▼
「シン・シティ」(2005年)を見た。
この映画は、またまたアメコミの映画版なのだが、
スパイダーマン的スーパーヒーロー物ではなく、ハードボイルドタッチの作品らしい。
映画化したのが、タランティーノの弟分ロバート・ロドリゲスで
原作のフランク・ミラーも参加。
さらにタランティーノも一部演出していると言うし、まあその手の映画と言う事か。
全編白黒で、パートカラーで展開すると言うから、
マンガの雰囲気を出そうとしていると言う事かも知れないが、
出演者はブルース・ウイリス、ジェシカ・アルバ、ミッキー・ローク
ジョシュ・ハートネット、イライジャ・ウッド、ベネチオ・デル・トロ、
ルトガー・ハウアーなんて面々で、その豪華キャストも見物。
しばらく低迷していたアルバが、このところ連発で出ているし、見るしかない。
冒頭。パーティ会場から抜け出す女性に近づく男(ジョシュ・ハートネット)。
甘い言葉をささやくが、実は彼は殺し屋でその標的は彼女だった。
抱きしめながら女性を射殺する男。
物語は全編白黒で、唇とか血とか、刺激的な部分のみカラーに。
まさにマンガを実写化したと言う雰囲気だ。
そしてタイトルは、豪華出演陣をアルファベット順に紹介するから、最初はアルバ。
後でわかったのだが、物語は何部かの細かいエピソードの組み合わせで
最初はブルース・ウイリス篇。
引退寸前の刑事ハーディガン(ブルース・ウイリス)は、
狭心症に苦しみつつ犯人を追っていた。
相手は少女を誘拐した男で、ロアーク上院議員の息子だ。
その地位を利用して、やりたい放題してきたが、ハーディガンは許さない。
男の腕と股間を撃ち、とどめを刺そうとするが、
ハーディガン自身も何者かに撃たれる。
撃ったのは信頼していた相棒ボブ(マイケル・マドセン)だった。
意識が遠くなる中、ショックを受けるハーディガンだったが、
パトカーがかけつけ一安心する。少女は無事だったのだから。
続いてミッキー・ローク篇。
怪物顔のマーヴ(ミッキー・ローク)は、
ゴールディと言う女性に愛され天国のような思いをする。
だが、寝室を殺し屋ケビン(イライジャ・ウッド)が襲撃。
ゴールディは殺されてしまう。
警察がかけつけ、犯人と決めつけられる。怪物マーヴは警官を蹴散らし退散。
親しいレズの保護観察官ルシールの所へ逃げ込む。
行きつけのストリップバーへ行ったりする。
そこはダンサーのナンシー(ジェシカ・アルバ)や
ウエイトレスのシェリー(ブリタニー・マーフィ)のいる店だ。
ケビンの正体を探ったりするが、謎の女性の襲撃を受ける。
それは死んだはずのゴールディのように見えたが。
マーヴはケビンがいる屋敷を突き止め乗り込む。
だが素早いケビンには歯が立たず、やられてしまう。
気がつくとルシールも捕らわれていて、ケビンに腕を食われたと言う。
壁には他にも食われたらしき人々の首が飾られている。
2人は何とか脱出。警察がかけつけたため、
ルシールはマーヴを売って一人だけ助かろうとするが、射殺されてしまう。
マーヴは無事退散するが、再びゴールディそっくりの女性に襲われるが
彼女はウエンディと言って、ゴールディの双子だった。
マーヴがゴールディを殺したと思い襲撃していたが、真相を知って協力して動く事に。
まずはケビンを再度襲撃。今度は罠を仕掛けておいて、さしものケビンも捕らわれる。
マーヴはケビンを殴り殺し、その生首を持ち帰る。
ケビンの黒幕がロアーク上院議員の兄ロアーク枢機卿(ルトガー・ハウアー)と知る。
マーヴは枢機卿の所へ乗り込む。
彼もまたケビンと共に、死体を食ったと語り、激怒したマーヴは枢機卿を殺害。
警察がかけつけ捕らわれ、すべての罪を着せられ処刑される事に。
面会に来たウエンディだけは、彼が正しかったと知っていた。
電気イスでの処刑。1度は死ななかったマーヴだが、2度目は耐えられなかった。
クライブ・オーウェン編。
ドワイト(クライブ・オーウェン)は、シェリーの新しい恋人だ。
トイレに行ってる間に、
恋人気取りのジャッキー・ボーイ(ベネチオ・デル・トロ)が押しかける。
しばらく見ていたドワイトだが、我慢出来なくなり、
ジャッキー・ボーイを便器の水に押しつけたりして痛めつける。
一度は退散する一同。だが、放置できないと言い追跡するドワイト。
シェリーは「ストップ」と言った気がしたが。
一味を追跡すると、オールド・タウンという町へ逃げ込む。
そこはドワイトと恋人だったゲイルという娼婦らが仕切る町だ。
女たちが警備し、自立しているため、警察も手を出さない。
ジャッキー・ボーイらはそうとは知らず、好き勝手しようとするが
刀を振り回す殺し屋ミホ(デボン青木)らの襲撃を受け、全滅する。
だが、ジャッキー・ボーイらの持ち物を調べて愕然とする彼らは警官だった。
シェリーが言っていたのは「ストップ」ではなく「コップ」だったのだ。
これが発覚すれば、警察が乗り込んできて町の秩序が崩壊する。
これはやばいと、ドワイトが死体を始末する事に。
ミホが死体を切り刻んでトランクに押し込むが、
満杯になって、ジャッキー・ボーイの死体だけは助手席に座らせる。
警察に車を止められたりしても何とかごまかすが、
ジャッキー・ボーイがまだ生きていたとわかりあわてる。
それでも何とか息の根を止める。
ガス欠になり、車を押してタールの池へ。
ここへ車を沈めようとするが、傭兵たちの襲撃を受ける。
撃たれたドワイトだったが、警察のバッチで難を逃れる。
今度はタールの池へ沈められるが、ミホらがかけつけ助けられる。
誰かがマヌート(マイケル・クラーク・ダンカン)らに密告しているらしい。
事態を知ったマヌート一味は、ゲイルらを脅して儲けようとする。
だが、待ち伏せしたドワイトらがと撃ち合いに。一網打尽に。
密告者のベッキーは、身の危険を感じて退散する。
ブルース・ウイリス篇後編。
死んだかに思えたハーディガンだったが、実は生きていた。
ロアーク上院議員(パワーズ・ブース)は、ハーディガンに罪を着せるため
高度な医療措置を受けさせ、生き延びさせたのだ。
刑務所のハーディガンには、助けた少女から毎週のように手紙が届く。
賢かった少女は、名前を変えて気づかれないようにし、
毎週木曜日に手紙が届き続け、ハーディガンもそれを楽しみにしていた。
8年後。突然手紙が途絶えた。
彼女は19歳のはず。忘れられたのだと思いつつも気になって仕方がない。
ひょっとすると彼女の身に何かがあったのかも知れない。
仕方なく罪を認めて、仮出所する事に。
ハーディガンは彼女を捜し続け、ストリップバーにいるナンシーを発見。
ナンシーは無事だった。だが逆に罠に気づく。
ハーディガンにやられたロアークジュニア(ニック・スタール)は
手紙の送り主がナンシーだと気づき、その居場所を突き止めるため
わざとハーディガンを泳がせたのだ。
怪物になったロアークジュニアは、ハーディガンを襲い、
首を吊らせてナンシーを連れ去る。
だが、まだ死ねないとハーディガンは何とか脱出。
ジュニアの屋敷へ乗り込み、痛めつけられてるナンシーを救出。
ジュニアを殴り殺す。
ハーディガンを愛していると言うナンシーは、一緒に行きたがるが、
彼はロアーク議員を懲らしめるためには1人の方が動きやすいと言い
彼女を1人で行かせる。
しかし、ハーディガンに議員を懲らしめられるような力はない。
このまま生き続けては、
ナンシーに危険が及ぶと感じたハーディガンは銃で自らの頭を撃つ。
病院へ逃げ込んでいた密告者のベッキー。
