ミュンヘン」(2005年)を見た。

 この映画はスピルバーグの新作で、
最近のスピルバーグの問題点は、映画がやたら長い点と
深刻なの作ったり、脳天気なの作ったりと筋がない気がするあたり。
まあ、そんな恨み言を言いつつも、結局割に見てるんだからやはり注目監督か。
今回の作品は、ミュンヘン五輪襲撃事件の後の話を描いた作品で
実は「ブラックサンデー」を見て以来、その付近の話には少なからず関心が。
黒い九月という集団が、イスラエル選手村を襲撃したと言う事件で
ドキュメンタリー「ブラック・セプテンバー 五輪テロの真実」にも描かれた話だ。
そしてその報復として、イスラエルが関係者の始末を指示したと言う話も知っていて
実はずいぶん前にそう言う本を読んだ事があったのだが
何の事はない、その本こそ今回の映画の原作だと言う。
あの本は、本なのでちょっと退屈だったが、映画で見れば違うかも知れないし
そもそも出演者に、エリック・バナとダニエル・クレイグと言う
新ボンドになった人と、候補の人が共演しているのも見所。これは見るしかない。

 1972年9月5日。ドイツミュンヘンの五輪選手村。
数人の男たちが侵入していた。
彼らは「黒い九月」と言われるパレスチナゲリラの一味で、
イスラエル選手団の選手、コーチら11人を人質にする。
やがて、ドイツ警察の失態もあり、全員が殺されてしまう。
これに対して、鉄の女ゴルダと言われる首相は、各国の対応に怒りを覚え
秘密裏にゲリラ一味11名に報復を加える事を決定する。
イスラエル政府は公式には支援できない秘密の作戦だ。
モサドのメンバーであるアヴナー(エリック・バナ)がリーダーに選ばれる。
作戦に参加するためには、モサドをやめねばならず
その目的は妻ダフナにさえ告げる事が出来ない。
もっとも妻は、夫の雰囲気から何となく察していたようにも思えるが。

 集められたメンバーは、車のプロスティーブ(ダニエル・クレイグ)、
後始末のプロカール、爆弾のプロで、実はただのオモチャ屋ロバート、
文書偽造のプロハンスの4人だ。
まず情報屋から居場所を突き止めたズワイテルが、最初の標的となる。
彼が1人になるのを待ち、射殺に成功。一同は成功に喜ぶ。
続いて、フランス人の情報屋ルイと知り合い、
彼から次の標的ムシャリがパリにいると聞く。
ムシャリの家の電話機に爆弾を仕掛け、電話をとった所で爆破する寸法だ。
第三者を巻き込まないように、娘が学校へ出るのを待って作戦実行。
ところが、知らない内に娘が忘れ物を取りに戻っていて
かかってきた電話に出てしまう。
それに気づいてあわてて爆破をストップ。
改めて、娘の外出を確認し、標的を始末する。

 次の標的はフセイン。
ホテルの部屋に爆弾を仕掛け、念のためアヴナーが隣の部屋に泊まり確認する事に。
バルコニーで偶然フセインと会ったアブナーは、フセインと何食わぬ会話をする。
ためらうアヴナーだが、爆破を指示。
すると、予想外に強力な爆発で、両隣の部屋まで爆破。
ロバートは入手した火薬が指示した物と違ったと言うが。
3人の標的、ユセフ、アドワン、ナセルが一堂に会するとの情報を得て
モサドチームと合流し、激しい撃ち合いで、一味を倒す。
だが、情報屋ルイは事態を知り、アヴナーが政府の者ではと疑うように。
ルイの父「パパ」(ミシェル・ロンズデール)はアヴナーを家へ迎え入れ歓待。
だが、「政府とは仕事をしない」と警告する。

 続いて、連絡係ムシャシの情報を得る。
途中11人の中にいない人物も始末する事になって、それがムシャシだったと思うが
一味を一掃したいと言う気持ちから、アヴナーは彼も始末する事を決意。
情報屋が用意した隠れ家で一晩過ごすが、
情報屋は他の連中にもここを貸していて、一晩共にする事に。
ところが、それが何とパレスチナゲリラだった。
アヴナーらは自分たちが志を同じにするようなフリをしてごまかすが。
翌日、ムシャシを爆殺しようとするが、爆弾が不発。
ハンスが独断で手榴弾でムシャシを爆殺。
ロバートがもともとただのおもちゃ屋で、爆弾には詳しくない事が発覚。
チーム内がギクシャクし始める。

