▼
「スタートレックY/未知の世界」(91)を見た。
スタートレックと言えば、いまさら言うまでもないが、
TV「宇宙大作戦」シリーズの映画化シリーズだ。
「宇宙大作戦」は、60年代後半3年間に渡って放映された。
銀河系は地球を中心とした惑星連邦にほぼ統一されていたが、
クリンゴン帝国などの敵対国も残されていた。
宇宙艦隊は、宇宙地図作成のため、エンタープライズ号を5年間の調査飛行にやった。
その乗組員は、理性を重んじて感情を表す事を避けるバルカン人と
地球人の混血スポック(レナード・ニモイ)。
逆に激情家で機械を信用できないドクター・マッコイ(デフォレスト・ケリー)。
この2人が、実は仲がいいくせに、事あるたびにケンカしているのを、
優秀だが、意外にわがままで強引な、カーク船長(ウイリアム・シャトナー)が、
なだめながら、様々な事件を乗り越えていくと言う話である。
一度は放送終了しながら、その後爆発的な人気となり、
アニメシリーズができたが、人気はいまいち。TVの続編企画が何度も出て、
スペースシャトル1号機にエンタープライズの名がつく。
(これはテスト機で、ついに宇宙へは出なかった)
そして、ついには映画シリーズとなってしまったわけだ。
数世紀後を描く続編シリーズも登場したが、いまいちなのは、
やはりSFなら何でもいいわけではなく、
元のシリーズの、主役3人のキャラクターが抜群だったからに違いない。
15年もたっているのに、同じ俳優が演じるという強引さで、映画化は始まった。
第1作は、地球の人工衛星が、創造主を探して戻ってくると言う話で、
特撮の撮り直しをしたため、製作費は史上最高(当時)。
高尚そうなテーマと、特撮のおかげでヒットしたが、
トレッキーと呼ばれる、熱狂的なファンにはいまいちだった。
なぜならば、あの音楽がない、「宇宙それは……」というナレーションがない。
なによりも、主役3人のノリが悪い。
こうして、いったんは映画化は1本限りかと思われ、
その後、ケネディ暗殺をクルーが阻止してしまい、
やむを得ずスポックがケネディを暗殺すると言うTVスペシャル案が出たようだが、
何とか第2作「カーンの逆襲」へこぎつけた。
これは、TVシリーズに登場したカーンと言う悪役を再登場させるもので、
TVシリーズではカークに恨みは持っていなかったのだが、
なぜか逆恨みして現れた。前作や他の映画のセットを使い回し。
製作費は安目になり、シリーズ化するならこうでなきゃ、と言う姿勢を見せた。
そして、当時すでに出演者の高齢化が問題視されていわけで、
しかも、ずいぶん前からスポックが死ぬとの噂が流れていた。
レナード・ニモイがスポック俳優と言われるのを嫌がり、
死んだ事にして製作サイドに移りたいという事らしい。
これは実現し、代わりにスポックの代わりのバルカン人(しかも女性)
サービック大尉が登場。
演ずるは、「ベイビートーク」のカースティ・アリー。
カークの息子も現れ、TVシリーズ時代には、
カーク&スポック、ホモ説も出たほどだが、今度はノーマルなカップルとして、
新世代への引き継ぎ作業を開始したかに見えた。
テンポはよく、一般受けはともかく、トレッキーを熱狂させた。
3作目「ミスター・スポックを探せ!」は、
死んだスポックをバルカン人の特性を利用して甦らせる話。
レナード・ニモイが念願の監督に進出した。
ここで、意外にもカークの息子は簡単に死んでしまい、
サービック大尉の役者は交代、扱いが軽くなった。
若返り化など、製作サイドの考えにはなかったのだろうか。
カーク以下のクルーは、ヤマトのような命令違反を犯し、エンタープライズは自爆。
ラストでスポックは甦ったが、続編は不可能かのような状況となった。
4作目「故郷への遠い旅」で、レナード・ニモイが再び監督。
カークらは地球の危機を救い、結局、命令違反による罰則は免除される。
ここでは、スポックはフルに出演し、やめるはずでは……と戸惑わせた。
クルーは20世紀へタイムトラベルし、文明批判や、動物保護などをアピール。
いかにもと言う題材で、本来のシリーズとはいささかずれる感もあったが、大ヒット。
ニモイは「スリーメン&ベビー」の監督にまで起用されるほど。
このヒットで、数世紀後を描くTVの続編シリーズが登場。
現在に至るまで5シーズン続いているらしい。
5作目「新しい未知へ」で、今度はウイリアム・シャトナーが監督に。
スポックの異母兄弟が現れ、新エンタープライズで、神を求めて旅行する話だが、
これが何とも退屈な映画で、5作目が最後との話もあった。
しかし、アメリカではスタートレックと言えば、寅さんなみの人気。
終わるのはもちろん、役者を代える事すら許されないのだ。
(前置きが長いけどかんべんね)
さて、登場人物だが、まず主要キャラだけでも大変。
カーク船長は、アメリカ人で、優秀な船長だが、命令違反も辞さない人で、
スポックを助けるための違反がもとで、提督から降格。
もっとも、当人は船長の方が性にあっているようだ。
ミスター・スポックは、バルカン人と地球人の混血。繰り返しになるので省略。
ドクター・マッコイは、アメリカ南部の出身。個人的にはこの人がいちばんスキだ。
スコットは、TVではチャーリーと呼ばれた。スコットランド出身。
機関長で、何でも修理してしまい、こういう人がいないと、
脚本がつらい事も少なくない。
スールーは、TVでは加藤と呼ばれたが、
日本人とアジアのどこかの混血で、純粋な日本人ではない。
操舵手で、次期船長候補だったが、本作でようやく船長になる。
チェコフは、科学士官。ロシア人。TV2シーズン目から登場。
ソ連での評判を考慮してのキャラクターらしい。
ウフーラは、通信士。主要キャラの中で唯一の女性。
アメリカの黒人ではなく、アフリカの小さな国の出身。
5作目でいきなりデブになったのには驚いたが、本作では多少やせたようだ。
この他に、TV1シーズン目に、カークの個人秘書として出演していた
ジェニーと言う女性が、スールーの艦に乗船。
彼女は、映画1、3、4作目にも登場したが、いずれも印象は弱い。
そして、スポックの父でバルカン大使であるサレックも登場。
演ずるのもずっとマーク・レナードと言う俳優。
映画3、4作にも出ており、サブレギュラーという感がある。
他にもいろいろいるが、後回しにして、ようやく物語に移る。
スールーが念願の宇宙戦艦エクセルシオ艦長になって3年。
謎の波動に遭遇。コンピュータで調査すると、
クリンゴンの月プラクシスの半分が爆発した事がわかる。
(この冒頭で、スールーがコーヒーカップを落として割るシーンがあるが、
宇宙戦艦に陶器のカップを使用すると言うのは、どうもおかしい)
スールーは救援を申し出るが、クリンゴン側は拒否。
中立地帯へ侵入しないよう警告する。
カークやマッコイら、エンタープライズの昔からの乗員は
あと3ヶ月ほどで、今度こそ本当に引退らしい。
彼らは宇宙艦隊の会議に呼び出され、意外な事実を聞かされた。
スポックの説明によれば、
クリンゴンの月が爆発し、エネルギー源を失ったクリンゴンは、
あと50年の内に滅びると言う。
極度の採掘などが原因だが、経済の大半を軍備に使用しているクリンゴンには、
生き残るためには、惑星連邦との和平しかない。
クリンゴンの中でもハト派の、ゴルコン宰相が会談を申し出てきた。
そこで、スポックの助言もあって、艦隊はカークにゴルコンの護衛を命ずる。
会議に出席したメンバーの中には、
映画4作目に出たカートライト提督らもいるが、この和平には反対だ。
クリンゴンは平和よりも死を選ぶ種族で、今までに何度も条約を破り、
罠にかけられてきた。信用できないのだ。
そして、カークもまた、息子を殺された恨みもあり、作戦に乗り気でない。
しかも、スポックが無断で自分を指名した事も気に入らなかった。
エンタープライズが発進。
操舵手は、サービックを思わせる女性バルカン人バレリスだ。
このバレリスを演ずるのが、キム・キャットラル。
「ポリス・アカデミー」等に出演した美人女優だが、バルカンメイクのおかげで
ずいぶん変な顔。言われなければ、キム・キャットラルだと言う事がわからない。
エンタープライズは、ゴルコン宰相を乗せた戦艦クロノス・ワンと接触。
クロノス・ワンを護衛する事にして、クルーを夕食に招待。
転送ビームで送られてくる。
ゴルコンを演ずるのが、デビッド・ワーナー。
「タイム・アフター・タイム」で切り裂きジャックを演じた男で、
5作目では、地球人大使を演じた。別役での再登場だ。
そして彼の娘、さらにはチャン将軍だ。
このチャン将軍を演ずるのが、「サウンド・オブ・ミュージック」の
クリストファー・プラマー。これまた、メイクのおかげでよくわからない。
チャン将軍は、平和を望んでいたと言うカークを戦争のプロと賞賛。
カークらは、禁制品のロミュランビールを持ち出して歓迎。
クリンゴンの連中は、クリンゴン語のシェークスピアを呼んでいて
名ゼリフを話し、スポックが「それは……」と答える。
とは言うものの、スポック以外の乗員は、どこか警戒している。
クリンゴン側も同様で、ゴルコン以外は敵対心を持っている。
「生きるべきか、死ぬべきか」と言ったのに対して、
カークが「1938年のヒットラー」と答え、ムッとされたりして、
夕食会はさんざん。
スポックはカークらの態度を非難。
だが、カークはやはりクリンゴンを信用する事はできない。
寝ているカークをスポックが呼び出す。異常なエネルギー波を検出したのだ。
しかも、それがエンタープライズから発せられている。
驚くまもなく、命令もしていないのに、エンタープライズから2発のビーム砲が発射。
クロノス・ワンに命中。
重力発生装置が破壊され、クリンゴン艦の乗員は浮いてしまう。
そこへ2人の、宇宙艦隊の重力スーツを来た人物が転送されてくる。
これを着ていると、無重力でも平気で、次々とクリンゴン乗員を射殺。
塊となった血液が宙に漂う。そして、ゴルコン宰相までも撃たれる。
2人は転送で去り、チャン将軍が重力装置を復旧させる。
チャン将軍は恥知らずとカークに抗議。
スコットの調べでは、ビーム砲は発射されていないが、
コンピュータには2発使用されたとの記録が。
艦をエンタープライズに向け、攻撃を仕掛けたため、カークは降伏。
カークとマッコイの2人が転送でクリンゴン艦へ行く。
マッコイは必死で治療するが、何しろクリンゴン人を治療したのは初めてで
かいもなくゴルコンは死ぬ。
チャンは2人を逮捕。ゴルコンの娘が遺志を継いで、和平会議は行う事に。
ただし、カークら2人を釈放しない事が条件だった。
そして、開催場所は秘密とした。
惑星連邦大統領は、カークがそうした行為をするとは思えなかったが、
集まっていたバルカン大使サレックも、もう1つの敵対国ロミュラン帝国大使も
状況から見て、カークらはクリンゴンの法律に任せるしかない。
クリンゴンの裁判は、最初から有罪にするためのものであった。
治療に当たったマッコイが、ロミュランビールで酔っていた事を指摘。
カークが「クリンゴンは信用できない」と言った日記が、どこからか持ち出され、
部下の行動に責任があると、誘導尋問で発言させる。
裁判官は、和平会談の時期のため、死刑は免除し、
ルラペンデ星への終身流刑、強制労働の刑となった。
このルラペンデは極寒の惑星で、地上に数分いると凍死してしまうほどの惑星。
しかも、厳しい労働で、死刑にされた方がマシとさえ言える判決だった。
2人は地下の鉱山で採掘の作業をさせられるが、
カークの首に賞金が賭けられているらしく、バカでかいエイリアンが次々と狙う。
それを助けたのは、マルティアと言う女性だった。
彼女は、カークらに秘密の抜け穴からの脱走を持ちかける。
一方、モニターで裁判を見ていたスポックらは、何とかカークらを助けようと思案。