一安心して家族に電話したりするが、
彼女に近づく男(ジョシュ・ハートネット)の影が。
と言うわけで、予備知識があまりなかったので、
最初の内ピンと来なかったが、物語は3部構成。
・ ブルース・ウイリス編 前編
・ ミッキー・ローク編
・ クライブ・オーウェン編
・ ブルース・ウイリス編 後編
と言う感じ。
ジョシュ・ハートネットに至っては、このどのエピソードにも出ておらず
最初と最後にちらっと出るだけ。
ブルース・ウイリスも前編で死んだと思っていたので
途中で、この映画は基本的にミッキー・ローク主演なのか?と思ったほどだ。
いくつかのエピソードがあると気づいたのは、クライブ・オーウェン編に入った頃。
各物語は、シン・シティという町を舞台にしており、
その関係で微妙に登場人物がだぶるが、全然別のエピソードで、時間も前後する。
それがキル・ビル的と言うか、パルプ・フィクション的で面白い。
物語の方は、3部構成なので1つ1つはやや短めで
盛り上がりそうな所で、これで終わっちゃうのと言う感じ。
特にミッキー・ロークとブルース・ウイリスはもう一暴れほしかったところ。
肝心のアルバはちょっと脇役的だし。
▼
シン・シティ 復讐の女神(2014年米)
[a]
マーヴ 町の暴れん坊(ミッキー・ローク)
ナンシー ストリッパー(ジェシカ・アルバ)
暴れん坊のマーヴは、気が付くと大勢を倒していた。
今日もホームレスを襲撃した学生たちを処刑したのだ。
[b]
ジョニー ギャンブラー(ジョゼフ・ゴードン・レヴィット)
ロアーク 町を牛耳る(パワーズ・ブース)
マーシー ジョニーの彼女
ナンシー ストリッパー(ジェシカ・アルバ)
ジョン・ハーティガン警部補 前作で死亡(ブルース・ウイリス)
ジョニーはカジノに乗り込み、町を牛耳るロアークと勝負して負かす。
ロアークはジョニーが自身の息子と気づくが、恥をかかされたと痛めつける。
[c]
ドワイト・マッカーシー 私立探偵(ジョシュ・ブローリン)
エヴァ・ロード ドワイトの元恋人。富豪夫人(エバ・グリーン)
マーヴ 町の暴れん坊(ミッキー・ローク)
マヌート エヴァの用心棒(24の大統領)
ゲイル 暗殺集団のリーダー(ロザリオ・ドーソン)
ジョーイ 浮気した男(レイ・リオッタ)
私立探偵ドワイトは、依頼されてジョーイの浮気を調査。
彼が浮気相手を始末しようとした為、乱入して殴り倒す。
続いて、元恋人エヴァから助けを求められる。
夫ダミアンと用心棒マヌートに痛めつけられていると聞き、マーヴと共に屋敷を襲撃。
マヌートを痛めつけ、ダミアンを倒すが、実はダミアンの財産を狙うエヴァの企みで、
ドワイトも撃たれる。
退散したドワイトは、ゲイル率いる暗殺集団の無法地帯に逃げ込む。
暗殺集団と協力して、再び屋敷を襲撃。
エヴァに誘惑され心が揺らぐが、ドワイトは彼女を射殺する。
[d]
ジョニー ギャンブラー(ジョゼフ・ゴードン・レヴィット)
ロアーク 町を牛耳る(パワーズ・ブース)
マーシー ジョニーの彼女
クローニグ医師 闇医者(クリストファー・ロイド)
闇医者の治療を受けたジョニーは、恋人マーシーがロアークに殺されたと知る。
失意のジョニーは、食堂でもらった1ドルを元手に金を増やし、ロアークと対戦。
再びジョニーが勝ち、この事は世間に知られるだろうと言うが、
ロアークに射殺されてしまう。
[e]
ナンシー ストリッパー(ジェシカ・アルバ)
マーヴ 町の暴れん坊(ミッキー・ローク)
ロアーク 町を牛耳る(パワーズ・ブース)
ジョン・ハーティガン警部補 前作で死亡(ブルース・ウイリス)
4年前に恋人ジョンを殺されたナンシーは、
ロアークへの復讐を誓ったが果たせずにいた。
そこで、自らの顔を傷付けてロアークにやられたと称し、
心配するマーヴと共に屋敷を襲撃。
ナンシーはロアークを倒し、ジョンの仇をとるのだった。
と言う訳で、犯罪渦巻く町シンシティを描くシリーズ第2弾。
今回もほぼ白黒ちょっとカラーの映像で、複数のエピソードが若干絡んで展開。
ジョゼフ・ゴードン・レヴィットは、町を牛耳る父パワーズ・ブースに挑む。
私立探偵ジョシュ・ブローリンは、
元恋人エバ・グリーンに頼まれて彼女の夫を始末する。
ジェシカ・アルバは死んだブルース・ウィリスの復讐をしようとする。
互いが同時進行したりせず、1つずつ描かれるのでわかりやすい。
キャラは前作から継続しているが、俳優は微妙に変わってる模様。
ジョシュ・ブローリンがクライブ・オーウェンにあたるらしい。
パワーズ・ブースは2つのエピソードに登場し、全体の悪役を一手に受け、
エバ・グリーンは何だか脱ぎっぱなし。
前作よりお手軽になったような印象も受けるが、まあまあ面白い。
アルバはかつてほど魅力を感じさせない。
TV放送 2016/01/09 WOWOW 0015-0157
▼
シンシナティ・キッド(65)
ポーカーでは凄腕のキッド(スティーブ・マックイーン)は、
大物ハワードと対戦する事に。
キッドの相棒シューター(カール・マルデン)も彼に負けている。
キッドに賭けるフレッドは、ディーラーのシューターにイカサマするよう指示。
対決が始まるが、イカサマに気づいたキッドは彼をはずす。
キッドは調子良く、大勝負に出るが、負けてしまう。
と言うわけで、マックイーン版「ハスラー」と言う作品だが、
ちょっと退屈な感じ。恋人が去るようなシーンもあるが、印象には残らず。
音楽はラロ・シフリン。主題歌はレイ・チャールズ。
TV放送 93/10/17 BS05 06:00-07:56
▼
紳士は金髪がお好き(53)
監督 ハワード・ホークス
舞台歌手ローレライ(マリリン・モンロー)は、金持ちエズモンドと結婚を約束。
相棒ドロシーとフランスへ行き、彼を待つ事になる。
だが、富豪ピークマン卿と親しげにするのを、探偵マローンに隠し撮りされる。
写真を奪い返し、ピークマンにお礼として奥さんの宝石を強引にもらう。
だが、パリに到着すると、宝石泥棒として告発される羽目に。
報告を聞いたエズモンドがホテルをキャンセルしたため、2人は歌手として舞台に。
宝石を返却しようにも、紛失してしまい、かけつけたエズモンドの金をあてにする。
ドロシーはローレライに扮して裁判所へ。彼女への愛に気づいたマローンが、
ピークマン自身が宝石を持っていると気づき、一件落着。
エズモンドの父は結婚に反対するが、同じ結婚するなら美人がいいと言われ納得。
帰りの船で2人はそろって結婚する。
と言うわけで、モンローが金に弱いタチの悪そうな女を演じてはいるものの、
相棒と2人でかなりご機嫌な歌を披露してくれる。
でも、物語は面白味に欠け、ミュージカルとしてはセンスが悪い。
TV放送 93/07/10 BS05 20:15-21:50
▼
人生の特等席(2012年米)
ガス スカウトマン(クリント・イーストウッド)
ミッキー ガスの娘(エイミー・アダムス)
ピート ガスの同僚(ジョン・グッドマン)
ヴィンス ガスの上司(ロバート・パトリック)
フィリップ ガスに批判的な同僚
ジョニー・フラナガン スカウトの卵(ジャスティン・ティンバーレイク)
リゴ・サンチェス 宿の息子
起:スカウトのガスは老いて引退を勧められる。
承:ガスは有望選手ボーの弱点を指摘。
転:チームはボーを指名する。
結:娘が見付けた無名選手にボーが敗れ、ガスは評価を上げる。
野球チームのスカウトであるガスは、老いて体の自由がきかなくなってきている。
