。
実験は見事に成功して、廃校は消滅するが、
しばらくは周囲に妙な空間のゆがみが留まる事が判明。
しかし、そんな事はまったく気にせず、「しばらくすれば消えるさ」等と言って
残る課題は、巨大なこの装置を小型化して、ゴジラがどこにいても
人工衛星から攻撃できるようにするだけと言う話になる。
一方、少年淳は、実験場の跡に何やら妙な生物と、その卵らしき物を発見する。
珍しがってこれを家へ持ち帰り、
その後引越の際も、どう親をごまかしたか東京まで持っていくが
何やら不気味に成長したので、気味悪がってこれを下水に捨ててしまう。
いわゆる、アリゲータ状態と言える。

 その後、下水内で生物は増殖。
渋谷で遊ぶカップルを襲撃するあたりはホラー映画みたいな感じ。
その正体は、古代生物メガヌロン。学者はその存在を知っていて、
脱皮するとメガニューラと言う、でかいトンボみたいな物になるのだ。
ブラックホールの影響で、いつの間にか古代から来ていたらしい。
その生態系のせいか、はたまた他に原因があるのかよくわからないが渋谷は水没。
人々は避難し、自衛隊がボートに乗って調査していると、
ビルの壁に大量に張り付いているメガニューラを発見する。
虫特有の気色の悪さが売りだ。
一方、小笠原沖にゴジラが出現。
G何とかは出動し、辻森は危険を冒して小型機で接近。
その目的は、発信器を取り付ける事で見事成功。
人工衛星で追尾すれば、例のブラックホールで攻撃する事が可能となる。
これにブラックホール・ディメンジョン・タイドと言う、長い名前をつける。
種子島の宇宙基地より、この装置を載せた人工衛星を打ち上げる。
もちろん、このロケットは、実際のアレとは違って、失敗したりせず軌道に。
その頃、渋谷にできた湖の底には、無数のメガヌロンの卵が集まっていた。
どこにあるのだか、よくわからない奇岩島と言う島にゴジラが現れ
引き寄せられるように羽化したメガニューラが島へ急行。
大量のメガニューラがゴジラにたかり、ゴジラも弱るが
ディメンジョン・タイドで攻撃しようとするG何とかとしても、
メガニューラが無数に飛ぶために、レーダーが狂って照準ロックができない。
たまらずゴジラが熱線を吐き、メガニューラの数が減ったので、
照準ロックが可能になり、ディメンジョン・タイドで攻撃。
しかし、わずかにそれて、ゴジラには傷もつかずに立ち去る。
何のための照準ロックか、それは最後までわからない。

 メガニューラは合体して、巨大な怪獣メガギラスとなる。
その外見上の特徴は、「ゴジラVSモスラ」のバトラと区別がつかない。
羽を振動させると、超音波か何かが発生し、周囲のビルが破壊される。
一方ゴジラは、「最近できた観光地に現れる」と言うお約束を守りお台場に上陸。
メガギラスの方も、やはり戦わねばならないとお台場にかけつける。
メガギラスは、古代の地球の生物とは思えない瞬時に移動する能力を持ち
ゴジラも苦戦中。やはりフジテレビのビルも破壊される。
ところが、ゴジラがメガギラスのしっぽをかみ切ると
どうもそこが意外な弱点だったらしく、その後簡単にやられてしまう。
普通はここで終わりそうなところだが、なぜかここから延々と話が続く。
ゴジラはお台場から延々と歩いて有楽町まで移動。
実は、辻森らの知らないところで、杉浦は禁止されたはずのエネルギーを
有楽町でひそかに開発を続けていたのだ。
宮川が死んだ一件も、このひそかな研究続行が関係していたらしい。
辻森は怒るが、たいして物語に影響するわけでもない。
とにかくディメンジョン・タイドで攻撃するしかない。
しかし衛星はなぜだか故障して落下中。このままでは照準ロックなどできない。
一方、こちらもなぜだか負傷していた工藤がかけつけ、
「おれの独自OSなら何とかなるかも」等と、よくわからない事を言い出し
落下中の衛星にアクセス。しかし落下中では照準なんか合わない。
そこで辻森が、グリフォンと言う小型機を発進させ、これに照準をロックさせ、
そのままゴジラにグリフォンを接近させて、ゴジラに攻撃を命中させると言う
奇々怪々な作戦に出る。これは、大リーグボール打倒作戦と同じ手だ。
間一髪、辻森は緊急脱出し、ブラックホール攻撃でゴジラはついに消滅。
平成復活後、メルトダウンによる自己消滅以外に倒せなかったゴジラも
ついに退治できたかに見えた。
工藤は秋葉原の店に戻るが、辻森が現れる。
各地で、まだゴジラが生きている痕跡らしき物が発見されたと言い
ぜひ工藤に参加してほしいと言うのだ。
工藤と辻森はケンカばかりしているが、実は互いに心配していると言う
ちょっと安っぽいラブコメのりで、最後にじゃれている所でエンドクレジットに。
ここで終わればまだ良かったのだが、
エンドクレジットの後に、さらにシーンあり。
学校にいる淳少年が、外を見ると、ゴジラの鳴き声が聞こえた。

 と言うわけで、冒頭の展開が異色で、
ゴジラVSキングギドラのタイムトラベルものを思い出させて面白いのだが、
それがその後まったく生かされず失望させられる。
異色である事は認めるが、そうなると前作の存在も浮いたものに。
今回の敵、メガヌロンの存在は、ガメラAのレギオンみたいだし
合体して巨大になったのは、ゴジラVSモスラのバトラみたい。
1回しか対決がないのもいただけないし、
最後にメガギラスを倒した後に、何やら続くのも変な感じ。
ついにゴジラを倒したと言うエンディングは評価できると思ったのだが
まあお約束とは言え、最後の最後にゴジラが生きていた事を
見せているのもいただけない。
それにしては、次回作の予告がなかったし。
 



 久々の怪獣決戦「ゴジラ・モスラ・キングギドラ/大怪獣総攻撃」(2001)を見た。
 邦画をほとんど見ない私も、ゴジラだけは年中行事。
ゴジラ2000の復活以来、毎回設定が異なり、シリーズとしてはつらいのだが
今回は、今までの強敵とも言うべき
モスラ・キングギドラ、そしてバラゴンまでもが復活。それぞれと相まみえる。
4大怪獣の決戦となると、ガイガンの時もそうだったのだが、
実質的には「怪獣総進撃」以来と言える。
あの頃は子供向けだったが、平成に入ってからは大人の鑑賞に堪える物語を維持。
その路線で、4大怪獣が戦うとどうなるかは興味がある。
おまけに監督は、平成ガメラシリーズで評価された金子監督。
主役が宇崎竜堂と新山千春と言うのはピンと来ないし
久々の同時上映が、とっとこハム太郎と言うのも気になるが、
ゴジラ試練の時と思って見よ。相乗効果でけっこうヒットしているようだし。

 防衛軍の立花准将(宇崎竜堂)は、隊員たちを前にして語る。

昭和29年。水爆実験によって生まれた怪獣ゴジラは、東京を焼け野原にした。
創設したばかりの防衛軍は激戦の末、ゴジラを駆逐した。
これは、防衛軍唯一の実戦経験である。そして以来ゴジラは日本には現れていない。
内緒話する連中の間には、近年アメリカに似た種類の怪獣が出たと言い
ゴジラであるとの説もあるが、学者は別物であると主張してるなんて会話も。
もちろん、海外版ゴジラの事を言っているのだが、
誰でも思いつきそうなセリフだが、やはりニヤリとさせる。
立花は、幼い頃東京でゴジラ襲撃を体験していた。
そんな中、グアム島沖で米原潜が消息を絶つ事件が発生。
これを取材しようとするテレビ局だかの人に山寺宏一。
この映画、この手の特別出演がかなり多い。
海軍の広瀬中佐(渡辺浩之)は、潜水艇で捜索するが、何かの背びれを目撃。
写真撮影し、彼はゴジラであると主張するが、防衛会議では取り合われない。
この軍には江森(南果歩)、三雲(大和田信也)、防衛庁将校として川北宏一
なんて連中もいるのだが、特に物語には影響しない。
南果歩に至っては、映画の最後の方で泣いたりするが、なぜ泣いたんだか。

 立花の娘由里(新山千春)はBSデジタル局でやらせ番組をやっている。
彼女の上司は門倉(佐野史郎)で、長髪で宅八郎みたい。
インチキ番組を作っては、飲んで同僚にかつがれて戻り、父に怒られたりもする。
彼女は、妙高山付近の怪現象を取材と称して行く。
村長らが、インチキだと怒るが、宣伝になると言ってごまかす。
村長の助手には、ノバのCMに出てた人が。そこで、奇妙な地震が発生。
付近のトンネルで崩落事故が起こり、暴走族が生き埋めに。
後ろにいたトラック運転手は、トンネルの中に巨大な生き物を目撃。
あれはゴジラに違いないと言う。救出には防衛軍がドリル式のミサイルを使用。
これは、後ほど再び使用される。
一方、鹿児島県の池田湖には、湖畔に遊びに来ていた若者が。
店から商品を盗み出し、目撃した犬を箱に入れて湖に流すが、
その湖から巨大な何かが現れて襲われ、犬だけが生還する。
由里の友人である作家武田は、一連の事件は「護国聖獣伝記」に鍵があると言う。
そこには、妙高山、池田湖、富士の樹海に、
日本を守る古来の3匹の怪獣が眠っていると言うのだ。
その名は婆羅護吽、最珠羅、魏怒羅。
日本とは広い意味での日本を意味し、国家を守ると言う意味ではない。