 次の標的はサラメで、雨の中路上で殺害しようとするが、
酔っぱらったアメリカ人に人違いで声をかけられ、失敗してしまう。
だが、彼らが実はCIAで、わざと妨害したのではと言う疑惑がわいてくる。
ホテルでアヴナーはジャネットと言う女性に声をかけられるが断る。
一方で、カールが彼女の誘いに乗るのだが、
アヴナーが気がつくと、カールは彼女に殺されていた。
情報屋ルイから、彼女がフリーの殺し屋だと聞き出したアブナーは
標的でないにもかかわらず、彼女を始末する事を決める。
これにロバートはとまどい、「我々は高潔な民俗なはず」と言い出す。
仕方なくロバート抜きで向かい、ジャネットを射殺。
ジャネット殺害を冷徹にやったハンスは、その後後悔したのか一人で気晴らしに散歩。
だがベンチで死体で見つかる。
チームから抜けた形になったロバートは、得意のオモチャ作りで気晴らしするが
なぜか爆発を起こして死んでしまう。

 2人だけになってしまったアヴナーとスティーブ。
作戦を続行しようと、2人で標的のアジトへ乗り込むが見つかって退散。
アヴナーは次第に神経衰弱になり、
ホテルのイスやらベットに盗聴機があるのではと調べて回り、
こうなった者が落ち着くというクローゼットで寝るように。
やがて作戦は中止になり、アヴナーは妻ら家族の元へ帰る事に。
だが、彼の仕事は公式には評価されず、関係者に賞賛されるのみ。
それどころか、常に監視されているのではと不安に感じるのであった。
最終的に、リストの11人の内、9人が殺された。

 と言うわけで、物語はJFK式に、まず事件発生。
それから主人公らが動き出すパターン。
そしてリストにある11名を順番に始末していくわけで、
おかげで、今何人始末したから、まだ映画の序盤だなとか、中盤だなとか
だいたい見当がつくのは、長いスピルバーグ映画ではありがたい所。
敵側に「ジャッカルの日」のモデルになったジャッカルの話が出てきたり
そのジャッカルを追ったルベル警部役の人(あるいはドラックスの人)が
情報源の一味にいたりして、何となくこの手の話の好きな人の心をくすぐる感じ。
この手の映画では、ジョン・ウイリアムスのうまさは毎度の事だし
暗殺の手口も、毎回変わっているあたりが面白い。
爆弾屋の正体には、「飛べ!フェニックス」みたいなオチがあるし
まあ、前半は淡々とした展開だから、ちょっと退屈な面もあるけど
それなりに面白く見られる。
ところが後半になると、雰囲気が暗くなっていき、仲間が殺されたり
ノイローゼになったり。
ブッシュ大統領の政策とかを批判し、
報復しても、終わりにはならないと言うようなメッセージを伝えたいのはわかるが
さほど新しいテーマではないし
そもそも主人公の様子は、「カンバセーション盗聴」を見ているようで
どことなく全体的に、見た事ある話の組み合わせという感じ。
エリック・バナはちょっとエラがはった感じで、ボンドには不似合い。
そう言う意味では、ダニエル・クレイグで正解と言えるが
彼がメンバーの中では、最も人間味がない感じ。
ボンドの事はさておき、全体的にもう少し面白い映画を期待したが、後味は悪い感じ。
 

ミラーズ(2008年米)

ベン 元刑事(キーファー・サザーランド)
エイミー 別居中の妻。検死官(ゴーストプロトコルのチームメンバー)
マイケルとデイジー ベンの子供
アンジェラ ベンの妹(アドレナリンのヒロイン)
ロレンゾ 仕事を説明する男
ラリー 刑事
アンナ・エシカー カギを握る人物