法律家を目指す娘ミッキーはそんな父に育てられ、男社会に慣れていた。
誰をスカウトするかを決める会議で、ガスはスランプの選手を選択。
球界最高のスカウトと言われる彼だが、
パソコンを使えず、釣り銭を間違えて、引退を勧められる。
ガスに失明の恐れがあると知り、心配したミッキーはつきまとう様に。
スカウトに回るガスについていくが、俺の仕事場だと嫌がる。
逆に、ミッキーに絡む男とケンカになり、彼女を怒らせる。
有望選手ボーをとるか否かで、ガスとスカウト仲間の意見が割れる。
ガスは、ボーにはカープが打てないと見抜く。
影響された若いジョニーも、ボーを選ばない選択をする。
ドラフト会議を迎え、なおも意見が割れるが、上司はフィリップが推すボーを支持。
ジョニーは、自分の選択が評価されなかった事に失望する。
ミッキーは、無愛想なガスに愛されていたと気付くが、
もう構うなとガスが怒鳴ってミッキーは出ていく。
翌朝、ミッキーは宿の息子リゴが凄腕のピッチャーだと気付く。
テストさせると、ボーはリゴの球を打てないと判明。
ミッキーはリゴのエージェントとなり、フィリップはクビに。
信頼を取り戻したガスは、契約延長を打診されるのだった。
と言うわけで、クリント・イーストウッドの人間ドラマ。
グラントリノに続く作品で、今回は出演のみ。
彼は野球スカウトで、時代遅れと引退を勧められるが、
パソコンを使う若造より成果を出す。
気難しくて娘とは疎遠だったが、実は優しい一面もある。
。。なんて展開になったら、設定も物語も違うけど、
グラントリノ等と通じる毎度のパターン。
例えばブロンソンやセガールの出てる映画は毎作似てると言うのと同じ事。
彼らと違うのは、クリントの出演作は、何となく上質(ぽい)イメージだと言う点。
お約束的で、安易な企画と言う面もあるけど、
これだけ安定した水準を保てれば、上出来と言うもんです。
TV放送 2013/10/19 WOWOW 2100-2259
▼
リチャード・ギア 人生の特効薬(2015年米)(べネファクター/封印)
フラニー 富豪(リチャード・ギア)
オリビア フラニーの親友の娘(ダコタ・ファニング)
ルーク オリビアの夫
起:富豪フラニーは、事故で親友夫婦を死なせてしまう。
承:世捨て人になっていたフラニーは、夫婦の娘オリビアに再会。
転:モルヒネ中毒となっていた彼は、オリビアの夫を困らせる。
結:オリビアの出産を機にリハビリを決意する。
富豪フラニーは仲の良いボビー夫婦とバカ騒ぎするが、
それが原因の事故で夫婦が死んでしまう。
5年後。事故以来世捨て人の様になっていたフラニーは、
夫婦の娘オリビアが結婚したと知る。
フラニーはオリビアに家を与え、医師である夫ルークを雇うが、
これにはルークも困惑する。
一方でフラニーは、モルヒネの処方を要求。
ルークは断るが、実は事故の治療でフラニーは中毒になっていたのだ。
わざとケガをしたフラニーは、モルヒネを求めて騒ぎを起こし、
ルークは愛想を尽かす。
力になると声をかけるオリビアが産気づく。
彼女を病院へ連れていったフラニーは、リハビリを受ける事を決意。
無事産まれた赤ん坊は、ボビーと名付けられた。
と言う訳で、リチャード・ギア主演のドラマ。
富豪であるギアは親友夫婦を事故で死なせてしまい、自身も治療用のモルヒネ中毒に。
夫婦の娘ダコタ・ファニングが結婚すると知り、彼らの為に家を贈る。
一方で、医師である夫に処方箋を求め、彼を困惑させる。
弱い面を見せた彼が何とか立ち直ると言う話で、
恩人に対してもルール違反を許さない周囲の態度には感心させられる。
TV放送 2016/12/16 WOWOW 1700-1832
▼
シンデレラ(1950年米)
シンデレラ
継母
アナスタシア 義姉
ドリゼラ 義姉
国王
王子
魔法使い
小さな王国に、シンデレラと言う娘が父親と住んでいた。
父親は娘2人を連れた女性と結婚。
父親が死ぬと、継母は自分の娘だけを可愛がり、
シンデレラは召使のようにこき使われる。
だが、シンデレラはいつか幸せになれると信じ、明るさを失わなかった。
王子を結婚させたい国王は、出逢いを作るため、国中の娘を招待する舞踏会を開く。
シンデレラにも資格があったが、継母がドレスを引き裂いたため出かけられない。
そこに現れた魔法使いが、ドレスとかぼちゃの馬車を与える。
魔法の効果があるのは12時までだ。
王子は現れたシンデレラに一目ボレし、ダンスを踊るが、
12時になると彼女は立ち去ってしまう。
国王は娘を見つけるため、残したガラスの靴が合う女性を探させる。
シンデレラは継母に部屋に閉じ込められるが、動物たちが奮戦して脱出。
継母はガラスの靴を割ってしまうが、シンデレラがもう片方を持っており、
彼女にピッタリだったため、晴れて王子と結婚する事になる。
と言うわけで、ディズニーによるシンデレラの話。
続編とか見てたけど、肝心なオリジナルが未見のようなので見る。
(未見かどうかも自信ない)
おなじみの話をあっさり目に、動物たちとのドタバタで水増しして1時間強に。
本作で一番驚いたのはラスト。
肝心のガラスの靴が割れてしまうが、シンデレラがもう1つ持ってますと出し、
サイズがぴったりだったので、晴れて結婚って。。。。。
今どき、そんな手口では誰もだまされへんでー。
TV放送 2010/11/07 WOWOW 1305-1420
▼
シンデレラII
シンデレラ 王子と結婚した姫
ジャック シンデレラと親しいネズミ
クルベンス シンデレラの召使いの女性
ヒュー ジャックが変身した男
アナスタシア シンデレラの姉
ドリゼラ シンデレラの姉
シンデレラの結婚で物語は終わるが、ネズミたちは続きの話を作る。
国王と王子は会議へ行く事になり、シンデレラ晩餐会を取り仕切る事に。
召使いのクルベンスに何かと口出しされ、思い通りにならず寂しい思いをする。
悩んだシンデレラは国中の人々に招待状を出す。
帰還した国王はシンデレラのやり方にとまどうが、新しいやり方をすべきだと認める。
ネズミのジャックはパーティの用意を手伝おうと人間に変身する事に。
だがシンデレラは彼を来客のヒューと誤解。
パーティでは象が暴れ出し、ジャックはネズミに戻って象を止め自信を得る。
シンデレラの母は姉アナスタシアとドリゼラを舞踏会へ行かせようとする。
だがアナスタシアはパン屋の男と恋に落ち、シンデレラは手助けする事に。
母に目を覚ませと言われるが、アナスタシアはパン屋を選ぶ事に。
できた物語はシンデレラに届けられる。
と言うわけで、シンデレラまで続編を製作。
とは言え、何か周辺の話が主で、シンデレラは脇役っぽい。
そして王子に至ってはチョイ役。
いまだに意地悪な母や姉とつきあいがあると言うのもおかしな感じ。
TV放送 2006/07/02 CS 2000-2130
▼
シンデレラ III 戻された時計の針(2007年)
シンデレラ 王子と結婚した娘
王子 シンデレラと結婚
国王 王子の父
魔法使い シンデレラを幸せにしたが、今回は杖を奪われる
継母 シンデレラをこき使った
アナスタシア 義姉
ドリゼラ 義姉
シンデレラは王女となり、幸せな日々を送っていた。
一方、皿洗いをする姉アナスタシアは、シンデレラが魔法で幸せを得たと知り
魔法使いの杖を奪ってしまう。母はこれを使って時間を戻す
魔法によって、王の使いの持ってきたガラスの靴はアナスタシアに合い