 そして、由里らは富士の樹海の近くにある本栖警察署へ。
ここにはパソコン好きの警官松尾貴史がいて、留置所の老人伊佐山(天本英世)を
紹介される。彼は何やら怪しげな話を言いふらしていたのだ。
伊佐山によれば、ゴジラは太平洋戦争で死んだ人々の残留思念で、
日本の無念を晴らそうとしており、だから日本にしか現れないのだと言う。
そんな頃、自殺志願の男は、穴に落ちて、そこで氷に包まれた怪獣を見つける。
一方、篠原ともえは小笠原の孫の手島にある民宿「鯨見」に。
ここで、ものすごい揺れが発生し、民宿は破壊される。ゴジラが現れたらしい。
軍は非常警戒態勢をしくが、ゴジラは姿を消す。
一方、新潟から静岡へ移動する地震が観測され、
やがて姿を現した赤い怪獣が原因と判明。
赤いゴジラなどとも言われるが、ゴジラとは別物らしい。
後に、軍の若手のやつが、認識するために名前をつけましょうとうれしそうに言い
これはバラゴン、後に出てくるのが、モスラ、ギドラと呼ばれる事となる。
官房長官(津川雅彦)がいろいろ発表。
バラゴンは箱根方面へ現れ、喜んで記念撮影するカップルもいるが、結局やられる。
由里はこのバラゴンを追う事に。ロープウェーの下を通過。
一方、ゴジラは焼津港に上陸。下から仰ぎ見る構図だが、
何か人間が入ってる事を強調しているようでマイナスだ。
魚市場を蹴散らし、篠原ともえの入った病院を破壊。
今回は、意外にゲストが大勢死ぬ。
続いて清水市へ行き、かとうかずこが教師をする学校では、外を見るとキノコ雲が。
ゴジラは箱根大桶谷へ行き、そこでバラゴンと対決。
バラゴンはゴジラにかみつくが、何しろバラゴンは30m。ゴジラは50m。
サイズが違い、歯が立たない。何とか崖から飛びつくが
振り払われて、近づいていた報道のヘリに激突。ヘリは爆発する。
やられっぱなしで、とどめの熱線を受け、炎の中で絶命。由里も負傷する。
え?バラゴンこれで終わり?3匹合流して立ち向かわないの?と言う感じだ。

 ゴジラは東京方面へ向かい、由里は同行していた武田があきれ果て
結局自転車で追う事に。小型ビデオカメラで中継するんだが、
なぜそこまで燃えるのかは、ちょっとわからない。
村田雄浩率いる、防衛軍の戦闘機部隊がゴジラに攻撃をかけるが、歯が立たず全滅。
立花は上官である日野垣(村井国夫)に聞く。
本当に防衛軍はゴジラを倒したのか。
実はゴジラを倒したのは、今は亡き芹沢博士の発明による
オキシジェンデストロイヤーだった。そしてもうその発明はこの世に存在しないのだ。
池田湖では、巨大な繭が割れ、成虫になったモスラが飛び出し、
他の地区には目もくれずにゴジラのいる横浜へ。その中華街にはチューヤンもいる。
そして、小美人風に現れる前田愛・亜季姉妹はモスラを見守るが
物語に影響するわけではない。
実戦部隊隊長(角田信朗)の指揮のもと、軍はゴジラに攻撃。
だがやはり歯が立たず全滅。そんなところへも由里はかけつけ取材を続ける。

 もはや打つ手がなくなり、立花が指揮する事に。
由里は軍に捕まるが、立花の許可で取材を続けてもいい事に。
ゴジラとモスラが対決する中、ついに目を覚ましたギドラがかけつける。
だが、まだギドラは完全には成長しておらず、完全な力を発揮する事はできないのだ。
そんなギドラなので、ゴジラには歯が立たずやられっぱなし。弱って倒れる。
立花の指揮で、ドリル式のミサイルが打ち込まれるが、ゴジラの皮膚には効果がない。
やがて、モスラは炎に包まれ、粉になってギドラに降り注ぐと
ギドラが元気になって甦る。こんなシーン、前にも見たぞ。
まさに、これぞ千年竜王と言える状態になったのだが、
さぞ凄いのかと思えば、実はそうでもなくてゴジラにはまだ歯が立たない。
由里はゴジラを追ってベイブリッジへ。でも途中で破壊されて海に落ちる。
立花は、ゴジラを倒すにはギドラとの共同作戦しかない等と
勝手に怪獣を仲間と断定してしまう。
そこで、ドリル式のミサイルを撃ち込むにしても、口の中にしなくてはダメだと
自ら潜水艇で向かう事に。広瀬も同行する。
その前に乗っていた軍艦だかに宮下(布川敏和)。
ギドラは再びエネルギーが尽き、倒される。
しかし、またまた三大怪獣の姿が浮かぶ、正体不明の光が輝き、
ギドラはゴジラを抱えて海中へ沈む。
潜水士の立花は、広瀬がモタモタしている間に、自らゴジラの体内へ。
そこでミサイルを撃ち込み、ゴジラは大爆発。
誰もが立花は死んだと思ったが、間一髪脱出していて無事。
一同一安心するが、実は伊佐山老人は何十年も前に死んでいた事がわかる。
そして、お約束のように、海底にはまだ動いているゴジラの心臓が。

 ついでに「ひょっとこハム太郎 ハムハムランド大冒険」
ハム太郎はハムスターで、ヒマワリの種が大好き。
ついでに、飼い主ののこちゃんにもあこがれているが、
のこちゃんが恋人とデートをする事になりショックを受ける。
家出したハム太郎は、楽しい遊園地のようなハムハムランドへ。
そこには、人間の言葉が話せるようになると言うヒマワリの種があると言う。
これを手に入れ、のこちゃんと話をしようと奮戦するハム太郎だが
ドラゴン一味が邪魔し、怖い物に会うと死んだフリしたりするハムスターの習性が。
結局、ヒマワリの種は手に入らず戻るが、
のこちゃんも心配してハム太郎を捜していたとわかり一安心。

 と言うわけで、期待したとおり、ゴジラとバラゴンが戦う前半は良かったのだが
後半になってモスラ・キングギドラと戦う段になると、
1匹ずつとしか戦わず、最後はキングギドラだより。
その度にやられるギドラが、2度も奇跡で甦るあたりは都合良すぎ。
せっかく4匹出てくるのだから、1対3で、それでもゴジラの方が強い
と言うシーンが見たかったものだ。
ギドラの首は、いつも上を向いていて短い。
これは吊っているのではなく、中の人が手を入れているからだが、
それが露骨にわかるようでイヤだ。
新山千春は、今風のヒロイン設定でまあまあいいとして、
宇崎竜堂の自衛官はピンと来ない。そう言う俳優を選んだらしいのだが。
ジャスコとかに入っている複合館は、近年のゴジラには珍しく満席の状態が続き、
来年も、似たような同時上映と、同じ監督になる気がする。
ちょっと気に入らない。
 



 やはり年中行事「ゴジラ×メカゴジラ」(2002)を見た。

 ゴジラ2000で復活して以来、1年1本ペースを再び維持しているが
奇妙な事に、復活以降は毎回設定がまちまちで、
見ている方としては混乱するのも事実。
今回の敵は、またまたまたメカゴジラで、通算4回目の登場だが
1度も勝った事がない相手を何度も出すのもどうかと言う気がする。
とは言え、主演に釈由美子を配置して、かっこいい女性キャラを主役に
今年もハム太郎とのタッグで動員数を稼ぐ一方、
ゴジラ自体の作品は短くなっているようなので
どうなる事やら心配はあるものの、年中行事なので見ないわけにもいかない。

 99年千葉県館山。特生自衛隊と呼ばれる部隊が出動する。
ゴジラの上陸に、メーサー砲で迎え撃つ。これを見てる男に村田雄浩。
隊長は葉山(森末慎二)。そしてメーサー砲を操作するのは家城茜(釈由美子)だ。
だがゴジラにメーサー砲は効果がない。
撤退する事になるが、バックする葉山の乗るトラックと接触。
葉山のトラックは崖下へ転落し、彼らは死んでしまう。
この件に関して、茜の責任は問われない事になったが、
彼女は責任を感じて、資料部へ転属される事に。
だが、そこでも密かにトレーニングを続けていた。
柘植首相(水野久美)と五十嵐科学技術庁長官(中尾彬)はゴジラ対策を相談。
まあ、実際に次に現れるのは2003年だから、
ゴジラは気が向いた時だけ現れる存在と言える。
かつて、54年にゴジラが現れ、芹沢博士がオキシジェンデストロイヤーで倒したが
彼は自らの命を絶ち、その兵器を封印してしまった。
その後、生態系が狂い、モスラやガイラが出現。
これらを退治するため、特生自衛隊が組織されメーサー砲が開発される。
だが、54年のゴジラと同種と思われる、今回のゴジラに対しては、
メーサー砲では効果がない。そこで、各方面のトップを集めて対策を立てる事に。

