戦国自衛隊

 自衛隊のある部隊は、砂浜で演習をする事になるが、不思議な光景を目にする。
木場三尉(千葉真一)らは武士たちを目撃。戦国時代にタイムスリップしたらしい。
歴史に干渉するのは危険と言われるが、影虎に協力して長治の首を取る。
歴史を変えてこそ、そのショックで帰還できると主張する木場。
矢野(渡瀬恒彦)らは木場に逆らい、殺戮や強姦を繰り返すが、木場に倒される。
木場は影虎と信玄との戦闘に協力。次々と仲間がやられるが
木場は信玄と一騎打ちの末、その首を取る。
だがヘリは墜落し、戦車も燃料切れで弾も残り少ない。
影虎は天下を取れと周囲に言われ、木場らを襲撃。全員がやられる。

 と言うわけで、自衛隊が戦国時代にタイムスリップして活躍すると言う
設定は面白いのだが、ただ弾とか武器とかをムダに使い果たすのも困りものだし
以後はSF的な展開がないのもいただけない。
隊員はいろいろいてよくわからないが、鈴木ヒロミツは途中でやられる。
隊員の1人の恋人が岡田奈々。薬師丸ひろ子は戦国兵の役で簡単に殺される。

TV放送 1999/12/27 BS05 0345-0600
 

戦国自衛隊1549(2005年)

 喫茶店で働く元自衛官の鹿島(江口洋介)は、神崎(鈴木京香)らに呼ばれる。
神崎らは人工磁場を作り出す実験をしたが、その際タイムスリップが発生。
参加していた鹿島の元上官的場(鹿賀丈史)らが、500年前へ行ってしまったのだ。
彼らは歴史に干渉しているらしく、このままでは人類が滅亡しかねない。
代わりに過去から来た七兵衛(北村一輝)と共に、過去へ飛び歴史を戻そうと言う。
一同は過去へ飛ぶが、歴史に関与しないため、過去の人間を殺すなと厳命される。
だが、彼らは一味に包囲され捕らわれ、信長と称する的場と再会する。
的場はこの時代で生きると決め、倒した相手が信長だったため、彼に成り代わる事に。
彼の戦力を見込んだ斎藤道三(伊武雅刀)と手を組んだのだ。
さらに彼は、核爆弾なみの爆弾で富士山を崩落させ、関東一円を壊滅させ
この時代から歴史をやり直す事を計画していた。
仲間が乱入して一時退散する鹿島ら。
鹿島は蜂須賀小六の息子を木下藤吉郎、七兵衛を真の信長と称して
歴史を有利に書き換えようとする。
道三は寝返り、鹿島との対決で敗れる的場。城は崩壊し、一同は無事現代に生還する。

 と言うわけで、戦国自衛隊のリメイクだが雰囲気はずいぶん変えてる。
タイムスリップの研究をしていたわけでもないのに、
鈴木京香が、妙に設定に詳しいのはまあ良しとして
歴史を狂わせるなと言う指令の下、ただこちらが過去の人さえ殺さなければ
何をしてもかまわないと言うのはおかしな気が。
タイムトラベル物は、史実を絡めると面白くなる事があるが
本作はどちらかと言うと、あまりうまく行っていない感じで
ただ登場人物が、勝手に信長だ秀吉だと語っているだけで
歴史がどんどん変化している感じ。

TV放送
 

空の大怪獣ラドン(56)

監督 本多猪四郎

 阿蘇山の炭坑で、事故死者が続発。犯人は怪物だった。
怪物を追って技師河村(佐原健二)が坑内に閉じ込められる。
柏木博士(平田昭彦)によれば、怪物は古代のトンボ、メガヌロンの幼虫だ。
地殻変動で卵がかえったのだ。やがて河村が発見されるが、彼は記憶喪失に。
世界中で超音速の正体不明の飛行物体が、飛行機等に被害を与える。
写真から、メガヌロンと同時期の怪獣プテラノドン、通称ラドンのしわざとわかる。
記憶を取り戻した河村も、炭坑でメガヌロンを食べるラドンを目撃していた。
ラドンは飛行時に衝撃波を起こす。原水爆実験で目を覚ましたに違いない。
ラドンが出現。衝撃波で被害を起こし、福岡へ。攻撃も効果がない。
さらにもう1匹が出現。どこかへ飛び去るが、巣に戻るに違いない。
そこで、ラドンが巣に戻ると火口を攻撃。助けようとするもう1匹と共に焼け死ぬ。

 と言うわけで、ゴジラに続く怪獣は、空飛ぶ怪獣であった。
メガヌロンの話が横道にそれている感が。全体的に話は安易。
河村の恋人キヨに白川由美。

VHS
 

大怪獣ガメラ(65)

 北極。某国機が撃墜され、原爆が爆発する事故に。
動物学者日高(船越英二)は、アトランティスにいたと言う巨大な亀を調査。
それは、悪魔の使者と言われる体長60メートルのガメラだった。
氷の下から現れたガメラは、船を沈め消える。日高は、放射能でガメラは死ぬと推測。
各地で円盤騒ぎが起き、北海道で年男少年がガメラに襲われると言う事件が発生。
高圧電流も、自衛隊の攻撃も効果ない。
ガメラはあらゆるエネルギーを好み、人間の兵器はいっさい通用しないと思われた。
自衛隊は実験中の冷凍爆弾で、ガメラの活動を止め、爆弾で裏返しに成功。
だが、ガメラは飛行能力を持ち、飛び去る。世界各地を飛び回るガメラ。
東京湾に異変が起き、日高はガメラの出現を予測。
ガメラは東京に出現し、破壊を続ける。コンビナートにくぎ付けるため、石油を補給。
日高らは、各国が共同開発中のZ計画を利用する事を決定。何とか完成。
タンカーでオイルをまき、点火してガメラを大島に誘導。
上陸したガメラをポイントに誘導し、ドームに収容。巨大なロケットとなって
火星へ飛ばされていった。

 というわけで、ガメラシリーズ第1作。
悪役なのはいいが、子供を襲って助けると言う、変な奴。これは大きな弱点。
英知を結集したZ計画とは、いったい何を目的としていたのか。
ガメラ退治に政府は全然タッチせず。
ガメラはエネルギーが好きと言っても、飲むとかはしない。いったいどんな奴だ。

TV放送 92/08/03 BS11 20:30-21:50
 

大怪獣決闘/ガメラ対バルゴン(66)

 半年前。原爆事故で出現したガメラは、Z計画で火星へ。
隕石との衝突で、ガメラは地球に戻り、黒部ダムを襲う。
大阪。圭介(本郷功次郎)らは、彼の兄が戦争中隠したオパールを探すため、
ニューギニアのジャングルへ。
付近の部落では、洞窟は虹の谷と言われ、魔物がいると言われていた。
オパールが発見されるが、一味の小野寺は、圭介を置き去りにする。
圭介は部落に助けられ、あれが宝石ではなく、不幸をもたらすと話される。
小野寺は船で神戸へ。船から怪獣が出現。
怪獣は大阪へ行き、万物を凍らせる冷凍光線で、氷づけに。
自衛隊はミサイル攻撃するが、怪獣は背中からの虹色の光線で反撃。
ガメラが現れるが、氷づけにされてしまう。
圭介は部落のカレンとともに到着。怪獣はバルゴンと言い、ダイヤの光を好む。
水の中では生きられないため、部落の巨大なダイヤで琵琶湖へ誘導するが失敗。
船医(藤岡啄也)の話から、誤って卵に赤外線が当てられた事が判明。
特異体質とわかり、赤外線を当てたダイヤで誘導。
だが、小野寺がダイヤを奪い、バルゴンに食われてしまった。
アンテナに反射装置をとりつけ、バルゴンの虹を反射するが、
バルゴンが攻撃を中止してしまう。そこへ活動を再開したガメラが到着。
格闘の末、バルゴンを湖に落とし、息の根を止める。

 というわけで、ガメラシリーズ第2弾。
ガメラはあまり出番がなく、バルゴンばかり。
まだ悪役と言えない事もなく、子役も出ないのでそれなりに買えるが、
やっぱり話自体はバカバカしい。

TV放送 92/08/08 BS11 12:15-14:00
 

大怪獣空中戦/ガメラ対ギャオス(67)

 富士火山帯が活動を始め、富士山も噴火。調査隊のヘリは謎の光線で撃墜される。
堤(本郷功次郎)らは縦断道路の建設を急ぐが、村民は補償金を上げようとごねる。
山に怪獣が出現。村長の孫英一が襲われるが、ガメラに助けられる。
怪獣ギャオスは、火山活動で目覚め、光線は超音波メスと同じ仕組みだ。
ギャオスは夜行性と判明。名古屋を破壊。
出現したガメラと空中で激突。夜明けとともに飛び去った。
翌朝、ギャオスの足の破片が回収される。紫外線を当てると小さくなる事が判明。
そこで、回転台でギャオスの目を回し、夜明けを待つ事を計画。
工事はストップし、村民たちは土地を売り損なったとあわてる。
ギャオスをおびきよせ、回転台に。だが、故障で日の出直前に逃げられてしまう。
火に弱いギャオスをガメラとぶつけるため、山火事を起こす事に。
ガメラがかけつけ、噴火口に落とし、ギャオスは死ぬ。

 というわけで、ガメラシリーズ第3弾。
一応は本郷功次郎が主役だが、工事現場の主任が、なぜ作戦に参加してるのか。
英一に言われるまで、ギャオスが夜行性と気づかないのも変。
回転大作戦は、どう考えてもうまく行きそうもない。
ガメラをアテにするようになって、ついに来るところまできたか。
でも、山火事だけで、どこからでもかけつけるらしい。

TV放送 92/08/04 BS11 19:30-21:00
 

ガメラ対宇宙怪獣バイラス(68)

 バイラス星人の宇宙船が、地球を征服するために襲来。
だが、意外にもガメラの攻撃でやられてしまう。
隊長島田(本郷功次郎)他、ボーイスカウトが国際海洋研究所を見学。
正夫少年とジムが潜水艇に乗る事に。
宇宙船が再び襲来。ガメラを倒すため、光線で捕らえ、記憶を調査。
人間の子供に弱い事がわかる。そこで、正夫らを捕らえ、ガメラの攻撃を止める。
正夫らは船内で、奇妙な怪獣を発見。
宇宙人はガメラをコントロールし、東京他の破壊を指示。国連では降伏を決定。
正夫は宇宙人をだまし、コイルを逆にする。そして地上へ降りる事に成功。
ガメラに攻撃命令が出るが、コイルが逆にされたため、宇宙船を攻撃。
コントロール装置も爆破されたため、
地球人の体の中に隠れていた宇宙人は、次々と合体。巨大に。
2大怪獣が激突。バイラスが突き刺さるが、そのまま宇宙へ飛び、氷ついて砕ける。

 というわけで、ガメラシリーズ第4弾だが、ずいぶん安易になった。
ガメラの記憶を10分だけ調査するシーンで、倍程度の時間、
過去の作品のシーンを使い回し。
ガメラの破壊も、ダムと東京と言う過去のシーンを使っており、東京のシーンは白黒。
1/3程度が使い回しという感じ。
コイルを逆にすると、命令が逆になるわけもない。
ガメラに人質で抵抗する宇宙人もマヌケ。概して登場人物に意味がない。
ボーイスカウトのサブリーダーに、篠田三郎。ほんのチョイ役。

TV放送 92/08/05 BS11 19:30-21:00
 

ガメラ対大悪獣ギロン(69)

 世界各地で電波が観測され、博士(船越英二)は太陽系外の宇宙人よりと推理。
天体観測が趣味の、明夫とトムは、宇宙船を発見。触っていると、発進してしまう。
到着した惑星では、ギャオスが飛び回り、地底から現れた怪獣がこれを倒す。
現れた宇宙人によれば、ここは太陽の正反対に存在する惑星テラ。
電子頭脳が天然現象をコントロールしたが、異変が生じ、怪獣の巣窟に。
怪獣ギロンだけはコントロールできたが、ついに生き残りは2人だけになったのだ。
明夫らは、地球へ行く事を提案。実は宇宙人は地球人を食料にしようと考えていた。
妹友子は、2人が宇宙船に乗った話をするが、両親は信じない。
ガメラが現れたため、ギロンを出す。手裏剣のような武器でガメラにダメージ。
だが、宇宙船が故障し、修理する事に。トムが宇宙人の会話を盗み聞き。
結局捕まってしまう。脱出しようとボタンを押すと、ギロンが登場。
宇宙船が襲われる。再び現れたガメラと激突。
明夫はミサイルのボタンを発見。上空からギロンを落とし、地面に突き刺さる。
ミサイルを突き刺し、爆発。ガメラが宇宙船を溶接し、明夫らは帰還する。