彼女が結婚相手に選ばれる。
シンデレラは誤解を解こうと城へかけつけるが、
母は魔法で王子の記憶を書き換えてしまう。
シンデレラは杖を取り戻そうとするが、捕まり国外追放に。
しかし彼女に触れた王子は、彼女への愛に気づき連れ戻す。
王子はシンデレラと結婚する事になるが、
母はアナスタシアの姿をシンデレラに変える。
改心したアナスタシアは誓いの言葉を言えず、シンデレラが一同を元の姿に戻す。
こうしてシンデレラは再び幸せをつかむのであった。
と言うわけで、何でもシリーズ化してしまう近年のディズニー戦略の一編。
シンデレラ2と言うのは、後日談と言うよりショートストーリーの固まりだったが
本作は意外や上出来の感あり。
母親が魔法で時間を元に戻し、あの話をもう一度やり直す羽目になると言う
バックトゥザフューチャーにも似た展開。
まあラストは想像通りだが、意外に苦戦してるあたりも好感が持てる。
前作でも姉アナスタシアは比較的性格がいい。
一方で、シンデレラの顔つきにはちょっと意地悪な面も見える気がする。
TV放送 2008/02/14 ディズニー 2000-2130
▼
シンデレラ(2015年米)
エラ 別名シンデレラ
トレメイン夫人 エラの継母(ケイト・ブランシェット)
アナスタシア エラの義姉
ドリゼラ エラの義姉
キット王子
フェアリー・ゴッドマザー 魔法使い(ヘレナ・ボナム・カーター)
エラは両親に愛され、幸せな生活を送っていた。
だが母親が病気で死に、父親はトレメイン卿の未亡人と再婚。
父親は旅行がちで、屋敷では継母とその娘が我が物顔で振る舞う。
やがて、旅先で父親が病気になったとの知らせが入り、倹約の為と使用人は解雇。
エラは使用人のようにこき使われ、灰まみれのエラ、シンデレラと呼ばれる様になる。
ある時、森でエラは王室で働いていると言う若者キットと出会う。
キットは実は王子で、一目ぼれしたと父王に報告。
死期が近い王は、舞踏会で妻を選べと言うが、
王子は貴族だけでなく未婚女性すべてを招待する事に。
舞踏会の話を聞いたエラの義姉たちは喜び、競い合って着飾る。
エラもキットと再会できると喜ぶが、
継母は舞踏会へは行かせないとドレスを破いてしまう。
失意のエラの前に老婆が現れる。
彼女はフェアリー・ゴッドマザーと言う魔法使いで、
かぼちゃを馬車に、ネズミを白馬に変える。
さらに母親のドレスを青色に変えるが、魔法は12時までしか続かないと告げる。
舞踏会にエラが現れると、人々は彼女に目を奪われる。
王子はエラとダンスを踊り、名前を聞き出そうとするが、
時間が来た為にエラは退散してしまう。ガラスの靴だけを残して。
王子には、他国の王女との政略結婚の話があったが、
王はこれを断り、あの娘と結婚しろと告げる。
エラが隠していたガラスの靴を見つけた継母は、
結婚するなら恩を返せと言うが、断れて靴を割ってしまう。
政略結婚を企む大公は継母と通じていて、割れたガラスの靴を王子に見せる。
だが王子は諦めず、もう片方の靴が合う女性を探す為、国中の娘にはかせる事に。
家臣がエラの屋敷にも訪れ、義姉にはかせるが、やはり合わない。
だが、家臣に扮していた王子は、歌声に気付いてエラを発見。
靴はその足にぴったり合った。
エラは継母に許すと告げるが、継母と大公は姿を消した。
エラと王子は結婚し、彼らは公平で優しい統治者となった。
という訳で、ご存じシンデレラの物語の実写版。
工夫はあまり感じられないが、舞踏会で皆が見とれるシーンは鳥肌もの。
ディズニーアニメ版では、シンデレラ自身が持ってた靴が決め手になると言う、
詐欺まがいの展開だったが、自身の靴は継母に壊される。
本作の特徴は
・王子とは舞踏会の前に会ってる
・継母は、ガラスの靴の女がシンデレラだと早めに気付く
・王子はシンデレラと再会して彼女だと確信するが、一応靴ははかせる
TV放送 2016/05/05 WOWOW 2100-2245
▼
シンドバッド7回目の航海(1958年)
シンドバッド船長らはコロッサ島へ上陸。そこで一つ目の巨人と出会う。
島にいた魔法使いのソクラは、ランプの精ジニーを使いこれを撃退。
シンドバットらは退散するが、巨人にランプが奪われてしまう。
ソクラは島へ戻る事を求めるが拒否。シンドバットの新妻パリサ姫を魔法で小さくし、
戻すためには島の怪鳥の卵の殻が必要だと言う。
仕方なく再び島へ行く事に。危険な仕事に囚人を集め、一度は彼らに船を奪われるが
呪いの島の風の音で囚人たちはおかしくなり、再び船を奪い返す。
一行は巨人に捕らわれ檻に。パリサが鍵をはずして救出する。
パリサはランプの中に入り、ジニーから呼び出す呪文を聞き出す。
ソクラはパリサをさらって洞窟へ。シンドバットは後を追い、パリサを元へ戻させるが
洞窟へ閉じこめ退散しようとするソクラ。
シンドバットはジニーを呼び出し脱出。ランプを溶岩に落とし自由にしてやる。
ソクラはドラゴンに襲わせるが、巨人と対決させる。
巨人はやられるが、仲間が矢で攻撃。ドラゴンは倒れ、ソクラが下敷きに。
一行は船で帰還。ジニーはバラニとして給仕係になり、
彼は大量の巨人の宝をプレゼントするのであった。
と言うわけで、ハリーハウゼンの特撮で知られる話で、
後に3作まで作られるが役者は毎回異なる。
本作は1作目で、出てくる怪獣らもその手の本ではよく見る物ばかり。
ただ、話自体はどこかで聞いた話の組合せみたいな感じ。
ランプの精がジニーと言うのは、アラジンと元ネタが同じなのか。
ハリーハウゼンの特撮はさすがにすごい。
TV放送 2004/08/24 BS11 1500-1630
▼
シンドバット黄金の航海(74)
船乗りシンドバットは、金の飾りものを入手。
手に取ると、手に目の模様のある女性が見える。不思議な力に引かれて、とある島へ。
魔術師クーラは、金細工を奪おうとするが、シンドバットは町へ逃げ込む。
宰相サリムは第2の金細工を見せ、金細工は大いなる力への地図となる事がわかる。
手に目の模様のある奴隷マリアナ(キャロライン・マンロー)もつれて出発。
クーラは魔術で女神像を動かし、海図を奪う。
島へ到着し、洞窟で精霊より第3の金細工がある事を聞く。
先を越したクーラは、6本手の女神カーラを動かし、部族を信用させる。
シンドバットはこれを倒し、第3の板を入手するが、部族に捕らわれる。
マリアナは半馬半人の怪物ケンタウロスに、いけにえに出される。
クーラは泉に金細工を沈め、若さを手に入れる。
シンドバットはマリアナを救出。ケンタウロスと、半分ライオン半分鷲の怪物の戦い。
善と悪の戦いで、ケンタウロスが勝つが、これをシンドバットが倒す。
クーラは、2つ目の金細工を沈め、クーラの体が見えなくなる闇の鎧を手に入れる。
だが、泉に写った姿に気づき剣で刺す。
シンドバットは、第3の金細工で、富の象徴である王冠を入手。
宰相に渡すと、やけどしていた顔が元に戻る。
というわけで、レイ・ハリーハウゼン特撮の1作。
シンドバットがどういう事をしている奴かわからないし、
マリアナは何の必然性があって出てきたのか。特撮が見せたかっただけと言う感あり。
TV放送 92/06/21 10CH 21:22-23:14
▼
シンドバッド 虎の目大冒険(77)
シンドバッド船長(パトリック・ウェイン)は、恩人カシームに会いに城へ。
城は呪術者に呪いをかけられ、ファラ姫(ジェーン・シーモア)は助けを求める。