 三葉虫をサイボーグとして甦らせた科学者湯原(宅間伸)のところに
政府から要請が。もちろんゴジラ対策のためだ。
その他、各方面のプロが集められ、五十嵐長官が彼らに見せた物は、
54年のゴジラの骨だった。
第1作で溶けたはずの骨は、この作品の設定では溶けておらず、きれいに残っていた。
そこで、このDNAを抽出し、サイボーグとして甦らせようという計画だ。
すなわち、ゴジラにはゴジラを。このメカのゴジラは、機龍と名づけられる。
妻を失い、娘沙羅と暮らす湯原は抵抗を示すが、沙羅はむしろ乗り気。
娘を施設内に住まわせる事を条件に参加させる事に。
おかげで、関係者がウロウロする食堂などに出入りし、後に茜も親しくなったりする。
沙羅は勝手に、機龍をメカゴジラと呼ぶ。
そして2002年。ついに機龍が完成し、対ゴジラのためのチームも編成される。
かつて茜の上官だった富樫は、このチームのリーダーとなり、
そして機龍の操縦には、茜しかいないと彼女を推薦。
だが葉山の弟も隊にいて、兄を殺した張本人である茜がいる事に反発。
しかし、他のメンバーが同調するでなく、富樫にもたしなめられたりして
それほど茜にとって居心地が悪いところまではいかない。
それどころか、母の死でどこか心を閉ざしている沙羅とはちょっと親しげに。
湯原はわざとらしく茜に迫ろうとする三枚目的な役柄。
ゴジラが倒せたら、君を食事に誘い、倒せなかったらやはり食事に誘うとか言う。
柘植首相は退陣し、新たに五十嵐が首相に。
その政策の目玉は、経済でも外交でもなく、めったに現れないゴジラ対策だった。
各国マスコミ向けに、機龍の性能が公表される。各種ミサイルを発射するだけでなく
目玉の兵器は、アブソリュートゼロと呼ばれる、
相手を絶対零度にして粉砕する兵器だ。
デモではビルを氷結させ、何のためにあるかわからない尻尾で地面を叩くと
その震動でビルが崩れ去り、各国マスコミが驚く。
日本が軍事国家に逆戻りしようとしてるぞと、騒ぐという展開も可能と思うが
そう言う展開にはならず。

 まさにその時、本物のゴジラが数年ぶりに八景島に現れる。
それでは出動だと、戦闘機で機龍を吊り下げて移動。これはゴモラ方式と言える。
ただちに避難する事になり、グラウンドで少年に野球教えていたゴジラ松井も
優等生ぽく少年たちを誘導する。
機龍は着陸し、茜が遠隔操作でゴジラに対して攻撃を開始。
激しいミサイル攻撃でゴジラもたじたじ。
これなら行けると、アブソリュートゼロの準備をするが、
突然機龍の制御がきかなくなり、デタラメにミサイルを発射しはじめた。
これには湯原ら科学者もわけがわからず、すでにゴジラはどこかへ退散。
機龍は暴れ続けて、ただ燃料が切れるのを待つしかなかった。
止めようとした葉山弟も負傷し、墜落した機体から茜が救出。
これでチャラになったと思うなよとか言いながら、結局その後はトーンダウン。
各方面より、機龍の使用に対する批判の声が高まり、
一方で湯原らは必死にその原因を突き止めていた。
その結果、ゴジラが吠えた瞬間に、機龍のDNAが共鳴してしまったと突き止める。
であれば、それを防げばいいと対策が講じられる。
再び品川にゴジラが現れ、特生自衛隊が出動するが、
やはりメーサー砲では歯が立たない。
富樫は五十嵐に直談判。五十嵐首相は責任は取ると言い、再び機龍が出動に。
戦闘機で空輸するが、ゴジラが暴れており、
地上では、田中美里の看護婦と、それを助ける自衛隊の永島俊行がやられそう。
茜の決断で、空中で切り離して、空を飛んでゴジラに体当たり。何だ飛べるじゃん。
再びゴジラと機龍が激突。組み合いながら、ミサイルを命中させるが、これではダメ。
やはりアブソリュートゼロしかないと、攻撃をするが、
ゴジラにかわされ、付近のビルが消滅。ところで、この兵器って、
どの範囲までを粉砕するのかが気になるところ。地面とかに穴は開かないのか。
ゴジラの反撃で、機龍はダウン。
エネルギー不足については、付近の電力を回せば何とかなるが操縦ができない。
それではと、茜が乗り込むと言う。メンテ用のスペースから操縦できるはずだ。
いや、放射能で危ないぞと言う声も出るが、
彼女に気があるはずの湯原は、むしろ行けると言う。
有無を言わさず茜は倒れている機龍に乗り込む。
一応、放射能除去装置と言うヤマトな物があり、
と言っても湯気が出るだけだが座席に座る。
電力を回すため、付近は停電に。なぜかまた現れた松井は、部屋の中で素振り中。
エネルギーは、データのように送信する仕組みで、そんなので動くの?と言う感じ。
でも動いて、ようやく茜が操縦して、「機龍、行くよ!」の決めゼリフ。
再びゴジラと取っ組み合い、アブソリュートゼロを発射し
もろともに海に落ちる。海は凍りつくが、なぜかゴジラには効果がなく、
それでもゴジラは退散。
まだ目の前にいるのに、五十嵐首相らは、「これは勝利と言っていい」と喜ぶ。
機龍の上に立ち、ゴジラを見送る茜。
エンドタイトル後、メンテされている機龍を見ている茜は、
湯原に対し、あれは勝ちでも負けでもない引き分けだから、私が食事をおごると言い
機龍に敬礼して立ち去る。

 ついでに、今年も併映のハム太郎。のこちゃんが里帰りする事になり、
ハム太郎らは、人間は年に何回か里帰りするらしいと話し、
そう言えばと書物を見ると、我々にも伝説の故郷ハムージャ王国があるとわかる。
砂場に城を造ると魔法で王国へ。そこでは今年もモー娘。のハムスターがいたりするが
姫が、王国を牛耳るネコだかに無理矢理結婚させられそうに。
封印されていた壺を空けてしまったためで、本当の婚約者は羊だかに変えられていた。
ハムスターは彼らを助け、ネコは壺へ戻して帰還する。

 と言うわけで、21世紀になってからのゴジラシリーズは
物語としては単発ばかりで、毎回、第1作以外はなかった事にと言う路線で
設定だけがちょっとずつ変わる物を毎年続けていて、そんなシリーズ聞いた事がなく、
正直、物語が続いているよりも評価は低い。
前作は3匹も敵を出して、ちょっと見せ方はまずかったような気もしたが
そこそこ面白かったかと思ったが、
今年は対するのがまたメカゴジラ。
ゴジラに対抗するにはメカしかないと言う発想で、通算4回目の対決で
その発想に目新しさはまったくない。
操縦するのが釈由美子で、女の子に操縦させるあたり、
アニメとか、VSキングギドラのエミーとか、そこらを意識した感じ。
最初は遠隔操作していたのだが、
「どうせ乗り込むはず」と思ったら案の定その通りに。
DNAを複製して生み出したとか、釈と他の隊員の確執とか
多少ヒネリを入れようとはしているものの、特に珍しい設定とも思えず
戦う場所も、八景島シーパラダイスなんてパッとしない場所で
有名なビル街で戦う、このシリーズの面白みも生かされず。
メカゴジラの登場は2回だけで、
90分物だから仕方ないのかも知れないがあっさりしすぎ。
わざわざエンドタイトル後に2分のシーンがあるからと言われたので留まったが
別にどうと言う事のないシーンだし。来年はもうやらないらしいが。
 



 恒例行事「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」(2003)を見る。

 恒例行事のゴジラで、
去年の×メカゴジラは、何か安易な感じだったのに、
今回はその続編だと言うから、全然期待できなかったが、
そこはそこ恒例行事だから見る。

 ゴジラとの戦いでメカゴジラこと機龍を繰り出した特生自衛隊だったが、
その成果は勝ったとは言い難い状態だった。
最強の武器アブソロ何とかは修復できないままで、
それでもゴジラはいつ来るかわからず、可能な限り動ける状態にしようとしていた。
そんな中、未知の飛行物体が日本へ向けて飛行。
戦闘機が追跡するが、見失ってしまう。それは何やら羽ばたいているように見えたが。
そんなところでタイトルになり、ゴジラ×モスラ×機龍となり、
機龍の字が爆発してメカゴジラに。
特生自衛隊の整備士、中條義人(金子昇)は休暇で軽井沢に来ていた。
ここには、彼の伯父で言語学者の中條信一(小泉博)の別荘があるのだ。
信一には孫もいて、義人をおじさんと言って怒らせるが、
義人は機龍のメカを自慢げに語る。
そんな彼らの前に、放送禁止マークの石が現れ、信一がひょっとしたらと思っていると
さらに小美人が現れる。
ザ・ピーナッツの映像が出て、次のシーンではマナとヒオと言う今版の小美人が。
お久しぶりですとか言うから、あの小美人だと言いたげだが、若返ってる気がする。
43年前「モスラ」にて、言語学者としてインファント島を訪れた信一は、
そこで小美人らと出会うが、興行主が彼女たちをさらったため、
モスラが彼女を追って東京を破壊。
信一らは空港に巨大な放送禁止マークを書き、モスラを呼び出して小美人を返したのだ
と、孫に自慢げに語る。
小美人たちは、機龍のためにゴジラの骨を使用した事を批判し、
人間がゴジラの骨を返さないなら、モスラは人間の敵になると言う。
もし、ゴジラの骨を返せば、ゴジラの脅威にはモスラが命をかけて立ち向かうと。
機龍の関係者である義人としては、承伏しかねる話だったが、
部屋の外を見ると、巨大なモスラが羽ばたいていた。