クリンゴン側からカークを救助すれば、和平会議は中止と言われているため、
うかつに手を出せない。
宇宙艦隊は帰還命令を出すが、
スポックらは通信機が故障したフリなどして得意の命令無視。
付近にいる、スールーのエクセルシオも、これを見逃す。
スポックは、エンタープライズの真下から別の艦が攻撃し、
エンタープライズのコンピュータに、ビーム砲を使用したとデータを修正したと推理。
別の艦として考えられるのは、
クリンゴンの透明装置を搭載したバード・オブ・プレイ号だ。
(猛禽号とか、ハゲタカ号などとも言われる)
バード・オブ・プレイは攻撃の際に姿を見せなければならなかったが、
おそらく、新型艦ができ、それは透明のまま攻撃できるのだろう。
そして、データを修正した共犯者が艦内にいるはずだ。
重力スーツの靴がどこかに隠されているはず。
船外に投棄する事は不可能だし、フェーザーで焼却すれば、警報が鳴ってしまう。
乗員たちは艦内をバラバラにして靴を捜索。
チェコフが転送装置のそばで、クリンゴン人の血液を発見。犯人が乗船した証拠だ。
ついにロッカーから、靴が発見される。
クルーはシンデレラの靴と大喜びするが、ロッカーの持ち主はエイリアンで
その靴ははけそうもない。
カークとマッコイは、マルティアにつれられて、抜け穴から外へ。
彼女は何にでも変身できるエイリアンで、その特性を利用したのだ。
猛吹雪の中を歩き、刑務所のシールド地帯から脱出。
スポックがカークに発信器を取り付けたため、シールドから出れば、
居場所を見つけてくれるはずだ。
エンタープライズは、ルラペンデへ急行。
途中、レーダーにかかり、通信してくるが、
ウフーラがクリンゴン語の辞書を必死に引きながら相手をして、何とかごまかす。
(この時代になっても、レーダーで艦の種類までわからないのだろうか)
カークはマルティアを信用していなかった。
おそらくは、カークを処分しようとする一味の差し金だろう。
マルティアはカークに変身し、カーク同士の格闘に。
TVの「2人のカーク」のエピソードのようだ。
彼らは刺客一味に囲まれ、刺客はどうやって判別したのか、マルティアを処分。
冥土のみやげに黒幕を聞かせてやると言うやいなや、
カークらはエンタープライズに転送。カークは怒るが、戻る気はない。
スコットが重力スーツを発見。続いて2人の死体が見つかる。
別の一味が、口を封じたに違いない。
そこで、カークは2人の尋問を記録する要員を、病室まで呼ぶ放送を全艦に流す。
罠とも知らず、マンマとカークたちの待つ病室へ刺客が現れる。
それは意外にも、バレリスだった。
バレリスはしらばっくれていたが、次第に白状。
惑星連邦がクリンゴンと和平を結ぶ事が、誤った道と考えたのだ。
カークは黒幕を聞き出すが、断固として語ろうとしない。
そこで、スポックが精神感応で聞き出す。
黒幕は、宇宙艦隊のカートライト提督、ロミュラン大使、
そしてクリンゴンのチャン将軍だった。
カークは和平会議の場所を聞くが、これはバレリスも知らず、
エクセルシオのスールー艦長に接触。ロミュラン星付近の星と聞いて急行する。
おそらく、一味はまだ何かしでかすはずだ。
ゴルコンの娘が演説する中、クリンゴンの刺客が狙撃の準備をしていた。
エンタープライズは会場へ接近するが、
見えないバード・オブ・プレイのチャン将軍が発見。
「戦争の犬を放て」等とベラベラと無線で話しながら、攻撃。
エンタープライズは打撃を受ける。
スポックは、宇宙船であるかぎり、イオンガスを排出しているはずと指摘。
魚雷を改造して、イオンガスを追尾するようにする。(したのだと思う)
エンタープライズは大打撃を受け、今にもやられそうだ。
そこへエクセルシオが急行。
バード・オブ・プレイは攻撃をエクセルシオに移し、その間にスポックが準備完了。
魚雷は「生きるべきか、死ぬべきか」と言うチャンの艦に命中。
バード・オブ・プレイは姿を表し、2つの艦が過剰なほどの攻撃。撃滅する。
カークらは会場へ転送され、大統領を助け、狙撃犯を倒し、
逃げようとするカートライト提督らを捕まえる。スールーもかけつける。
あぜんとする人々を前にして、
カークは宇宙の平和は守られたかとか、訳のわからない事を演説。
人々は事情が飲み込めていないはずなのに、拍手する。
カートライト提督らは、無罪放免となった。
クリンゴンを敵視したと言う意味では、カークらも同罪だ。
スポックも、バルカン人だからと言うひいき目で、バレリスを見逃していた。
2人とも頭が固くなった。引退の時期かも知れないなどと言う。
エクセルシオが去り、エンタープライズも発進しようとするが、
本部から退官式へ来いとの命令が。
スポックは「私が人間なら、くそくらえと言うでしょうな。人間ならね」と言う。
こうして、カークはまたしても命令を無視して、宇宙へ飛び立つ。
それに続いて、メインキャストのサインが、
ウルトラサインのように次々と宇宙へ飛んでいく。
というわけで、こうして見てみると、
本作はシリーズ最終作にするために作られたような話であった。
引退の時期だという話は出て、クリンゴンと和平する事になって、
エンタープライズに乗るのはこれが最後と言うセリフが出て
キャストのサインが全部出るなどと言う展開で、
今度ばかりは本当に終わりかも知れない。
もっとも、おそらくは大統領を助けようとした時に、
最初はカークは死ぬ事になっていたようだが、それを取りやめたという事は、
まだ多少の余地は残していると見ていい。
クリンゴン乗員の中に、TV新シリーズのレギュラーの祖先がいると言う事なので、
今後は新シリーズの映画化をしていく方針なのかも知れないが、
やっぱり、あの主役3人がいなくなると言うのはかなりさびしい。
肝心の物語の方だが、基本的にクリンゴンと和平する事になり、
それをいやがる連中によって、カークが窮地に追い込まれると言う事である。
和平に抵抗する連中がいるのはわかるが、
惑星連邦側とクリンゴン側が結託していたと言うのは不可解だ。
むしろ、こいつらの方が仲がいいのではなかろうか。
大統領の狙撃犯が現れると言うのは、別の映画を見ているような展開。
大統領は独裁者にもカリスマのある人物にも見えないので、
効果はあまりない計画と言える。会議場が妙にせまいのも気になる。
というわけで、つじつまあわせと言うのとは違うが、
最終作にするために、無理矢理作ったと言う印象が残る。
何にでも変身できるエイリアンがCMで出てくるが、
物語の中ではたいして重要ではない。(特撮はすごいんだけど)
マッコイとスポックのケンカがないのも、ちとさびしい。
出来はいまいちと思うが、テンポは前作などよりずいぶんよく、
トレッキーなら楽しめる。できればまだ続けて欲しいものである。
▼
まだまだ続くシリーズ最新作「ジェネレーションズ STAR TREK」(94)を見た。
スタートレックと言えば、かつてヒットしたTVシリーズ「宇宙大作戦」の映画版で
シリーズは6作まで登場。途中、現代に戻った4作目などはかなりヒットした。
スターウォーズ等にも影響を与えたと言うSF設定と、
意外に人間くさいドラマ展開が魅力的で、
中でも感情を否定するスポックと、感情を重んじるドクターが口論になり
それを中立的なカークがなだめると言う展開は、なかなかの見応えがあった。
そうは言っても、TV放送時からはかなりの時間がたっており
出演者が高年齢になった事もあって、映画はともかく
新しいTVシリーズと言うのは無理だったので、仕方なくと言うべきか、
新メンバーによる「ネクスト・ジェネレーション」が製作された。
当初、これは旧シリーズの焼き直しと言う感じで感心しなかったが
途中から、1作に複数の事件を絡ませる等の脚本上の工夫が見られて
旧シリーズより面白いとさえ思えてきたのだが、
スタートレックは、昔から関西系の人気が強く、
関東ではまだまだの所があって、2年目くらいで放送が終わってしまった。
本国では旧シリーズの3年を上回る5年間放送された末、終了し、
さらに第3、第4のシリーズ、「スペース・ディープナイン」「ボイジャー」が登場。
まだまだスタートレックの世界は終わりそうもない。
さてこのネクスト・ジェネレーションについてだが
時代は旧シリーズの80年後くらい。
エンタープライズはさらに巨大な宇宙船となり、エンタープライズDと呼ばれる物に。
艦長はジャン・リュック・ピカード。カークよりも老練な感じ。
カークのギャンブラー、プレイボーイ的な面は、副長ライカーに受け継がれる。
そして、スポックの論理的な面は、アンドロイドのデータ少佐が受け継ぐ。
ただし、スポックが論理的である事を求めたのに対し
データはむしろ人間的になろうと努める。
そして、スポックが精神感能とか言って、人の心を読んだ点は
カウンセラーと言う役目の、精神分析医みたいな、
メタゾイド人のディアナ・トロイと言う女性が受け継ぐ。
ちなみに、トロイはライカーと恋仲だ。
この他には、女性のドクター・クラッシャー。
彼女には息子もいるが、ピカードと恋仲ぽい。
機関士はジョーディ。彼は盲目でバイザーと言う装置を目につけているため
温度の変化等、人間よりも細かい分析が可能だ。
さらに、保安主任のウォーフは、宇宙艦隊初のクリンゴン人。
かつては敵対関係にあったクリンゴンも、いまでは友好国なのだが
いまだに宇宙艦隊にいるのは彼だけらしい。
そしてエンタープライズ内にあるバーで働くのが、
ウーピー・ゴールドバーグ扮するガイナン。
彼女はエル・オーリアン人で、この星の人間は長命のため
ピカードらも知らない宇宙のいろんな出来事を知っている生き字引だ。
さすがに、ウーピーもアカデミー賞をもらったりして人気者になったために
本作は特別出演的な扱いだが、それでもストーリーに絡む。
こうした連中に、なぜかとうの昔に死んだはずのカークが絡むと言う。
インターネット等で、カークが死ぬと言う情報が流れ、
ファンの猛反対で脚本が修正されたとの噂で、
これは「スタートレックY」でも同様の事があった。
まあ、せっかく新メンバーになったのに、
カークがいつまでも出てくると言うのは考え物だが
実は、スポック役だったレナード・ニモイらが、
番外編的スタートレックの映画版を企画しているとの噂があって
その場合、カーク役をいったい誰がやるのかが
重要な問題となるなどと言われるほどなので
また、そうそう簡単には、カークらオリジナルメンバーを抜く事はできないわけだ。
そんなわけで、映画版ネクストジェネレーションもシリーズ化される見込みで
やっぱりこいつも見逃せない。
冒頭は、宇宙空間を酒瓶が浮遊するシーンに合わせてタイトルが流れる。
瓶はやがて、宇宙基地の宇宙船にぶつかって割れる。
その船とは、新しく建造されたエンタープライズBだった。
これはスールー船長(加藤のこと)が乗船した、エクセルシオ号と同型だ。
引退してもなお、伝説の艦長であり続けるカーク提督(ウイリアム・シャトナー)は
マスコミの連中に囲まれて、この艦の出港式に立ち会う事に。
スコット(ジェームズ・ドーハン)、チェコフ(ウォルター・ケーニッグ)と言う
かつての同僚も一緒だが、皆老けてしまっている。
カークは口出しすまいと思っているが、新艦長ハリマンは若造で心配で仕方がない。
操舵主はデモーラ・スールーと言う女性。
当然の事ながら、スールーの娘で、カークたちは子供の頃に会った事があるので
自分たちが老けた事を再認識する。
出航にあたっては、ハリマン艦長が命令をカークに出してほしいと言い出し
マスコミもそれを期待するので、仕方なく「出航」と一言だけ言うと
一同が拍手すると言う茶番まである。
予定ではちょっと一周して帰還する予定の、テスト航海だったのだが、
突然救難信号が入る。
エル・オーリン星の連中が、ボーグ人と言う宇宙人に襲われ、漂流しているのだ。
このエル・オーリンとかボーグとかは、