彼女の兄カシームは、ヒヒの姿に変えられ、元に戻せる者はメランシアスしかいない。
そこで彼らはメランシアスのいる幽霊島へ。
実は呪術者である継母ゼノービアは彼らの後を追う。
シンドバッドらは幽霊島でメランシアスと娘ディオネに会う。
北極にあるヒプルボリウスの霊力の源ならば、カシームを元に戻せる。
ゼノービアの妨害や、巨大なトドを振り切り、ついに北極の島へ。
人類の祖先である巨人の案内で聖堂へ。だが、ゼノービアは半牛半人のミナトンに
聖堂をこじ開けさせ、そのために気が乱れ、今にも聖堂は崩壊しそうだ。
シンドバッドはゼノービアの息子ラフィーを倒し、カシームを元の姿に戻す。
ゼノービアは虎に変身。巨人がやられるが、シンドバッドが倒す。
と言うわけで、レイ・ハリーハウゼンの特撮によるシンドバッドもの。
物語は通り一遍で工夫に乏しい。いろいろ特撮の見せ場もあるが、生かされず。
北極の島での水浴びシーンで、シーモアの裸がチラリと見れるのがうれしい。
TV放送 94/02/25 10CH 02:40-04:34
▼
「シンドラーのリスト」(93)を見た。
この作品は、スピルバーグ監督作で、今年のアカデミー賞の呼び声も高い作品だ。
物語はナチによるユダヤ人虐殺行為の中、
ナチの中にユダヤ人を救おうと言うシンドラーなる人物が現れると言うもの。
出世作「ジョーズ」で、5分に1回見せ場があると言われる展開を見せ
さすがはテレビ出身の監督とうならせたスピルバーグだが、
その後、製作にもタッチして、様々な監督の作品に関係し、
どうもアイデアの出し惜しみをしてるんじゃないかと思われる節があった。
「カラーパープル」「太陽の帝国」と言ったマジメ路線にも挑戦。
黒人社会内部の問題や、戦争反対を描いた映画だが、
その裏には、「アカデミー賞を狙ってやる。ふっふっふ」と言う声が聞こえそうで
どうも計算づくの物語がいただけない部分があり、実際受賞しなかった。
今回は受賞間違いなしと言われるが、こうした経緯があるので半信半疑。
しかも、物語がユダヤ人虐殺ものだ。
この虐殺行為は、「時計じかけのオレンジ」では洗脳のシーンで使用され
近未来にあっても、究極の悪はナチと言われたほどのものであるが、
「アンネの日記」を中心に、ユダヤ人虐殺を描いた話は山のようにあり、
(映画「アンネの日記」はサスペンス色が強かったが)
また、「ソフィーの選択」では、メリル・ストリープが、
2人の子供のどちらを処刑するか選べと言う、精神的な拷問を受けさせられる。
ナチの残党を描いた「オデッサファイル」では、ユダヤ人虐殺について、
もうみな飽き飽きしている。今や誰も関心を示さない。
まして、ドイツ人は、あれをなかった事にしている。と言う描写があるほどだ。
にも関わらず、やや定番的なユダヤ人虐殺もので、
アカデミー賞を狙おうと言うスピルバーグの魂胆はやや陳腐で
利益度外視と言われても、アカデミー賞を買っただけとさえ思えた。
まあ、アカデミー賞受賞間違いなしと言われているものだから、
受賞の前に見た方が価値があると思えて見たわけだが、見てみてびっくり。
結局の所、今までは時代の風潮や、描写の許容範囲があって、
描けなかった部分を、スピルバーグが力を入れて作った力作だ。
白黒と聞いていたこの映画の冒頭は、ユニバーサルのカラーのタイトル。
そればかりか、続いてユダヤ人らしき男たちが、祈るシーンもカラー。
どうした事かと思うと、それから後はずっと白黒だ。
ただし、ドキュメンタリー調を出すためか、カメラが固定されておらず
手ブレの連続で、見ていてやや疲れるシーンがある。
1939年。ドイツ軍はポーランドに進攻し、たちまち占領した。
国内のユダヤ人たちは、ゲットーと言われるユダヤ人のための居留地へ移される事に。
強欲と言われるユダヤ人だけに、中には豪邸や高額な家具等を持つ者もいるが
移された先は、ボロの家で、しかも数家族が同居だ。
ナチの幹部が集まるパーティに、オスカー・シンドラーなる人物が現れる。
この謎の人物に困惑する一同だが、酒をおごられれば悪い気はしない。
実はシンドラーの目的は、幹部と一緒に撮る写真にあった。
ゲットーに移されたユダヤ人たちは、ダビデの紋章か何かを意味する
星印の腕章をつけさせられる。はずせば射殺だ。
だが、まだユダヤ人たちの中には、こうした処置に不平を言う者がいた。
シンドラーは続いてユダヤ人の教会へ。
ここでは、品物の闇取引が行われていて、今では珍しい物も手に入る。
ドイツ軍用の靴墨もここで調達されたが、瓶詰めだったため、寒さで割れてしまった。
シンドラーはここで品物を調達しようとするが、
ナチ党員でもある彼の出現に、一同は退散。
だが、1人だけが、彼との取引も得になると考え、品物の調達を約束してくれる。
ゲットーに集められたユダヤ人たちは、ユダヤ人何とか委員会と言う所で、
選出された委員に、待遇に対する不満を報告する。
もっとも、改善される事はまずないが。
ここへシンドラーが現れ、委員の1人、シュテルンに会う。
このシュテルンを演ずるのが、
「ガンジー」でガンジーを演じたベン・キングズレー。
大企業で経理を担当していたと言う彼に、ある提案をする。
戦争が激化すれば、兵隊用の食器が必要になるはずだ。
閉鎖された工場を買い、ホーローの食器を作れば、確実に利益が上げられるはず。
いわば、戦争が長期化すればするほど、シンドラーには得なのだ。
シュテルンには、この経理を見てほしいと言う。
シンドラーには、彼がユダヤ人とかそう言う事は関係なかった。
あえて言えば、ポーランド人よりも安い日給で雇えるという事が、その理由だ。
シュテルンはこの提案に困惑するが、これを利用しない手はない。
連日のように、元の住居を追われたユダヤ人たちが、
広場に机を置いたドイツ兵に名前を告げさせられる。
ここで、熟練工としての技術を証明する証明書があれば、
ゲットーに残る事ができるが、ない者は収容所送りだ。
シュテルンは証明書を偽造し、いかにも危なそうな老人たちに与え、
熟練工としてシンドラーの工場で雇う事にする。
さらに秘書を探すが、美人好きなシンドラーは、タイプの遅い多くの美人たちと
タイプの速いおばさんの選択に迫られ、多くの美人をまとめて採用する。
この秘書の中には、ねんごろになる者も。
シンドラーの妻エミリーが故郷から様子を見に来るが、
まさか妻とは思わないドアマンに、「ミス」と言われ、傷ついて故郷に戻る。
大量のホーロー食器が作られ、シンドラーは以前のパーティで知り合った
ナチの幹部たちへ、自分と一緒の写真と共に手紙を送り、食器を買ってほしいと頼む。
おかげで注文が殺到。シンドラーの読みの通り、多額の利益を生む。
その金で派手に遊び回り、シュテルンには感謝の意をこめてワインを勧めるが、
彼は飲めないと拒否する。
工場の老人の中の1人は、シンドラーの工場で働けた事に感謝して、彼に礼を言う。
だが、彼を見てシンドラーはびっくり。片腕がないのだ。
なぜあんな男を採用したのかと、シュテルンを責める。彼は熟練工だと言うだけだ。
ドイツ軍は、大雪の日に、工場へ向かうユダヤ人たちを呼び止め、
臨時収入で釣って、雪かきをさせる。
もともと、彼らは専属の従業員ではないため、これをやる事に。
その中に例の片腕の男がいたが、ドイツ兵は彼が熟練工だと言う言葉を信じず射殺。
工場がストップさせられた事に、シンドラーは抗議する。
シンドラーが秘書だかとHするシーンが現れ、女の裸が出てきたので、