 機龍隊では、前作でゴジラと戦った家城茜(釈由美子)らが、
アメリカでの研修のため異動になる。
代わりに以前は整備士だったが、今はパイロットの如月梓(吉岡美穂)や、
ちょっと自信過剰な秋葉恭介(虎牙光輝)らが加わる事に。
義人と秋葉はケンカになったり、
梓はメカに思い入れする義人をからかったりするが、ここらへんは学芸会のよう。
志半ばで去る茜は、義人と共に機龍の心がわかるような感じで、
「機龍はもう戦いたくないのかも知れない」等と言って去る。
小美人の言葉を重く受けた信一は、知人である五十嵐総理(中尾彬)を訪ね、
機龍計画を中止するよう申し入れる。
だが五十嵐としては、かつて東京を破壊したモスラに運命を託す訳にはいかなかった。
九十九里浜に巨大生物が漂着したと言うから、モスラの卵でも出たかと思ったら、
まるでカメーバのような物が。
そんなマイナーな奴が出てくるはずもないと思ったが、
梓はカメーバですねと言い、秋葉がひどいネーミングだと言うから間違いない。
カメーバは、何者かに襲われて死んでおり、
その相手は巨大生物、例えばゴジラのような物と想像できた。
さらに太平洋でアメリカの原潜が、ゴジラに襲われる。
機龍の修復は終わりかけていたが、アブソロ何とかと言う武器の修復はまだ。
うまく修復できねば、機龍自体がダメになってしまい、
その判断には最低半月はかかると義人は言う。
ゴジラが迫ってるらしき現在、そんな余裕はなかった。
政務官である秋葉の父は義人を呼び出す。
首相に会った信一が語ったと言うモスラの件を聞く。
その話は本当なのか。彼は息子可愛さから機龍の出動には反対だった。
義人は、複雑な想いからその件については口を閉ざすのだった。

 ゴジラが太平洋上に現れ、いつものようにノシノシ歩くのではなく、
ハリウッド版ゴジラのごとく泳いで移動し、東京へ向かったていた。
機能が出動となり、アブソリュート・ゼロの代わりに、
三連ハイパー・メーサーを装備。
被害を最小限とするため、
前作のゴジラとの戦いで廃墟となり、復興ままならない品川付近を決戦場に選ぶ。
人々は避難するが、信一の孫瞬は、モスラを呼ぼうと田町小学校の校庭へ。
そこへ1人で机を並べ、あっという間に放送禁止マークを作ってしまう。
心配する信一は、瞬を探しに行程へ。
ゴジラは品川の防衛ラインをあっさりと突破。
ちょっと方向を変えただけで、機龍のいる八王子へ向かっていると言われ、
やはり機龍と引き合ってるのか等と言われる。
五十嵐首相は、信一の話を気にして機龍の出動には躊躇していた。
その時、モスラが飛来し、ゴジラに攻撃する。
モスラは鱗粉攻撃でゴジラを苦しめるが、
信一は鱗粉攻撃はモスラの最後の攻撃だと言う。死期が近いのかも知れない。
モスラの奮戦に打たれたのか、五十嵐首相はついに機龍の出動を命ずる。
ゴジラを退治する事ができれば、機龍は廃棄する覚悟だ。
義人は機龍を見送り、行方不明となった信一らを探しに向かう。
ゴジラの熱戦で東京タワーが破壊され、信一らは瓦礫に埋もれていたが救出する。
モスラも助けて機龍と共にゴジラを攻撃するが、
モスラは次第に攻撃で弱っていた。
その頃小笠原諸島では、小美人の歌声で、卵から双子の幼虫モスラが生まれていた。
そして泳ぎながら東京へ向かう。
モスラは日本を救うため、日本に近い場所で出産していたのだ。
成虫モスラはゴジラの攻撃で息も絶え絶え、2匹の幼虫モスラが近づき家族会議。
成虫は死に、なぜか幼虫の目の色が変わって、ゴジラを糸で攻撃する。

 機龍は様々な武器でゴジラを追い詰めていたが、制御不能になる。
義人は思い当たる事があり、信一らを自衛隊の基地に置いて、バイクで向かう事に。
道がふさがれていたので、地下鉄の線路を移動するが、そこもふさがれる。
すると現れた小美人が、結局ゴジラの骨を返していないのに、
なぜか義人を許して誘導する。
義人は機龍の所へたどり着き、メンテナンスルームから中へ入り、修理する。
ところが、振動で閉じこめられてしまい、意を決した義人は修理して退避したと連絡。
秋葉らの操縦で機龍は再び起動。
いろんな背負った機械を取り外すと、意外に元祖メカゴジラに似てる。
幼虫モスラの糸でゴジラは繭のようにくるまれる。
それを機龍が押さえ込むが、またも機龍は勝手に動き出す。
ゴジラを抱えた機龍は海上へ飛行。
秋葉らが平行して飛行するが、義人が閉じこめられている事に感づく。
梓はメンテルームを攻撃。脱出可能にし、秋葉は飛べと言う。
義人は端っこに捕まりながらモニターを見ると、
モニターには「さよなら義人」との文字が。
義人が飛ぶと、秋葉は脱出装置でイスごと飛ばされて、空中で義人をキャッチする。
機龍はゴジラと共に海底へ沈む。
そしてエンドクレジット。
だが、某所にはかつてのゴジラの骨が保管されていた。

 併映のハム太郎は、ハム太郎らはオーロラ谷という所へたどり着くが、
ハム太郎の仲間の何とかちゃんは、伝説のオーロラ族だかの王女だと言われる。
彼女なら雪が降らせられると言うが、海賊が彼女をさらってしまう。
海賊は寒さが苦手なので、雪を降らされると困るのだ。
そこでハム太郎と王女を巡ってレースをする事に。
いろんな難関を越えるレースだが、ハム太郎は根性で奮戦。
海賊の子分が妨害するが物ともせず、親分は勝つ資格ないと勝負を放棄。
王女は帰されるが、雪を降らす事はできず悲しむ。
だが、皆で祈ると雪が降る。

 と言うわけで、期待していなかったせいか、前半は意外に楽しめる。
小泉博老けたなとか、吉岡美穂のセリフは子役と競るほどヘタだとか、
あれ釈由美子出てるジャンとか、意外な4匹目の怪獣の登場とか。
長くて妙にリアルなモスラの足とか、
ハリウッドゴジラを意識したような、泳ぐゴジラの姿とか、
ザ・ピーナッツが出てきて、どう見てもその40年後とは思えない小美人とか
それは感心したり、突っ込みどころだったりもするが、
そう言うのがテンポ良くあれば、それは面白いわけ。
ひょっとしたら、今回はそこそこ行けるのではと思ったが、
幼虫モスラが出てきたあたりから、極端にテンポが悪化する。
どうもゴジラとメカゴジラが共鳴してると言う点に力を入れすぎてる感があり、
主人公のメカゴジラへの思い入れも何かしっくり来ない感じ。
メカゴジラがいろんな物をはずすと、意外や旧メカゴジラに似てたり、
国会議事堂を破壊したりもするが、
基本的に東京から移動しないし、何か周囲がバタバタしてるだけで、
本当に今回のゴジラは脅威なのか?と言う疑問が出てくるほど、
ゴジラに存在感がない。
結末のメカゴジラの動きも何だかなあと言う感じで、
せっかく閉じこめられた主人公が、ただ脱出するだけで、操縦はしないし、
毎度のようにゴジラは死んでないみたいだし、
モスラも本当に登場する意味があったのかという感じだし。
最後まで来ると、またこんな感じかと言う印象。
来年の予告編もなかったし、だんだんお手軽になってきたのは否めない。
いっそのこと総進撃にしてしまえ。
 



ゴジラ・ファイナルウォーズ」を見た。(2004年)

 平成ゴジラと言う形で怪獣映画が復活し、ことにゴジラVSキングギドラ以降、
毎年何かしら年末に東宝怪獣映画が公開されてきたので見続けてきたが
どうも今年で一段落という話。
まあ、過去にもシリーズ打ち切りぽい事は何回もあり、
毎回ちょっと休むと復活したので、今回が最後という気もしないのだが、
まあ怪獣総進撃風の大量の怪獣出演で、
総進撃の時はキングギドラが悪役だったが、
今回はゴジラが悪役でいかに締めくくるかと言う意味もあるし、
大量の怪獣をどうさばくかと言う関心もあるし、何より年中行事だから見る。