「ネクスト・ジェネレーション」では知られた名だが、この時代では知られていない。
テスト航海だから、他の船に任せようと言うハリマンに対し、
口出ししたくてウズウズするカーク。
しかし、まだいろんな装備が整っておらず、必要以上に飛行するわけにはいかない。
だが、他に船がないと知り、ハリマンも仕方なく救助へ向かう事とする。
彼らの前方には、リボンのようなエネルギー波が。
2つの船が波に捕まっており、1つは耐えきれずに爆発。これで数百名が死ぬ。
残りの1つの乗員だけでも救おうと、転送を試みるが、
全員の収容はできず、一部だけを収容したところで、船は爆発する。
収容された連中の中には、後のネクスト・ジェネレーションのレギュラーとなる
ガイナン(ウーピー・ゴールドバーグ)らがいた。
そして、ソラン(マルカム・マクドウェル)と言う男などは、
どう見ても危険そうな、そのエネルギー波に戻りたがり、仲間がなだめる。
そうこうしていると、エンタープライズ自体がエネルギー波に巻き込まれてしまう。
普通ならば、魚雷でも発射して、エネルギー波の中に空洞を作って脱出する所だが
今は魚雷さえ積んでいない。
カークはデフレクターとか言う物を利用して、穴が開けられると提案。
それをするには第15デッキだかへ行かねばならず、
今まで口を出し続けたカークは、こんな時になって、
艦長はブリッジを離れてはならないと言い出して、自身がデッキへ向かう。
カークは作業を続け、何とか空洞を開ける事に成功するが、
それと前後して、艦がエネルギー波と接触してしまい、艦の一部に損傷を受ける。
エンタープライズは脱出に成功するが、
スコットらは損傷を受けた箇所を聞いて愕然とする。
それはカークのいるはずの場所だった。
彼らはかけつけるが、損傷で穴が開いてしまっていた。
伝説的なカーク提督が死んだのだ。
それから78年後。エンタープライズと言う帆船に、
中世の扮装のピカード(パトリック・スチュアート)らが乗っている。
ネクスト・ジェネレーションを知らない人にはピンと来ないかも知れないが
エンタープライズDには、ホロデッキと言う、何でも好きな物を体験できる場所があり
ホームズごっこ等をマジメにやって、それが事件に発展したりする事もあるのだ。
囚人に扮したクリンゴン人のウォーフが引き連れられる。
実は、ピカードは彼を少佐に任命する式を、回りくどく演出したのだ。
続いて、ウォーフは船から出された板の上に。
そして上から吊された帽子を、揺れる板の上から飛んで取ると言う儀式。
今まで成功した者はないと言うが、ウォーフはこれを成功させる。
副長のライカー(ジョナサン・フレイクス)はイタズラ心を出して、
この板を消すよう指示したため、ウォーフは海へ真っ逆様。
一同は笑うが、アンドロイドのデータには理解できない。
そこでドクター・クラッシャーに聞くと、だって面白いじゃない等と言われ、
わかったような気になったデータは、彼女を海に突き落とす。
さすがにこれには一同愕然としてしまう。
一方、ピカードは兄ロベールと甥ルネが火事で死んだとの連絡を受け
家族のいない彼は、唯一の肉親を失ったショックを受ける。
その頃、アマゴサ観測基地より救難信号を受け、エンタープライズは救助に向かう。
もっとも、ピカードは肉親の死のショックでふさぎ込んでいて、ライカーが指揮。
基地の隊員たちは何者かに殺されており、宿敵ロミュラン人の可能性があると推理。
唯一の生存者を発見。彼を収容する。彼はソラン博士と言った。
データは船での失敗を反省し、ついに感情チップと言うのを取りつける事にする。
(そんな物を、誰がどこでテストして作ったのかわからないが)
友人の機関士であるジョーディは反対するが、データの意志は固く、
仕方なく取りつける事に。
するとデータは次第に感情を理解できるようになっていく。
ガイナンのバーへ行き、彼女の出す酒を飲み、「これがまずいと言う事か」と
味について理解できるようになる。
一方バーにいるソランは、ピカードに観測基地へ戻るよう依頼。
しかし、いまだ危険な状態の基地へ戻すわけにはいかないと拒否。
そんなソランを見て、ガイナンは見覚えがあると感じていた。
データは陽気になってしまい、数年前のジョーディのジョークがわかったと
ケラケラ笑いだし、止まらない。2人は観測基地の事故を調査に向かう。
そこでもデータは笑いっぱなし。
いささか暴走した感じで、このままではいけないと感じるデータだが
どうにも止まらない。
基地襲撃はどうやらトリリシウムと言う物質が狙いらしい。
核融合を抑止するためのものだが、武器として使用されれば、恐ろしい事になる。
調査を続けるジョーディとデータの前に、ソランが現れ、銃を突きつける。
ジョーディは負傷し、データは恐怖の感情を初体験して身動きできない。
異常に気づいたライカーらが救出に現れるが、
時すでに遅く、ソランはジョーディと共に転送装置で収容される。
その収容先は、クリンゴンのバート・オブ・プレイ号。
TVシリーズを全部見たわけではないので知らなかったのだが、
クリンゴン帝国を追放され、ピカードらを恨む
ルーサとペトール姉妹と言うのがいるらしい。
彼女たちはソランと手を組み、トリリシウムによる新兵器開発を計画していた。
ジョーディは拷問を受け、その間にソランは彼のバイザーに何か仕掛をしていた。
ピカードは、ガイナンにソランの事を聞く。
彼女によれば、彼らエル・オーリアン人はかつてネクサスと言う場所にいたと言う。
それはリボン状のエネルギー波のようなものだが、
理想郷のような世界で、何でも夢がかなうと言うのだ。
ところが、78年前の事故で、彼らはそこを追われてしまった。
大半の者はあきらめたが、ソランだけはそこへ戻る事をあきらめなかった。
そのためには、他人を犠牲にしてもいいとさえ思っていたのだ。
観測基地の爆破で、ネクサスの起動が狂い、ベリディアン星系へコースを変えた。
もしベリディアンの恒星を爆破すれば、ネクサスは第3惑星に接触する。
自分からネクサスへ向かうよりも、こうしてコースを変更させた方が
はるかに安全だからだ。
しかし、この恒星爆破により、恒星系の何百万もの人々が死滅してしまう。
データは自分の感情が抑えられない事から、任務よりはずすよう依頼するが、
ピカードはそれを乗り越えるのが人間だと説得する。
艦はベリディアン星系へ急行する事となる。
ベリディアン恒星系へ到着したエンタープライズの前に、
ジョーディを人質にとったルーサとペトール姉妹のクリンゴン艦が現れる。
ピカードは自らを人質にするよう提案し、姉妹はこれを承諾。
ジョーディを転送収容すると同時に、
ピカードはベリディアン第3惑星へ転送される事とする。
そこには、ミサイルを用意したソランがいて、今にも発射しようとしている。
ピカードは近づこうとするが、バリアで保護されていて近づけない。
一方、帰還したジョーディは医療室で診察を受け、回復して機関室に戻る。
ところが、ルーサとペトール姉妹は、ソランが改造したバイザーによって
エンタープライズ船内をモニターしていた。
彼女たちは、エンタープライズのシールドの周波数を盗み見る。
たちまち攻撃を開始。火力では劣るバート・オブ・プレイだが
シールドを破ったためエンタープライズに大打撃を与える。
非常事態に、ライカーらはバード・オブ・プレイ号の弱点を分析。
この旧式の艦にはコイルだかに欠陥があり、
相手のスキをついて、1発だけ光子魚雷が撃てる事に。
見事コイルに命中させ、バード・オブ・プレイ号を見事撃破する。
しかし、エンタープライズは予想外に損傷を受け、
ジョーディはもはや回復は不可能と断言。円盤部を切り離し、脱出する事を提案。
(彼は自分のために、艦が危機に陥ったとはまったく気づいていない)
実は旧エンタープライズも円盤部が切り離せると言う設定だったが
実際に切り離された事はなく、対して新エンタープライズは何度も切り離している。
乗員は一斉に円盤部に移動。そして円盤部が切り離されると、残された部分が爆発。
失速した円盤部は体勢を立て直す事ができず、そのまま大気圏へ突入する。
カウンセラーのはずのトロイが、操舵席に座っているのがやや違和感がある。
円盤部は地面に突っ込み、山をなぎ倒して何百メートルだか何千メートルだか移動し
ようやく止まる。乗員たちもショックで倒れ負傷した様子だが
不思議な事に、誰かが死んだと言う報告はない。
とにもかくにも、まさか映画第1作で、艦がぶっ壊れるとは思わなかった。
一方、ピカードはバリアの下の岩をくぐって、ミサイルを止めようとするが、
気づいたソランが妨害。
そうこうしているうちに、ミサイルは発射され、恒星は撃破されてしまう。
恒星の爆発による衝撃で、ネクサスはコースを変更し第3惑星へ接近する。
ネクサスのエネルギー波が、それを迎え入れるソランを包み込む。
一方、衝撃波が惑星を襲い、次々と惑星が崩壊。
逃げまどうエンタープライズの乗員たちも、それに巻き込まれてしまう。
ピカードは気がつくと、どこかの家にいた。
彼は目隠しをされ、家族や死んだはずの甥ルネたちとクリスマスを祝っていた。
そして妻の姿も。ピカードには妻も子供もいないのだが、
彼は確かにそこが自分の家だと感じていた。
そこへ現れるガイナン。彼女だけは特別な存在なので、
エンタープライズにありながら、ここにも姿を現すことができると言うのだ。
ここではすべての希望がかなうと説明。
確かに、ピカードにとって、これは望んだ世界かも知れない。
しかし、本当に彼が望んでいるのは、艦の安全だ。
時間の流れがないネクサスならば、ソランの陰謀を阻止する事ができる。
ピカードはガイナンに協力を求めるが、実体のない彼女には無理だ。
しかし、協力に最適な人物がいると言う。
そう言われたピカードは、近くの小屋へ。そこで思いがけない人物を見た。
78年前の事故で死んだはずの、伝説的な人物カークだった。
つい先ほど彼はここへ現れ、気がつくと薪割りをしていたと言う。
そこにはドクター・マッコイに譲ったはずの時計などもあり、カークには驚きの連続。
ピカードに料理の手伝いをさせる。
ピカードは、自分が後のエンタープライズの艦長で、協力を頼むと説明するが
カークには聞く気がない。もはや任務は終えたと言うのだ。
かつて結婚を決意しながらも、任務のために別れた女性がここにおり、
カークはここで人生をやり直そうと決意するのだ。
過去のシリーズを知る者にとっては、あれほど艦長である事に固執したカークだけに、
この豹変ぶりにはいささか驚かされる。
カークとピカードは馬に乗るが、カークはやがてこの世界がむなしいと感じ始める。
やはり彼には現場以外に生きる事はできないのだ。
そう思うと、ピカードの話を改めて真剣に感じ始める。
そして今の任務が自分の仕事だと感じるなら、決して現場を離れるなと説得。
長いシリーズの歴史を考えると、これには思わずホロリとさせられる。
状況はどうだと聞くカーク。かなり悪いですと言うピカード。
いつもそうだと言うカーク。逆にやる気が出ると言う。
彼らは時代を自由に行き来できるのだから、当然艦の墜落以前に行くべきだが
そうではなく、戻ったのは艦の墜落後。
ソランが今にもミサイルを発射しようとしていた。その前に現れるカークとピカード。
カークに驚くソランはおまえは誰だと言い、カークは歴史を勉強しろと言う。
ミサイル発射装置は断崖の上に設置され、そこへ行くための足場の上で得意の格闘。
しかし、いかんせんカーク役のウイリアム・シャトナーも老けて
首の回りの肉づきなどを見ると、ちょっと格闘には無理があるように感じられる。
2人で協力しての格闘に、さしものソランも苦戦。
しかし、カークはミサイル発射装置用のリモコンを取ろうとして、
ソランに足場を撃たれて転落。ピカードは発射装置を自爆するように細工。