 NY警察を辞めた元刑事のベンは、廃屋となったデパートの夜警をする事に。
デパートは火事で焼けたのだが、ベンは鏡の中で人が燃える幻覚を見る。
以来、あらゆる鏡から誰かが見ているように感じる。
前任者ルイスはのどを切り裂かれて死亡していた。
検死官である妻エイミーに頼んで遺体を見るが、エシカーと呼ぶ声を聴く。
ベンの妹アンジェラが口を引き裂かれて死に、ベンは責任を感じる。
デパートの火事は放火によるもので、放火犯も鏡が犯人だと叫んでいる。
精神医によると、鏡の存在を別人と思う者は、2つの世界があると思い込むと言う。
デパートはかつて病院で、アンナ・エシカーと言う少女が精神病棟にいたとわかる。
記録では患者たちが殺し合い、病院が閉鎖されたのだ。
アンナはその際死んだとされていたが、実は生きていて兄らが修道院に入れたと判明。
ベンはアンナを見つけ出し、家族が標的にされていると協力を求める。
その頃エイミーも鏡の中の世界から襲われ、必死に抵抗していた。
ベンがアンナを病院の拘束室へ連れて行き祈ると、
魂のようなものが現れてアンナを巻き込んで爆発。
ベンは悪魔のような存在と格闘して、何とか倒すと、エイミーたちは危機を脱する。
ベンは崩壊した建物を脱出して外へ。
一見普通の世界だが、周囲の文字が逆になっている事に気づく。
そして鏡に自身の姿が映っていないのだった。

 と言うわけで、24のキーファー主演映画だが、サスペンスではなくてホラー。
キーファーは元刑事だが失業中で、火事を起こしたデパートの夜警をする事に。
このデパートには何かあるらしく、
関わった者がことごとく鏡の中の存在に怯え、さらには危害を加えられるのだ。
キーファーは元刑事の行動力で真相を探るべく動き、一応は解決した形だが。。。
何が原因かとか、殺された人と殺されずに済んだ人の違いは何かはわからないまま。

TV放送 2010/04/09 WOWOW 2200-2351
 

未来警察(85)

 ラムジー(トム・セレック)は暴走ロボット対策の、警察一の権威だ。
家庭用ロボットが殺人を犯し、夫のジョンソンも抹殺される。
彼が勤めたベクトロコン社へ。重役秘書ジャッキー(カースティ・アレイ)に会う。
彼女からルーサー(ジーン・シモンズ)が黒幕で、ホテルにいると聞き出す。
ラムジーらが踏み込むが、ルーサーは逃走。トンプソン(シンシア・ローズ)が負傷。
組織と関係するルーサーは、最新のロボット兵器を駆使しているのだ。
ジャッキーがチップの原版を持っていると判明し、ルーサーをおびき出す事に。
だが、ジャッキーは刺殺され、発信器を見つけた警官も殺人ロボにやられる。
ルーサーはラムジーの息子ボビーを誘拐。建築中のビルへ呼び出す。
高所恐怖症のラムジーは、エレベーターに苦戦するが、ルーサーと格闘。
反動で転落したルーサーは、自分の仕掛けた殺人ロボットにやられる。

 と言うわけで、今より少しだけ未来という設定の話。
暴走ロボット退治だが、警察よりも製造会社の役目では。
いろんな秘密兵器が面白いが、警察がまったく知らないものばかりと言うのも変。
キッスのボーカル、ジーン・シモンズの悪役は出色。
署長役に、ポリアカのハリス警部役の奴。
音楽は、ジェリー・ゴールドスミス。

TV放送 93/05/15 08CH 21:02-22:54
 

未来世紀ブラジル(85)

監督 テリー・ギリアム

 20世紀某所。爆破事故が相次ぎ、ヘルプマンは撲滅運動を開始する。
タイプの故障が原因で、バトルは爆破犯として逮捕される。
情報省記録局のサムは、隣人バトルの誤認逮捕申請に来た女性ジルが、
夢の中で助けようとしている女性だと気づく。
彼は母の尽力で検索局への昇進が決定するが、昇進する気がない。
冷房装置の修理に現れたタトル(ロバート・デニーロ)は、違法な技師だった。
彼が情報省に追われている事に気づいたサムは、
続いて現れた正規の技師スペーア(ボブ・ホスキンス)らを書類不足と追い返す。