 冒頭はTOHOSCOPEと旧作の出だしを思わせる表示。
これはバック・トゥ・ザ・フューチャー3の出だしとかを思わせて
シリーズの長さを感じさせる。
続いて、タイトルで過去の名場面を凄いスピードで紹介。
海外の人がタイトルデザインをしたらしく、
どんどん時代が流れていき、出演者とかも英語で表示され
あまりに早すぎて、ほとんど見る余裕はない。
音楽もキース・エマーソンで、ちょっと期待させたが
結論を先に言えば幻魔大戦を見ているようで、ちょっとしっくり来ない。
そして現在。毎回設定が微妙に異なるが、
本作は過去の怪獣は皆いた事になっている様子。
中尾彬艦長率いる轟天号が、南極でゴジラを攻撃。
偶然にも氷の亀裂が生じ、ゴジラはそこへ転落したため、周囲を攻撃。
ゴジラを氷の下に生き埋めにする。
地球最大の脅威は、こうして封印された形となった。
しかし、すべての怪獣がいなくなったわけではなく、様々な怪獣が出現。
ここでも過去の名場面が次々出されて、ゲゾラとかいろいろ出てくる。
これに対抗すべき地球防衛軍は、
特殊な能力を持つミュータント部隊を組織し、対怪獣に備えていた。
この日も、ノルマンディ沖で、新艦長であるゴードン大佐率いる轟天号が、
宿敵マンダと激しい戦いを繰り広げていた。
このゴードンは、昔の映画のように、外国人なのに日本語で話す。
(国際バージョンと言うのでは英語らしいけど)
にも関わらず、地球防衛軍の基地では、日本語と英語が飛び交ってる。
ゴードン大佐は上官である波川女史(水野久美)の命令を無視し、
ギリギリまでマンダを引きつけ、溶岩の中か何かに落として倒す事に成功。
だが、それによって轟天号は傷つき、ゴードン大佐は懲罰房へ入れられる事に。
一方、彼の部下であるミュータント部隊の尾崎(松岡昌宏)と
風間(ケイン・コスギ)はライバル関係にあり、激しい格闘の演習を繰り広げる。
尾崎が優勢だが、とどめは刺さずに反撃されたりして、甘いと言われる尾崎。
その尾崎に、新しい任務が与えられる。
北海道沖で眠っていた未知の生物が発見されたため、
その調査に来た生物学者音無(菊川怜)の護衛につけという物だ。
尾崎はお守りなんかと言い、音無も尾崎を小ばかにしたりするお約束の展開。
神宮寺博士(佐原健二)の研究によると、それは生物と機械の中間のような存在。
いわばサイボーグで、M塩基と言う物が検出されたと言う。
M塩基はミュータントからも検出された物で、その役割は不明だ。
そうこうしていると、3人だけが突然別の場所へ移動させられ南のインファント島へ。
現れた小美人は、その怪獣はガイガンだと言う。
そして、尾崎の体には同じM塩基があるが、
自分が何であるかを決めるのは自分だと言われる。

 その頃から世界各地で怪獣が一堂に現れ、人々を驚愕させる。
ラドンが日本人初の国連事務総長となった醍醐(宝田明)の専用機を襲撃。
続いて、上海に現れたアンギラスは、アルマジロのように丸まって転がるため大変。
沖縄には守り神のはずのキングシーサーが暴れ回り、
パリの新凱旋門にはカマキラスが飛び乗り、アリゾナにはクモンガが。
(と、パンフに書いてあるからだけど、ここでクモンガなんて出てたっけ)
さらには、シドニーにはジラと言う、ハリウッド版ゴジラに似た怪獣が出現。
各地で破壊を繰り返す。
そこで地球防衛軍が出動。轟天号に似た同型艦が出動する。
尾崎らミュータントの地上部隊も、小型バズーカみたいなのを抱えて出動。
エビラに飛び移ったりして攻撃。倒したかに見えたが、突然エビラが消えてしまう。
そして、彼らの前に現れる円盤。
円盤からは、死んだかに思えた醍醐が現れ、彼らは友好的だと言う。
一同の前に現れた司令官(伊武雅刀)は、
地球人には発音できないのでX星人と呼んでくれと言う。
彼らによると、妖星ゴラスと言う星が地球に衝突するので助けたいと言う。
怪獣を消した事からも信用してほしいと言う司令官。人々は彼らを歓待する。
TVで討論会があり、篠原ともえ、角田信朗らに合わせて
TVタックルに出てくる大槻教授、松尾貴史、そして韮崎氏と言う
UFOの話で騒ぐ人々が出演。
大槻教授は相変わらずUFOを否定するが、松尾貴史はもはや認めるしかないと言う。
そんな中、キャスターである音無の姉香奈(水野真紀)は異変を感じる。
まず、醍醐が瞬きをしない事を発見。さらに愛犬の事も覚えていない様子だ。
どうやら彼はニセ者だと知った尾崎は、波川の所へ報告に行くが
彼女もまた瞬きをせず、ニセ者に変えられている事に気づく。
そんな中、神宮寺博士もまた、ゴラスが実は存在しないニセ物だと断定。
(いったい何の専門家なのやら)
もはやX星人の陰謀は疑いない。尾崎は拘束されていたゴードンを助け出す。
一方、X星人同席のインタビュー番組で、香奈は醍醐に愛犬を見せるが
実はそれは香奈の愛犬で気づかないのはおかしいと言う。
現れたゴードンが醍醐を撃つと、頭がぱっくり割れ、異星人である事が判明。
狼狽する司令官に対し、以前から不満を抱いていた統制官(北村一輝)は
司令官を殺害し、自ら指揮を執る事に。
もはやまだるこしい侵略行為はせず、大々的に攻撃を開始すると告げる。
彼らの目的は、地球人を家畜化する事だったのだ。
ミュータント部隊が集結するが、X星人は彼らを簡単にコントロール。
尾崎ら主要メンバーを除いて敵一味になってしまい、風間さえ敵の一味に。
仕方なく熊坂教官が犠牲になって食い止め、その間に一同は脱出する。

 その頃、再び世界各地で怪獣が出現し、破壊を再開する。
防衛軍も攻撃するが、轟天号同型艦にカマキラスが飛び乗ったりして
次々やられてしまう。
ゴードンは轟天号へ向かうように指示。
教官を突破した風間が尾崎を追跡。バイクで高速で激突すると言う
マトリックス風の派手目のアクションが展開するが、これが割に退屈。
尾崎は風間を倒すが、とどめは刺さずに轟天号へ乗せていく事にする。
轟天号で出動したゴードンは、X星人に立ち向かう方法は1つ。
南極に封印されたゴジラを解き放つしかないと言う。
ゴジラこそ地球の最強の兵器なのだ。
と、ゴジラの話がようやく出るのが、映画開始から1時間経過した時だった。
わざわざ南極へ行き、封印されたゴジラを解き放ち、
ゴジラを連れて東京へ戻り、X星人を倒したら、
再度南極へ戻り、封印するのかと聞くと、その通りだと言うゴードン。
初代轟天号でゴジラを封印したのは若き日のゴードンで
一度できた事はまた出来ると言う。
なぜか恋人のように、必ず戻ってくると香奈に言うゴードン。
轟天号に気づいた統制官は、復活させたガイガンにこれを追わせる。
世界壊滅へ向けたそんな状況の中、まったく関係なさそうな山奥で
猟師をする田口(泉谷しげる)と孫は、ミニラと言う怪獣に出会っていた。
田口はミニラを撃とうとするが、孫は身を盾にしてこれを止める。
しかたなく、ミニラもシートベルトをつけて移動する事に。
南極では、なぜか初代メカゴジラの音楽が。
ここはキース・エマーソンと言うよりは、日本で勝手につけた気がする。
轟天号は南極へ到着。ガイガンの攻撃を受けて、危険な状態だが
何とかゴジラの埋まっているところを攻撃。爆破する。
ガイガンが轟天号に迫るが、眠りから覚めたゴジラは
いきなり穴の中から熱線でガイガンを攻撃、これを倒す。目覚め良すぎます。
ゴジラを知らなかった統制官は、意外な強敵がいたと怪獣をゴジラ退治に差し向ける。
ゴジラはもの凄いスピードで南極から東京へ向けて移動。
結果的に半日程度で移動した感じだ。
まず、ジラを差し向けるが、これは簡単に倒され、
統制官も「マグロを食ってる奴はダメだ」と言う。
続いてカマキラスはどうやって倒したか忘れたが、熱線かな?
そしてクモンガは糸で攻撃するが、逆に糸をつかんで振り回して飛ばす。
自分で糸吐いてるんだから、切れば良さそうだが、糸がヒモのように頑丈だ。
再度出てきたエビラは、チラッとしか出てこないへドラと共に現れるが
ゴジラがエビラを突き飛ばすと、ヘドラに突き刺さり、これで倒した事に。
ようやくアンギラス、ラドン、キングシーサーと3匹合わせて現れる。
アンギラスはまたもアルマジロのように丸まって攻撃。
これを姿勢の良いキングシーサーとゴジラがサッカーのようにけり合い
結局はゴジラが蹴り勝ち、3匹まとめてダウン。
と言うと、次々倒している感じだが、
その間に尾崎らの話が半分くらい挿入され、あまりテンポは良くない。
怪獣も一気に出てくれば良さそうだが、次は俺の番だ的に出てくるのも弱い。
この様子をのんきに見ている田口ら。
孫がなぜゴジラは怒るのかと聞き、田口はかつて人間が使ってはならない兵器を使い
以来ゴジラは怒り続けているのだと言う。
すると何を思ったか突然巨大化して田口らを驚かせるミニラ。