かけつけたソランはあわてて元へ戻そうとするが、解除は不可能。自爆する。
ネクサスは惑星を通過。ピカードはカークのもとへかけつける。
彼はまた正義を守れて楽しかったと言い残して死ぬ。
ネクサスで生き続けるのが、事前に予想した展開だったので、これまたやや意外。
ピカードはどうやったか、エンタープライズの連中に居場所を見つけられ救出される。
そしてエンタープライズの残骸から必要な物を集める乗員たち。
データは愛猫のスポットを発見。感情チップはこのままにする事を決意する。
と言うわけで、新シリーズ第1作はこんな感じで、メンバーも一新したものの、
おいしいところを亡霊のようなカークにさらわれてしまっては
新シリーズにした意味も半減だ。
平和ボケしたカークが、現場復帰するくだりはなかなか感動的なのだが
新メンバーによる第1作と言う事を考えると、どっちつかずの中途半端さが否めない。
ピカードはそれなりに活躍するが、ライカーですらそれほど活躍せず。
スポックに代わる人気者のデータは、前半はそれなりだが、
後半はやっぱりほとんど出てこない。
当初、新メンバーの時代設定がよくわからない面も。
(TVシリーズの前かと思ったが、どうやら後らしい)
エンタープライズは爆発して、今後どうなるか予想もつかないし、
亡霊のようとは言いながら、死んだかどうかは不明でもいいのではと言う気がする
カークの死がばっちり出てしまい、(脚本を変更したものと思ったが)
今後のシリーズがどうなるのかは予想もつかない。
どうやら96年中に、TVシリーズに何度か出た機械みたいなボーグ人との対決を
描いた続編が作られるようだが。
新シリーズの面白さは、旧シリーズよりもメンバー1人1人の
キャラクターの描写が面白い事にあると思うが、
本作のように、事件やカークと言うゲストや、特撮に捕らわれて
メンバーの描写が損なわれるのでは、魅力もいまいち。
亡霊を葬った上で、次回作に期待したい。
▼
最後は「ファースト・コンタクト STAR TREK」(96)を見た。
この映画は新スタートレック映画版第2弾。旧シリーズもあわせると、通算8作目。
前作でエンタープライズD型艦を破壊させた一行は、
何事もなかったかのようE型艦で再登場。
そのメンバーは、パトリック・スチュワート扮するジャン・リュック・ピカード艦長。
ジョナサン・フレイクス扮するウイリアム・ライカー副長。今回は彼が監督も務める。
アンドロイドだが人間になりたがるデータ。機関主任のジョーディ・ラフォージ。
ベタゾイド人のディアナ・トロイ。ドクターのベバリー・クラッシャー。
クリンゴン人の保安主任のウォーフと言う面々だ。
旧シリーズのメンバーは出てこない初の作品だが、今回思いがけないゲストが登場。
「華麗なる変身」に登場したワープ航法の父ゼフラム・コックレイン博士だ。
旧シリーズでは、彼がコンパニオンと言う存在に若返らされていたが、
今回は老人として登場。扮するは「ベイブ」の牧場主役の人。
彼がバルカン人と史上初めて出会うのが、歴史上の「ファースト・コンタクト」だ。
これに最強の敵ボーグがからむ。
ボーグと言うのは、機械化された人間の種族で、
地球人を標的として認知して以来、再三にわたって同化させようとしてきた。
かつてピカードは、「浮遊機械都市ボーグ」にて、ボーグに捕らわれ、
ボーグ・ロキュータスに改造されかかった事があるのだ。
この時は間一髪助け出され、初期だったため人間に戻す手術も成功したのだ。
だが、以来彼はボーグに辱めを受けたと、人知れず悩んでいるのだ。
このちょっと接点のなさそうな2つのテーマで、物語は展開。
まあ、いずれにせよ、このシリーズは全作映画館で見ているのでね。
ピカード艦長(パトリック・スチュワート)は悪夢に悩まされていた。
数年前ボーグに捕らわれ、ロキュータスとして改造されかけた時の事だ。
そんな彼のもとへ、提督から連絡がある。
ボーグによる地球攻撃が開始されたと言うのだ。ボーグ艦は1隻。
艦隊による迎撃作戦が展開されるが、エンタープライズは参加しない事に。
彼らの乗るのはE型艦。前作でD型艦を破壊したが、
今回何の説明もなく新型艦に登場しているのだ。ユニフォームも替わった。
メンバーの中でウォーフだけが、別の艦に移った事は、後でわかる。
ライカー副長(ジョナサン・フレイクス)は、作戦に参加できない事に不満だ。
提督が与えた仕事は、ロミュランとの中立地帯の物質調査。退屈な仕事だ。
エンタープライズも乗員もベストだが、提督はピカードを信用していなかった。
と言うのも、かつてボーグに捕らわれかけた経験があるからだ。
ここぞと言う時に、どういう反応をするかわからない。
もっとも、ピカードに言わせれば、同化されかかったからこそ、
知り得た情報もあるのだが。
仕方なく中立地帯の調査を進めるが、その間にも艦隊は次々とやられている。
実はここがこの映画唯一の撃ち合いシーンなのだが、
1隻のサイコロ型のボーグ艦に対し、何隻ものエンタープライズ級の艦が攻撃。
派手なようだが、1隻ごとが小さく見えて、逆にちゃちに見えてしまう。
提督もやられたと知り、ピカードは急行する事を決意。
命令違反だが、アンドロイドのデータでさえ、命令などくそくらえですと言っている。
旧クルーで、クリンゴン人のウォーフだけが、小型艦の艦長になっていたが
その艦はこの冒頭の戦いでやられ、転送収容されてしまい、
後はやっぱりエンタープライズで行動する事に。
各艦の攻撃が、ボーグ艦の表面に多少被害を与えている事から、
各艦に連絡し、何だかわからないけど急所みたいな所を集中攻撃する事に。
それが効果あって、ボーグ艦は火を吹いてついに爆発。
だが、球状の小型艦が脱出。地球に向かった。ピカードは追跡を命令。
小型艦は何とか粒子と言う粒子をばらまく。
これは、タイムトラベルに使用するものだ。
すると、地球に異変が生じた。データが地上を分析。
明らかに生物の存在に適しない状態。
そして90億の人類が皆ボーグになってしまった。
ボーグは過去へ戻り、何かをしたために歴史が狂ったに違いない。
追跡中のエンタープライズだけが、その歴史の異変から逃れる事ができたのだ。
歴史を戻すには、このまま時間の渦に突入するしかなかった。
エンタープライズが到着したのは21世紀。
第3次世界大戦直後の時代で、正確にはファーストコンタクトの前日だった。
ファーストコンタクトとは、ワープ航法の父ゼフラム・コックレイン博士が
初のワープ航法に成功し、そのためにバルカン人にその存在が知られ、
初めて異星人と接触した日なのだ。
ボーグの狙いは、このファーストコンタクトを妨害する事に違いない。
でも、これはスタートレックシリーズで、タイムトラベルも何度かしているのだから
この時代の前へ行って、歴史を修復すると言う手もある気がするのだが。
ボーグ艦はコックレインらが住むキャンプを攻撃。
戦争は終わったはずとあわてる一同。
エンタープライズがボーグ艦を倒すが、博士のロケットにも損傷を受けたらしい。
そこでライカーや機関主任のラフォージらは、当時の服装で地上へ。
いったんは上陸したピカードも、
博物館で見たと言うコックレインのロケットにふれ感激。
コックレインの助手リリーは、彼らがロケットを破壊に来たと誤解し、
機関銃を撃ちまくる。仕方なく気絶させ、艦へ収容する。
ライカーらはコックレイン博士を探す。
TV時代はカウンセラーと言う役で、ベタゾイド人の特性を利用し
人の心を読んでアドバイスしていたのだが、今回はそれはほとんどせず
しかも、ピカードやライカーに生意気な口をきくので困ってしまうトロイは、
コックレインを見つける。
彼は、「華麗なる変身」の時は気むずかしそうだが、物静かな男だったが、
今回は気むずかしそうなのはそのままだが、ロックンロールが好きな陽気な老人。
事情を説明し、明日のロケット発射は何としても成功しなくてはならないと言う。
だがコックレインは、自分が博物館ができたほどの伝説の人物と知り困惑。
彼の理論を知っているラフォージの助言で、ロケットの修理に取り組むが、
こうなると、正しい歴史と言えるのかどうか……。
たびたび逃げようとするが、何とか引き留める。
一方、艦に戻ったピカードは、艦の中で失踪する隊員が出ている事を知る。
実はこの時代へ突入する際に、ボーグが艦内に侵入していたのだ。
彼らは次々と隊員を襲い、爪みたいなのでひっかくと、
たちまち隊員の体にウロコみたいなのが出てきて、ボーグに変身していく。
まるで、吸血鬼か何かのようだ。
ピカードが捕まった時は、改造手術を受けていたように思うから、
映画版になって多少設定が変わったと言える。
機械人間であるボーグは、アリのように複数で1つの生命体を構成していて
こちらの攻撃も何回か続けると、パターンを覚えてしまい、
それ以降はバリアで防がれてしまう。
したがって、レーザーも何段階だかで変調して使わなければならない。
それが尽きれば、攻撃の手段はなくなるのだ。
ピカードは、自分は助けてもらった過去があると言うのに、
変身し始めた部下に対しては、殺した方が彼にとって幸せとか言って撃つ始末。
力自慢のウォーフとデータはレーザーを使わず、相手を倒すが、
データがボーグ一味に捕らわれてしまう。
どんどん増えるボーグに、ピカードたちは撤退。
意識を回復したリリーも、にわかには事情がつかめないながら、協力する事に。
捕らわれたデータの前に現れたのは、ボーグクイーンと言う存在だった。
複数で構成するはずのボーグだったが、実はクイーンの思惑で構成されていた。
しかも彼女は、他のボーグと違い、感情を持つようだ。
彼女はデータを仲間にしようとする。感情チップをオフにして抵抗するが、
クイーンはチップをオンにしてしまい誘惑。
データに生物の皮膚を移植し、触感を体験させる。
未知の体験にデータは、心ならずも引き込まれてしまう。
一方、他のボーグはデフレクターと言う場所で進行を止める。
戦略的には価値のない場所なので、不審に思うが、
ボーグに捕らわれた経験のあるピカードは、その狙いを知る。
デフレクターと言うのは、エンタープライズの下側についてる丸い窓みたいな場所だが
そこにボーグらはアンテナを取り付け、
まだ地球人の存在に気づいていないこの時代のボーグに連絡し、
協力して地球を攻撃しようと言うのだ。
そこでピカードとウォーフ、そしてホークと言う新クルーは、宇宙服を着て艦の外へ。
艦に吸着する靴で張り付いて、アンテナ取り付けを妨害するのだ。
宇宙空間だから上下はなく、彼らは逆さまになって、歩いてデフレクターまで。
ボーグのマヌケな所は、いったんは敵として戦ったピカードたちに対しても、
この時点で敵だと認識されなければ、すぐそばに行っても攻撃されないのだ。
まあ、機械人間ならばこその無機的な感じを出したのだろうが、
おかげで映画のテンポとしては、かなりのんきな感じ。
そうは言っても、感づいたボーグが襲ってくるのだが、
またまたマヌケなのは、数人で作業しているのに、気づいた1人しか襲ってこない。
それをかわしたり倒したり。吸着する靴を解除して、ヒラリと移動したりする。
ウォーフはズボンを切られて危険な状態だと言うが、特に危険になったりしない。
だが、ホークは襲われてしまい、ボーグに変身。
ピカードはひどい事に、彼を宇宙外に放り出す。助けようと言う気はないのか。
ピカードはパネルを操作して、取付中のアンテナを艦から切り離す事に成功。
アンテナはボーグ数名を乗せたまま宇宙空間に放り出され爆破される。
ボーグが仲間を呼ぶ事は阻止したが、依然艦内はボーグにほぼ占拠されている。
とっとと自爆すればいいと思っていたら、ようやくウォーフらがそれを勧める。
しかし、ピカードはそれに抵抗。ウォーフに臆病者と言う。
クリンゴン人のウォーフには、臆病者と言われてはいかに艦長でも許し難い。