昔の映画のような雰囲気を出そうとしているのに、裸が出るとはおかしいと思ったが、
実は後半にもっと驚くべき事が待ち受けているのである。
それはさておき、そこへシュテルンが大変だと言う連絡がある。
何かの間違いで、彼が収容所送りの汽車に乗せられてしまったと言うのだ。
シンドラーはあわてて駅へ。兵隊に探して降ろすよう求めるが、
兵たちにしてみれば、そんな面倒な事をやるつもりはない。
そこでシンドラーは、彼らの名前をメモり、保証しよう。
君たちは必ずシベリア送りになる等と脅すものだから、彼らもあわてて探し出す。
ようやくシュテルンを発見し、汽車から降ろす。
うっかり労働許可証を持たずに外出したらこうなったと言うのだから、
当初はまだまだノンキだったと言う事がわかる。
シンドラーは、自分の到着が5分遅かったらどうなったかと、彼を戒めた。
駅には、収容所に送られる人々がごった返す。
荷物は後で送ると称して、名前まで書かせる。
本気にした彼らは、壁に埋め込まれた、金の飾りまで持ってきたのだ。
だが、荷物が届けられる事はなく、それは近くの倉庫で必要な物事に分別される。
眼鏡、時計、そして空になったカバン等が山のように積まれ、
必要のない家族写真が積み上げられる。
鑑定士は宝石を鑑定。さらに大量の、抜かれた歯が届く。それは金歯だったのだ。
シンドラーの工場は順調に動き、彼は利益を得た。
1943年。ゲットーの閉鎖が決まり、労働許可証を持つ者も含めて、
全員が収容所送りにされる事になる。
今度はカバンを送る等というきれいごとは言わず、窓からどんどん放り投げる。
道路にはカバンが散乱。抵抗する父親は、家族の前で射殺される。
シュテルンは労働許可証を持っていたため、比較的楽と言う列に並べられるが、
さもなければ、どうなるかわからない。家族は引き裂かれ、男女が別の列に。
「出ていけ、ユダヤ人」と叫び続ける、ドイツ人の少女。
収容所送りを嫌がる連中は、逃走をはかったり、家に隠れたりする。
下水道に逃げ込む事は有効な手段かに思えたが、
まだまだ、そこまでやる必要はないと思い、わざわざ捕まりにいく者も。
下水道にはドイツ兵が待機し、現れた連中をことごとく射殺。
町のあちこちで人々が射殺され、死体が山のように並ぶ。
捕まるのを恐れる母と娘は、床下に逃げ込もうとするが、
先客がいて、満員と称して、入れてくれない。
しかたなく娘だけ頼み、母は逃げるが、結局娘もついてきてしまう。
娘の友人である少年のドイツ兵は、彼らを見つけるが、追っ手をごまかし、
楽な列に並ばせると、約束してくれる。
(もっとも、こんな少年にそこまで権限があるか定かでないが)
乗馬に出ていたシンドラーは、丘の上からこの光景を見て愕然とする。
中でも、赤い服を来た少女がふらふら歩いているのが印象に残る。
(ここだけは、カラーに戻る。
と言うよりは、カラーになったり、白黒になったりする)
彼の前を走っていた少年は射殺され、少女は建物の中に消えていった。
夜が訪れ、建物に隠れた人々は、難を逃れたかと思い、ホッとしていた。
だが、ドイツ兵は彼らが考えていたよりも、狡猾かつ冷酷だった。
彼らは怪しい建物を探り、聴診器で物音を聞いて、次々と隠れた連中を発見。
ベットの下(床にではなく、ベット自体に張りついてる)や、天井の上等。
今度は捕まえようともせず、すぐさま射殺。
天井に機関銃を撃ちまくり、上から光が漏れるほど。
ピアノに潜んでいた男は、もう大丈夫かと抜け出し、ピアノの音を立ててしまう。
たちまち兵隊が現れ、彼を射殺。
次々と射殺が行われる中、ピアノ好きな兵隊が、これを楽しそうに弾く。
音楽が高尚なものであるとするきれい事をよそに、
モーツァルトだかが得意な兵も、ユダヤ人を殺害する事に疑問は感じなかったのだ。
この、夜の捜索のシーンはけっこうインパクトがある。
プワシュフと言う地に、強制収容所が作られる事になり、
アーモン・ゲートと言う人物が収容所長だ。
ユダヤ人たちが建物を作るが、工学部にいたと言う女性は、
土台がなっていないと、ゲートに意見する。
冷淡なゲートは彼女を射殺して、その上で、土台から作り直すよう指示する。
そして、墓石を敷き詰め、通路を作る。
ゲートは愛人とHした後、ベランダから作業する人々を眺め、
動きの遅い者をライフルで次々射殺する。思惑と言うよりは、楽しんでいるだけだ。
そのため、一同はとてつもない早さで、肉体労働作業をする羽目に。
愛人は彼の事を、子どものままなんだからとバカにする。
さらに、女性の中から、メイドを探す事に。
メイドの経験のある者を避けると称して、ヘレンと言う女性を選ぶ。
シンドラーは、自分の工場が無人になっているのを知って愕然とする。
彼にはこの移動の連絡がなかったのだ。
そこで、シュテルンのいるプワシュフを見つけ出し、ゲートと交渉する事になる。
彼や幹部を買収し、工場を収容所に移し、活動を再開したいと言う。
ゲートは多少いぶかしがりながらも、これを承諾。
最初はシュテルンに会うにも一苦労で、彼も頭髪にシラミがわいたと称しないと
ドイツ兵に難癖をつけられて、捕まえられてしまう。
シュテルンを皮切りに、再び労働者のかき集めが始まる。
ゲートですら、シンドラーの金の力には抵抗できず、彼の人選に従う。
収容所の労働で、1分でちょうつがいを作ると言う達人がいた。
ゲートは、機械の点検で作業できなかった事も気にせず、
彼が手を抜いたと決めつけて、射殺しようとするが、
幸運にも銃が故障して射殺できなかった。シュテルンは彼を工員に選ぶ。
続いて、鶏が盗まれると言う事件が発生し、ゲートは誰もが犯人を白状しないため、
無差別で1人を射殺。すると、1人の少年が泣き出し、彼が犯人だと言い出す。
この少年も頭のいい人物として採用される事に。
ユダヤ人の中のとある女性が、シンドラーに面会を求める。
彼女は化粧もなしで現れたため、シンドラーは忙しいと称して会いもしない。
そこで、彼女は今度は化粧して行くと、彼は会ってくれた。
彼女は、両親が別の収容所にいるので、何とか工場で雇ってほしいと言うのだ。
だが、シンドラーはこの話を聞いて、激怒する。
君は誤解している、慈善事業でやっているんじゃないんだ。
にべもなく、彼女は追い返される。
そして、シュテルンの所へ抗議に。君が彼らに誤解を生ませる原因となっていると。
確かに、君らユダヤ人は気の毒な状況になっていて、
あのゲートは確かに冷酷な奴だが、それは戦争のためだ。
戦争でなければ、ワルかも知れないが、いい奴だったに違いない。
等と言いながら、結局、彼女の両親を呼ぶ事にする。
彼はヘレンが、ゲートに抑圧された生活を送っている事を知り、
彼女を助け出そうと考える。
だが、ゲートはそれを感づき、彼女に暴行を加える。
シンドラーの工場の従業員は増え、この工員たちは、比較的楽しい生活を過ごした。
ゲートによる、人々の射殺は絶えず、ヘレンによれば、その対象には規則性がなく
皆も、どうすれば大丈夫かわからないと言う。
シンドラーは、ゲートに、許す事が人を大きくする等と言ったため、
ゲートにもしばらくは効果があり、ちょっと頭に来るヘマをした連中にも、
許すと言うが、長持ちはせず、結局、許したはずの少年を射殺する。
だが、そんな頃から、ガス室の噂が人々の間に流れる。
消毒と称して一室に連れられていき、そこで毒ガスで殺されると言うのだ。
だが、人々はそれを信用しない。
我々は大事な労働力だし、殺された者がその話をできるはずがない。