 ついにゴジラは東京へ到着。統制官は強化したガイガンを向かわせ
さらにモンスターXと言う新怪獣も呼び出す。
強化というのは、手がチェンソーみたいになっていたと言うだけだが。
ゴジラはガイガンとモンスターXに苦戦するが
そんな時、インファント島からモスラが現れる。
モスラも軽い扱いで、簡単に炎に包まれるが、
そのためにガイガンに体当たりして共倒れに。
パンフに載っていた通販のオモチャでは、ファイヤーモスラと書かれていたが
ただ燃えていただけだ。
続いてモンスターXと対決するが、これもまた苦戦。
一方、轟天号はX星人の母船へ突入を試みていた。
今までずっと寝ていた風間は、汚名返上したいと単身特攻する。
おかげで敵はもろくなり、轟天号のドリルで突入する。
しかし、統制官の親衛隊がテレポートし、ゴードンらを捕らえてしまう。
統制官は雑魚は始末しろと言い、脚本上重要でない者を一気に始末。
尾崎には一目置いているらしい。
実は彼らはM塩基をもつ生物を自由に操る事ができ、
それで各怪獣を操る事が出来たのだ。
だがゴジラはM塩基を持たないため操る事ができなかった。
そして、ミュータントもまたM塩基を持つため操れるのだが
なぜか尾崎だけは操る事が出来ず、彼はパワーを持つと言う統制官。
仲間になれと言うが、尾崎は自分が何であるかを決めるのは自分だと言う。
そこで尾崎は、ゴードンらを逃がし、統制官と対決する事に。
マトリックス風の対決が続き、統制官は強くて苦戦するが、
怒りが爆発すると逆転して統制官を倒す。
一方、ゴードンらは敵一味に迎え撃たれ、応戦するハメに。
そこへなぜか生かされていて、なぜか脱出できたと言う醍醐や波川らと合流。
醍醐は、私もかつては百発百中と言われたなどととんちんかんな事を言い
銃を持って応戦。
ついに一味を倒し、尾崎も合流して轟天号で脱出する事に。
乗員がいないので、音無が操縦するハメに。無事脱出すると、母船が爆発する。
ゴジラの反撃で、モンスターXはやられかけるが、頭が2つに割れて変身し始める。
そして現した正体は、薄汚れたキングギドラのようなカイザーギドラだった。
ゴジラはカイザーギドラに苦戦。
やられかかるが、轟天号から援護射撃でエネルギーを受け、ものすごい火炎を吐き
ギドラを倒し、周囲が廃墟のように。
(もともと廃墟だったけど、クレーターみたいになる)
無事、X星人と怪獣を倒したかに思えたが、ゴジラは今度は尾崎らを狙いだした。
そこへかけつけた田口は、ゴジラに「もう許してやれ」と第三者的発言。
思いとどまるかに思えたゴジラだが、そうは行かず。
だが、ミニラが、彼を守ろうとした少年のように、両手を広げて一同を守る。
それを見て、振り返り立ち去るゴジラ。それについて行くミニラ。
南極に連れ戻すはずが、何もせずに見送る一同。完結してないのでは?

 と言うわけで、TOHOSCOPEと言う旧作を思わせる始め方で始まり
過去の作品の名場面を猛スピードで見せるあたり、
シリーズ総決算という雰囲気はある。
ただ、本作でのゴジラは、さっさと氷の下に封印されてしまい、
それからは大量の怪獣とX星人による騒動の話。
これが割に延々と続き、ゴジラの話が次に出た時、
時計をチラッと見ると1時間経過していた。
2時間を超える大作だが、半分はゴジラ抜きで展開していた事になる。
大量の怪獣は、人気者と言うよりは、あまり復活しそうもない連中を集めた感じで
それに轟天号やX星人、妖星ゴラス、波川女史なんて
マニアを喜ばせるような所を復活させるサービスぶりはいいとしても
主役らの人間ドラマがどうもいただけない感じ。
妙にカッコつけてる感じで、イケメンを起用すると言う何とか戦隊とかそんなノリで
ゴジラを今風にかっこよく描こうとすると、
こうなってしまうのかと言う気がして複雑な感じだ。
よくやく後半にゴジラが復活し、大量の怪獣たちと対決するのだが
怪獣総進撃のように、1対10とかではなく、せいぜい1対3。
ゴジラが南極から東京までものすごい速度で移動し、
それをX星人の手先である怪獣たちが止めようとするが、次々やられてくあたりは
まるでブルース・リー死亡遊技のような趣で、一気にかかれよと言う感じ。
その間も、主人公とX星人の話が幅をきかせ、後半もゴジラの出番は半分くらい。
かつて旧作で人間不在と言われた事があり、
そういう反省の意味もあるのかも知れないが、
しょせん怪獣映画なのだから、怪獣が出ないでどうすると言う感じだし、
そもそも人間ドラマと言っても、出てくる人間は5人程度。
雑魚は始末しろなんて言うセリフにも、脚本家の手抜きが伺われ、
荒廃した都市には、人間の気配が全くしない。
それでも、最後の敵モンスターXが真の姿を現した時は
ちょっと薄汚れた感じだけど、ちょっと感激させられるものが。
音楽がキース・エマーソンで、全編幻魔大戦風なのがいただけないが、
ひょっとして同じドラマで、音楽が伊福部節だったら興奮したかもなんて思ったが。
ミニラは、ジェロニモンに復活させられたピグモンのような物かと思ったが
特に現れた意味は説明がなく、ゴジラと親子かどうかもはっきりしない。
と言うか、物語にまったくからまず、最後の最後に突然現れる始末。
泉谷しげるのセリフには、ゴジラシリーズを強引に締めくくる意味で
ちょっといい感じだったのだが、あれはいかん。
思わず「何じゃこりゃ」と叫びたくなる感じ。
泉谷のセリフで締めとけば良かった気がするが。
 



シン・ゴジラ」を見た。(2016年日)

 日本製ゴジラの最新作。
ファイナルウォーズ以降新作が作られなかったゴジラだが、
ハリウッド版がそこそこ好評価で、本家の復活となったわけ。
とは言え過去何回かの復活とは違い、部外者たるエバンゲリオンの監督を据えてきた。
頑なに守ってきた着ぐるみ路線もやめ、CGによるゴジラだとの事。
もしゴジラが現れたらと言う状況を再現。
過去にもリブートした事はあったが、その際も1作目だけはあった事にしてきたが、
今回はそれさえなかった事に。
巨大生物なんてありえないと言う所から始めると言うあたり、
どうなる事か関心あります。

矢口蘭堂 官房副長官。後に特命担当大臣(長谷川博己)
赤坂秀樹 首相補佐官。後に官房長官代理。矢口の上司(竹野内豊)
カヨコ・アン・パタースン 米国大統領特使。日系3世(石原さとみ)
大河内首相 (大杉漣)
東官房長官 (柄本明)
花森防衛大臣 (余貴美子)
志村祐介 矢口の部下(高良健吾)
尾頭ヒロミ 矢口の部下(市川実日子)
財前統合幕僚長 (國村隼)
里見農水大臣 後の臨時代理首相(平泉成)
ゴジラ (野村萬斎)

@アクアラインで陥没事故が発生。政府が対応を協議する。

 アクアラインで陥没事故が発生。負傷者が出る。
海面には何やらマグマの様な物が噴き出しており、
突発的な海底火山の噴火と推測される。
政府は、大河内首相以下のメンバーが集まり、対策会議を行う。
そんな中、官房副長官の矢口は、巨大な生物を目撃したとのネットの噂に注目するが、
そんなものがいる訳ないと取り合われない。

A未知の巨大生物が川を上っているのが見つかり大混乱。

 ところが、いるはずのない巨大生物が川を上っていると判明。
直ちに、有識者を集めて意見を聞くが、そんな専門家がいるはずもない。
じっくり観察しないとコメントできない等と言い出して、役に立たない。
矢口は、巨大生物が上陸する可能性を指摘。
これは、「専門家」によって、自重に耐えられないはずと否定される。
まあ、川にいるだけでも、
起こした波でボートが陸に乗り上げたりして、そこそこ被害は出てるんすけどね。
いずれにせよ、前代未聞の出来事に、政府は誰が何をやれば良いのかわからずに混乱。
首相も決断を避けたがるが、やむなく上陸はありえないと発表する。

Bさらに東京に上陸。這いずって町を破壊した後に変形して去る。
自衛隊による攻撃はできず。

 ところが、またも楽観的な予測を裏切り、巨大生物は蒲田に上陸してしまう。
と言っても、かつてのゴジラ映画の様に、
ノシッノシッと歩いて「ゴジラ上陸!」となった訳ではない。
ギョロ目のツチノコみたいな生物が、ずるずると這って移動。
ゴジラじゃないんじゃないか(例えばムートー)とさえ思ったが、
やはりこれがゴジラらしい。
その巨大さ故に、通過した町並みはガレキの山に。
こうした事態に考えられる対策は、静観か海に返すか駆逐かだなんて話に。
有無を言わさず攻撃する訳ではないのだが、結局駆逐しかないと自衛隊のヘリが出動。
付近の住人を何とか避難させ、攻撃許可が出る。
だが、攻撃寸前になって、まだ逃げていなかった老人が見つかり、
首相は攻撃中止を命ずる。
そうこうしていると、巨大生物は変形し、立ち上がって二足歩行する様に。
一同があぜんとする中、巨大生物は海へ去り、行方がわからなくなる。

C再上陸に備える事に。米国関係者はゴジラだと言う

 人々は、昨日の地震大きかったねてなノリで、通常の生活を再開。
だが政府はそうも行かず、あれはまた来るに違いないと、関係者は対策を協議する。
米大統領の特使パタースン女史が現れ、現場を仕切ろうとする。
日系三世である彼女は日本語がペラペラ(だって石原さとみだから)。
有力議員の娘で、彼女自身も将来の大統領を自負している。
パタースンは、米国の情報網で、日本政府がつかんでいない事を知っていた。
あの巨大生物は、大戸島でゴッジーラと呼ばれている存在らしい。
それを聞いた矢口は、言いにくいからと、勝手にゴジラと呼称を変えてしまう。