とは言え、前回D型艦を破壊したばかりなので、
映画2本目で2艦を破壊すると言うのは派手すぎるのかも。
だがリリーは、自爆できるのならするべきだと言う。
ピカードがそれをしないのは、ボーグへの復讐心ゆえだと非難。
まるで「白鯨」のエイハブ船長のようだと。
結局、これで改心したピカードは、自爆命令を出す。
ドクターが艦隊は次の艦をくれるかしらと言うと、
ピカードは「Eの次はFがあるさ」と、意外に安易な事を言う。
そして撤退命令を出すが、今頃になってデータを助けると言い出す。
(それなら、助けてから自爆命令を出せばいい気がするのだが)
以前、ボーグに捕らわれた際に助けられた事から、今度は自分の番だと言うのだ。
ピカードはデータが捕らわれている機関室へ。そこはボーグの巣窟になっていた。
彼の前にクイーンが現れる。ピカードはかつて捕らわれた際、彼女に会っていた。
クイーンは仲間になっていたデータに指示し、自爆命令を撤回。
また、艦内の制御を渡さないようにしたプログラムも解除させる。
クイーンは、ピカードをロキュータスと呼び、仲間に戻れと言う。
ところが、ボーグ側についていると思ったデータは、突然寝返った。
彼は何かのガスが入っているビンを倒したのだ。
(それが何のためにあるのか知らないが)
ピカードはあわてて天井のへんにあるワイヤーだかにつかまり、
床に降りないようにする。
ガスは部屋の中に充満し、たちまちボーグたちがクイーンを含めて倒れ始めた。
このガスは生命の部分を溶かしてしまうらしく、
クイーンは機械でできた頭蓋骨の部分だけに。(ターミネーターのよう)
データもクイーンに移植された皮膚の部分は溶け、機械がむき出しに。
ガスは簡単に排気され、ピカードはクイーンの頭蓋骨を手でひねる。
すると目の電気が切れ、完全に倒した事に。
実はデータは誘惑などされていなかったのだ。
正確には1秒程度だけ迷った事を認める。
それはアンドロイドには、永遠とも言える長さだったと悔やむ。
艦内でそんな事件があったとは知らないライカーらとコックレインは、
ロケットの修復に成功。ついに発射する事に。
ライカーとラフォージも同乗するのだから、歴史通りとは言い難い。
コックレインは何か落ち着かなかったが、ロックンロールがなかったと
小型のCDみたいなのをかけて発射。機体はガタガタ揺れながら宇宙へ。
そしてついにワープ航法を成功させる。
こうして歴史は元通りに。やがて彼らのキャンプに宇宙船が訪れる。
愕然とする人々の前に、バルカン人が初めて姿を現した。
バルカンサインを出し、「長寿と繁栄を」と言う相手に対し、
コックレインは手をたたいてそれを迎える。
これを見届けたピカードらは艦に戻り、元の時代へ戻る事に。
コックレインたちは訪れたバルカン人を歓迎し、酒を勧め始めた。
と言うわけで、今回はボーグとの戦いが中心と聞いていたが、
実際に映画ができてみると、ボーグとの戦いと、ロケットの話の2つに物語が分かれ、
その双方がほとんど絡み合わず、映画全体が盛り上がらない要因となっている。
狂った歴史を直す話は何度もあって、それなりに面白いものが多いが
今回は、狂ったのがファーストコンタクトと言うスタートレックの独自の歴史で、
現在から見ると、どちらも未来の話なので、何でもありと言う感じだ。
当初の企画では、ルネッサンス時代へ行くはずだったらしいので、
そっちの方が良かったのではと言う感じ。
これを初めとして、ボーグやらホロデッキなど、
シリーズを続けてみていないとわからない事柄が、意外に説明なしで登場。
本作だけを見た人には理解できない映画と言うのは、映画としてのランクは低い。
ボーグもその特性からか、すぐそばにいても襲ってこなかったりと、
割とのんきな所があるし、物語が2分した事とあわせて、盛り上がらずじまい。
▼
シリーズはすべて見た「スタートレック/叛乱」(98)を見た。
TVシリーズは追いつかないし、全部カバーはなかなか難しいが
映画版は全作公開時に劇場で見た状態が続くスタートレック。
新スタートレック以降は、3つものTVシリーズが乱発し
あまりに細かい設定とゲストの度重なる再出演等で
ちょっとマニアでないとつらいところが難だが、そこをクリアすればやはり面白い。
そんな中、新メンバーでの第3作。映画としては何と20年目に当たる。
旧シリーズのようにメンバーが半引退した後の話ではなく、
ちょっと映画シリーズとして弱いところがあるが、何はともあれ見ろ。
24世紀。惑星連邦は未開の惑星バクー族を調査する事に。
調査団は姿を消す装置で隠れて観察していたが、
参加していたデータ少佐(ブレント・スパイナー)は、突然狂ったように姿を現し
暴れ出して、次々仲間の正体を住人にばらしていく。
驚いた住人は、調査団を捕らえる。
エンタープライズEのジャン・リュック・ピカード艦長(パトリック・スチュワート)
は、何やら使節団を迎えてその対応に苦労していた。
そんな中、なぜかDS9へ転任したはずのウォーフ少佐(マイケル・ドーン)は
毎回映画だと聞くと、何かと理由をつけてかけつけている。
ピカードはダウティ提督から連絡を受ける。
文化調査団のソーナ人ルアフォ(F・マーレー・エイブラハム)が
データを殺人アンドロイドと決めつけ、破壊するよう指示していると言うのだ。
ルアフォは顔の細胞を交換したりして、若い状態を維持し続けている。
ただ老化の速度も速いのか、すぐしわくちゃに。
仲間にも勧めるが、仲間はこれをやろうとしない。
ピカードはデータの異常を感情チップの影響ではと考えるが、
ラフォージ(レバー・バートン)によれば、
データは感情チップを置いていったため、それは考えられないと言う。
そこでピカードとウォーフは、シャトルで惑星へ調査に向かうが
正体不明のシャトルが妨害。通信には応答ないが操縦しているのはデータらしい。
ピカードは、データが異変を起こす前に歌の勉強をしていたと知り、
ウォーフと2人でこれを歌うと、データもつられて歌い出す。
そのスキに、シャトルをドッキングさせ、ウォーフが電気ショックで捕らえる。
ラフォージはデータの回路を点検。
何者かの攻撃を受け、自己防衛機能が働いたのかも知れない。
ルアフォはデータを破壊しろと命ずるが、外的要因によるはずとピカードは主張。
ダウティ提督は、期限つきで調査を認める事に。
データの機能が回復。その記憶をたどって惑星へ向かう事に。
惑星のバクー族は、農耕を中心としたのどかな種族で
普通なら攻撃を加えたり、ひそかに調査していた惑星連邦に敵意を示しそうだが
事情を説明したら、意外に素直に納得してくれた。
データの記憶は湖を潜ったところで消えていた。
そこで湖を調べると、そこには惑星連邦のものらしき船が。
そして、そこには惑星の風景を再現した巨大なホロデッキが。
何者かが、転送に気がつかない間に、住人を他の星へ移動させているらしい。
データの異変も、何者かが工作したに違いない。
リーダーの女性アニージに、ホロデッキの原理を説明しようとすると、
何年か前に聞いた事があると言う。
実は、バクー族はかつて高度なテクノロジーを誇っていたが、
自然回帰するために、この技術を放棄したと言うのだ。
ダウティ提督は、惑星からの帰還を命令するが、
ピカードは、何者かが住人を移動させている事を黙認する事に反発する。
実はバクー族の星には、特殊放射線の影響を受け、不老不死の効果を受けていた。
おかげでウォーフにクリンゴンのニキビが生まれ、
ラフォージは裸眼で目が見えるように。
ライカー副長とトロイは寄りを戻し、トロイに言われてライカーはひげを剃る。
さらには、ピカードはアニージと接近するなどと言う展開があるが、
どれもこれも、おまけのエピソード言う感じで、特に重要な展開ではない。
ピカードはライカーに船をまかせて、原因を調査するために惑星へ。
ライカー役のジョナサン・フレークスは今回も監督で、当然出番はかなり少ない。
提督は、不老不死のメカニズムを調べ、他の人々にも役立てようと言う。
ソーナ人周囲のもめ事を重視して、
ソーナ人に協力する事により、無益な争いを阻止しようとする意図もあった。
だが、ピカードは大義のために少数を犠牲にする事に反発。
提督の撤退命令に対し、反旗を翻す事を決意。当然、乗員はこれに従う。
ピカードらは、住人を避難させる事にするが、ルアフォは小型無人機で攻撃。
住人を殺してしまうのではなく、転送するだけなのだから結構良心的だ。
長々と撃ち合いが続き、捕らえたソーナ人の体を調べてドクターはビックリ。
ソーナ人とバクー族は同一の種族だったのだ。
バクー族の考えに反発して追放された彼らは、
惑星を奪い不老不死を得るため舞い戻ったのだ。
ソーナ戦艦もエンタープライズを攻撃。撃ち合いになる。
提督は改心するが、ルアフォに簡単に始末され、何の役にも立たない。
逃げた洞窟も崩れて大変な始末だが、何とか脱出するピカード。
しかし、アニージと共に撃たれて、ルアフォ戦艦に転送されてしまう。
だが、ルアフォの腹心ガラティンに会ってみると、今では老化しているが
捕らわれたバクー族の面々にしてみれば、近所のかわいがってやった坊主と言う感じ。
今なら見逃すと言われて改心するガラティン。
捕らわれた住人を転送し、一方ピカードを惑星を攻撃しようとする衛星へ転送。
ピカードは衛星を破壊しようと時限装置をセット。
だがルアフォがこれを阻止しようとして格闘に。
爆発は始まり、間一髪かけつけたライカーのエンタープライズが転送収容。
ルアフォは衛星と共に爆発。バクー族に見送られながら一行は惑星を去る。
と言うわけで、新シリーズ映画版第3弾は、
パンフによると4弾に続く話と言う事らしいが、
そのせいかどうも盛り上がりに欠け、TVシリーズの前後編という程度。
オリジナルシリーズの映画版のように、
宇宙の危機を救うためかけつけたと言うわけでもなく、
ただ辺境の惑星を救うだけとあっては、盛り上がらないのも仕方がない。
TV版が終わってDS9へ異動したウォーフが、
毎回何とか口実をつけてかけつけるあたりも気になる。
TVなら小粒で面白いのかも知れないが、映画にできないアイデアと言うのがある。
▼
シリーズ最大の危機「ネメシス/STX」(2002)を見た。
「スタートレック」シリーズは昔から好きで、
「スタートレック」と言う言葉すら知らず宇宙大作戦として見ており、
映画化シリーズになってからも、欠かさず劇場で見ている。
元祖シリーズはLDでボックスを買ったりもしたし、
その後の続編シリーズも、可能な限り見ている。(漏れはもちろんあるけれど)
もともとは人種差別等に対する批判を、
宇宙を舞台にして表現するのが目的だったシリーズも、
昨今はSF的設定がどんどん膨らみ、マニアックな方向へ走っており、
ややついていけない面も。
ピカード艦長率いる新シリーズの映画版に移ってからは、
日本でのタイトルも「スタートレック」を目立たないようにするようになり
本作ではついに、「ネメシスSTX」(スタートレックの10作目の意)
なんてずるい手まで使う始末。
つまり、世間ではシリーズものを劇場でやった場合に、
A.「あのシリーズなら見よう」という気になる人と
B.「単発なら見ても良さそうな作品だが、
あのシリーズは、よく知らないので止めておこう」と言う気になる人がいるわけで
BがAを上回っていると配給会社が感じれば、
シリーズである事を隠さざるを得ないと言うわけだ。
まあ、そんな小細工さえ笑い話の種にしていたのだが、
試験があったりしてバタバタして後回しにしてきたら、
公開1ヶ月を待たずして、当初の予定を3週間も前に
公開を打ちきりになっているではないか。やばいやばい。
とりあえず、まだ今週まではやっているところを見つけて見る事にした。
出演は毎度の連中で、ピカードらではこれが最後の映画版との事。