 カーツマン(イアン・ホルム)は、バトルの尋問手数料を取りすぎた事に気づく。
サムが未亡人ベロニカの所へ手数料を返しに行き、ジルを見かける。
コンピュータでジルを調査するが、機密として、昇進しない限りアクセスできない。
母のパーティでヘルプマンに会ったサムは、情報検索局への昇進を認めさせる。
再びジルを調査するが、友人のジャックに聞けとの答が出た。
ジルは誤認逮捕の目撃者で、各地で爆破活動をしているらしい。
偶然現れたジルをサムが捕まえ、彼女を逮捕させまいとする。
ジルは受け取った包みを爆弾と考え、検問を無理矢理突破させる。
やがて爆発事故が発生するが、包みは爆弾ではなかった。

 サムはジルと再会。サムはヘルプマンの部屋に侵入し、ジルの記録を消す。
抱き合う2人だが、警官隊が乱入。
ジャックの尋問が始まるが、タトル一味がかけつけ逃走。建物を爆破。
タトルは体にまとわりついた新聞の中に消えた。
サムは教会へかけ込む。警官隊が現れ、棺の中からドロドロした死体が。
中に飛び込むと、底抜けで落下。警官隊に追い回され、ドアが開き、部屋の中へ。
風景が動きだし、ジルの運転するトラックの荷台に。2人は山の中で生活する。
ヘルプマンとジャックは、サムの洗脳に成功したと話す。

 と言うわけで、夢の中のシーンが出てくるだけでも大変なのに、
現実のシーンからしてかなり幻想的だ。
メニューの番号を言わないと決して食事の来ないレストラン。
殺風景なオフィスに、個人用のせまい部屋。机は隣の部屋と兼用。
拷問のうめき声までタイプする秘書。
原発のような所で、防護服でバレーボールをする者たち等。
まるで夢のような展開。最後などはまさしく夢だ。
しかし、それにしては、最初の方の展開が意外に現実的だった。
もっともっと奇想天外な展開でもよいのでは。

TV放送 92/02/23 10CH 01:10-03:30
 

未来は今(94)

 大企業ハッドサッカー社の社長が飛び降り自殺。
大卒だがドジなノービル(ティム・ロビンス)はこの会社のメールボーイに。
重役シド(ポール・ニューマン)らは、会社が乗っ取られる危機と恐れ
会社の評価を落とす社長を探し、ノービルに白羽の矢を立てる。
おかげで株は暴落。新聞社は社長の正体を知りたがり、
記者エイミー(ジェニファー・ジェーソン・リー)は秘書に扮して接近。
重役たちの罠を意に介さないノービルは、フラフープのアイデアを出し
シドはこれを売り出す事に賛成。しかし意外にもこれが子供たちに大流行。
株価は上昇するが、次のアイデアは出ず、従業員のリストラを展開。
曲がるストローを思いついた、エレベーター係バズのアイデアを却下。
シドはアイデア盗用の濡れ衣を着せて、お払い箱にして新社長に。
バズらの非難を受け自殺を図るが、地面寸前で天使(チャールズ・ダーニング)に
助けられる。かつてノービルがシドに届けようとした前社長の遺言によれば
すべての権利を次期社長に譲るとあったのだ。シドはショックで倒れ
ノービルは経営者として、フリスビーを生み出す。

 と言うわけで、ちょっと抜けてるお坊ちゃん風の役柄が似合うティム・ロビンス。
フラフープ、曲がるストロー、フリスビーと発明ネタが連発し
実話とは思えないが、思いがけず出世してしまう展開などなかなか楽しめる。

TV放送 2000/02/11 BS11 1500-1700
 

未来惑星ザルドス(74)

監督 ジョン・ブアマン

 2293年。神ザルドスを崇め、ブルータルスを殺すのが目的の殺戮者たち。
そのゼット(ショーン・コネリー)は、飛行する石像に乗ってボルテックスへ。
メイらはゼットを捕まえ、アウトランド統制のため、彼を研究する事に。
コンセラ(シャーロット・ランプリング)は彼を危険視する。
ボルテックスの人間は死なないが、罪を犯すと年をとらされ、もうろく者にされる。
そこの者は、不老不死を作った科学者も含めて、死を望んでいた。
ゼットは「オズの魔法使い」がザルドスと知り、復讐に来たのだ。
ボルテックスは外界を遮断していたが、ゼットが怒りやセックスを持ち込んだ。
彼は、この進歩のない社会を破壊すべきと考える。
世界をコントロールするタバナクルの破壊に成功。
人々は殺される事に喜び、侵入した殺戮者に次々と殺される。
ゼットは、彼を愛するようになったコンセラと共に洞窟へ。
2人で子供を作り、やがて子供が旅立ち、2人は年老いて骨になった。