 というわけで、地球の破壊がまったくない困った話。ガメラシリーズ第5弾。
大人が宇宙船の話を信じないが、バイラスの事は忘れたのだろうか。
宇宙人がバリカンで明夫の頭を刈るのもマヌケ。
駐在さんに、大村崑。トムの母にイーデス・ハンソン。

TV放送 92/08/06 BS11 19:30-20:53
 

ガメラ対大魔獣ジャイガー(70)

 大阪で万博が開催される事に。弘の父(大村崑)は、子供用潜水艇を製作。
トミーの父ウイリアム博士は、ウェスター島の石像を運ぶ作業を。
だが、文化使節は石像の移動に抗議。ジャイガーと叫ぶ。
石像の移動をガメラが妨害。弘は何か理由があるのではと考える。
石像は船で大阪へ。だが、船員や作業員が不思議な病気にかかる。
ウェスター島に怪獣が出現。ガメラを鼻から出る吹き矢で倒し、大阪へ。
怪獣こそジャイガーで、石像の下に封印されていたに違いない。ムー大陸の魔獣だ。
ジャイガーは超低音波の光線で、物体を破壊。かけつけたガメラと激突。
だが、再び針を刺され、海底へ。ガメラの体が白くなる。
手の打ちようがなく、ガメラを生き返らせる事に。
レントゲンで、ガメラの体内にジャイガーの子供がいる事が判明。
弘とトミーは潜水艇で体内へ。トランシーバーの低周波に弱い事がわかり、倒す。
石像も風で奇妙な音を出していた。人々もアレルギーを。この音を再現する事に。
一方、高圧電流でガメラを蘇生する事に。しかし、電力不足でスピーカーがストップ。
ジャイガーが暴れ出す。しかし、ガメラが石像を頭に突き刺して倒す。

 というわけで、ガメラシリーズ第6弾。万博のPR的と言われるが、その通り。
弘の父の工場は単なる町工場。そんな所で潜水艇を作るか?
作戦を子供に任せるのも困りもの。同時に電力を使うのもね。

TV放送 92/08/07 BS11 19:30-20:54
 

ガメラ対深海怪獣ジグラ(71)

 宇宙船が月の日本基地を攻撃。世界各地で超大型の地震が続発。
国際海洋動物研究所の、石川、トム両博士と子供たちは円盤を目撃。
ジグラ星の宇宙船にさらわれ、彼らは証言を求められる。
ジグラ星人は東京に大地震を起こし、壊滅状態に。降伏を求めてきた。
水中で生活するジグラ星人は、汚染された星を去り、地球へ来たのだ。
両博士は催眠をかけられるが、子供の健一とヘレンが脱出させる。
一方、宇宙人の女が、知りすぎた子供たちを殺すため、地上へ。
ガメラが海底の円盤を襲い、爆発。水圧でジグラ星人は巨大な怪獣になってしまう。
光線を受け、海底に沈められるガメラ。怒ったジグラは、地球人を撲滅すると宣言。
博士たちが、超音波の脳障害とわかり、回復に成功。
女に子供が捕まるが、これも正気に。菅原と言う女性は、月の基地で襲われたのだ。
菅原は何も覚えておらず、ガメラの生死を確認するため、潜水艇で博士が海底へ。
健一たちも乗り込んでいたが、ジグラに襲われ、浮上が不可能となる。
ジグラは降伏を求め、潜水艇の救出を約束。だが、抵抗したため、光線を受ける。
落雷でガメラが蘇生。潜水艇を地上へ。
細胞活動停止光線のおかげで、窒息していない事が判明。電気ショックで蘇生。
ガメラはジグラを地上へ持ち上げ、火炎で倒す。

 というわけで、ガメラシリーズ第7弾。今回は鴨川シーワールドの協力。
撲滅すると言っておきながら、降伏を求める宇宙人って……。
光に弱いのに、地上へ上がってきてしまうのも、困りもの。

TV放送 92/08/08 BS11 10:00-11:29
 

邦画は東宝特撮だけのはず。「ガメラ 大怪獣空中決戦」(95)を見た。

 もちろん、それにはそれなりの理由があった。
今まで劇場で見た邦画と言えば、かつての東宝チャンピオン祭を含めたゴジラもの、
「日本沈没」「さよならジュピター」「ヤマトタケル」と東宝特撮ばかり。
中には、「劇場版ウルトラマン」のように、正確には円谷特撮で、
東宝とは無関係のものもあったし、その他にも多少それ以外もあったのだが、
後に残るインパクト等から言っても、大きな差があったし、
例えば今回のガメラシリーズをテレビで見ても、質の差は歴然としていた。
(実際には、大映の上映館が近くになかった事もあるのだが)
65年ガメラは、東宝のゴジラに対抗して、大映が生んだ第2の怪獣ヒーローだ。
当時、東宝のゴジラと円谷のウルトラマンが大ブームで、
他社もこの市場を無視できなくなり、いっせいに怪獣映画に乗り出したわけだ。
それが大映のガメラ、日活のガッパ、松竹のギララだった。
だが、この中でシリーズ化されたのはガメラだけだった。
ゴジラの二番煎じの感を否めないガメラは、
最初は悪役として登場するが、やがて正義の味方に転ずると言う
ゴジラが10年以上かけて変貌した道筋を、最初から狙っていたようだ。
アトランチスの悪魔として復活した巨大な亀ガメラは、首都東京を破壊するが、
全世界の英知を結集したZ計画によって、巨大なロケットで宇宙へ追放される。
だが、このガメラも、自分で破壊した灯台の子供を助けると言う
ちょっと矛盾した行動をとって、子供の味方への道を歩むのであった。
もちろん、特撮は独自の技術でやるのだが、円谷英二は大映に在籍した事もあり
裏での情報交流は割とあったようだ。
やがて隕石との衝突で地球に舞い戻ったガメラは、バラゴン、ギャオス等と対戦。
その頃から、子供だけがガメラがいい怪獣と知っていると言う展開に。
その後、外国市場とのからみで、必ず外人の子供も出るようになる。
ガメラに登場する怪獣は、一様に実在しそうもない奇妙なデザインで
凶悪さをアピールしたりして、あくまでもテレビで見ただけだが
ゴジラとは異なる妙な魅力があった事は事実だ。
やがて、大映倒産に伴ってガメラシリーズは途絶え、
大映再建後、過去の作品の再編集版「宇宙怪獣ガメラ」ができるが、あまりにも安易。
大映は「スチュワーデス物語」等のテレビドラマ製作に力を入れ
意外にも、円谷の「ウルトラマン80」は実質大映の製作であった。
一方、こちらも途絶えていたゴジラが復活し、コンスタントに続編が登場すれば、
ガメラ復活の噂が出るのは、疑いのない事だった。
(でも、ホントに復活するとは思っていなかったが)
「電波少年」で復活ガメラの戦う怪獣を、バウバウにしてほしいとか言っても
全然信用していなかった。ところがこうして復活ガメラは完成した。
そうなっても、ゴジラはいいが、ガメラは恥ずかしいと言う妙な線があって
ためらわれた。今回は日本テレビが出資していて、バカな事をしたものだと思ったが
今回のこのガメラが妙に評判がいいのだ。
最高の怪獣映画、いや最高の映画だと言う者や、
映画100年を飾るにふさわしいと言う者や、
今年最高の邦画である事は間違いないと言う者もいる始末だ。
いったい何がそんなに受けたのか。
実は、個人的にも映画製作を夢見る者として、
「帰ってきたウルトラマン」を超リアルに映画化すると言うアイデアがあった。
すなわち、もし実際に怪獣が登場したら、
臨時ニュースが始まり、各局は中継し、
自衛隊は攻撃許可が出ず、国会は是か否かで激論になり、
タカ派の政治家がこれはチャンスと思い、
破壊された都市の復興に手間取り、日本経済が悪化し、
怪獣の死体を科学的に分析する必要も出れば、処分に困ったりもして、
首相は責任をとって辞職したり、
正義の味方が、人間には理解されずに攻撃されたりするはずだ。
これをクソまじめにやって、スピーディな演出にすれば、
怪獣映画ファンならずとも熱狂させる映画が作れるに違いない。
そう思っていたのに、ほぼその主旨でやられてしまったのだ。
こうなっては、見ないわけにはいくまい。
復活ゴジラのマネをして、悪役で1匹だけで復活と思っていたが、
そうはしなかったあたりも、評価できる。
独自の上映館を失った大映は、最近は東宝の上映館で公開しており、
今回のガメラも、かつての宿敵東宝の劇場で、公開される事になったわけだ。
この映画が好評のため、シリーズ化の話も出ているようで
次回作は「ガメラ対ゴジラ」だと言う話も出てきた。
一方のゴジラは、「VSスペースゴジラ」以来次回作の話を聞かず
見た事もない敵とか言っていたから、ひょっとして本当に……と思ったが、
次回作は「ゴジラVSデストロイア」と言う、プロレスラーとの対戦らしい。
まあ、対戦相手がゴジラでなくとも、
宇宙一マヌケな宇宙人バイラスと言う手もあるし、興味はつきない所だ。
でも、公開第1週と言うのに、あっと驚くガラガラさ。本当に評判はいいのか?

 冒頭は場違いな東宝マーク。それが懐かしの大映マークに変わる。
(2年後には東宝は権利を失うらしい)
プルトニウム輸送船が太平洋を進んでいた。
この輸送船の船長が、ゴジラシリーズ「怪獣総進撃」等に出た久保明。
巡視艇の船長が、ガメラシリーズ3作に出演した本郷功次郎。
この輸送船が、深さ3000mの海で、何と座礁を起こしてしまう。
幸い、放射能漏れは起こらなかったが、この環礁が生物のように移動したのだ。
一方、五島列島の姫神島では、2人の男が嵐の中、あわてて船に飛び乗るが、
間に合わず、何かに襲われる。男は死ぬ前に、無線で「鳥」と連絡する。
鳥類学者の長峰真弓(中山忍)は、大迫刑事と共に、
行方不明の平田博士を探すために姫神島へ。
人口15名ほどの島だが、人は1人もおらず、家屋が何かに破壊されている。
大迫刑事は、鳥の仕業ではと言うが、長峰は否定。
こんな事ができる鳥などいるはずもない。
彼らは、巨大の生物の糞のような物を発見。
その中には平田博士のペンや、メガネがあった。
大迫刑事は、未知の生物を警戒するが、長峰は真相をつかみたがり森の中へ。
現れないのは、夜行性だからではないか。となると、夜は危険なのでは。
そう思っていると、彼らの上空を巨大な生物が飛び去った。
その外見は鳥に似ているが、長峰は様々な点から、鳥とは別の生物と断定。
生物は、新たな獲物を狙って、別の島へ向かい始める。
長峰たちは島の住民を救うため、ヘリで急行。注意をそらすためヘリで接近。
今度は狙われるが、カメラのフラッシュで撃退。光が苦手なのだ。
生物は再び姫神島へ。どうやら巣らしい。しかも、他にも2羽いる事が判明。

 その頃、海上保安庁の米森は、謎の座礁事件に責任を感じ、
民間の調査会社の草薙直哉(小野寺昭)を頼って、調査に同行する事に。
レーダー等を駆使して、漂流する環礁を発見。上陸して調査する。
環礁の上で、勾玉のような物が無数に見つかる。
さらに謎の碑文が書かれた石板を発見するが、
石板は突然割れて壊れ、環礁自体が揺れ始める。
米森らは海に投げ出され、彼は海中で何かの目が動くのを見る。
その頃、長峰と米森は、環境庁の斎藤審議官(本田博太郎)に呼び出される。
希少な生物と言う見地から、例の鳥の捕獲が決定したと言うのだ。
それにあたっては、若いながらも、生物を目撃した唯一の専門家である
長峰に白羽の矢が立ったと言うわけだ。
彼女は、生態も不明で、人間を襲う生物を捕獲するのは危険だと反論。
だが、これは決定事項で、何とか捕獲方法を考えろと言われてしまう。
彼女1人に作戦を委ねてしまう必然性が弱いが、とにかく悩む長峰。
夜行性を利用して、光で誘導する事は可能だが、
あの大きな鳥を入れる篭のような物があるだろうか。
すると大迫刑事は、東スポの系列らしい九スポと言う新聞の記事を見て、
(秋山が1面に出ている)思いついたのは、福岡ドームだった。
この他にも、漂流する環礁の事件に関して、
週刊読売とアサヒ芸能の列車吊り広告が登場。
アサヒ芸能は徳間書店が発行していて、共にスポンサーの関係だ。
それはともかく、危険だとか言いながら、わざわざ3匹の生物を九州におびき寄せる。
自衛隊の協力で作戦がとられ、ヘリ等で光を当てて誘導し、生物は福岡ドームへ。
開いたドームの中に入ると、用意した肉を食い出し、
光で逃げられないようにして、麻酔で眠らせる作戦だ。
ドームの屋根を閉じて、逃げられないようにするが、
(本当はあの屋根は閉まるのに、2時間くらいかかるはずだが)
ちょっと早まって、1匹が逃げてしまい、
もう1匹も暴れるが、何とか麻酔で眠らせる事に成功。