前作「叛乱」の際には、2部作の前半になると言われていたが、
どうやら本作は後半でもなさそうな感じ。
あと、「ボイジャー」のジェーンウェイ艦長も出るらしい。
サントラも毎作そろえていたが、店頭に並んでいない。うふ。。
冒頭はロミュランの会議場。
ロミュラン政府内では、主流を占めるロミュラス人が、
レムスという連中と手を組み、
惑星連邦へ攻め入ろうという案が出回っていたが、大半はそれに否定的。
すでに否決されたはずだと言われ、仕方なく意見を述べてた連中は退散。
議長の秘書のような女性も、用事ができたと言って退席するが、
机には何やら怪しい装置が。それが独りでに動き出し、
議場内に毒ガスのような物をまき散らす。
気づいて彼女を逮捕しろと叫ぶが、時すでに遅く、
そこにいた一同はもがき苦しんで倒れ、倒れると粉々に砕け散ってしまった。
エンタープライズのピカード艦長(パトリック・スチュアート)は
これほどに苦渋に満ちた決断はないとか演説。
何の作戦の話かと思えば、カメラが引き、そこは結婚式場だとわかる。
結婚するのは、長年副長をしていたライカー(ジョナサン・フレイクス)と
カウンセラーのトロイ(マリーナ・サーティス)だ。
ライカーとトロイは、かつて恋人関係にあり、
その後別れたのだが同じエンタープライズに着任。
トロイはウォーフ(マイケル・ドーン)と恋人になっていたが、
DS9でウォーフは結婚したりしていて、(死別するのだが)
前作「叛乱」でライカーとトロイが寄りを戻す事に。
ウォーフもかけつけるのだが、気に入らないのか妙に荒れてる様子。
その他、データ(ブレント・スパイナー)、ラフォージ(レバー・バートン)、
ビバリー(ゲイツ・マクファデン)なんて連中も集合。
データはお約束のように、アンドロイドらしき発言で周囲を笑わせる。
あと、ゲスト出演的に、ガイナン(ウーピー・ゴールドバーグ)と
ウエスリー(ウイル・ウィートン)も登場。
ガイナンはラフォージに結婚しないかと言われるが、
結婚は19回までと決めてるとか何とか、妙に多い数字で驚かせる。
ウエスリーはセリフもない。
一行は続いてベタゾイド星の祝宴のため移動する事に。
この星では、出席者は裸にならねばならず、ウォーフとかは妙に嫌がる。
すると、近くのコララス星からポジトロニック波を受信し、艦は立ち寄る事に。
ポジトロニック波は、アンドロイドからのみ発せられる物だ。
妙に張り切るピカードは、データ、ウォーフを伴い、
バギーのような車を飛ばして捜索に。
その発信源へたどり着くと、そこにあったのはアンドロイドの手。
そして、各地の発信源を探し回り、次第に人間の体が集まっていく。
お約束のように、最後に見つかったのが頭の部分で、それはデータと同じ顔だった。
星の住人らしき一団(宇宙へ出る文化はない)の襲撃を受け、ピカードらは退散。
崖からシャトルへ飛び移るというアクロバットをして逃げ切る。
ピカードの指示で、ラフォージがこのアンドロイドを組み立てる。
彼は自称「B−4」と言い、ビフォー、すなわちデータのプロトタイプを思わせた。
データにはローアという兄もいたからね何を今さらという感じだが、
B−4は明らかにデータより劣っていて、なぜそこにいたのかも覚えていない。
そこでピカードは、データのプログラムをすべてB−4へコピーする事に。
これによって、新たな反応が見られるかもと言うのだ。
すると、ピカードに司令部ジェーンウェイ提督(ケイト・マルグルー)より指令が。
艦隊の長年の敵ロミュランにて、政変が起こったと言うのだ。
ロミュランでは、ロミュラス星の住人が長く支配してきたが、
かつて労働用に酷使されていた、レムス星の住人が台頭。
レムス人は、ドミニオンとの戦いでも活躍したらしい。
そんな中、新しい政務長官シンゾン(トム・ハーディ)と言う人物が現れ、
彼が平和協定について話し合いたいと言ってきたのだ。
そのため、最も近辺を航行中のエンタープライズに白羽の矢が立ったと言うわけだ。
任務のためライカーの結婚式は後回しにされ、エンタープライズは向かう事に。
ピカードらはロミュラス星に乗り込み、シンゾンの待つ間へ向かう。
そこに現れたシンゾンは、何と地球人だった。
しかも、ピカードの若い頃にそっくりだったのだ。
シンゾンはそれを認め、自分の素性について語る。
かつて、ロミュランは対惑星連邦の作戦として、ピカードのクローンを製造。
だが、ロミュラン国内では日常茶飯の政変により、この計画は頓挫。
シンゾンは用済みとなり、レムス星へ飛ばされ、そこの鉱山で働かされたのだ。
しかし、彼はその才能を発揮。かつての監督官らと手を組み、次第に台頭したのだ。
彼は、ピカードと会うため、わざとB−4を付近の惑星に置いておいた事も認める。
そんな中で、ピカードには平和協定を求めている事を力説。
だが、ピカードにはどうにも信用できない話だった。
ドクターの分析では、確かにシンゾンはピカードのクローンだった。
だが、急速に成長するため、DNAを操作されており、すなわち老化も早い。
それを防ぐには、ピカード自身の脊髄だかの移植が必要だと言う。
と言う事は、むやみに攻撃はしてこないはずだ。
ところが、シンゾンはやはり連邦の攻撃を企んでいた。
先方の艦からは、何とか粒子という危険な粒子の反応が。
これは、数秒でも周囲にあれば、たちまち人間は死滅してしまう物で
ピカードらは知らないが、ロミュラン会議場で使われたのもこれだった。
シンゾンはピカードの暗黒面と言うべき存在で、ピカードに憎悪を抱いていたのだ。
ロミュラス人でシンゾンと手を組んでいた連中も、このシンゾンの行動には手を焼く。
本来は惑星連邦を攻撃するのが目的のはずだが、私怨に走ってしまったのだ。
シンゾンはピカードを転送で連れ去り、今晩にも手術で脊髄を奪おうとする。
そうはさせじと、データが乗り込んでくる。
彼は緊急用の転送装置というバッチのような物で、ピカードだけ助けようとするが
ピカードは逃げる時は一緒だと、二人で敵シャトルを奪い逃走。
敵兵が待ちかまえる場所は警備が厳重なので、通路をシャトルで移動して突破する。
シンゾンも追ってきて、エンタープライズに攻撃。
シンゾンの部下は、テレパシー能力でトロイの脳を探り、情報は筒抜けかも。
おまけに敵艦シミターは、完璧な遮蔽装置を搭載しており、
エンタープライズが闇雲に攻撃してもダメ。
攻撃を受けて次第にシールドが弱ってきた所へ、さらにロミュラン艦数隻が現れる。
まさに絶体絶命かに思えたが、ロミュラン艦の女艦長ドナトラ(デイナ・メイヤー)は
シンゾンの件を国内の不祥事と考えて、かけつけたのだ。
デイナ・メイヤーは、ロミュランメイクでよくわからないが、
TV「シークレット・エージェントメン」や
「スターシップ・トゥルーパーズ」に出た人。
しかし同国にもかかわらず、ドナトラの船とシンゾンの船では遮蔽装置のレベルが違い
ドナトラらもただちにやられて、すぐに反撃不能に。
再びシンゾンはエンタープライズを攻撃。ただちに降伏しろと言うがピカードは拒否。
ピカードは殺せないはずと言う予想に反し、降伏しないなら手加減する気はなさそう。
エンタープライズは周囲へデタラメに撃ちまくり、反応があれば、
そこをさらに攻撃するが、いつまでも同じ場所にはおらず効果が出ない。
生命維持装置の分も攻撃に回せとか言うが、まったくダメ。
トロイは敵のテレパシーを逆探知し、隠れ場所を突き止めるが、
それで攻撃ができたのも短い間だけ。
シールドも低下し、挙げ句の果てにはブリッジの前面の壁が破壊。
空気が外へ漏れだして、乗員もパラパラと外へ。
自動的に艦の周囲にシールドが張られ、艦外への人や空気の流出は収まる。
生命維持装置のエネルギーもないと言うのに、ここは平気らしい。
ピカードは自爆指令を出すが、各システムが損傷して、自爆もできない。
そこで今度は体当たりを命令。
艦は激突し、敵艦にもかなり損傷を与えるが、どちらも大破はせず
簡単に離れて再び攻撃し合う。
乗り込んできた敵兵とは、ライカーが対決。これは何とか倒す。
怒ったシンゾンは、ついに地球への攻撃を命令。
アンテナが動き出し、このままでは、あと数分で地球へ向けて何とか粒子が照射され
地球は全滅してしまう。
ピカードはライカーに艦を任せて、単身乗り込む事に。
データが行くと言うが、ピカードにしてみれば自分の問題と言う事なのだろう。
乗り込んだピカードは、敵をバッタバッタと倒し、残るはシンゾンのみに。
装置を止めようとするが、シンゾンが現れて格闘に。
一方、データも乗り込もうとするが、転送装置は壊れてもう動かない。
そこでラフォージの協力で、エアダクトから飛び出して、勢いでシンゾン艦へ。
シンゾンと戦うピカードは、柱みたいな部分をシンゾンに突き刺すが、
最後にシンゾンはわざわざ柱を自分に突き刺してピカードに近づき
ピカードの首を絞めるが、力尽きて死ぬ。
ピカードはかけつけたデータに戻れと言うが、
データは隠していた緊急用転送装置をピカードにつけ、彼を転送させる。
そして秒読み2秒までためてためて、ようやくフェーザーで撃つ。
そんなギリギリでいいのかという気もするが、装置を破壊し、シンゾン艦も爆発。
地球攻撃は回避される。
転送で帰ったブリッジで呆然とするピカードはその光景を見つめる。
かけつけたレギュラー陣も、データの運命を知り、ショックを受ける。
忘れていた頃に、ロミュラン艦のドナトラから連絡があり、救援したいと言う。
今回の事が、平和条約締結に役立つかも知れない。
エンタープライズはドックに収容され、修復のための工事を受ける事に。
ライカーは新しくタイタン号の艦長になる事になり、トロイも同行。
ピカードに従い、現場へ行きたい時は乗り込むと誓う。
B−4には、データのすべての知識が与えられたが、
データのような動きをするわけでもない。が、今後続編ができた時にはどうなる事か。
各乗員が様々な想いで、今後も歩み続ける事に。
通路をスタスタと歩くピカードで映画は終了。
と言うわけで、新スタートレック映画版の第4弾は、
このメンバーでの最終作らしい。
旧メンバーの映画版と違って、同時代のTVシリーズが日本ではまだ進行中で
ボイジャーのジェーンウェイ艦長が、平気な顔して地球にいたり
ドミニオンとの戦いでロミュランと協力したなんて話が出たりして
あれらのシリーズも終わっていると言う事なのねと、ちょっと説明がほしい。
ライカーとトロイの結婚式で始まり、
ガイナンやウエスリーなんてゲストもいたりするのだが、ホンのちょい役。
ところでこのシーン、「ジェネレーションズ」のウォーフの昇進祝いを思わせる。
トロイはウォーフとくっつきかけたなんて経緯もあり、
映画の前作で寄りを戻したのだが、
やはりそこらへんも飛ばして見たりしていると、ピンと来ず、
「シリーズは全部見ているのが当然だ」と言う製作サイドの気持ちが見え隠れ。
物語はピカードのクローンとの対決で終始し、展開としてはさほどヒネリがない。
この事件を通じて、ロミュランと仲良くなるなんて狙いが見えて
そう言えば、旧メンバーの最終作ではクリンゴンと仲良くなったし。。。
と思ったが、実はドミニオンとの戦いで、ロミュランとは手を組んだ経緯あり。
データの同型が現れて大騒ぎするが、
兄弟ローアもいたので、今さら何をと言う気も。
そして、この同型、さほど物語に影響したとは思えない。
クローンことシンゾンが強敵だと言うのはわかるが、
なぜロミュラン内で、彼らのような存在がのさばるようになったのかがわからず、
そして彼らの遮蔽テクノロジーが、ロミュランの他の連中にも破れないのかも。
この戦いは、カーク対カーンを意識したとの事で
特撮技術の向上か、迫力は十分だが、どうに頭を使った戦いという気がしない。
一応はレギュラー全員にそこそこ出番があり、
クライマックスは、またまた自爆寸前の事態に。