ある時、彼らが再び列に並んで名前を告げさせられ、
労働者でない者を中心に、別の列へ連れていかれる。
全裸にされ、走らされ、健康状態を見て、不健康と判定された者は、
別の列へ行かさせられるのだ。
この全裸シーンこそ、びっくり仰天のシーンだ。
な、何と、映倫チェックがある映画にも関わらず、
ヘアはもちろん、一物までしっかり映し出されているのだ。
さすがに、女性は影になって、ヘア以上はわからないが、男はばっちり。
だが、ここまでの重い雰囲気から、まあ、仕方がないかも知れんと思わされた。
彼らはその別の列こそ、ガス室への列だと直感する。
少しでも血色をよく見せようと、自らの指を傷つけ、その血を顔に塗る。
何とかチェックを逃れ、ホッと母親たちは、
子供たちが手を振ってトラックで運ばれて行くのを見て、びっくりする。
自分たちが無事でも、子供たちが送られてしまったのだ。必死に追う母親たち。
だが、彼らはドイツ兵に止められ、またも逆らう者は射殺される。
一方、子供は全員つれ去られそうなので、子供の中には隠れる者もいた。
ある少年は、床下や天井裏など、めぼしい所を回るが、すべて先客がいる。
そこで最後の手段と、馬小屋のこえだめに飛び込むが、そこにも先客がいたのだ。
ちょっと記憶が定かでないが、(何せ長い映画なので)
シンドラーは、何かの話でゲートに会うため、駅へ。
そこには、たぶんガス室のあるアウシュビッツへ送られるため、
列車に人々が鮨詰め状態にされている。
息もできなそうな状態で、喉が渇いている彼らに、
シンドラーはシャワーで水をかけようと提案。
ゲートは彼の真意を誤解したのか、
どうせ死ぬ運命の者に、わざわざ期待を与えるとは、君は残忍な男だと笑われる。
シンドラーの誕生日に、ナチによるパーティが行われる。
その式場、彼は感謝の意を込めてケーキを持ってきたユダヤ人の娘に熱烈なキス。
ゲートは、ユダヤ人の娘は男をまどわす等と言ってごまかすが、
シンドラーはしばらく刑務所に入れられる事に。
1944年。ソ連の進攻に伴い、ゲートは埋められた死体を掘り出して、
再び焼き直すと言う面倒な指示を受ける。
映画では説明がなかったが、虐殺に対する証拠隠滅と言う意味らしい。
この期に及んでも、ドイツ兵の中には死体の山に銃を撃ちまくる者も。
シンドラーは、死体の山の中に、あの時に見た、少女の赤い服を見る。
ゲートによれば、刑務所も閉鎖され、人々はすべてアウシュビッツに送られると言う。
この事態に、シンドラーは工場の存続が不可能になった事を知る。
もはや、故郷でポーランド人を雇うしかない。
シュテルンは、ユダヤ人たちに希望を与えた彼に親近感を覚え、初めて共に酒を飲む。
シンドラーは、工場で得た大量の金を持って、故郷に戻ろうとするが、
心の中に何かのわだかまりがあった。
そして、ゲートを説得し、囚人の中から工場のために何人かを引き抜きたいと言う。
またも買収されたゲートは、シンドラーの真意が儲けにあると思いこみ、これを承諾。
シンドラーはシュテルンに、工場で雇うための人々のリストを作らせる。
彼らは思いつくすべての人間を挙げ、リストの作成は深夜まで続いた。
その数は、1100名にも及び、最後の1名だけを空欄にした。
シュテルンは、このリストは命だと言う。そして、その外は死の淵だと。
最後の空欄には、ヘレンの名前が入れられた。
だが、ゲートは意外にも、彼女を故郷に連れ帰り、世話したいと言う。
シンドラーはカードで勝負し、勝ったら彼女を高額で引き取ると言って、
それでも抵抗を示すゲートだったが、結局、引き取る事に。
こうして、選ばれたユダヤ人たちは、男女に分けられて、
工場まで列車で行く事になる。その顔は晴れやかだった。
まず男の列車が到着し、シンドラーは彼らを歓迎する。
ここにもドイツ兵がいたが、彼らには無断で射殺する権限がなく、
また無断で工場に入る事もできない。事実上、シンドラーによる治外法権状態だ。
一方、女性の列車でも、皆立っていなければならないほどの混雑ぶりだが、
歌など歌いながら、楽しそうだ。
ところが、窓から外を見ると、ドイツ人の少女が、首の所を指を横に動かす。
もちろん、死ねと言う意味だ。一同に悪い予感が。
列車が到着したのは、工場のある町ではなく、悪名高きアウシュビッツだった。
彼女たちは、間違って運ばれてきたと抗議するが、ドイツ兵たちは聞こうとしない。
建物の煙突からは、死体を焼いたとしか思えない煙がモクモクと上がる。
彼女たちは髪の毛を短く刈られ、全裸にされて、消毒のためと言ってシャワー室へ。
一同は絶望し、泣き叫ぶ。これまたかなり強烈なシーンだ。
だが、スプリンクラーから出てきたのは、本当のシャワーの水。
少なくとも、この場での死は免れたと、笑い出す人々。
シンドラーは、列車が間違って運ばれたと知り、上層部に人々を返すように求める。
しかし、以前も何とかと言う大企業がポーランド人だかを要求し、
誤って処分されてしまった事があったが、抗議する事はできなかったのだ。
あの企業でもそうなのだからと言われるが、彼はこの高官を買収する。
まもなく、終戦を迎え、手に運べる資産が必要になるはずだと、ダイヤを与える。
こうして、彼女たちは、死の淵から呼び戻され、工場に戻る事に。
その日も、煙突からは煙が上がっていた。
女性たちが工場に現れ、彼らは砲弾の製造等を行う事に。
だが、シンドラーは手を抜くように指示。おかげで苦情が殺到。
そこで、彼は他社の製品を買うように指示。
こうすれば、流通する武器の量が少しでも減るからだ。
シンドラーは派手に金を使いまくり、7カ月だかが経過しても、
工場からまともな製品が完成する事はまったくなかった。
かけつけた妻もこれを応援。もはや彼女をミスと呼ぶ者はいなかった。
安息日に働く者がいたので、シンドラーはやめるよう指示。
ユダヤ人たちが祈りの歌を歌うシーンで、再びカラーに。これが冒頭のシーンだ。
彼らの祈りの歌か聞こえてきて、仕事のないドイツ兵たちは奇妙な気持ちになる。
彼はついに破産するが、同時に終戦が訪れた。
シンドラーは、普段は工場に入れないドイツ兵も中に。工場の人々も集め、話をする。
終戦を迎え、君らユダヤ人は自由に、逆に我々は追われる立場となる。
深夜12時をもって終戦を迎えるため、12時5分まで皆と飲むが、
その後は逃亡する事を許してほしいと。
ドイツ兵たちは、本部からユダヤ人全員の処刑を命じられているはずだ。
ここには全員がそろっている。今がチャンスだ。
やりたければ、やるがよい。もし人間に戻りたければ、ただちに去れ。
すると、ドイツ兵達は全員退散した。
シュテルンを中心として、ユダヤ人たちは彼の功績を手紙にして、
全員の署名した物を持たせる。もし逮捕されれば、これが効果あるはずだ。
すると、シンドラーは、もっと救えたはずと悔やみ始める。
シュテルンは十分だったと言うのにだ。
思えば、バカな遊びに金を使いすぎた。車を売れば10人は助けられた。
ナチのバッチでも、2人は助けられた。1人だろうとかまわん。
助けられたのに、助けなかったと悔やむ。
こうして彼は立ち去り、夜が開けた頃、馬に乗ったロシア兵が現れる。
彼はユダヤ人が自由になったと宣言するが、
ドイツ人でなくとも、ユダヤ人を嫌う者は少なくなく、行き先はそれほどない。
こうして、数少ないユダヤ人生存者の中で、
1100名もの生存者が、シンドラーによって助けられた者だった。