 だが、そんな福岡ドームへ、米森がかけつける。
別の巨大生物が、まっすぐ福岡ドームへ向かっていると言うのだ。
思いがけない事態に動揺する一同。環礁の正体だった生物は、海から上陸する。
生物は福岡の飲み屋街を歩いて通過。地上から見上げる構図が多い映画で
その分、怪獣の目線のゴジラよりもセットをたくさん作る必要がありそうだ。
長峰らはやむを得ず作戦を中止し、ドームの外へ避難。
巨大生物は、先刻逃げ出した1匹の鳥を手で一撃にして倒す。
さらに2匹を目指してドームへ。
斎藤審議官らは自衛隊に攻撃を要請するが、
自衛隊も国会の了承がないと攻撃はできない等と、ちょっと見当違いな事を言い出す。
どうしてこんな緊急事態に、そんな建て前を持ち出すのか。
(もっとも武器の用意をしてないと思うが)
巨大生物はついにドームを破壊。だが、麻酔が切れた2匹の鳥は、
口から妙な光線を発し、檻を壊して飛び去ってしまう。
獲物を失った巨大生物は、亀のように、(と言うより、姿は亀そのもの)
手足を甲羅におさめ、何とそこからジェット噴射を吹き出し、
それだけならともかく、回転しながら飛び去っていった。
ま、特撮スタッフもここらへんはちょっと抵抗があったが、
昔のファンから、「で、回転はするんですよね?」としつこく聞かれたので
1回だけは回転飛びさせたようだ。
さっそく、日本テレビは臨時ニュースでこの事を伝える。
伝えるのは木村優子アナ。「ただいま、怪獣が出現しました」と言うが、
怪獣と言う言葉は、未確認の生物に対して、ニュースで用いるべきではないのでは。
何はともあれ、話題になっていた鳥捕獲作戦は失敗に。
長峰らは、壊された檻を見て、光線が妙にきれいに切断した事に気づく。
旧作を見た者ならば、超音波メスとわかるのだが、説明はない。

 草薙や米森らは、環礁で見つけた碑文の解析を進めていた。
拾った勾玉は、未知の金属で作られているとわかり、
米森はその1つを草薙の娘浅黄(藤谷文子)に贈る。
この藤谷文子と言うのが、実はハーフで、父親がスティーブン・セガールだ。
碑文は大西洋に沈んだアトランティスの文字に似ていた。
そこから類推すると、碑文の内容はこうだ。
「最後の希望ガメラ。時の揺りかごに託す。災いの影ギャオスと共に目覚めん」
まあ、似た言語から類推すると言うのは納得できるが、
ガメラとか、ギャオスと言う固有名詞まで訳せちゃうのは不思議だ。
しかも、その意味はわからないし。
どうやら古代アトランティスは大西洋ばかりでなく、全世界に文化を広めていたが
自ら作り出した生物ギャオスによって滅ぼされた。
あわてて、対抗するためにガメラを作ったのだが、間に合わなかったのではないか。
もし、あの鳥がギャオスだとすると、(逆には思わないのだろうか)
巨大生物がガメラ。我々は敵視する相手を間違えているのではないか。
一方、長峰は姫神島に再度調査に向かっていた。
そこで彼女は、鳥たちが共食いをして、強いものだけが生き残っているのを目撃する。
それを知った斎藤審議官は、なおさら希少な生物だと喜ぶ。
トキよりも大切かも知れない。しかし、トキは人を襲わない。
米森らは、碑文から逆の可能性もあると主張するが、聞き入れられない。
碑文より、鳥の方をギャオス、亀の方をガメラと呼ぶ事になりニュースでも発表。
これは、「サンダ対ガイラ」のマネだ。

 木曽山中にギャオスが現れ、米森らは急行する事に。長峰はすでに来ていた。
ギャオスは人間を襲って食い、恐るべきスピードで成長。すでにガメラと同程度だ。
逃げ惑う村人たち。長峰は1人の少年をかかえてつり橋を渡るが、
足を板の間に挟んでしまって、身動きがとれない。
米森が助けに向かうが、ギャオスが迫っていて、絶体絶命だ。
ギャオスの口から超音波が発せられ、つり橋が今にも切れそうになるが、
その時、反対側から炎の玉が発せられ、ギャオス1匹が倒される。
ガメラが現れたのだ。ガメラの火炎と最後の1匹のギャオスの超音波の激突となるが、
ギャオスも一時退散。長峰らはガメラが味方だと確信する。
しかし、政府はギャオスを保護し、ガメラを撃退すると言う方針を変えず
国会の許可がおりて、移動中のガメラに総攻撃をかける事になる。
これは自衛隊による初の実戦だ。
一方、何かにとりつかれたかのように、浅黄はガメラ攻撃が行われる富士へ。
周囲は避難する人ばかりで、接近するなどもっての他だ。
タクシー運転手(松尾貴史)も怪獣は映画だけにしろと言うが、
浅黄が真剣そうなので、自衛隊による道路封鎖まで突破して怪獣に接近。
浅黄はなぜか体のあちこちから血を流していた。
ガメラに対する攻撃が始まり、さらに現れたギャオスの超音波メスによる攻撃まで。
ガメラが負傷した箇所から、浅黄も血を流していた。
やがてガメラは海へ退散し、浅黄は倒れてしまった。
どうやら、勾玉を持っていたために、彼女は巫女のような存在になって
ガメラと同調していたのだ。彼女は昏々と眠り続ける。

 首都東京。中央線でJリーグ観戦に向かうらしき若者たちが乗った列車を
飛来したギャオスが襲う。
ギャオスは車両をくわえて飛び去り、中の乗客を食い始める。
この事態に、政府はついにギャオス攻撃を決定。
人々の避難が始まる。列車も道路も大混雑。株価も暴落する。
それを中継する日本テレビの各アナウンサー。
よく知っている所では、大神アナとか永井アナも。
NHKの深夜に地震の時などによくある
「ギャオス関連のニュースは4時から」と出る。
一方、長峰は後輩にギャオスの染色体を調べさせていた。
通常、何本もあるはずの染色体が、ギャオスの場合は1本しかなかった。
雌雄の区別もなく、単体で繁殖できるのだ。
すなわち、遺伝子工学的に作られた完璧な生命体なのだ。
今の環境破壊が進んだ日本の状況が、ギャオスに適していたため復活。
そして、ガメラもギャオスを追って復活したのだ。
静かになった東京。高層ビルに対策本部がおかれる。
ギャオスの出現を待って、対空ミサイルが発射される。
この発射を指示するのが、渡辺裕之だがあまり地味なので別人かと思った。
だが、ミサイルはギャオスには当たらず、東京タワーに命中。
タワーは途中から折れ、ギャオスはこの上に巣を作ってしまう。
もはや人類の望みは、ガメラのみ。だがガメラがどこにいるのかは不明だ。
突如目を覚ます浅黄。彼女はガメラが来ると言う。
ガメラは地中を進み、突如東京タワーの真下から出現。
火炎を吐いて、ギャオスは退散。大量の卵が落下して割れる。
現れたガメラとギャオスは、ビル街で激突。
さらに高速で飛んで追跡しあう。ヘリで追う長峰ら。
激しい追跡で、大気圏の外にまで出てしまう。
ちょっと待て。ここまでリアルに来たのに、大気圏ではばたくな。
意味もなく大気圏外に出た2匹は、すぐさま大気圏内に突入。
2匹はかみつきあい、ギャオスは超音波でガメラを傷つけ、
ガメラは地上へ落下。大爆発を起こす。
倒されたかに思えたガメラだが、浅黄が祈ると炎が飛散し、ガメラが復活。
にらみあう2匹。浅黄は父の手をとり、一緒に祈ると、
ガメラは最大限の力で火炎を吐く。火炎はギャオスの頭を吹き飛ばし、爆発。
旧作のように、炎の中からギャオスの断末魔の超音波が発せられ、
次第に消えていった。
ちょっと待て。頭は吹き飛ばされたはずなのに、どこから超音波を?
勝ち残ったガメラは、浅黄らの方を向いて、口を開くものだから、
今まで信用していたのは勘違いで、火炎でやられるのかと思ったが、当然それはなし。
浅黄の傷は突然消えてなくなり、ガメラは飛び去る。
彼女にもガメラが感じられなくなる。
だが、ギャオスは世界各地で復活する可能性がないとは言えない。
その時、ガメラが現れるとはかぎらない。
しかし、浅黄はガメラはきっと来ると断言する。

 と言うわけで、本当に怪獣が現れたらどうなると言う事を重視して作った作品。
そのため、ややしつこい気もするニュースシーン等が登場。
ガメラやギャオスの存在にも、ややこじつけぽい説明がつけられる。
でもそのおかげでか、テンポ的にだれる事がなくて、なかなか面白かった。
そうは言っても、今年最高作などと言うから、
思わずカタルシスを感じさせられるような、パワフルな展開があるのかと思ったが
そんな事はなかった。
旧ガメラシリーズの特色は、実在しそうもないデザインの怪獣と
ゲーム的な対決を見せるあたりか。
その点では、デザインがリアルになって、どっちが悪か不明確になって
アトランティスが対ギャオス用に作ったなどと言う
ややしらける説明がつけられてしまった。
あと、復活ゴジラでも昔の音楽がなかったので失望したが、
今回もガメラマーチを、アレンジしてでもいいから、入れてほしかったものだ。
まあ、怪獣映画としては、かなりの水準の作品と言えるが、
今年最高の邦画などと言う事はないと思う。
 



ゴジラなき今、唯一の怪獣シリーズとなるか?「ガメラ2 レギオン襲来」(96)を見た。

 かつて東宝のゴジラと並び称せられた大映のガメラは、
大映の倒産と共にシリーズが途絶えてしまった。
元祖ゴジラはいったんシリーズが途絶えたが、新シリーズとして復活。
悪役路線を守り続けたが、ややマンネリになったせいか、
それともハリウッド版を作る事になったせいか(その話も立ち消え気味だが)
昨年末の「ゴジラVSデストロイア」にて一応終結してしまった。
今年の年末は、「モスラ」単発でいくらしく、それがまた予告編を見ると、
小さなモスラが台所を飛び回る「ミクロキッズ」を思わせるシーンがあって
最後には、キングギドラと言うか、ヤマタノオロチと言うかと言う感じの
デスギドラと言うのと戦うらしいが、どうもバカバカしそうだ。
それはさておき、ゴジラ復活により、機は熟したと思ったか
ガメラも復活する事となった。
かつて一度復活した時のような(「宇宙怪獣ガメラ」)再編集版ではない。
復活ゴジラのマネをして、再び悪役に戻ってと言うわけでもない。
アトランティス大陸の文明が、凶悪な怪獣ギャオスに対抗するため作ったと言う設定で
正義の味方である事を説明し、もし本当に怪獣が現れたならばどうなると言う視点で
社会が麻痺したり、ガメラの方を悪役と誤解したり、
大量のニュースが流れたりと言う超リアル路線での復活ガメラは、
なかなか好評で、95年度の邦画の中でもかなり高い評価を受けたらしい。
となれば、続編の話が出るのは当然で、ギャオスと戦った以上、
次なる敵はバイラス星人以外にあるまいとも思えたが、
そうはならず、新怪獣レギオンの登場となったわけだ。
このレギオンは、宇宙から来た恐るべき怪獣で、どうやらこれが暴れると
日本さえ崩壊しかねない事態になるらしい。
それを真っ向から迎え撃つのが、ガメラではなく、実は自衛隊の面々。
前作で、ガメラを攻撃したり、東京タワーを破壊したりと、
いいところなしの自衛隊が、今回は面目躍如と言う事で、かなり活躍するらしい。
前作がかなりの評判と言われたが、映画館はガラガラだったが
今回もかなりすいていたが、前作よりはマシと言う感じ。
何しろ、ある都市が壊滅すると言うショッキングな展開があるとの噂で
続編にありがちなマンネリを吹き飛ばすべく、圧倒的パワーで見せてくれそうだ。