4作中3作で、艦が破壊、あるいは自爆指令を出す所まで来ると言うのは
映画だから派手にしたいのはわかるが、ちょっとヤマトな気分。
そして、自爆できないなら体当たりと、派手な見せ場もあり、艦が壊れる壊れる。
それでもなぜかシールドのような物があって、乗員は無事。
エネルギーとか全然ないはずなのに。。。
データが死ぬらしいと言うのは聞いていたが、やはり派手な見せ場あり。
ちょっとホロリとさせ、ライカーらが独自の艦に異動。
データの同型に、何やら期待するエンディングも良くて
全体的にそこそこ面白く見られた。
もっとも、それはシリーズやキャラクターを知っているからこそで、
初めてシリーズに接した人にすれば、意味不明で面白くも何ともなさそう。
劇場もガラガラかと思ったが、そこそこ人はいて、大半がマニア風だった。
▼
原点回帰?「スター・トレック」(2009年)を見た。
スタートレックと言えば、TV「宇宙大作戦」を始めとした
映画とかTVとかの、数多くの登場人物とエピソードを持つ一連のシリーズ。
トレッキーと呼ばれる熱狂的なファンがいて
米国では映画も毎回ヒットするが、日本ではもう一つ盛り上がらない。
オリジナルメンバーの映画が数作続き、キャストも歳をとったので
続いて新スタートレックのキャストによる映画が作られると、
だんだんマニアしか楽しめない感じになって尻すぼみ。
ここへ来て原点であるカーク、スポックコンビを主人公に
TVよりも前の、宇宙艦隊に入った頃のエピソードを映画化。
今までウイリアム・シャトナーとレナード・ニモイ以外の人が演ずるなんて
想像もしていなかったが、若いキャストがそれっぽく演じる。
今回はスタートレックを知らない人でも楽しめると言われ
(実はそんな宣伝をするあたりに、日本の映画館の不安があるのかも)
監督はLOST、エイリアス、MI3のJ・J・エイブラムズ。とにかく見る。
ジェームズ・T・カーク 後のエンタープライズ艦長(クリス・パイン)
スポック 後の副長(ザッカリー・クイント)
レナード・マッコイ 後の軍医
ウフーラ 後の通信士
モンゴメリー・スコット 後の機関士
スールー 後の操舵手
チェコフ 後の科学士官
サレック スポックの父。バルカン人(ベン・クロス)
アマンダ スポックの母。地球人(ウイノナ・ライダー)
クリストファー・パイク エンタープライズ艦長(ブルース・グリーンウッド)
ネロ ロミュラン人。スポックに敵対心を示す(エレック・バナ)
スポック大使 未来から来た(レナード・ニモイ)
ジョージ・カーク カークの父。USSケルビンの副長
冒頭USSケルビン号が任務に就いていた。
彼らの前に巨大な爪のような宇宙船が迫り、ケルビン号は捕捉される。
攻撃を受け、圧倒的不利。
クリンゴンか?と言っていると敵から通信が入り、ロミュラン人と判明。
(と言うか、TVではカークが初めて会うまでロミュラン人は正体不明だったはず)
船長に来いと要求があり、危険を承知で乗り込む事に。
後任を副長のジョージ・カークに任せる。
船長は敵艦に乗り込み、そこでネロと会う。
ネロは、スポック大使はどこだと言うが、船長には何の事かわからない。
宇宙歴何年だと聞かれ、答えると、激怒したネロは船長を殺害。
15分待ってろと言われたが、船長が戻らないのでジョージ・カークは撤退を決断。
乗員をシャトルに退避させる。その中には妊娠中の彼の妻も。
この状況で皆を避難させるには、誰かが犠牲になって敵を食い止めるしかない。
ジョージ・カークはその役を買って出たのだ。
妻はシャトルで夫の決断を知り、ショックを受けながら出産。
通信で男の子と知るジョージ・カーク。
名前はと問うと、妻は義父の名ティベリウスと言う。
最悪の名と言うジョージ・カークは、妻の父の名を取りジムと名づける。
安心したジョージ・カークは艦を敵艦にぶつける。
その間に700人だかの乗員が脱出に成功。
ジョージ・カークは15分間だけ船長となり、多くの乗員を救ったとして
人々の記憶に残ったと言う、以上カーク誕生の秘話でした。
オリジナルTVでは艦には乗員しか乗っていなくて、
家族が乗るようになったのは新スタトレからなんだけど
まあ、乗員同士が結婚したのかも知れないしね。
少年になったカークは、友人に借りた車を暴走させ
ロボットのパトカーに追跡される。
崖に来て飛び降り、車は崖下へ。
何とかはい上がりロボットに名前を尋ねられ、ジェームズ・カークと答える。
一方、惑星バルカンには幼きスポックが。
彼らは英才教育を受けていて、ST4で復活したスポックが
いろんな質問に矢継ぎ早に答える装置があったけど
そんなのを幼きバルカン人もやっている。
スポックはバルカン人の父と地球人の母のハーフで
同級生は「研究材料」と面白がる。
バルカン人は感情を抑制するが、地球人にはそれができず
どれくらいで怒り出すか試してみようと言うわけだ。
怒ってケンカになるスポック。
父サレックに、なぜ母さんと結婚したのと問い、答えに困る父。
地球人を守る任務に就いており、論理的選択だったとか言うが
後のシーンでは愛していたと認める。
バルカン人は感情を抑制しているが、感情がないわけではないと言うところがミソだ。
やがて若者になったスポックは、「不利」を克服して優秀な成績を収めたと評価され
お偉いさんに科学アカデミーへ進めと言われる。
しかしスポックはこれを拒否。
「不利」とはどういう意味ですと言って、艦隊に入ると言う。
父サレックやお偉いさんたちは、面白がるために今までがんばってきたのかと困惑。
飲み屋にいた若きカークは、見かけた若きウフーラをナンパしようとする。
ウフーラは軽くあしらい、それを見た艦隊の訓練生たちが絡んでくる。
たちまちカークは連中と、ありがちな酒場のケンカに。
そこへクリストファー・パイク船長が現れ、一同は退散。
パイクはTVのパイロット版に出て、後にカークの前任だった事になった人物だ。
パイクはカークと知り合いで、
適性検査で優秀なのに、艦隊に入ろうとせずプラプラするカークに
父のように艦隊に入れと言う。
建造中のエンタープライズを見て、決意するカーク。
候補生たちに加わり、彼もまた訓練を受ける事にする。
移動のためのシャトルに乗り込むが、そこへ乗り物は嫌いだと叫ぶ男が現れ
カークの隣の席に座る。
軍医という彼は、借金ですべてを失い骨(ボーンズ)しか残っていないと言う。
これぞレナード・マッコイとの出会い。ボーンズはドクターの愛称だ。
それから3年。訓練が続き、カークは相変わらずのはみ出しぶり。
女の子の部屋へ行くと、彼女のルームメイトはウフーラで追い出されるエピソードも。
カークたちはコバヤシマルテストと言うテストを受ける。
これはST2にも出てきたテストで、その際にクリアしたのはカークだけと語られる。
脱出不可能な状況での対応を見るというのが目的で
カークは3回チャレンジしたがすべて失敗。
気に入らず再度チャレンジすると言うが、ドクターはやめとけと言う。
実はこのテストを考案したのは、先に艦隊に入っていたスポックだった。
テストが始まり、艦の攻撃を受けるがカークは平然としている。
実際たいした損傷も受けず、反撃すると敵は全滅。コバヤシマル救助は成功する。
これはどうした事だと驚くスポックたち。
カークがプログラムを改ざんした事が明白となり、査問会にかけられる。
そこでカークは初めてスポックと対面。
ルール違反とか、目的をはき違えているとか責められるカーク。
謹慎処分となるが、謎の艦が接近し、攻撃を受けているとの連絡が。
ただちに訓練生は各艦に乗船して出動する事に。
ドクターはエンタープライズ、ウフーラは別の艦に配属になるが
エンタープライズでこそ能力を発揮できると、配属を決めたスポックにアピール。
配属を変更させる。そしてスポックもまたエンタープライズ配属だ。
だが、謹慎中のカークはどこにも配属されず、
ドクターは一計を案じて、カークに怪しげな薬を注射する。
途端にカークは体調不良となりフラフラに。
主治医が患者の処置を決められると言うルールを盾に
カークもエンタープライズ行きのシャトルに乗せられる。
シャトルが到着し、各艦は出動。目的地へ向けてワープする。
一方ブリッジでは、操舵手スールーや科学士官チェコフの顔が。
ロシアなまりのチェコフのせいで、コンピュータがなかなか作動せず。
スールーがブレーキを解除するのを忘れたりして出遅れる。だが何とかワープ。
船長はパイクだ。
ドクターの注射のせいで弱っているカークだが、周囲の状況を聞き
それが父が死んだ時と酷似している事に気づく。
あわててウフーラの所へ。ロミュラン語を傍受していないかと聞くと
確かに傍受していたと判明し、もはや確信する。
ブリッジに乗り込むと、いないはずのカークが現れたので
パイクやスポックたちはビックリ。
カークはあの時と同じ状況だと力説。ワープが終わると待ち伏せされていると言う。
ウフーラも同意するような事を言うのでパイクは警戒させる。
ワープを終えると、先行した艦の残骸があり、エンタープライズも攻撃を受ける。
カークの予想は的中したのだ。
敵艦はエンタープライズの艦長に来いと言う。
一方で、惑星バルカンの核に鎖のつながった風呂の栓のような物を打ち込み
何かをしようとしている。
これを阻止するには、パイクがシャトルで敵艦へ向かいつつ
途中で工作員を風呂の栓へ降ろして、敵に気づかれないよう破壊しなくてはならない。
その役目を負うのは、フェンシングが得意なスールーと
不正乗船のカーク、そしてもう1人だ。
ここでパイクは、カークをサブリーダーに命じ、スポックは不満げだが
どうやらサブリーダーと言うのは副長の事らしい。
3名は鎖の上空からスカイダイビングのようにして、風呂の栓の部分へ。
3人目が失敗して死亡。カークとスールーが着地するが、中から現れた敵と格闘に。
これを倒して破壊しようとする。
一方、パイクは捕らわれ、何やら艦隊の状況を聞き出そうと
宇宙ナメクジだかを口に入れられる。
これは自白剤のような効果があるとの事。(ST2にも似た話があった)
カークらの奮戦むなしく、装置は核に打ち込まれる事に。
はずみでスールーが落下。カークがスカイダイビングで助けるが
パラシュートが燃えてしまい、2人とも真っ逆さま。
すぐに転送しろと言うが、転送係もロックできない。
すると、なぜかチェコフが、僕ならできると叫びだし、間一髪転送収容する。
敵は鎖を通して、赤い液体を惑星に注ぎ込む。
もはやバルカン星は助からないと、
スポックは惑星へ乗り込み、家族を助けようとする。
父サレック、母アマンダを連れて広い場所へ。
そこで転送される事になるが、ちょっと間に合わず
スポックの目の前でアマンダの足下が崩落。彼女だけが犠牲となる。
バルカン星はしぼんで崩壊してしまう。
母の死にショックを受けるスポックだが、もちろん感情は表さない。
なぜかウフーラはスポックに同情的で、私に何ができるのと慰める。
任務につとめてくれと言いつつ、何かまんざらでもない様子のスポック。
パイクも戻らない今、船長となったスポックは
一度戻って艦隊と合流し、形勢を立て直そうと言う。
一方カークは、それは時間のムダだと反対。
ただちにパイクを助けに行くべきだと主張。
スポックは暴れるカークをスポックつかみで気絶させ
脱出ポッドに乗せて、下の惑星へ置き去りにしてしまう。
カークが気がつくと、そこは雪の積もる極寒の惑星。
熊みたいな怪物に襲われ、さらに恐竜みたいなのが熊を倒してこいつに追われる。
洞窟へ逃げ込むが、そこにいた人物が火で追い払う。
彼はカークを見て驚き、ジムと呼ぶ。君は友人だとも言う。
カークはあんたを知らないと困惑するが、男はスポックだと言うのだ。
老スポックは真相を語る。
今から何年も後、スポックが大使となっている時代だからネメシスの頃?