 と言うわけで、いろいろな意味がありそうだが、あまりよくわからない。
「オズの魔法使い」のくだりも、テレビではまったくわからない状態だ。
不老不死の社会に、進歩がないと言うのはわかるのだが。
最後の、骨になるシーンだけは妙に印象的だ。

TV放送 93/03/30 06CH 02:30-04:12
 

ミラクルマスター 七つの大冒険(82)

 邪教の教祖マークスは、ゼット王の息子に殺されると予言される。
そのため、魔術師に王妃を殺害させ、腹の子供を取り出し、殺させようとする。
だが、村人に助けられ、彼は剣士ダール(マーク・シンガー)に成長。
村はジャン族の襲撃で全滅。動物と会話できるダールは、ヒョウ等を連れて旅に。
娘キリ(タニア・ロバーツ)と出会うが、彼女は奴隷で逃げ出せない。
アルーク城で、いけにえにされた子供を助ける。マークスはゼットの息子と気づく。
住民によれば、国王は牢に監禁され、今はマーカスが支配しているのだ。
ゼットの息子タルと、用心棒のセス(ジョン・エイモス)と合流。
ゼットを救出するため、まず実はタルの従兄弟であるキリを救出。
続いて、城に潜入。死の番人を倒し、ゼットを救出する。
だが、復讐に燃えるゼットは、無謀な計画を立て、反対するダールを追放。
計画は失敗し、ダールは救援にかけつけ、キリたちを救出。
ゼットは、ダールが自分の息子と知るが殺され、ダールはマークスを倒す。
ジャン族が襲撃。石油の川に火をつけ撃退。敵の王との対決にも勝つ。
タルを新しい国王に推し、ダールは立ち去り、キリは彼についていった。

 というわけで、コナンもどきの映画。
マーク・シンガーとか、タニア・ロバーツと言う連中が、この手の話にミスマッチ。
画面全体が暗いし、魔術とか、動物を操る能力とかが、ほとんどいかされていない。

TV放送 92/05/17 10CH 21:02-22:54
 

ミリオネア(1998年)

 ジギーら一味とダニー、ダラッソ氏の金庫を襲撃。
撃ち合いの末退散するが、ダラッソの部下モー(ゲーリー・ビシー)によると
120万ドルの損害を受けた事になる。
だが、実際はモーはジギーらと通じていて、金はダニーが持ち逃げしたらしいと話す。
ダニーは故郷の町へ戻り、元恋人ブリットと再会。
ブリットは保安官バール(マイケル・マドセン)と結婚していた。
ダラッソの兄ロージーらは、ジギーらを襲撃するが、返り討ちにあう。
ジギーらはダニーに会うが、モーが金を独り占めしたらしいと判明。
ダラッソはモーの裏切りを知り彼を始末。続いてジギーらを狙う。
ダニーはジギーらと共に製粉所襲撃を計画するが、
ブリットの娘エラが、自分の娘と知ったダニーは改心。
しかし、ジギーらは独自で襲撃。退散しようとするが、
ダラッソ一味が現れたと知り逆戻り。
パレードのさなか撃ち合いになり、ジギーはダラッソに捕らわれるが自爆。
エラを助けたダニーをバールは見逃し、ダニーは町を出る事にする。

 と言うわけで、トラボルタの兄貴が監督で
出演者にマイケル・マドセンとかゲーリー・ビシーなんて名前があるので
ちょっと期待したが、まずこの2人は脇役で、出番が少ない。
その他の俳優は知らない連中ばかりな上、
人物関係がわかりにくく描かれているので、なかなか状況が理解できず
それほどもったいぶった内容でもなかったと最終的に気づく感じ。

TV放送
 



ミリオンダラー・ベイビー」(2004年)

 クリント・イーストウッドの作品はだいたい押さえているが
かつて「メイク・マイ・デイ」とすごみ、過激と言われた彼も、
最近はアカデミー賞の常連となり、「いい映画」を作る人と評価されたようだ。
「ミスティックリバー」はちょっと暗い感じの映画で、自身も出演しなかったが
今回は女性ボクサーの話で、その世界が面白おかしく描かれている気がして見る事に。