 ギャオスとの戦いから数年。北海道支笏湖の付近に隕石が落下した。
自衛隊の渡良瀬(永島敏行)、花谷らが隕石を調査。
クレーターができるほどの威力だったが、不思議な事に隕石は残されていなかった。
目撃者の証言によれば、落下直前に制動がかかるようだったとも言う。
それは普通の隕石では考えられない事だった。
札幌青少年科学館の職員穂波(水野美紀)らも、この隕石に関心を示していた。
オーロラが見えたり、トラックが動かなくなったり、
ライターの炎が異常に上がったり、不思議な現象が起きていた。
穂波はオーロラについて、隕石が実は生物だとしたら説明がつくと言う。
もしそれが事実ならば、落下直前に制動がかかったと言うのもわかる。
その頃、ビール工場で大迫と言う警備員が警備していた。
彼は、前作で最初にギャオスを発見した警官だったが、今回は警備員に転職。
彼と相棒の目の前で、ビール瓶の箱が、何かの生物に襲われたのだ。
しかも不思議な事に、ビール瓶は消滅してしまったのだ。
関係者は、大迫がギャオス発見者でもある事から、ちょっと過敏になっているのでは
等とさえ思えた。ここで穂波がギャオスに関係する著作を読むシーンが。
その著者が長峰こと中山忍で、顔写真がちらりと登場する。
そして数日。札幌の地下鉄が謎の怪物に襲われると言う事件が発生した。
謎の事件発生で付近は騒然。自衛隊によって一帯は封鎖される。
未知の生物なので、彼らも手出しができない。
生存者がいた事がわかり、彼らだけは救助。襲われた人と平気だった人の違いは何か。
年齢も性別もまちまちだが、どうやら襲われた人は携帯電話を持っていた事がわかる。

 NTT職員帯津と言う人物も、各地で発生した電波障害を調査していた。
この時だか、後だか忘れたが、NTTのセンターの巨大なモニターに、
「システムダウン」と言う巨大な文字が表示される、笑えるシーンがある。
謎の生物が様々な電波障害を引き起こしている事は、想像がつくが、
このNTT職員がかなり活躍してしまうと言うのは、やや強引な気もする。
(それを言うと、科学館の穂波もそうか)
謎の生物は、巨大な植物のようになって、ビルを突き破って現れた。
これは草体と言う物で、放置すれば、生物による被害が増大する事は間違いない。
政府もこの生物との共存は不可能と、自衛隊の武力介入を許可。
最小限の武力にとどめるとかと言う発表があり、むやみに自衛隊が出動し、
無尽蔵に金を使うあちらとは違うんだぞと言いたげだ。
今回も、日本テレビ系のアナウンサーとかが登場。
ここだったか、後だったかは定かでないが、関谷アナ、藪本アナが登場。
その他にも、「ズームイン朝のキャスター」役で福留さんが登場。
って言うか、それは自分のままと言うことでは?
だが穂波は、草体が種子をばらまくために、爆発を起こすのではと推理。
もし自衛隊が爆薬をセットすれば、その衝撃はシミュレーションでは
札幌を壊滅させるほどの被害を出すと出た。
しかし、もはや作戦中止させるには手遅れ。彼女は死を覚悟した。
ところが、その時、久々に三陸沖に現れたガメラが札幌へ飛来。
火球を飛ばし、草体を破壊。
穂波はガメラが草体の爆発による被害を知って、わざと破壊したかのように感じた。
(自衛隊が爆破する場合は誘爆みたいになって、ガメラが破壊する場合はいいのは
どう言うわけだかわからないが)
だが、そんなガメラを、地下鉄を襲った生物が襲った。
大量の生物に包まれたようになり、ガメラも身動きできない状態。
自衛隊の花谷は、それを見て聖書の「群れなす者レギオン」の一節を思い出す。
そのおかげで、この怪獣はこの後、レギオンと呼ばれる事となる。
ガメラは空を飛び、レギオンの群れを振り払って飛び去った。
その後、地中よりレギオンと同じ姿だが、遥かに巨大な巨大レギオンが飛び去った。
自衛隊は津軽海峡で、巨大レギオンを撃墜。だが、死体は見つからなかった。
代わりと言っては何だが、石狩湾に大量の群体レギオンの死体が見つかった。

 一方、北大では群体レギオンの死体を解剖し、その生態の調査が行われた。
これも、本当に怪獣が現れたら、あるはずのシーンだ。
レギオンの組織は半導体そっくりで、シリコンでできていた。
そのため、ビール瓶などのシリコンを含有する物を吸収。
高密度の酸素を吐くが、人間等にとっては、これが毒ガスのようになるのだ。
とか何とか言う話を、穂波の実家で、渡良瀬や帯津が集まって話し合うシーンがあって
うさんくさいと思う父親役にベンガル。
だが、それが薬屋の2階なので、最初は実家だと気づかなかったりする。
それはさておき、レギオンは電波で会話するため、地上の電波を嫌い、
その攻撃的な性質から、都市部を破壊するために現れたのだ。
もしレギオンがまだ死んでいないなら、東京との間にいっぱいある
大都市のどれかに現れるに違いない。例えば仙台だ。
渡良瀬が単なる推測で仙台に目をつけ、(仙台である根拠はまったくない)
向かっていると、仙台にやっぱり異変が生じていた。
パチンコ屋のネオンに落ちる群体レギオンの死体。
そして、札幌でも現れた草体が、仙台のビルにも現れた。
草体が種子を発射すれば、仙台壊滅は防げない。市民に避難命令が出る。
ようやく出てきた、ガメラと交信できる少女浅黄(藤谷文子)は、
たまたま友人とのスキーで近くへ来ていて、この事件に巻き込まれた。
人々は自衛隊のヘリで避難するため、霞目飛行場へ。
ここまで協力してきた穂波も、これ以上は危険だと避難する事に。
そこへガメラが現れ、おやっと思うと、地中よりやはり生きていたレギオンが現れる。
2匹は激突。ヘリの何機かは離陸するが、衝撃で穂波らのヘリだけが離陸できない。
だが、ガメラは何とかヘリを離陸させようとかばっている事に、浅黄が気づく。
そして、穂波は、近くにいた彼女こそガメラと交信できる少女だと気づくが、
この出会いがこの後、物語に影響するほどには、この2人は出番がなくなる。
何とかヘリは離陸するが、ガメラもレギオンの攻撃でダメージを受ける。
そして、草体の爆発も時間の問題だ。草体の種子が発射され、止めるガメラ。
ついに草体が爆発。その威力はものすごく、さしものガメラも倒されてしまう。
炎はたちまち仙台市街を包み込む。続いて「仙台壊滅」の新聞記事が。
これは世界的な大ニュースとなった。

 レギオンが東京へ向かっている事は、多くの怪獣映画からも明らかだった。
自衛隊としても、それだけは阻止せねば成らず、最後の決戦を迎えようとしていた。
前作にも出た佐竹(長谷川初範)の他、渡辺裕之も再登場。
前作には出ていなかったが、ベテランの役として小林昭二も出て
ゴジラ・ガメラ両シリーズの出演を果たす。
出動シーンには、壊れたままの東京タワーもあって、
1週間で都市が元に戻るウルトラシリーズとは違うと言いたげだ。
足利で迎え撃つ計画で、農村を戦車が走るシーンでは、
その手前の農家に、田舎にありがちなオロナミンCの看板が。
当然、大村昆だが、彼がかつてのガメラシリーズに出ていたのは関係あるのか。
穂波が避難しても、なぜか残ったNTTの帯津は、ネオンが出す電磁波を
レギオンが好んだ事から、ある程度誘導できると考え、これが作戦に利用される。
現れた巨大レギオンに、自衛隊は絶望的な攻撃をかけるが、ほとんど歯が立たない。
その頃、仙台では。(ガレキだらけの場所に「旧仙台駅前」と言う字幕が出る)
子供たちが、ガメラが助けてくれると信じて、復活を祈り続けていた。
そこへ穂波や浅木も現れる。きっと生き返るねと言う子供の声に対し、
浅黄は大丈夫と言う。なぜなら、ガメラはレギオンを許さないから。
そして、ついにガメラが目を覚ました。
今回のガメラは、手が翼のように変形して飛ぶ。これは本当に生物かと言いたくなる。
2匹の激突に、巨大レギオンは、どこかへ飛来していた群生レギオンを呼び戻した。
このままでは、巨大レギオンと群生レギオンの大群と戦う事になり、
さしものガメラも勝ち目がない。
それに気づいた帯津は、電波を漏らさないように言われているNTTの送信所へ。
ここの職員はラサール石井。絶対ダメと言われていると言う彼を説得し、
電源を入れると、たちまち群生レギオンがそっちへ行ってしまい、
これでガメラは、巨大レギオンだけと戦っていればいい。
当初は、怪獣を支援する事に抵抗を示していた自衛隊の上層部も、
ガメラを後押しするしか勝ち目がないと悟り、全面的にガメラを支援する事に。
渡良瀬は群生レギオンが去ったのは、帯津の機転だと気づくが、
このままでは彼らが危ないと急行。群生レギオンは送信所の中にも侵入。
帯津らが危機に陥るが、かけつけた渡良瀬が銃で倒す。
ガメラは巨大レギオンの角を2本はずし、これで光線も出せなくなったと思ったが、
どうした事か、色が変わってさらに強力な光線を出され、ガメラもグロッキー。
ついにレギオンに最終防衛ラインを突破されてしまう。
(と言うか、飛んできたら防衛ラインも何もない気がするが)
この時、謎の光線がガメラを包むと言う、ゴジラシリーズでもよくあった
最後に来て謎の武器で解決してしまうと言う手に出た。
ガメラの腹が円形に輝き、そこから波動砲のような強力な光線が発射される。
さしもの巨大レギオンも歯が立たない。パンフにはウルティメイト・プラズマとある。
例のクルクル回転飛びで飛び去るガメラ。「状況終了」と言う渡辺裕之。
最後のガメラの武器はともかく、自衛隊のなかなかハードな展開に感心させられたが
もしここで、自衛隊の面々が、こっちを見ているわけでもないガメラに対し、
敬礼なんかしたら台無しだなと思っていたら、やっぱりやってしまったので
台無しになってしまった。
平和が戻り、穂波と帯津はガメラが地球を救ったのではと話し合う。
もし人間が生態系を破壊したならばと考える2人。
ガメラの敵にはなりたくないと言う。

 と言うわけで、今回もなかなかハードな展開で、
しかもガメラ自体よりも自衛隊ががんばったのはなかなか評価できる。
(ま、最後の敬礼はいただけないが)
シリコンでできている生物と言うのは、TV「スタートレック」でもあるかもと
言っていたので、たぶん本当の話で、レギオンの設定にも問題はない。
ガメラが人間のためではなく、地球のために戦っていたと言うのもなかなかいい。
最後に来てガメラが変な武器を出したりと言う恨みはあるが、
前作よりもさらにハードになった感じで、けっこう評価できるが、もう一息。
と言うよりも、もっといろいろな事件がスピーディに起きないと
今までの怪獣ものをリアルに描写すると言うだけでは、飽きる気もする。
 



ゴジラがイグアナになった今、「ガメラ3 邪神(イリス)覚醒」(99)を見た。

 日本の怪獣界をリードしてきたゴジラシリーズが中断し
海外へ貸し出されたが、その姿は何とイグアナになってしまい日本の人々は失望。
そんな中、常に後手を歩んでいたガメラも復活し、徹底したリアル路線で描かれる。
現実の世界に怪獣が現れたと言う視点で、やや過剰までに周辺の描写を続け
独特の世界観で高く評価されたものだ。
そんなシリーズもこれで完結の3作目。
1作目で宿敵ギャオスを倒すために、古代に作られたと言う素性が明らかに。
2作目では新怪獣レギオンが現れ、自然界の存亡を賭けて対決する。
人間を守ると言うよりは、地球を守るための存在だとわかる。
そしていよいよ3作目。ガメラに復讐心を抱く少女が出てくると言うので
なかなか期待できるかも。とにかく見ろ。

 鳥類学者長崎(中山忍)は南の島へ急行。
中山忍は1作目で高い評価を受けたが、2作目には登場せず、ここで復活したわけだ。
そこには全滅したと思っていたギャオスの死体が。
しかも島民に聞くと、異常に繁殖していると言う。
一方、海底を探索する潜水艇は、大量のガメラの死体を発見。
それは古代人がガメラを作ろうとして失敗した物だった。
さらに親戚の村で生活している中学生比良坂綾奈(前田愛)。
4年前にガメラが東京でギャオスと戦った際、
弟は松戸へ避難していたのだが、彼女は盲腸の手術のため東京に留まっていた。
そしてついに怪獣が接近してきた時、先に車に綾奈を乗せて準備していた
父(三田村邦彦)と母(かとうかずこ)は、現れたガメラによって
ビルが破壊されて死んでしまった。
以来、人々がガメラを正義の怪獣と呼ぶのに対し、綾奈はガメラを恨んでいた。
村のいじめっ子の女中学生たちは、綾奈の弟をいじめていた。
彼女を気にする守部くんは弟をかばうが、綾奈は誰にも心を開かず守部も拒絶。
そんな中、柳星張(りゅうせいちょう)が祭られていると言う祠の石を持ってきたら
弟をいじめるのをやめると言われ、綾奈はそれを動かしてしまう。
守部くんはその祠を守るための剣を代々受け継いできた家の息子なので、
これを知ってあわててかけつける。
イジメの話はここでウヤムヤになり、異様に重い石を元に戻すが
すでに恐ろしい事が始まっていたのだ。
度重なるギャオスの被害に、なぜ日本だけが怪獣に襲われるのかと
ゴジラの昔から人々が不思議に思っていた事が、ついに映像の中で口に出される。
政府巨大生物対策審議会の場でだ。
長崎の前には、何やら知った様子の内閣調査室の朝倉(山咲千里)が。
そして、世の中の災厄はすべて何とかと言う数値に左右されてると主張する
ゲーム作家の倉田。この数値が異様に高い日本が狙われるのだと言う。
その数値自体はどうやって算出されたのか、それはまったく説明されない。
実際の所、この2人はさも偉そうな感じだが、物語の中でさほど役に立たない。