Dゴジラの生態系を分析する事に。自衛隊も作戦を立てる。

 矢口チームは、ゴッジーラ、いやゴジラの生態系を解き明かそうとするが、
何もかも謎だらけ。何を食べているのかもわからない。
度重なる変形でエネルギーを消耗し、高温になって海に逃れたとも考えられる。
実はゴジラの出現を予想していた科学者がいるのだが、
謎の資料を残して姿を消していた。その為、この資料を解析しようとするが苦戦。
この何だかわからないが苦戦してるシーンが意外に長くて、ここはちょっと退屈かも。
 一方、自衛隊も今度こそゴジラを倒すと、様々な作戦を立案する。

Eゴジラが再出現。東京に向かう前に阻止しようとするが、自衛隊は突破される。

 そんな中、ゴジラが再び鎌倉に上陸する。背筋ものびて、従来のゴジラ風だ。
この付近は周囲に大きなビルもなく、ゴジラが異様に大きく見える。
ゴジラはのしのしと北上して、またも東京を目指す。
東京侵入は阻止しろと、今回は避難も済ませていて、
武蔵小杉付近でまずは攻撃ヘリ部隊が銃撃。
全弾命中しているにも関わらず、ゴジラには全くダメージがない。
続いて戦車部隊が攻撃するが蹴散らされる。
自衛隊に可能な攻撃手段は出尽くしたのだ。

F米軍が攻撃。だが、ゴジラは再び変形し、放たれた光線で首相らが犠牲に。

 やむなく米軍に攻撃を依頼。
山手線内に避難命令が出て、交通機関はマヒ状態。
米軍の兵器は自衛隊よりも強力で、効果ありそうな気配。
だがゴジラに変化があり、旧作でも見た事ない背中から光線が出て、米軍を蹴散らす。
このままでは政府(霞ヶ関)も危険だと、首相らはヘリで避難する事に。
だが、光線だから品川付近から霞ヶ関に何駅分も通過して達し、
首相らの乗ったヘリはやられてしまう。

G半月間、活動停止すると判明。国連や米軍は核攻撃を提案。新政府も受け入れる。

 ゴジラは東京駅付近で活動を停止。
何やら分析の結果、次に活動するのは半月後とわかる。
これが半日後とかではないので、その間にそれなりに対策が立てられると言う訳。
新政府は立川に拠点を移し、難を逃れた農相が首相臨時代理に。
ゴジラの動向は世界中の関心を集め、国連や米軍は核攻撃による退治を提案。
広島、長崎に続いて、またも国内に核を落とす事になるが、
臨時首相は他に打つ手なしとこれを受け入れる。
こんな形で、歴史に名前を残したくなかったと言う。

Hゴジラを凍らせる計画を発動。核攻撃の時間切れギリギリに作戦開始。

 一方、矢口チームは、ゴジラの研究を続けていた。
何やら判明して、血液凝固剤でゴジラを凍結させられると算出。
核攻撃は決定事項だと、作戦に反対する声も聞かれる。
国内の薬剤をかき集めるが、それでも足らず、作戦に協力的なフランスからも調達。
何とか作戦決行が認められ、それに賭けてみる事に。
作戦は「ヤシオリ作戦」と呼ばれる。
ヤシオリとは、ヤマタノオロチに飲ませた酒の名前で、神話を踏まえた作戦と言う訳。

Iゴジラは活動停止。再度動き出せば、核攻撃のカウントダウンは再開すると言う。

 東京駅付近に眠るゴジラに、山手線とか京浜東北線とか様々な車両が突入。
鉄道ファンの心も掴んだと言う事かも知れませんが、ちょっと模型ぽい。
目が覚めたゴジラが暴れ出した所へ、長いクレーンで薬剤を口からドボドボと注入。
ゴジラは暴れて光線を発し、それは筑波に待機する矢口らの上空も通過。
その距離はおよそ60キロ。やがてゴジラは動かなくなる。

 ゴジラは活動停止したが、いつ活動再開するかはわからない。
パタースン女史は、その時は核攻撃のカウントダウンを再開すると告げる。
矢口の才能を認めたパターソンは、
首相と大統領という立場で再会しようと言うが矢口にその気はなさそうだ。
エンドロールは往年の伊福部楽曲のメドレー。

 と言う訳で、冒頭、アクアラインで謎の陥没事故が発生。
首相以下、内閣のメンバーが集められ、対策を協議する事に。
巨大生物を見たと言う者もいたが、そんな物がいる訳ないと、取り合われない。
やがて未確認生物が川を登り、さらに上陸するに至り、
政府が想定した危機管理シナリオは、全く役に立たなくなる。
何かをするにしても、どの省庁の管轄かわからず、
首相もかつてない決断に躊躇すると言う訳。
この政府の空回りぶりは、お役所仕事を皮肉った感じで、
踊る大捜査線を連想させる(見たことないけど)。
過去の怪獣もので、政府の混乱ぶりを描いた事はあるが、
ここまで徹底しているのは初めて。
なお、新旧首相が登場するが、個人的には両者とも結構奮戦していると思う。
一方、お約束の自衛隊の攻撃はほぼ役に立たない。
こんな事もあろうかと密かに用意されていた、
メーサー砲もスーパーXもメカゴジラもない。
米軍が核攻撃を申し出て、日本政府も受け入れざるを得ない事態に。
(この展開は沢口靖子版ゴジラにもあった)
肝心のゴジラがあまり出てこないと言う恨みはあるが
(出しすぎると、人間不在と言われる)リアル路線の徹底ぶりはなかなか面白い。
いろいろあるが、全部言うとあらすじをなぞる事になるので、印象に残った点を列挙。

・最初に現れたゴジラは、ギョロ目のツチノコみたいで、別の怪獣かと思った
・360万人が避難する描写は大震災を思わせる
・ゴジラの発する光線は品川付近から霞が関まで届く。
光線だからそうなるでしょって事か
・ゴジラは半月間も町中で活動停止し、
その間に次の作戦が立てられるのは都合の良い展開
・政府の大臣の中に甘利大臣似の人物あり
・ゴジラに突っ込ませる列車が、各路線の車両を1つずつ使っているのはご愛敬。
そして模型ぽい
・日系3世と言う石原さとみの存在は違和感しかない。
(昔の映画の怪しげな外国人へのオマージュか?)
・踊る大捜査線風の曲が現れるが、
エバンゲリオンの曲をそのまま使ってると言う情報もあるので、その曲かも。
上陸シーンはゴジラのテーマ、最後の攻撃シーンは大戦争マーチと言う伊福部節。
つまり、いろんな作曲家の曲をごちゃ混ぜにしてる訳。
・エンドロールは伊福部節のメドレー
・小池新都知事が協力してるらしい
 

座頭市と用心棒(1970年)

座頭市 (勝新太郎)
用心棒 (三船敏郎)

海乃 酒場の女(若尾文子)
烏帽子屋弥助
小仏の政五郎 (米倉斉加年)
九頭竜 烏帽子屋の殺し屋(岸田森)
後藤三右エ門 烏帽子屋の息子(細川俊之)
牢屋で一緒になった男(寺田農)
兵六爺さん 長老(嵐寛寿郎)
脇屋陣三郎 烏帽子屋から賄賂もらってる役人(神山繁)

 座頭市は3年ぶりの里を訪れる。
長老によると、干ばつをきっかけに悪党が押し寄せ、
小仏一家に警護を頼むが居座られたと言う。
座頭市は賞金首と気付かれるが、協力を求める烏帽子屋が金を払って放免される。
小仏一家の用心棒は、烏帽子屋が小判の鋳造でちょろまかした金を隠し持つと考える。
一家の政五郎や、烏帽子屋に雇われた殺し屋九頭竜も金を狙っていたが、
なかなか見つからない。ついに小仏一家と烏帽子屋一味が激突。
一方、座頭市は地蔵に金が隠されているのを見つける。
烏帽子屋の息子三右エ門は、金を狙って父親を切り、
政五郎や九頭竜も金をめぐって殺し合いに。
酒場の女梅乃も犠牲になり、失望した用心棒は座頭市と戦う事に。
だが、梅乃が無事と知り、一文の得にもならないと、戦いをやめる。
座頭市は里を去り、金は風に飛ばされてなくなった。

 と言うわけで、座頭市シリーズの1作。
座頭市に関心はなかったんですが、用心棒も出てると知って見ました。
もちろん、用心棒や椿三十郎と同じキャラと明言されてる訳ではないが、
寝転がってばかりの三船は、確かに用心棒風。
物語も用心棒をなぞったような感じだが、キャラ的には常に座頭市が一枚上手。
デタラメそうだが、戦えばめっぽう強いと言う用心棒的な魅力はもう一つ。
音楽:伊福部昭

TV放送 2010/11/05 日本映画 0300-0455
 

さよならジュピター(1984年)

監督 橋本幸治

 22世紀。人類は宇宙へ進出するが、木星以遠ではエネルギー源が不足するため
木星を第二の太陽にしようとする計画が進められる。
本田博士(三浦友和)らが計画を進めるが、反対するジュピター教団の過激な活動も。
だが教団には本田の幼なじみマリアもいて、2人は激しく愛し合う。
仲間のキン大尉が井上博士(平田昭彦)を連れて宇宙飛行するが、事故で2人は死亡。
ブラックホールが接近しており、2人はこれに巻き込まれたらしい。
2年後には太陽に衝突し、全人類を避難させるのは不可能だ。
そこで、本田は木星に接近した際、木星を爆破すると言う計画を提案。
大統領(森繁久彌)もこれを承諾する。
一方で教団のアニタ(小野みゆき)らによる過激な活動が続く。
本田らは撤退時間ギリギリまで調整を進めるが、破壊工作をする一味と撃ち合いに。
マリアは本田を撃てず、アニタを射殺。だが自らも傷つく。
本田は仲間を撤退させ、自らは犠牲に。木星は無事爆発し計画は成功する。