 物語はスクラップ(モーガン・フリーマン)の回想という形に。
彼は元ボクサーで、チャンピオン挑戦前に片目を失明して引退。
今はジムに住み込みで掃除の仕事をしており、
所属するボクサーも、彼の過去を知る者はいない。
事務のオーナーはフランキー(クリント・イーストウッド)。
今も黒人ボクサーのコーナーにつき試合に。
出血で苦戦するボクサーだが、血止めのプロと言われる彼の技で止血。
どうしても勝ちたいと言うボクサーにアドバイスを出し、
奇跡的な逆転で勝利を収める。
フランキーを慕うボクサーだが、チャンピオン戦は待てと言う彼に待ちきれなくなり
「教わる事は教わった」と言ってついにジムを飛び出してしまう。
やがて彼は別のジムからチャンピオンに。
「引きすぎては勝てない」と言うのが、この世界の鉄則だ。
フランキーは毎日教会に通うが、まじめなのかふざけているのかわからない彼の態度に
牧師も手を焼いている。
娘は音信不通だが、彼は何通も手紙を書き続け、宛先不明で戻ってきている。

 ジムには、ハートだけで技術のないボクサーと、
技術だけでハートのないボクサーがいるが、どちらも大成しそうにない。
ある頃からマギー(ヒラリー・スワンク)と言う女性が通うようになる。
女性ボクサーは受け付けないと言うフランキーだが、
彼女は他のジムへ行く気はなく、フランキーに教わりたいと言う。
しかも年齢は30歳で、デビューするには遅すぎる。
スクラップが月謝を受け取ってしまったため、出入りは許す事に。
スクラップにこっそり借りたパンチングボールで練習。
金のないマギーは、昼はウエイトレスをして、残飯を持ち帰るほど。
だが夜は熱心に練習を続けるが、我流でなっていない。
ある時フランキーと口論になり、泣かれた挙句、
ついにフランキーもレッスンする事を承諾。
決して質問をしないと言うのが条件だ。
フランキーのアドバイスで、次第にコツをつかむようになるマギー。
やがて試合にも出られるように。
最初は苦戦し、彼女を気に入ったと言う別のオーナーに引き取られる。
マギーは不満だったが、
実はこのオーナーは、彼女を育てようと言う気はさらさらなく、
試合を組むためのダシに使っただけとわかる。
それを知ったフランキーはマギーを再び引き取り、二度と見捨てないと誓う。
フランキーの指示で連勝するマギー。
連続KOで鼻を折られたりもするが、平気の様子のマギー。

 ファイトマネーを稼いだマギーは、フランキーを連れて家族の所へ行く事に。
フランキーの指示で家族のために家を贈る事にしたのだが、母は素直には喜ばない。
母と妹は不正に補助を受けていて、家などもらったら補助が受けられないと言うのだ。
弟は刑務所にいると言う。
彼らに失望したマギーだが、とりあえず住んでみようと言う母。
帰途、2人はレモンパイのうまい店で休憩。フランキーはこんな店を持ちたいと言う。
マギーは今は亡き父の思い出を話す。弱っていた愛犬を安楽死させた話だ。
いよいよ世界チャンピオン挑戦が見えてくるマギー。
世界チャンピオンから話もかかるが、反則の多いチャンピオンには警戒。
不満のマギーだが、フランキーには従う事に。
イギリスチャンピオンと対戦する事になり、フランキーは彼女にガウンを贈る。
そこにはゲール語で「モ・クシュラ」と書かれていて、彼女には意味がわからないが
現地の人々にはわかるので、モ・クシュラの大合唱に。
その意味は、世界チャンピオンになったら教えると言うフランキー。
イギリスチャンピオンも倒し、ついに世界戦の気運が高まる。