 長崎は渋谷で雑誌を売るホームレスになっていた大迫力元警部を見つける。
彼は全作に何らかの形で登場しているのだが、これまたいなくてもいいような感じ。
そんな中、渋谷の街にギャオスが出現。さらにそれを追ってガメラも現れる。
ガメラは逃げまどう人々にはお構いなしにギャオスを攻撃。
東急会館の前をのしのし歩き、109を火炎で破壊。さらには渋谷駅も戦いで崩落。
爆発による火炎で次々人々が吹き飛ばされる映像もなかなか。
破壊されたギャオスの破片が飛び散るシーンも。
ガメラが振り返りざまに火炎を吐き、巻き込まれる人々も。
「渋谷駅壊滅」と言う新聞記事が。渋谷駅じゃなくて渋谷と言えよと言う感じだ。
今回はガメラを危険視する声が高まる。
だいたい、ガメラが正義の味方だと決めつけて、
今まで対策も立てずに放置していたのも困りものだ。
そんな話が日本テレビの番組「ザ・ワイド」でも行われ、草野仁氏が司会。
その他にも、角田久美子、松本志のぶ、松永二三男と言う連中が中継等で登場。
ガメラと心が通じると言う少女浅黄(藤谷文子)が、長崎の所へかけつける。
彼女も3作通して出演しているが、
実際の所、心が通じてる割にはガメラを止めたりできるわけではなく、
ハーフのせいか日本語もヘタで、あまり意義のない役柄と言える。
一同は、レギオンを倒した事により、自然界のバランスが崩れ
ギャオスが大量発生したのではと言う事に。
その回想シーンで、ちらりと水野美紀も登場する。

 その頃、祠の中の洞窟では、実は卵だった石が、
なぜか動かしたためにかえって、謎の生命体が成長し始める。
綾奈はこれをイリスと名付け、私と同じ境遇なんだわと訳のわからない事を言い
これを育てて、ガメラに復讐する等と言い出す。
つまり彼女は、最初から巨大になると知っているらしい。
不安を感じる守部くんは、怪物を倒せると言う言い伝えの剣を持って祠へ。
そこでは、綾奈を包み込んでしまった生物が。あわてて剣で引っぱり出す守部。
意識不明の綾乃はそのまま病院へ運ばれる。
警察は発見者の守部が何かを隠しているとにらむが、彼はなかなか語ろうとしない。
この付近でキャンプをしていた若者の中に、
何かアイドルらしい仲間何とかと言う娘もいた。
そいつが出てるらしいと言うので、守部くんの妹役かと思ったがこのチョイ役だ。
この娘、彼氏を連れて仲間から離れて林の中へ行くが
そこで妙な触手にからまれて、振り回されてしまう。
そしてエキスを吸い取られたのか最後にはミイラに。何ともマヌケな役柄だ。
さらには綾乃の親戚の家も襲われ、村自体が全滅。
綾乃に祠の秘密を語ったいとこの兄ちゃんまで、簡単に殺されてしまう。
長崎はこの地域で異変が起こっている事を知り、
何の権威でもないのに大迫力元警部を引きずり出して、一緒に調査に協力させる。
洞窟の中で妙な生物の痕跡を見つける。
それは、ギャオスに似た遺伝子を持つ生物だが、まったく異なる成長をしていた。
こうして次第に成長したイリスは、どう見てもギャオスとは似ていないのだが
自衛隊等では変種のギャオスと呼び続ける。
これまた毎回登場している渡辺裕之らが攻撃するが、
そろそろ銃では歯が立たない事に気づいても良さそうだ。
一方、長崎は病院から綾乃が連れ出されたと知り、その行方を追う。
意外に簡単に見つかったが、実は内閣調査室の朝倉が保護していた。
実は朝倉は、本来イリスと融合する巫女みたいな家系の子孫らしい。
その役割を綾乃に奪われ、その成り行きを見守りたいのだ。

 イリスは触手を振り回しながら飛行し、京都方面へ向かっていた。
しかしこの触手がくせもので、CGで作られているため、ちょっとウソっぽい。
さらに別の飛行物体が接近。まもなくこれがガメラだと判明。
司令室のパネルのUNKNOWNの文字が、ガメラに変更される。
自衛隊も出動し、威嚇射撃を行う。
ところがものすごい速度で飛行されたため、逃げられてしまう。
自衛隊はこれからはガメラだけでなく、イリスも攻撃しろとか
どっちの方が悪いと決めたげだが、そう言う問題ではない気がする。気がついた綾乃は、何かに導かれるように京都へ行きたがる。
彼女と一度は融合しかけたイリスは、彼女と通じ合っているらしい。
特に何かの考えがあるわけでもなく、
綾乃につきあって、長崎、浅黄、朝倉、倉田と言う面々が
自衛隊の攻撃とかとは何の関係もなく京都へ向かう。
今回は自衛隊は誰の命令を受けるわけでもなく、勝手に攻撃するばかりだ。
一方、綾乃が気になって仕方がない守部くんは、
大迫力元警部と共に、これまた京都へ向かう。
綾乃がイリスを呼んでいるようにも思えるので、
浅黄はたどたどしい日本語で、ガメラは地球のためを思っているの
にくむのはやめて等と説得しようとするが、馬の耳に念仏だ。
やがてイリスとガメラが現れ、格闘を始めたものだから、
京都へ向かう列車の守部くんは立ち往生。
ところがうまくできたもので、隣の駅だったから走っていく事に。
途中、伊集院光の警官に止められるが、大迫力元警部が邪魔している間に突破。
これで、大迫力氏の出番はおしまいだ。
イリスとガメラは、何と京都駅の駅ビル構内で格闘。
いまだかつて、こんな狭い場所で怪獣が戦った事はない。
止めてみせると言う朝倉は簡単に踏みつぶされ、
倉田は落ちてきた天井の下敷きになって死ぬ。本当に役に立たない連中だ。
おまけに長崎までもが鉄骨に足をはさまれ動けない。
イリスの方が力で勝っているらしく、ガメラは押され気味。
おまけにナイフのようにとがった触手を腕に突き刺され、身動きがとれない。
するとビックリ。ガメラは火炎で自分の腕を焼き切ったのだ。
口の周りは平気なのに、自分の手は焼き切れるらしい。
さしものガメラも弱っているが、そこへかけつける守部くん。
怪物を倒せるはずの剣をイリスに投げつけるが、簡単にはじかれてしまう。
普通この手の言い伝えは、どこかで正しかったと思わせる展開になるのだが
この作品ではまったくお構いなし。
はじかれた剣が綾乃の頬をかすり、(危ないぞ)傷つけて我に返ると言う展開はある。
我に返ったからと言って、それが形勢が変わるわけでもなくただ見守るばかり。
と言うか、イリスに導かれ、綾乃はイリスの体内へ取り込まれてしまう。
それを見て同化したと言う、ようやく脱出した長崎。
だが、まだ生きていたガメラが立ち上がり、手を腹部へ突っ込んで綾乃を救出。
これがきいたのか何だかわからないが、イリスはいつの間にか死んでしまう。
ガメラはヌルヌルした物に包まれた綾乃を、長崎の方へ渡す。
必死に助けようと人工呼吸して、何と中山忍と前田愛のキスシーンも。
それで息を吹き返したかに見えたが、
長崎はガメラを見て「まさか」と言ったから、
ガメラには人の命を甦らせる能力があると言う意味らしい。
気がついた綾乃は、なぜ助けたのと言いながら、ガメラの事を少し理解した様子。
ガメラは再び飛び去る。
その頃、上空にはカラスの群れのような大量のギャオスが。
小さな作戦室の自衛隊の司令官も、地球を守れとか言って出動を命じる。

 と言うわけで、平成ガメラ3部作完結編と言うべきこの作品は
ガメラを憎む少女の登場で、新たな視点でガメラを描く事になったわけだが
どうもその点に気を取られすぎた感があり、
自衛隊は単なる役立たずになり、朝倉・倉田と言う意味不明の人物も描写不足。
主役であるはずの中山忍は、確かに出番は多いのだが、前田愛に振り回されるばかり。
渋谷破壊シーンの迫力はいいのだが、
空中戦とか水中戦は以前から思っている事だが、比較する物がないので迫力不足。
最後の京都駅構内の戦いは、設定は面白いのだが、
何が起こっているのかわかりにくいと言う弱点を招いてしまった。
最後に、ギャオスの大群が現れた事で、ガメラの戦いは続くと言いたげだが
その事が、完結してないんじゃないと言う気持ちを起こさせ
何か物足らない気がする作品だ。
 



 割に唐突な新作「小さき勇者たち GAMERA」(2006年)を見た。

 ゴジラが終わって数年。ガメラも完結したのかと思っていたら
ちょっと目先を変えて復活してきた。
題名からして「小さき勇者たち GAMERA」なんて、
ガメラである事を隠してる感じだし、主人公は少年らしい。
これはどうなる事やらと思いつつ、舞台は個人的に縁のある名古屋だし
まあ見ておくかと思って見た。

 30年前。伊勢志摩の港町に、数匹のギャオスが現れ、人々を苦しめていた。
そこへ現れたガメラは人間の味方で、ギャオスを倒し続けるが
やがて自らも傷ついてしまい、これまでと観念して残りのギャオスと共に自爆する。
見ていた孝介少年には、ガメラが人間のために犠牲になった事がショックだった。
そして現在。大人になった孝介には、透という息子がいた。
実は孝介の妻、透の母は交通事故で死んでしまい、初めての夏が来たのだ。
孝介は食堂をやっていて、店が忙しく息子の世話もしてやれていない。
透は平気な素振りをしていたが、自分の事をトトと呼ぶ母を思い出していた。
ある日、向かいの島で光る何かを見つけた透は、
その島へ行ってみると、何やら赤く光っていた石の上に乗った卵を発見。
そこからあっという間に亀が生まれる。
透はそれをトトと名付けて、ペット禁止の父には内緒で育てる事に。
ある時、トトが父に見つかりそうになるが、何とか難を逃れる。
ところが、その時トトが空を飛ぶ事に気づく。
それは、隣の家に住む年上の少女麻衣も見ていた。
麻衣は、昔の記事を見て、それがガメラに成長するのではと言う。
透はトトが怪獣とは思えないが、ドンドン大きくなっていくトトに不安を感じる。
トトもひょっとして、ガメラのように人間のために自爆してしまうのではと。
麻衣は心臓の手術のため名古屋の病院へ行く事に。
透はお守りにと、麻衣に赤い石を渡すのであった。
しかし、その後、トトは透の前から姿を消してしまう。

 その頃、海難事故が多発し、雨宮博士は巨大怪獣の仕業ではと主張する。
しかし、怪獣は30年間現れなかったため、巨大生物審議会は閉鎖されてしまい
内閣府の参事官も、雨宮博士の話を取り合おうとしない。
だが、またしても伊勢志摩に怪獣が現れる。それは後にジーダスと呼ばれるのだが
逃げまどう人を襲って食べてしまう。
透の親友イシマルの弟カツヤも襲われそうになるが、
その時、体長8メートルに成長していたトトが体当たりでそれを阻止する。
体長50メートルのジーダスに比べるとかなり小さい存在のトトは、
傷つきながら奮戦。何とかジーダスを海に落とす。
しかし、事態を知った参事官はガメラ(彼らにとっては)を、
雨宮博士の所へ連れて行き、研究させる事に。
透は父にすべてを説明するが、もはやどうしようもないからあきらめろと言う父。