 と言うわけで、昭和ゴジラ等が中断し、東宝特撮が衰退していた頃
ハリウッドに追いつき追い越せとばかりに、満を持して作った作品。
おかげで、2001年風の部分あり、ゴジラの出演もあり、
派手な宇宙での撃ち合いあり、ラブシーンあり、怪しい宗教団体ありと
盛りだくさんにしているのはいいのだが、
どうも背伸びしすぎたと言う感じでパッとしない。
翻訳機があるからと言って、いろんな言葉が飛び交うのもいただけない。
木星を破壊しちゃう発想は、高度成長期の発想という気もするが。
本田の上司みたいな人に岡田真澄。

TV放送
 

七人の侍(54)

監督 黒澤明

 戦国時代。とある山村は、取立の上、野武士の襲撃に苦しんでいた。
農民たちは、侍を雇うため町へ。盗人を倒した島田(志村喬)に頼み込む。
仲間集めは難航するが、やり手の片山、旧友の黒部、正直で面白い林田、
剣豪の久蔵、そして門弟にと頼む若い克代が集まる。
さらに、百姓出身の菊千代と称する男(三船敏郎)も仲間に。
農民は侍を恐れ、娘たちを隠してしまう。そんな中、克代と志乃が接近。
彼らの訓練が始まり、柵や堀を作る。橋向こうの者は、家を捨てる事に。
偵察に現れた野武士から、砦の位置を聞き出し襲撃に。だが、林田がやられる。
敵襲が始まるが、島田らは迎えうち、敵を少しずつ倒すが、黒部がやられる。
そして決戦の日。敵は村へ突入。久蔵が撃たれ、菊千代もやられる。
敵は全滅するが、島田にとっては負け戦だった。勝ったのは百姓なのだ。

 と言うわけで、「荒野の七人」の元ネタとなった作品。
話が長い上、7人の使い分けがそれほどなく、けっこう簡単にやられる。
作戦も驚くほどのものがない。
一番残念なのは、三船がおっちょこちょいの役で、あまり強くない事。
椿三十郎みたいなのがよかったなあ。

TV放送 93/06/20 BS05 20:02-23:40
 

首都消失(1987年)

監督 舛田利雄

 突然、東京周辺に不思議な雲が現れ、連絡不能になる。
飛行機は接近できず、徒歩でも頭痛になり機器が使用不能に。
TVキャスター小出(名取裕子)は、北斗電気の朝倉(渡瀬恒彦)と知り合い
雲の秘密に迫ろうとする。
共に東京に家族を残しており、不安は隠せない。
首都機能がなくなり、米国が日本を統治しようとし、ソ連も警戒。
一方で、引退した政治家中田(丹波哲郎)を持ち上げようと言う動きも起こる。
朝倉は大田原教授(大滝秀治)と共に、壁に穴を開ける事を計画。
観測筒を投下し、中が30度の蒸し風呂状態とわかる。
朝倉らの計画を、小出の同僚で恋人の田宮(山下真司)は取材しようとするが
これには小出が反発する。
台風が接近する中、朝倉らは強力な磁場で穴を開ける事に挑戦。
何度も再挑戦し、ついに突破に成功。雲は消えていった。

 と言うわけで、謎の雲によって首都機能が突然麻痺するという物語で
ある意味、リアル版日本沈没と言う趣もあったのだが、
結局最後まで雲の正体はわからないままで
序盤は混乱ぶりが描かれて面白かったが、
後半は何とか雲を破れないか奮戦するばかりでちょっと退屈。
音楽はモーリス・ジャール。

TV放送
 

新幹線大爆破(1975年)

[犯人側]
沖田 犯人(高倉健)
古賀勝 沖田の仲間
浩 沖田の仲間

[国鉄側]
司令室長 (宇津井健)
青木運転士 (千葉真一)
公安官 (竜雷太)
国鉄総裁 (志村喬)

[警察側]
刑事部長 (丹波哲郎)

 何者かから鉄道公安に連絡が入り、
東京駅を出発したひかり109号に爆弾を仕掛けたと言う。
時速80キロに減速すると爆発する仕掛けで、夕張の貨物列車で実証してみせる。
爆弾が本物とわかり、速度を落とさせ、時間を稼ぐ事に。
周囲の列車は運休にするが、浜松付近で故障車両が立ち往生。
やむなく上り線に切り替え、ギリギリですれ違う事に成功。
犯人は15億円を要求。博多到着までのタイムリミットは9時間だ。
1500人の乗客は事態を知り騒然とする。
警察は金を受け取りに来た男を深追いし、逃走した男は事故死。
彼は沖田と言う人物の工場で働いており、
貨物列車爆破にもこの工場の部品が使われていた。
犯人は再び金を要求。
首都高に停車した軽トラに置かせ、バイクで回収して追跡を逃れる。
爆弾解除方法を新橋の喫茶店に置いたと連絡するが、
運悪くこの喫茶店が火事で燃えてしまう。
警察は沖田が主犯と特定。海外逃亡を謀ると見て手配する。
一方、新幹線の車体を撮影し、2両目の台車付近に爆弾らしき物を発見。
並走する車両からバーナーを渡し、鉄板を焼き切り、コードの切断に成功。
もう1つ爆弾がある可能性がありながら、大都市での爆発を恐れ、停車を命ずる。
新幹線は無事停車するが、指示した司令室長は罪悪感にさいなまれる。
警察は空港での捜索を継続。
沖田は偽名で搭乗手続きをするが、別れた妻が沖田に気付く。
沖田は逃走するが、追い詰められ射殺される。

 と言うわけで、スピードを落とすと爆発するバスの話、
その名も「スピード」と言う映画はヒットしたが、
本作はその元ネタではと噂される作品だ。
時速100キロ超で走る新幹線に、
ひとたびスピードを落とすと爆発する爆弾が仕掛けられ、
あの手この手で解除しようと奮戦する展開は同じ発想だ。
スピードでは同じ所をぐるぐる回ると言う作戦が可能だったが、
本作は線路上なので、最悪でも終点博多までに手を打たねばならないおまけつきだ。
今思えば、ウルトラQにも暴走した列車が終点の九州に突っ込む話があったね。
さて、スピードはサスペンス映画だったが、
新幹線大爆破は当時流行ったパニック映画として作られたようで、
端役まで豪華な布陣で来た。
それが失敗だったようで、サスペンス中心にすれば面白そうなのに、
人間模様を描く方に力を入れ、どうにも話の焦点が定まらない。
高倉健の犯人が静かに行動するタイプなのはいいが、対する人が局面ごとに変わる。
最初は宇津井健の管制官と、千葉真一の運転士だったが、
途中から対するのが警察に移り、ここの中心的な人がいない。
普通、いろいろ作戦を立てる人がいそうだが、それがなく出たとこ勝負。
まだ新幹線が止まっていない状態で、
秘密を握ってるはずの一味を、無計画に捕らえようとして失敗する場面が続く。
15億円の身代金が、意外に簡単に集まるのも拍子抜け。
ラストで再び宇津井健に焦点が移り、
中盤いなかったくせに、辞職したりするのも違和感あり。
本来最もハラハラするはずの新幹線側の見せ場は、
浜松でのすれ違いと、終盤のバーナーを渡すシーンくらい。
やはり最大の失敗は、サスペンスとして作らなかった事かな。

TV放送 2011/02/19 BS朝日 1900-2100
 

世界大戦争(1961年)

 田村:運転手
 冴子:田村の娘。高野と婚約
 高野:船の仕事で海外生活が多い

 戦後16年が経過し、日本の復興は進んでいた。
運転手田村(フランキー堺)の娘冴子(星由里子)は高野(宝田明)と結婚。
その頃、同盟国と連合国の関係が悪化。
回路の故障で攻撃命令が出て、間一髪回避される。
朝鮮で小型核爆弾が使用され人々に不安がよぎるが、何とか停戦に持ち込む。
しかし、空中戦が始まり、日本へのミサイル攻撃が確実に。
冴子は高野と離ればなれになり嘆く。第三次大戦が勃発。
世界中の都市が攻撃され、東京、モスクワ、ニューヨーク、ロンドン、パリが壊滅。
それでも船上の高野らは、放射能を恐れず東京へ帰りたいと言う。

 と言うわけで、戦争の記憶がまだ浅く、さらに核戦争の危機感があった時期の作品。
「連合国」という国と、「同盟国」という国が対立するが、
諸外国として、アメリカ、ソ連、フランス、イギリス、南北朝鮮が出てくるので
「連合国」と「同盟国」がどこをモデルにしているかは謎。
「もはや日本が核ミサイルの標的になるのは確実だ」というセリフが出てくるが、
どうしてそんな状態になってしまったのかがよくわからず
何か教訓くさい話だけれども、どう注意したらいいのかわからない。
それでも実際、核攻撃を受けてしまい、
壊れた国会議事堂の周囲に、どこから吹き出したのか溶岩が流れたのが妙な感じ。
東京だけが壊滅したのか、日本全体が全滅したのかはよくわからず。

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