 ついにチャンピオン戦が現実になる。相手は反則ばかりするドイツ人ビリー。
ファイトマネーをめぐり、フランキーと相手のオーナーがもめるが
マギー人気を考慮して、50−50で話をつける。100万ドルの大試合だ。
試合はベガスで行われ、マギーの希望で行きは飛行機、帰りは車と言う事に。
彼らの留守中、ハートだけのボクサーが、技術だけのボクサーに叩きのめされる。
イジメに怒ったスクラップが割って入り、
彼が元ボクサーと知らない技術だけのボクサーはバカにするが、
スクラップは彼をこてんぱんに叩きのめし、やめちまえと言う。
気がつくと、ハートだけのボクサーも姿を消していた。
試合はマギーが善戦するが、ビリーは反則を駆使してなかなか勝たせない。
フランキーの指示で打撃を与え、勝利まで後わずかに思えたが
ビリーはゴングの後に背後から攻撃。
マギーはフランキーが出してしまったイスの上に転倒し、頭部を強打してしまう。

 マギーは病院に担ぎ込まれるが、脳に損傷を受けて半身不随に。
回復は不可能と診断される。
フランキーは電話をかけまくるが、彼女を治療できる医師はいなかった。
仕方なく地元へ戻る事に。救急車での帰還に、望みが叶ったと言うマギー。
フランキーはジムを置いて、必死の看病を続ける。
マギーの家族にも連絡を取るが、なかなか現れない。
ようやく現れる母と妹、出所した弟だが
どう見てもユニバーサルスタジオ(字幕ではディズニーランドとなっていた)
へ行った服装だ。フランキーは面会を止めるが、マギーは家族と会って喜ぶ。
だが、弁護士の出した書類にサインしろと言い出す母。
動けなくなる前に、彼女の財産について決めておきたいと言うのだ。
試合は見たのかと聞くと、あんな物には関心がないし、負けたんだろうと言い放つ。
失望したマギーは家族を追い出す。
再びフランキーが看病を続けるが、片足が弱り切断される事に。
その頃から、マギーは犬を安楽死させた話を持ち出し、自分も死にたいと言い出す。
フランキーは、困らせないでくれとと言うが、彼女は舌をかみ切る騒ぎを起こす。
何とか命は持ちこたえるが、再び舌を切らないように、薬で眠らせる事態に。
思い悩むフランキーは牧師に相談。だが牧師はそれはダメだと言うが。
一方で、スクラップは、彼女も納得していると言う。
ついに決断したフランキーは、注射を用意して夜の病室に乗り込む。
睡眠薬を注射し、生命維持装置をはずすフランキー。
そして、「モ・クシュラ」の意味について知らせる。
「愛する人よ」という意味だと言うと、涙するマギー。
フランキーは静かに立ち去り、それを影で見ているスクラップ。
スクラップは待ち続けたが、フランキーは二度とジムへ戻らなかった。
その代わり、ハートだけのボクサーが舞い戻り、もう一度やってみたいと言い出す。
そして、レモンパイの店に、フランキーらしい影が。

 と言うわけで、最初は老トレーナーとしてのイーストウッドの周囲と、
彼と腐れ縁で一緒にいるモーガン・フリーマンあたりを描く。
そこへちん入者としてヒラリー・スワンクが現れ、次第に勝ち続けるに連れて
今までパッとしなかったイーストウッドの周囲に活気が出てくるがと言う展開。
まあ、予想したような展開で、最後はチャンピオンとの対決で勝ってエンド
と思っていたら、そうはならず、相手の反則で重傷を負うハメに。
あれは相手の反則負けと思うが、どうもそうはならず
勝利も得られず、選手としての復帰も絶望的に。
CMやパンフでも触れないようにしたようだが、
ここからが後半という感じのウエイトで、病室のシーンが続く。
血のつながった家族が、金目当てだったりするのに対し
言葉は少ないが、それぞれ立場は違うものの
どこか寂しい想いをしてきた主役3人が、からむあたりにこの映画の面白みがある。
前半で出てくる愛犬のエピソードが唐突な気はしていたが、
あしたのジョーのように、燃え尽きる事ができず、
生き続けねばならない苦痛が、やがて安楽死の問題に。
選択に迫られたイーストウッドの苦悩は、理解できる。
客を呼ぶにあたり、後半の展開をあえて伏せたあたりに
安易な難病ものにしたくなかったと言う意識も感じられ、
「えっ、この映画ってこういう展開だったの?」という意外性もあるが
「ミスティックリバー」のようないやーな終わり方ではなく
これはこれで仕方ないねと思わせられた。