 そんな頃、麻衣の手術が成功したとの連絡が。
しかし、麻衣は赤い石をトトに渡さねばとうわごとのように言っていると聞かされ
傷ついたトトを復活させるには、あの石が必要だと考える透ら。
ひそかに避難所を抜け出して、名古屋へ行く事にする。
麻衣のいる名古屋中央病院を探す。事態を察して父もまた名古屋へ急行。
雨宮博士は、ジーダスが再度出現した際、
ガメラが大きくなっていないと歯が立たないと、エネルギーを注入しようとするが
なかなか反応がない。
しかもまだ未発達の状態で、名古屋に上陸したジーダスが暴れ出す。
名古屋中央病院は、たぶん愛知芸術文化センターで撮影したんだと思うが、
病院らしからぬロビーで、妙に広い窓から外を見るベットの麻衣は、
トトが奮戦しているのを見て、何とか赤い石を届けねばと言う。
しかし、両親や看護婦に止められ、それを見ていた少女が「トトにだね」と言い
ガメラがトトとわかったらしく、皆が逃げるのと逆の方向へ駆け出す。
さらにそれも警官とかに止められると、
別の少年がなぜか事情を察していて、バケツリレーのように次々名駅へ向けて移動。
(地下鉄で2駅です)
ジーダスとトトは名駅前で格闘し、大名古屋ビルの屋上で宙返りし
飛ばされたトトは名駅の上にあるセントラルタワーズ(ツインタワー)に突き刺さる。
さらにジーダスはタワーを上に登っていく。
透らは病院にかけつけるが、麻衣はすでにいない。
そこで父に簡単に見つかり、止められるが、トトも戦ってるんだと
必死に名駅へ向かおうとする。
ついに赤い石を運ぶ少女を見つけた一同は、それを受け取る。
すると、今まで必死に止めていた父もまた、「いいんだな」と言って一緒に行く事に。
閉鎖も何もされていないタワーへ入った父子は、上の階まで階段でかけあがり、
(しかも、ビル内に取り残された人もいない)
途中、崩れているところを、父が隙間をあけて、子供に先へ行かせる。
この上の階に、再度同じように崩れている場所があれば、
透は立ち往生になるとも考えず。
だがそんな事はなく、透はトトが突き刺さっている階へ到着。
この石を渡すのは、自爆させるためじゃないと言い、
弱っているトトの口に、赤い石を投げ込むと、トトはズルっと下へ落下。
だが地面に落ちる事はなく、ついに手足の穴から火を噴射し、
クルクル回るガメラ飛びで上昇。ジーダスと再度対決になる。
あっという間にビルを降りた透らは、地上で見守る。
ようやく自衛隊が5名くらい到着。ガメラの腹が光るのを見て、
あれは自爆の兆候だから逃げろと言うが、トトは自爆なんかしないと言う透。
大名古屋ビルの前で、トトは火の玉を吹き、ジーダスを撃滅する。
かけつけた参事官は、ガメラを捕らえろと言うが、その車の前に立ちはだかる透。
そしてイシマルや、なぜかどこかから少年少女ばかりが集まりバリケードを組む。
参事官が呆然としていると、トトは再び飛び上がり、
少年少女が見守る中、飛び去った。それを見て「さよなら、ガメラ」と言う透。

 と言うわけで、冒頭のガメラは平成ガメラみたいな感じで迫力有り、
それを見ていた主人公の父親の少年時代なんて設定もいい。
その後は、主人公である少年と、ガメラかも知れない亀の交流を描いており
港町の叙情あふれる少年たちの姿を描いていて
何か「転校生」とかそんなあたりの雰囲気で、
(ちょっと路線が違うけど田舎町だから)
普通の田舎の少年の物語として見れてしまい、怪獣映画とはちょっと毛色が違う感じ。
後半になると、亀が次第にでかくなり、どうやらガメラらしいと言う事になり
同時に現れた巨大怪獣との対決になり、名古屋を舞台に大激突と言うわけで
最後に派手な見せ場がないといけないのはわかるが、
ちょっと強引な感じは否めない。
造形は、ガメラが人形然としていてミュータントタートルズ風。
敵の怪獣は、ジュラシックパークの何とか言う恐竜みたいだけど
動くと中の人間の形がくっきり出て、どうも怪獣らしくない。
個人的には名古屋をどう舞台にしたかが関心だったが、
基本的に人物のアップが多くて、どこと言うのがハッキリせず、
クライマックスの駅周辺もミニチュアだから、ちょっと違う感じ。
主人公の少年には好感が見てるんだけど、対するお父さんの態度が不自然な気がするし
一番いけないのは、少年少女がバケツリレーするシーン。アレはわざとらしい。
少年がガメラの事をトトと呼んでいるのは、身内しか知らないはずなのに
どこかから現れた少年少女が、なぜか共感してトトと呼び出すのはちょっと。
少年がガメラを思いやる気持ちはわかるけど、
どうもガメラの方が、巨大になってからはほとんど反応していないように思えるし。
 

大怪獣東京に現わる(98)

 福井でテレビを見ていた女性(桃井かおり)は、東京での怪獣出現を知る。
各局がこの事件を放送。人々が避難し、爆撃命令が出るが
女性らの心配は銀行が無事かと言う点。怪獣は移動し山梨、さらに岐阜へ。
一方、福岡にはカメ型の第2の怪獣が現れる。
これを追って第1の怪獣は福岡の方向へ。京都付近で激突しそうだ。
各国の連合軍が攻撃を開始。これを回避し第1の怪獣は福井へ。第2の怪獣は大阪へ。
人々は軍が防衛するはずと、原発付近へ避難。
だが誤射されたミサイルのおかげで原発は爆発し、女性らは死亡。
その後、毎年怪獣の供養が恒例化し。怪獣はミクロネシアで老衰死する。

 と言うわけで、人間不在と言われる事の多い、日本ならではの怪獣映画を
人間を中心にして、怪獣自体はまったく画面に映さない手法で描く。
怪獣出現という一大事の中、一番の関心事が銀行が心配だったり、
いろいろ工夫した事はわかるのだが、やはり見せ場としてはちょっと弱い。
カメの怪獣は、流れた曲からもガメラを意識した事がわかり
そうなれば第1の怪獣はゴジラと言う事に違いない。

TV放送 2000/04/10 BS05 2200-2345
 

大怪獣バラン(58)

監督 本多猪四郎

 東北の秘境で珍種の蝶が発見され、杉本教授の助手が調査に。
だが、事故で死亡。村人はバラダギ様の怒りだと言うため、新聞社と共に再び調査に。
奥地の湖には、怪獣バラノポーター、通称バランがいたのだ。
防衛庁は湖を攻撃。だが効果はなく、ムササビのように飛び去る。
バランは海に出現し、東京湾を羽田空港方面へ進む。
照明弾を飲み込む習性を利用、藤村博士(平田昭彦)の特殊爆弾を飲ませる事に成功。
内側からの爆発でバランは退治される。

 と言うわけで、ゴジラ、ラドンに続く東宝怪獣ものだが、知名度は落ちる。
調査する3人の人間関係等がなく、怪獣だけの話という感じ。
後半の自衛隊攻撃シーンが延々と続き、やや退屈。
テーマ曲は、後にラドン出現の時のテーマに使われる曲。

TV放送 93/03/26 BS05 08:00-09:30
 

大巨獣ガッパ(67)

 南海楽園計画を進めるプレイメイト社は、オベリスク島で怪獣ガッパの子供を捕獲。
だが2匹の両親が復活し、子供を求めて日本へ上陸。各地に被害を与える。
自衛隊の攻撃は効果なく、子供を返すと、3匹はそろって飛び去っていった。

 と言うわけで、日活が作った唯一の怪獣もの。モスラ等の焼き直しと言う感が強い。
二番煎じのためか、怪獣にしてはシンプルなデザインじゃないし。

TV放送 95/07/18 BS05 23:00-00:30
 

大魔神(66)

 山中城では、家老の様乃介が謀反を起こし、花房の殿様を殺す。
家臣の小源太は、若君只文と娘小笹を魔神が祭られる山へ逃がし、そこで生活する。
10年後。成長した只文らは、様乃介の圧政を聞き、山を降りるが捕まる。
小源太の叔母である巫が様乃介に改心を求めるが、逆に切られる。
そして、村人の拠り所である魔神像を破壊。只文らを処刑する事に。
だが、小笹の祈りが届いたのか、魔神像は動き出し、様乃介の家来を岩の下敷きに。
暗雲が立ちこめ、火の玉と共に魔神は城内へ。城を破壊し、攻撃も効果ない。
様乃介をはりつけにするが、なおも怒りはおさまらない。
しかし、小笹が祈ると怒りは静まり、火の玉は去って魔神像は崩れた。

 と言うわけで、同年の「怪竜大決戦」と似たような話だった。
埴輪だった像が暴れ、圧政をしく連中を倒すと言うのはいいが、
どうも石像が暴れると言う構図が納得いかん。
男が祈ってもダメで、女だといいと言うのも……。

TV放送 93/09/16 10CH 02:30-04:07
 

大魔神怒る(66)

 圧政の御小柴の国から、人々は千草へ逃れていた。
御小柴は八雲の湖を手に入れるため、千草に奇襲。
殿様十郎(本郷功次郎)は逃げるが、分家の名越がかくまったとして殺される。
名越の娘小百合は湖の島の神に祈るが、御小柴は火薬で魔神像を吹き飛ばす。
逃れた十郎や、小百合の兄克茂らが島に向かうが、捕まる。
だが、その頃島に向かう御小柴軍勢は、謎の震動でやられていた。
処刑が始まるが、小百合の祈りと共に、水中から魔神が現れ、島が崩れる。
水が裂け、魔神は城を破壊。火薬でも効果なく、船で逃げる御小柴を火あぶりに。
静かになり、魔神は消えていった。

 と言うわけで、前作とかわりばえしない展開。
十郎や克茂が島に行ったり戻ったりで、結局全員捕まるのもまだるこしい。
水が裂けて現れるのは「十戒」のよう。

TV放送 93/09/17 10CH 02:30-03:56
 

大魔神逆襲(66)

 小山藩の村人は、近隣諸国を制覇しようとする隣国に捕らわれ、
砦建築のため酷使される。子供の三太らは救出のため、魔神の山を越えて隣国へ。
だが険しい山道に全滅寸前、彼らの祈りに魔神が動き出し、砦を破壊。君主らを倒す。

 と言うわけで、1年で3作も作ってしまった大魔神シリーズの第3作。
苦労して山を越えた子供たちが、実際には何の役にも立っていないのが困り者だ。
音楽は伊福部昭。

TV放送 95/07/21 BS11 21:30-23:00
 

竹取物語(1987年日)

加耶 かぐや姫(沢口靖子)
竹取の翁 (三船敏郎)
田吉女 竹取の妻(若尾文子)

大伴の大納言 姫に求婚(中井貴一)
車持の皇子(くらもちのみこ) 姫に求婚(春風亭小朝)
安倍の右大臣 姫に求婚
帝 (石坂浩二)
皇后 (岸田今日子)
僧上の道尊 帝の右腕(伊東四朗)
藤原の大國 帝の家臣(加藤武)
明野 子守(小高恵美)

 8世紀末。竹取の翁夫婦は、娘加耶を失って悲しんでいた。
ある時、竹林に強い光を目撃した翁は、
竹のような器の中に入った赤ん坊を見つける。赤ん坊は、あっという間に娘に成長。
加耶そっくりになった為、夫婦は娘として育てる事に。
加耶はさらに大人の美しい女性に。翁は器が金だと気付き、それで屋敷を建てる。
加耶が貴族と結婚できればと考えたのだ。
かぐや姫と呼ばれる様になった加耶は、貴族たちの間でも評判に。
噂を聞いた帝までもが、姫に関心を示す様に。
3人の貴族に求婚された姫は、子守の明野の助言で、彼らに珍しい宝物を求める。
やがて、水晶玉に触れた姫は、自分の素性を知る。
月に住んでいた姫は、船が壊れて彼女だけがこの地にたどり着いたのだ。
貴族たちは宝物を持って戻るが、いずれも紛い物と判明。
龍と戦った大納言は死んだと伝えられるが、何とか生還する。
姫は、次の満月の夜に迎えの船が来ると言った為、翁は兵士を雇って迎え撃つ事に。
やがて、巨大な宇宙船が現れ、兵士たちは弓を射るが歯が立たない。
別れを告げた姫は、宇宙船に乗り込んで去り、盲目だった明野の目が見える様になる。
帝は、人間にはまだまだ知らない途方もない事があると言い、
大納言は姫との再会を信じるのだった。

 と言う訳で、ご存知竹取物語を、市川崑監督が映画化。
物語は近年公開されたアニメ版に比べると、ずいぶんあっさりした感じ。
やはり本作のポイントは、不思議な話をSF的設定でリアルに描こうとした点だが、
逆効果だった印象。
(ETのヒットで思い付いたとの事)
怪獣風の竜が出てくるあたりは、東宝特撮の面目躍如か。

TV放送 2015/11/08 WOWOW 0930-1131
 

地震列島(80)

 地球物理学者川津(勝野洋)は、三原山等の異変に注目。
予知会々長丸茂(大滝秀二)らの対応に怒り、10日以内に大地震が来ると断言する。
だが、彼の行動は反発を受け、妻(松尾嘉代)は離婚を決意。
川津は助手芦田(多岐川裕美)との結婚を決め、
彼女を想う橋爪(永島敏行)は、それを知り、止めに向かう。
大地震が発生。芦田のマンションは崩壊し、橋爪はエレベーターに閉じ込められる。
川津と妻を乗せた地下鉄もストップ。出口はふさがれてしまう。
丸茂の乗った飛行機は、空港に墜落。高速も崩壊、地割れ、道路は陥没。
マンションからは人が落下。橋も崩壊し、川が決壊。あちこちで爆発が。
街は廃虚と化し、警察や消防は機能せず、自衛隊の救助活動も不可能な状態だ。
脱出した橋爪は、芦田の救出に成功。
一方、水が突入し、溺死を待つだけの川津ら。脱出するには、壁を破壊する必要が。
そこで川津は妻に地震の資料を託し、身を犠牲にして、充満した有毒ガスに点火。
水が引け、人々は地上へ脱出する事ができた。