一同は草原を横になり、歌を歌いながら町へ向かう。
画面はカラーになり、草原に横に並ぶ人々は、老いた現在の姿を見せる。
ゲートは戦犯として、首を吊られて処刑された。
戦後、シンドラーは事業にも結婚生活にも失敗した。
イスラエルが英雄として彼を迎え、74年に死んだ。
集まった人々が、彼の墓石に石を積んでいく。
次々と名前が出てくるが、皆(たぶん)本人だと言うインパクトは強い。
この映画を戦争で死んだユダヤ人に捧げると言う文句で、映画は終わる。
と言うわけで、3時間半もの映画であるにも関わらず、
けっこう混んでいる観客は、みな静かに黙ってしまい、まるで怒られているかのよう。
おまけに、試写会でもないのに、最後には拍手までわいてくると言うものだ。
だが、それが違和感なく、
まさしく、観客が全員そろって、何かに怒られたような気になったのかも知れない。
物語としては、やや正直で、それほどヒネリがない。
どちらかと言えば、最後に、あれほど功績を挙げたシンドラーが
戦犯として処刑されるくらいのヒネリが欲しかったが、実話では仕方がない。
だが、この映画での描写が、徹底的な調査の上にできていると言う実感は、
見ているだけでもヒシヒシと感じられ、その点でもインパクトが強い。
途中、ガス室のシーンなど、かなり強烈な描写も印象に残る。
スピルバーグは、ゲートを人間ぽく描く事に努力したと言うが、
劇中、シンドラーのセリフの中で、
ナチの連中も、戦争中でなければよい奴かも知れないと言っている。
これはまさしく真理で、人間の裏と表が、戦争を通じて表面に出たという感じだ。
等と、えらそうな事を考えてしまう面もあるが、
実際の所、こうしたテーマの映画は、いい映画とか、面白い映画と呼べるものではなく
あまり二度三度と見たくなるようなものでもない。
ヒネリにも乏しく、面白い演出があるわけでもない映画だが、
(その長さにも関わらず、飽きる事はなかったが)
スピルバーグのこの映画にかける意気込みは、強く感じられ、
執念の作品と言われたが、まさしくその通りで、全編重苦しいほどだ。
難を言えば、最後にシンドラーが、
もっと救えたはずと後悔するシーンはマイナスである。
あのシーンは、どちらかと言うと、
逮捕されそうな彼が、自己弁護しているように聞こえる。
もっとも、ここは泣きのシーンで、大勢が泣かされたようだが、
人々の中には、「涙が出た映画は、よい映画である」と言う
価値基準が横行している傾向がある。
だが、一部の描写で思わず泣かされたしまった映画があるとして、
それをもって、映画全体をよいものと評価する事はできないはずだ。
まあ、スピルバーグの狙いか、今までこの映画の評価に迷っていた者は、
ここで泣かされて、やっぱりいい映画だったのだと判断したかも知れない。
しかし、これはやや姑息な手段で、映画全体の雰囲気にちょっと合わない。
まあ、台無しにするほどではないが。
こうした虐殺をテーマにすると、よい評価をしないと、
人非人のように思われてしまうとか、と言う心配から、評価を高めてしまったり、
泣いてしまったから、いい映画だと判断したりする者がいるかも知れないが、
もちろんそんな事で、いい映画を作ってはならない。
個人的には、この映画は決していい映画ではなく、
いい映画とは、もっと別の次元に存在するものと思う。
しかし、この映画には、前述の通り、スピルバーグの意気込みが強く感じられる。
「ジュラシックパーク」のように、妙な所に力を入れてしまったと言う事もない。
繰り返しになるが、映画としてはヒネリがない気がするのだが、
もし仮に、平凡な展開の映画だとしても、
これほどまでに力を入れた作品があったとしたならば、
この努力は買わないわけにはいかず、
したがって、この映画には高い評価を与えるしかない。
間違っても、面白いとか、いい映画だと言うのではないが、
かつて、製作者の努力を、これほどまでに評価せざるを得なかった映画はない。
▼
侵入者(1962年米)
アダム・クレーマー 町を訪れた男(ウイリアム・シャトナー)
シップマン氏 アダムを支援する有力者
トム 記者。アダムに批判的
エラ トムの娘
サム・グリフィン アダムに反発
ジョーイ 黒人学生
パットン校長
アダムと言う男が南部の町を訪れる。
法律が改正され、10人の黒人が白人の学校に入学する事に。
未だ黒人に差別的な町だが、法律には逆らえないとあきらめ気味だ。
アダムは有力者シップマン氏に会い、戦いを続けようと言う。
人々を集め、このままでは黒人に国を乗っ取られると演説する。
人々は扇動され、黒人への襲撃事件が発生。
だが、白人の記者トムは、この流れに反発。
黒人の登校に協力したため、襲われて片目を失明する。
このままではトムは殺されると、アダムはトムの娘エラにある提案をする。
エラが、黒人学生ジョーイにレイプされたと言い出したため、
人々はジョーイをリンチしようとする。
だが、アダムに反発するサムがエラを連れて現れる。
エラはアダムの入れ知恵だったと告白。
真相を知った人々は解散し、アダムは町から追い出されるのだった。
と言うわけで、B級映画の王と言われるロジャー・コーマンが、
珍しく社会派ドラマに取り組んだと言う作品。主演は若きウィリアム・シャトナー。
もう少し前に出たニュルンベルグ裁判と言う作品では、
カーク船長よりさらに精悍と言う印象を受けたが、本作ではカーク船長と同じ顔。
物語は、黒人への差別が残る南部が舞台。
だが、この地も白人の学校に黒人が通う事が法律で決まり、住人も諦めムードに。
よその町から現れたカーク船長は、
一見人が良さそうなのだが、実際はかなりの白人至上主義者だった。
彼は国を守れと人々を扇動し、再び黒人や差別に反対する白人への暴力が発生。
さらに黒人学生によるレイプ事件をでっちあげるが、被害者が嘘をついたと認める。
普通なら、そんな事は関係ないと、差別は続きそうなのだが、
レイプが嘘と判明するや、船長の信頼が一気に地に落ち、人々は解散。
船長以外は意外に良心的で拍子抜けしてたら、急に終わる。
結局、何が言いたかった訳?とすっきりしない気持ちを残す。
TV放送 2013/04/14 WOWOW 0040-0220
▼
シン・レッド・ライン(98)
曹長(ショーン・ペン)らの隊は、中佐(ニック・ノルティ)から、
日本軍の南太平洋進出を阻止するべく島を絶対奪還しろと言う任務を受ける。
敵の激しい攻撃の中、無謀な高地奪還作戦を遂行。
ケック(ウディ・ハレルソン)らが死に、スタロス大尉はついに中佐の命令を拒否。
斜面で足止めを食い、怒った中佐がかけつけると戦況は急変。沈静化する。
ジョン(ジョン・キューザック)らが偵察の末高地を占領。
中佐はさらに敵基地襲撃を命令。敵基地を奪還。日本兵を惨殺させる。
中佐は大尉の指揮権を奪う。さらに交代要員が来たため、曹長らは帰還する事に。
だが帰還中も敵の襲撃を受ける。
視察に来た師団長(ジョージ・クルーニ)も中佐と似たような上官で、
兵たちは絶望しながら帰還する。
と言うわけで、「天国の日々」他寡作で知られるテレンス・マリックが
久々に復帰し、豪華キャストで製作した戦争映画。
とは言え、ショーン・ペンとニック・ノルティ以外は目立たない役。
ジョン・トラボルタは中佐に指示を与える司令官役でこれもチョイ役。
戦争が大変だったと言うのはわかるのだが、いまいち主張が伝わらない。
TV放送 2000/03/04 BS05 1700-1952
|