 と言うわけで、東京大地震を題材に警告したような作品だが、
前半は退屈な人間ドラマ。地震が始まると、怪獣映画的爆発の連続。
いろんな破壊シーンを見せる事に終始していて、テーマがどこかへ……。
気象庁の長官だかに山崎努。

TV放送 93/09/11 08CH 21:03-23:24
 

地球防衛軍(57)

監督 本多猪四郎

 科学者白石(平田昭彦)は、小惑星がミストロイドと言う惑星だったと主張する。
やがて白石の村で地震が。友人の渥美(佐原健二)らが調査。
巨大ロボット、モゲラが出現。破壊を続けるが、何とか倒す事に成功。
足立博士(志村喬)らは、モゲラが白石の言う宇宙人のしわざと考え調査。
科学者たちの前に宇宙人が現れる。半径3qとの土地と地球人との結婚を要求。
侵略と考える防衛軍は攻撃を決定。生きていた白石は攻撃中止を勧める。
ドーム攻撃は効果なく、敵の光線は兵器を溶かす。
国際会議で地球防衛軍の設立が決定。ミステリアンが熱に弱いと考え、作戦を立案。
敵攻撃を反射するマーカライトファーブと、電子砲搭載のα号β号で攻撃。
白石の婚約者広子(河内桃子)、妹江津子(白川由美)らがつれ去られる。
渥美は工場に潜入。白石に助けられ、彼女らを救出。
ミステリアンの日本制圧の意図に気づいたのだ。彼は動力を破壊。ドームは爆発する。
円盤は宇宙ステーションに去るが、人工衛星で監視する事となる。

 と言うわけで、地球防衛軍と言う題名で、新兵器が出てくるが、
実際には平田昭彦がいなければ、勝てなかったのでは。

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宇宙大戦争(1959年)

勝宮博士 科学者(池部良)
白石江津子 勝宮の恋人
安達博士 探検隊の隊長(千田是也)
岩村 勝宮の同僚(土屋嘉男)
リチャードソン博士 探検隊の隊長
アーメット教授 ナタール星人に操られる

 1965年。世界各地で怪事件が発生。
科学者によると、ある一ヶ所の重力をなくす冷却放射線が撃ち込まれたらしい。
対抗して熱線砲が開発されるが、アーメット教授に狙われる。
実は教授は、地球を植民地にしようとするナタール星人に操られていたのだ。
そこで安達博士らが、ナタール星人の基地があるらしい月面へ向かう事に。
宇宙船スピップ号で到着し、洞窟で宇宙人と対峙。
一方、ナタール星人に操られた岩村は1号艇を爆破。
我に返った彼が犠牲となり、一行は無事帰還する。
地球では総力を結集してナタールと戦う事に。
円盤と交戦し、敵を全滅させる。

 というわけで、地球防衛軍の続編と言われる作品で、登場人物も同じらしいんだけど
もちろんモゲラ以外は記憶にない。
ナタール星人とやらが地球攻撃を進めており、池部良博士らが阻止すると言う話。
怪獣や巨大ロボとかは出ず、ひたすら円盤と地球人側の撃ち合いが展開。
宇宙人もほとんど姿を見せない。
ハードなSFアクションを狙ったと言う事かも知れないけど、
例えば敵宇宙人基地を探す一行が、
無用心にもロケットを無人にしてその間に爆破されるなど、ちょっと抜けてる感あり。
2基あるから、片方爆破されても、もう片方で全員帰還できるし。
最後に地球に戻って再び戦うのはやや異色の構成だが、
何が最後の戦いの決め手だったかはよくわからず。

DVDレンタル
 

デスカッパ(2010年)

加奈子 アイドル志望だった娘
加奈子の祖母 (桜井浩子)
国家親衛隊の隊長
自衛隊幹部 (星百合子)

 アイドル志望だった加奈子は、夢破れて故郷へ戻る事に。
尻子玉と言う田舎町で、加奈子は代々カッパ様を守る家系の出身だ。
だが、暴走する若者が加奈子の祖母を跳ねとばして死なせ、カッパ様の祠も破壊する。
その夜、若者はカッパに襲われ、逃げた女たちは謎の一団に捕われる。
加奈子はアイドル時代の歌を歌い、踊り出したカッパと仲良くなる。
だが、国家親衛隊と称する一団に捕われ、
彼らはカッパの細胞で人間を兵器に改造すると言う。
加奈子も改造されかかるが、カッパが現れ、暴れたために基地は自爆。
街にハンギョラスと言う怪獣が現れ、自衛隊が攻撃するが歯が立たない。
現れた巨大カッパが怪獣を倒すが、今度はカッパが暴れる。
そこへ巨大になった加奈子が現れ、
アイドルの歌を歌うと、カッパは静かになり、海に去っていった。

 と言うわけで、巨大なカッパが暴れると言う、怪獣特撮をモチーフにした作品。
(純粋に怪獣特撮を目指した作品ではなさそう)
物語は何部かに分かれた構成。
最初はカッパを祭る村で、本当にカッパが現れると言う話。
続いてカッパをモデルにした生物兵器を作ろうとする連中が登場する話。
最後に怪獣が登場し、巨大なカッパが戦う話。
終始カッパは出てくるものの、つながりは弱く、脈絡もない感じ。
意識的に低予算ぽい映画を目指したような所もあり、
特撮は完成度が低く、自衛隊本部は事務所みたい。
なぜか珍妙なアイドルの歌が延々と流れ、なぜか怪獣がプロレスを繰り広げ、
なぜかアイドルが巨大化する。(なぜかターザン風の衣装)
テレビ東京の深夜とかに、
時々こんな感じのマニア狙いのシュールなドラマをやってるけど、
それを長めにして映画と称した感じ。

TV放送 2012/06/20 チャンネルNECO 2010-2230
 

天国と地獄(63)

監督 黒澤明

 製靴会社重役権藤(三船敏郎)に、息子を誘拐したとの脅迫電話が入る。
だが、それは人違いで、誘拐されたのは運転手青木の息子真一だった。
犯人は3000万円を要求。権藤は会社の実権を握るため借金状態。
払えば、現在の地位を捨てる事になる。秘書川西(三橋達也)は他の重役らに寝返る。
子供を見捨てられない権藤は、支払を承諾。
犯人は特急こだまに乗れと言う。彼はどこかから見張っているようだ。
紙幣の番号を書き取り、カバンに処分すると煙の出る薬品を仕込む。
こだまに連絡が入り、鉄橋で子供を確認させ、洗面所の窓からカバンを投げさせる。
共犯がカバンを回収。現場へ急行し、真一を保護する。

 主任警部小倉(仲代達也)は本腰で捜査を開始。
目撃者から、犯人がクラウンで逃走した事が判明。
真一はエーテルをかがされ、犯人の素顔は見ていない。
電話の内容から、犯人の電話も住居も、権藤邸の近くだ。
そして、真一が監禁されたのは、その記憶から逗子、茅ヶ崎付近の海岸とわかる。
社内では反感を持つ者が多いが、工員たちへの受けはいい。国鉄関係者の線も。
発見された車の汚れと、電話の後ろの江ノ電の音から、監禁場所は腰越と判明。
真一が家を発見するが、そこでは男女が死んでいた。

 死因はヘロインによるショック死だが、口封じのための巧妙な殺人と思われる。
だが、主犯は共犯の死を確認しておらず、ニセの報道でおびき出す事が可能だ。
紙幣が使われたとの記事に、犯人(山崎努)は、あわててカバンを処分。
焼却炉からピンクの煙が上がり、カバンを捨てたのが医学生とわかる。
病院には、手に傷のある不審な男竹内が。
彼は事件当時休んでおり、住居も該当。さらに共犯は患者だった。
しかし、誘拐では15年の刑にしかならない。小倉は殺人を再現させる事を考える。
共犯の手紙を偽装し、竹内を呼び出す。
彼は売人と接触。禁断症状の女で実験し、彼女を殺害。腰越へ向かったところで逮捕。
全額が回収されるが、期限を過ぎたため権藤の家は差し押さえに。
しかし、同情した人から小さな会社を任される。
一方、竹内は死刑が確定。彼には権藤の家が天国に見え、やがて憎悪が生まれたのだ。

 と言うわけで、誘拐事件を題材にサスペンスを描いた作品。
後に、吉典ちゃん誘拐事件のヒントになったと言われる。
全体的に緊迫感があるが、冒頭の会社重役ともめるあたりや、
麻薬街をウロウロするシーンはやや退屈。
中毒患者だらけの、麻薬街は本当にあったのだろうか。
会社重役に田崎潤。警察の上司に志村喬、藤田進。工場の工員に東野英治郎。
尾行要員に名古屋章。この映画、ピンクの煙だけがパートカラー。

TV放送 93/06/25 BS05 20:02-23:30
 

電送人間(60)

 塚本と言う男が殺されるが、犯人を見た者はいない。
小林刑事(平田昭彦)と記者の広岡(鶴田浩二)が事件を追跡。
塚本は密輸に関係し、仲間の大西らを監視。だがさらに被害者が出る。
犯人は神出鬼没だ。大西らは敗戦時に金塊を隠し、
反対した須藤と仁木博士を殺害したが死体は消えたと言う。
仁木博士は物体を転送する装置を開発しており、広岡は博士が生きていると考える。
牧場に隠れ住む須藤は博士の発明を悪用。気づいた博士を殺害し大西の所へ。
大西を殺害し、警察を振り切り逃げようとするが、噴火で牧場側の装置が壊れて死ぬ。

 と言うわけで、東宝が連発した何とか人間シリーズの1作。
転送装置で神出鬼没と言うわけだが、行く先には装置を送っておく必要があり
しかも、移動したら生身の人間なので、それほど危険な存在にも思えないのだが。
転送装置の部品を発注した会社の社員、中条に白川由美。物語にたいして影響せず。

TV放送 98/11/02 BS05 22:00-23:30
 

東京湾炎上(1975年)

 東京湾を航行するタンカーが一団に乗っ取られる。
一味は政府に対し、原油備蓄基地の爆破を要求。
逆らえばタンカーを爆破すると言い、原油が流出すれば首都圏一円は死の町だ。
一方、備蓄基地を破壊した場合も、その被害は東京湾の30倍に相当する。
船員たちは抵抗するが、逆に犠牲者が出る。
政府は備蓄基地の破壊を決定。その様子はテレビ中継される。
だが、実はそれは特撮映像だった。
一味のリーダーシンバは、一箇所だけ雨が降っていた映像を不審に思い罠に気づく。
彼は乗員を解放し自爆しようとするが、不満の部下と撃ち合いに。
一味は全滅するが船長(丹波哲郎)も死ぬ。
タンカーに乗船していた館(藤岡弘)らは、一味のメモから爆弾を捜索。
1つはタンクに落下するが館が潜って回収に成功する。

 と言うわけで、タンカーが乗っ取られ東京湾炎上の危機に。
それを阻止するため、政府が出した苦肉の策はと言う展開で、
映画的にはどこが見せ場のメインのつもりか知らないが、
個人的には「苦肉の策=特撮」と言う映画だと思って見た。
同様のトリックの「カプリコン1」よりも前の作品で
しかも東宝特撮の作品だから、「いかにも」という感じだが
何か、発想に泳がされたような感じで、
主役の藤岡弘以下、なかなかの出演陣があまり生かされていない感じ。
ゲリラ一味に水谷豊。船員に宍戸錠。

TV放送
 

透明人間(54)

 自殺した男は透明人間と判明。戦時中の工作員で、もう1人いるはずとわかる。
人々が透明人間を恐れる中、透明人間による銀行強盗が多発。
記者はピエロの南条が透明人間と突き止めるが、
どうやらギャング一味が便乗して強盗しているとわかる。
一味は南条を捕らえ、始末して今までの罪を着せようとするが逃走。
警察は一味を逮捕。逃げるボスと格闘の末、ボスを倒すが南条も死ぬ。

 と言うわけで、東宝の人間シリーズの1作。かなり初期の作品なので脚本は安易。
ギャングが小さな組織だったり、ただの覆面した連中の強盗を人々が恐れたり
銃を撃っただけで爆発するガスタンクとか、おかしい事がいっぱい。

TV放送 98/11/16 BS05 22:00-23:25
 

透明人間現わる(49)

 科学者の中里は物体を透明にする薬を発明。
だが元に戻す薬がない事と、凶暴になると言う副作用のため人間には実験できない。
何者かが中里を誘拐。続いて助手の黒川までもが失踪。
宝石店に、中里を名乗る男が現れ、「アムールの涙」を要求。
服を脱ぐと男は透明人間だったのだ。警察は中里の発明を服用していると推理。
再び透明人間は宝石店に現れ、持ち主のいるホテルを聞き出す。
中里の助手関らは、川辺社長が怪しいと考え、宝石を売る話を持ちかける。
車が襲われ、透明人間に宝石は奪われるが、男は逮捕。脅されて変装していたのだ。
実は黒川だった透明人間は、関に事情を話す。
中里が人体実験を考えていると知り、身代わりになった。
そして、還元薬のために悪事を働かされたのだ。
中里の娘真智子が、関を愛すると知った黒川は、嫉妬心から凶暴になる。
宝石を奪うが、黒川の妹祐子がすり替えていた。
本物は中里の娘が持っていた。川辺は彼女を別荘へ連れ出す。
祐子は透明人間に扮し、捕らわれていた中里を救出。
黒川は宝石を奪うが、還元薬がないと知り、川辺を射殺。彼もまた死ぬ。

 と言うわけで、大映だが特撮は円谷英二。
透明の薬を作ったと言うのもちゃちだが、利用方法もお粗末。
いくらでも悪用できるのに、1つの宝石しか狙わない。警察は店をマークしないのか。
いちいち服を脱がないと透明になれないのもマヌケ。
見えないだけで、力は並だから勝てない事はないと思うが。
黒川のバカさにはあきれる。後半はどうも話のつじつまがあわない気がするが。

TV放送 93/01/09 04CH 02:45-04:25
 

透明人間と蝿男(57)

 3カ月間に凶悪犯罪が続発。いずれも手がかりがなく、被害者は無抵抗だ。
警官の若林が担当。最初の被害者3人は、戦争中南の島で一緒だった。
容疑者田島を尾行するが、彼はわずかな間に殺されてしまう。
実は不動産業者の楠木が、山田に戦争中開発した薬でミクロ化させ、
島に置き去りにした連中を殺害させたのだ。
山田はさらに、嫉妬心から恋人やその友人たちを殺害。
若林の友人月岡は、透明光線を研究。助手杉本が自ら人体実験をする。
羽山刑事が殺害され、若林は犯人は蝿男であると推理。
蝿男は楠木の指示で透明装置を奪いに研究所へ。早川博士と杉本を殺害する。
だが、彼は薬の中に落ちて死亡。若林は楠木が糸を引いていたと考え逮捕に。
透明になった月岡が証拠をつかんでおり、楠木も観念。彼も蝿男になり逃走。
手配の中、蝿男は殺人を繰り返す。列車を爆破。790名の死者を出す。
彼は透明装置を要求。ヘリで現れた楠木は、装置を奪い去ろうとするが、
透明になっていた早川の娘に捕まり、撃ち合いの末死ぬ。

 と言うわけで、全体的に安易な話であるにも関わらず、
いろんな登場人物が入り乱れて、把握しづらい。
ミクロ化の薬はともかく、空まで飛べるようになるとは不可解。習慣性もあるようだ。
透明光線を一度当てると、還元光線を当てない限り透明のままと言うのも変。
最初などは、顔などは透明にならなかったりした。
蝿男が、途中から人が変わるのも意外な展開。爆弾で790名も死ぬのもあきれる。
小さいと言うのは、意表をつけるだけで、さほど危険には思えないが。
なぜ透明光線をやたら欲しがったかも不明だ。

TV放送 93/01/23 04CH 02:15-04:10
 

虎の尾を踏む男達(1945年)

監督 黒澤明

 1185年。平家は滅亡し、頼朝は弟義経を討とうとする。
家臣弁慶(大河内伝次郎)が率いて、奥州藤原家のもとへ逃走。
まさに虎の尾を踏む心境で峠を越える。
強力(榎本健一)は、弁慶らが山伏に扮して峠越えしようとしているが、
関所で見つかれば殺されると言うが、同行している連中が彼らと知ってビックリ。
一行も行くべきかとどまるか考え、結局押し進む事を決意。
関所の役人富樫(藤田進)は、一行を怪しむが、
弁慶が勧進帳を言えたので本物と認める。さらに義経を殴って信用させる。
富樫はとがめず一行を通す事に。
義経も自分を守るための無礼を許す。

 と言うわけで、黒澤明が戦後直後に作ったらしき作品で
1時間の短さだが、敵に見つからずに関所が越せるかと言うような
サスペンス風の展開が面白そうだったが
肝心の最後が録画切れ。

TV放送 2002/08/30 BS05 2305-0005
 

日本以外全部沈没(2006年)

おれ 新聞記者
キャサリン おれの妻
安泉総理大臣
石山防衛庁長官
田所博士 地震学者
ジェリー・クルージング 人気俳優
エリザベス 人気女優。ジェリーの妻

 2011年。アメリカは1週間で海に沈む事態に。人々は日本へ避難する。
田所博士(寺田農)は、大規模な地殻変動はこれでは済まないと言う。
やがて中国大陸が沈没。ユーラシア、アフリカ、オーストラリアが続く。
2014年。日本は外国人だらけになり、人口は5倍に。
外国人は落ちぶれ、最初は重宝された人気俳優ジェリーもエキストラをするハメに。
ジェリーの妻である女優エリザベスは体を売る。
首相(村野武範)は外人犯罪を撲滅するためGATを創設。強権をふるう。
外国人を蔑視する記者「おれ」に愛想を尽かした妻キャサリンは、
万引で逮捕されたジェリーと共に連行される。
某国総主席の一味は首相を人質に取り、議事堂を制圧する。
石山防衛庁長官(藤岡弘)は自爆。再び地震が起こり、日本も沈んでしまう。

 と言うわけで、「日本沈没」をネタに日本以外が沈没したらと言う発想の話。
とは言え、沈没の派手なシーンよりは
外国の人々が日本に来て、彼らが日本にペコペコする一方で、
日本人が彼らを差別すると言う描写が続くわけで
アメリカに右にならえの日本の現状を風刺したような感じ。
派手な特撮を期待してわくわくするよりは、皮肉とか風刺とかでクスリとさせる映画。

TV放送
 

日本誕生(1959年)

小椎命(オウスノミコト) 後の倭建命(ヤマトタケル)(三船敏郎)
景行天皇(スメラミコト) 小椎命の父
大椎命(オオウスノミコト) 小椎命の兄。女好き
大伴建日連(オオトモノタケノヒムラジ) 小椎命を快く思わない(東野英治郎)
倭姫(ヤマトヒメ) 小椎命の伯母(田中絹代)
弟橘姫(オトタチバナ) 小椎命に気に入られた女(司葉子)
美夜受姫(ヒヤズヒメ) 倭建命の命を狙うが、気にいられた女(香川京子)
吉備武彦(タケヒコ) 小椎命の家来(平田昭彦)
熊曽建(クマソタケル)兄 (志村喬)
熊曽建(クマソタケル)弟 (鶴田浩二)
八雲(ヤクモ) 小椎命の家来
薊(アザミ) 八雲の恋人(水野久美)
大伴久呂比古(駿河のフユヒコ) 倭建命の命を狙う(田崎潤)
大伴小建(コダテ) 倭建命の命を狙う

[神話時代]
伊邪那岐神(イザナギ) 男神
伊邪那美神(イザナミ) 女神
須佐之男(スサノオノミコト) 天照大神の弟(三船敏郎)
天照大神(アマテラスオオミカミ) (原節子)
思金神(オモイカネノカミ)  天照大神の一件でアイデアを出す
天宇受女命(ウズメ) 天照大神の一件で踊りを踊る(乙羽信子)
手力男命(タヂカラオノミコト)  一番の力持ち
奇稲田姫(クシイナダヒメ) ヤマタノオロチの生け贄にされる娘
足名椎(アシナヅチ) 奇稲田姫の父
手名椎(テナヅチ) 奇稲田姫の母

 まだ地上が固まってない頃、高天ヶ原に10人の神が生まれた。
一番最後が伊邪那岐神と伊邪那美神だった。
二人は夫婦となり、多くの神を産んだと伝えられる。
 小椎命は、女癖の悪い兄大椎命を追い出す。
小椎命を邪魔に思う大伴建日連は、大椎命を始末し、小椎命の仕業とする。
そのため、小椎命は熊曽建征伐に出される事に。
小椎命は、見送る弟橘姫に一目惚れする。
熊曽建弟は交渉を持ちかけるが、小椎命は聞き入れず、女官に扮して熊曽建兄を倒す。
さらに倒された弟は、小椎命の強さを認め、倭建命の名を与える。
だが、大伴建日連はそれを認めず、休息もとらぬまま東の国平定に向かわせる。
 老婆が神話時代の話をする。
乱暴者の弟須佐之男をかばいきれない天照大神は、天の岩戸に隠れてしまう。
あたりは暗くなり、悪い神がはびこり、災いが起こるように。
神々は相談し、岩戸の前で女神の裸踊りで騒ぐ事に。
気になった天照大神が覗くと、大男が岩戸を開け、あたりは元の明るさに戻った。

 倭建命は、父が自分が死ぬ事を望んでいると嘆く。
伯母はヤマタノオロチの尻尾から得たと言う剣を授け、
父景行天皇は息子の事を思っていると告げる。
昔、須佐之男はある村にたどり着き、
奇稲田姫と言う娘がヤマタノオロチと言う大蛇の生け贄にされると知る。
須佐之男は強い酒でオロチを眠らせて倒し、奇稲田姫と夫婦になる。
倭建命は、弟橘姫に同行を求めるが、
彼女は身分違いと身を引き、倭建命は失意のまま旅立つ。
道中、美夜受姫と言う女に命を狙われるが、彼女は倭建命が善人と知り思いとどまる。
倭建命は彼女を気に入り、婚姻する事に。
だが、倭建命を忘れられない弟橘姫が、彼を追ってくる。
大伴久呂比古に命を狙われた倭建命は、
剣を授けたのは伯母で、やはり父には命を狙われていると知る。
信じられない倭建命は、東の国へ行くのをやめ、引き返す事に。
船が嵐に遭遇し、この災難は自らのせいと、弟橘姫が海に身を投げると、嵐が収まる。
倭建命が戻ったと知った大伴建日連は、
景行天皇の命令と称して、家来に倭建命を襲撃させる。
倭建命が弓でやられると、白い鳥が飛び立ち、火山が噴火を始める。
敵の兵士は溶岩に飲み込まれ、鳥は天の世界へ飛んでいった。

 と言うわけで、映画全盛期には、聖書とかローマ時代の話を
大スペクタクルで描く作品が多発されたが、
我が日本にも神話ありと、神話の時代をまさにオールスターキャストで描いた大作。
物語はヤマトタケルの物語を中心に描くが、
さらに昔の話として、イザナギイザナミの話、アマテラスオオミカミの話、
スサノオノミコトのヤマタノオロチ退治の話等、まさに日本が生まれた頃の話も登場。
ヤマトタケルの方も、クマソ征伐の話とか、
火に包囲されるが脱出する話とか、有名なエピソードが描かれる。
ただ難を言うと、これは映画だけのせいではないけれど、
登場人物の名前がわかりにくい。
セリフだけで語られても、誰の事やら。
オウスノミコトとオオウスノミコトなんて嫌がらせみたい。
超豪華なキャストだが、チョイ役も多くて、
有名俳優がどこに出てるかわからなかったりも。
もう少し見せ方に工夫があってもいいかな。
ところで、日本誕生と言えば、
ヤマタノオロチが出てくる怪獣映画と言う印象があったが、もちろん大きな間違いで、
その手の特撮は、オロチと最後の噴火くらい。
後半話がだれるが、日本の神話をおさらいするにはちょうど良い感じ。
特撮監督は円谷英二。音楽は伊福部昭。

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日本沈没(73)

 無人島消滅をめぐり、田所博士(小林桂樹)は技師小野寺(藤岡弘)と海底を調査。
田所は山本首相(丹波哲郎)らに、地殻の変動が日本沈没を招くと予言する。
政府らは極秘にD計画として対応を検討。
そんな中、関東地方に大地震が発生し、360万人が死亡。
田所は、2年以内に日本が沈没する確率を70%と報告する。
そのため、首相らは各国へ移民受け入れを求めるよう交渉。
小野寺は資産家の娘玲子(いしだあゆみ)と結婚を決意するが、
富士山の噴火ではぐれてしまう。各国の救援活動が始まるが、各地が水没。
1000万人が死亡し、残された時間はあと11日に。
小野寺は救助活動を続けるが、D計画は終了。
首相らも脱出する事になるが、田所は日本と心中すると留まる。
小野寺と玲子は共に生き延びるが、会う事はなかった。

 と言うわけで、日本が沈没すると言う奇想天外な物語はSF的で面白いのだが
後はその対応を地味に描くばかりで、大ヒットしたのがウソのよう。
内閣調査室からD計画に参加した男に二谷英明。

TV放送 99/08/02 BS05 22:00-00:25