恒星の爆発でロミュラスが壊滅の危機に陥る。
スポックは人工的にブラックホールを作るために赤い液体を開発。
だがロミュラスの崩壊は止められず、
スポックとロミュラン人の協力者ネロはブラックホールを通ってこの時代へ。
故郷を救えず怒ったネロは、スポックをこの惑星に置き去りにし
バルカンと地球が壊滅するのを見届けさせようと言うのだ。
スポック大使にとって、今は未来の変わった別の歴史だと言う。
スポック大使は、ネロの次の目標は地球だと言い
それを阻止するのはカークしかいないと言う。
若きスポックは母を失い、精神的に不安定にある。
そこを利用して船長になれとアドバイス。
カークはスポック大使自身が説明すれば話が早いと言うが、
2人のスポックが対面すると歴史が変わると拒否。
スポック大使は、カークを艦隊の施設へ案内する。
そこで1人留守番していた人物を見て、また驚くスポック大使。
それこそ後の機関長モンゴメリー・スコットだった。
彼はメカに強く、ワープ中の宇宙船へ転送するトランス転送という技術を提唱。
アーチャー提督の犬でテストし、犬は未だに行方不明とか。
その責任を問われ、この僻地へ飛ばされたと言うわけだ。
アーチャー提督と言うのは、TV「エンタープライズ」の艦長の事で
登場シーンこそないものの、あのシリーズから初のゲスト出演と言う事になる。
未来の知識を持つスポック大使のアドバイスで、トランス転送は完成。
カークとスコットはエンタープライズへ乗り込む事に。
カークは無事転送されるが、スコットはボイラー室みたいな所の
水に満たされたチューブの中に出てしまう。
カークがバルブを開くと外へ出て、再びブリッジに乗り込む。
スポックはカークらがワープ中の船に転送したので驚く。
だがそんな事はかまわず、カークはスポックを挑発。
母の死で精神的に混乱していると言われ、怒ったスポックはカークの首を絞め始める。
サレックにいさめられ、我に返ったスポックは、
自分の精神が破綻していると認め、船長を退く事に。
船長不在の状態で、ランク的に一番上なのは
パイクにサブリーダーに命じられたカークだった。
船長のイスに座ったカークは、ただちに船をパイク救出のため戻す事を命ずる。
チェコフが、敵に気づかれず敵艦に転送する妙案を思いつき
冷静になって早くも戻ってきたスポックもこれを評価。
自分が行くと言うが、カークも行くと言いだし、
止めてもムダらしいなと2人で行く事に。
何やらスポックと恋人同士みたいなウフーラに見送られ、出発する事に。
スポックは相変わらず動揺している様子で、この作戦の成功率は4%以下と言う。
もし私が死んだらウフーラに伝えてほしい等と言うが、
大丈夫、成功すると楽観的なカーク。
スコットが、構造上倉庫と思われる場所へ転送するが
そこはまさにネロの目の前のブリッジみたいなところで撃ち合いに。
逃げる2人は格納庫にあった船へ。
乗り込むと機械が反応し、「スポック大使」と言うが、カークがごまかそうとし
スポックもカークが重要な秘密を隠していると感づく。
スポックは、実は未来のスポックが乗った船に乗り
巨大な敵艦の中で撃ちまくる。残ったカークも敵兵と格闘したりして大暴れ。
地球に鎖が打ち込まれようとしていたが、鎖がちぎれて装置が落下。
スポックを殺しておけば良かったと怒りに燃えるネロ。
カークは、捕らわれていたパイクを救出。スポックと共に艦へ転送収容される。
エンタープライズに戻ったカークは、ネロに降伏を求める。
スポックはいい選択とは思えないと言うが、
カークは一度は救いの手をさしのべるものだと言う。
ネロは、降伏するなら1000回ロミュランが滅亡する方を選ぶと言い
カークはあっさりわかったと攻撃開始。敵を倒す。
帰還したスポックは、サレックを見かけて声をかけるが
それはサレックではなくて老スポックだった。事態を理解するスポック。
実は2人が出会っても宇宙が崩壊したりはしないのだが、
カークにやらせたかったのだと語る。
自分に「長寿と繁栄を」と言うのもおかしいので、「がんばれ」と言って去る。
規則違反で始まったはずのカークの行動はおとがめなしで
カークはその功績を評価され表彰される。
さらにパイクからエンタープライズ艦長の座を正式に受け継ぐ事に。
艦に乗り込んできたスポックは、サブリーダーの座が決まっていないはずと言うと
カークは、君に頼むと言って発進させる。
最後はTVのテーマ曲を高らかに流して終わり。
故人であるTV製作者ジーン・ローデンベリーと
その妻で、クリスチン、あるいはラクサナ、あるいはナンバーワン役の
メージェル・バネット夫妻に捧げられる。
と言うわけで、物語はカークの父の殉職と、カーク誕生、そして幼い頃を描き
一方でスポックも若い頃から描かれる。
その後、宇宙艦隊で2人が出会うわけだが、
何しろ昔懐かしいコスチュームを、初めて大画面で見るのはなかなか感激。
カーク、スポックもなかなかオリジナルの雰囲気に似た人を見つけてきている。
その他のキャストとしては、スコッティが頭が薄いが似ている。
マッコイもぼちぼち。ウフーラ、スールー、チェコフはもう1つ。
ウフーラは今回ヒロイン的な位置にあり、TVよりも出番が多い。
そんな事より、オリジナルを知る者としてはちょっと気になる点が。
スポックがカークより先輩と言うのは別にいいけど
カーク、ウフーラ、マッコイ、スールー、チェコフが同期生みたいに描かれていて
いきなり皆エンタープライズに集結。
TVでは、カークには別の艦での副長時代があるはず。
パイク時代の部下はスポックだけで、
スポックとパイクにはカークとは別の絆があったはずだが、みじんも感じさせない。
チェコフは最初ブリッジにはいなかった。
惑星ロミュラスとバルカンは壊滅していない。
TVの段階でスポックの母アマンダは死んでない。(あれアマンダだよね)
地球人はTVまでロミュラン人と面識がなかった。
父サレックとスポックは、TVまで数十年口をきかなかったはずだが
どう見ても普通に接してる。
と言ったあたりが気になっていたら、
途中で軽く「これは別の歴史だ」と言われてがっくり。
と言う事は、このカーク、スポックが、
TVのカーク、スポックになるわけではないのか。
マニアに突っ込ませるために意識的に設定を変えたのか、
あるいは設定に労力をかけないため逃げの手を打ったのか。
監督は旧作に思い入れがないとの発言もあり、
それが昔からのファンには裏目に出るかも。どうもだまされた感が。
ウフーラは他の艦を断ってエンタープライズに乗船するが
どの艦も新造艦で、特別エンタープライズにこだわる必要はないはず。
スポックはコバヤシマルテストの考案者なので、カークらより先輩のはずだが
いざパイクの下につくと、ほぼ同期みたいな感じになるのも違和感あり。
ただ、エイブラムズ得意のテンポ良い展開は面白く
「別の歴史」と言う事から、ミッシングリンクという位置づけではなく
ちょっと設定を変えた旧シリーズのリメイクと考えると、
今後2人の物語がまた見られるのかもという期待が。
やっぱり昔からのマニア向けかもね。
▼
「スター・トレック イントゥ・ダークネス」を見た。(2013年米)
いやいや、スタトレは見ますって。マジで。
TV宇宙大作戦を起点に、数多くの映画と姉妹TVシリーズを生んだスタートレック。
作りすぎてやや煮詰まるが、
原点であるカークスポックの話を最新の特撮技術で描き直した新シリーズは、
設定の微妙な違いがこそばゆい面もあったが、面白かった。
続編では登場人物の顔合わせはなくなり、
設定がちょっと違うのも承知の上だから、いよいよ本領発揮かな。
悪役のカンバーバッチと言う人ばかり話題になっているのが気になるが、
全作劇場で見てる事だし。
カーク エンタープライズ艦長(クリス・パイン)
スポック 副長。地球人とバルカン人のハーフ(ザッカリー・クイント)
ドクター 船医。通称ボーンズ(カール・アーバン)
スコッティ 機関主任。旧シリーズではチャーリー(サイモン・ペッグ)
ウフーラ 通信主任。各星の言葉を話す。スポックの恋人(ゾーイ・サルダナ)
スールー 操舵手。旧シリーズでは加藤
チェコフ 科学士官。ロシア人(アントン・イェルチン)
パイク提督 カークの上官(ブルース・グリーンウッド)
マーカス提督 (ピーター・ウェラー)
キャロル・マーカス 科学者。提督の娘
ハリソン 艦隊士官。その正体は?(ベネディクト・カンバーバッチ)
冒頭は赤い木の林を走り抜けるカークとドクター。
カークがうっかり原住民の大事な巻物を取ったため、
彼らに追われる羽目になったのだ。
途中で巻物を置くと、追っ手はおがみ始めて、何とか難を逃れる。
この惑星は、火山の噴火により崩壊しようとしており、
それを止めようと言うのがカークらの任務だが、初っぱなから失敗だ。
林を抜けたカークらは、崖から海に飛び込み、
海中で待機していたエンタープライズに帰還。
こんな所で待機させるなんてと、スコッティは不機嫌。
カークらがミスったせいと思うが、スポックは単身火山の中に乗り込み、
装置を作動させようとする。火山活動を一瞬に氷結させる装置だが、
そんな物を動かせば、スポックも生きてはいられない。
装置作動後、すばやく転送収容すればいいのだが、
艦を火山の上に回さなければ転送は無理。
カークはためらわず、艦を火山の上に回すよう指示。
だが、これには当のスポックが反対する。
未開発の惑星に、高度な文明を見せてはならないと言う艦隊規則に反するためだ。
結局カークは艦を回して、スポックを収容。装置は作動し、火山活動は止まる。
飛び去る艦を見て、原住民は艦の絵を描いて騒ぎ出した。
ここまでがプレタイトル。
地球に帰還したカークとスポックは、艦隊に呼び出される。
スポックは未だに命令違反の事を気にしている。
カークに助けられた事は感謝するが、
もし逆の立場だったら、カークを見捨て規則を守ったと言い切る。
一方のカークは、きっと「5年間の調査飛行」に抜擢されたんだと浮かれている。
だが、スポックの心配の方が当たり、カークの行為が問題視される。
(カークはごまかそうとしたが、スポックが報告していたのだ)
さすがにまずいと思ったカークは、降格は自分だけにして、
乗員は許してほしいと訴える。
元船長であるパイク提督がかばった事もあり、パイクが船長に復帰。
カークはその副長に。
他の乗員はおとがめなしだが、スポックは他の艦の副長に決まる。
ロンドン。難病の娘をかかえ、悲しむ両親の前に、
謎の男(今回の敵ハリソン)が現れ、娘さんを救えると言う。
父親は男から薬品のような液体をもらい、それを娘に投与。
ハリソンに高度な知識があり、新薬を開発したのかと思ったが、
実はそういう訳ではないと終盤にわかる。
何にせよ、娘を救われた男は、艦隊の関係者らしく、
代償として、艦隊の施設を爆破(自爆)する。
この事態に、艦隊は各艦の副長以上を召集。パイク、カーク、スポックも出席する。
マーカス提督によると、艦隊のジョン・ハリソンと言う男が反旗を翻し、
破壊工作をしたと言う。
このマーカス提督を演ずるのはピーター・ウェラーで、
老けたせいか、マスクをはずした時のロボコップ風。
ハリソンは図書館のデータを要求していると言うが、これをカークは疑問に思う。
図書館にあるのは、公開されているデータばかりで、価値はないはず。
ハリソンの狙いは、データではなく、
艦隊の主要メンバーを一箇所に集める事ではないか?
なんて言った途端、ハリソンが乗った小型戦闘機みたいな乗り物が、会議場を襲撃。
会議場は混乱。パイクが撃たれて死んでしまう。
恩人の死に怒るカークは、消火栓みたいな所から、
フックみたいな物を取り出して、戦闘機に引っ掛ける。
戦闘機はバランスを失い、墜落するが、間一髪ハリソンは転送で逃げてしまう。
カークらは、戦闘機に残された転送装置から、
ハリソンがクリンゴン領のクロノス星に逃げたと突き止める。
艦隊への攻撃は許せないと、マーカス提督はカークに追跡を許可。
(映画1作目では、歴代のエンタープライズの写真があったが、
本作で提督の部屋には各艦の模型が飾られてる)
カークを船長に戻し、スポックを副長とする。(そうでなかったのは、わずかな間)
提督は確実に倒すためと称して、72個の新型魚雷を積むよう指示。
これを中立地帯からクロノスに撃ち込んで、退散しろと言うのだ。
艦は出発の用意をするが、この魚雷を積み込む事にスコッティが反発。
極秘として中身が何かも明かされない代物を積み込むのは、許可できないと言う。
だが、復讐心に燃えるカークは、そんな事でスコッティと口論する余裕はなく、
彼に降艦を命ずる。前作からスコッティと一緒の異星人も一緒だ。
代わりにチェコフに機関室を任せる。赤シャツを着ろと。
(TV版では、殺される乗員はだいたい赤シャツと言われた)
チェコフはロシア人で、ロシアなまりの英語を話すらしいんだけど、
TV版の吹替えにそういう演出はなかった。
今回吹替え版で見たけど、たどたどしい日本語で再現しようとしたらしく、
ちょっと違和感あり。
発進寸前にキャロルと言う女性科学者も同行する事に。
美人に弱いカークはウェルカム
(カークの事はクリスチン・チャペルに聞いた等と称する)だが、
科学者は2人もいらないと、スポックは不満げ。
彼女の素性を調べ、本名はキャロル・マーカスで、マーカス提督の娘だと突き止める。
キャロル・マーカスと言うのは、カーンの逆襲に登場した、
カークの「かつての恋人」だ。
本作では、最後まで見てもそういうシーンはないけど、
のちのちカークとくっつける気か?
艦はクロノスに攻撃可能な位置に到着するが、交渉もせず攻撃する行為にスポックは反対。
カークもスコッティの不安を考慮し、商人に扮してクロノスに乗り込む事に。
その間はスールーに艦長代行を任せる。
スポックやウフーラも同行。ウフーラは前作ではヒロイン的だったが、
本作ではスポックの恋人と言う設定を維持しつつ、出番は少なめ。
冒頭の惑星で、自らの命を犠牲に規則を守ろうとした事に怒ってる様子。
商人に扮すると言う設定はまったく生かされず、
最初から艦隊の人間だとバレバレで攻撃を受ける。
着陸したシャトルを降り、クリンゴン人とご対面。
TV版ではなく、映画版に似たメイクだが、微妙に違う。
ウフーラが私の出番と交渉するが聞き入れられず、一同格闘に。
そこへ現れたのがハリソン。彼はすごく強くて、
あっという間にクリンゴンを倒した挙げ句、カークに投降する。
不可解な行動だが、とりあえずパイクの仇だと、カークは怒りに任せて殴る殴る。
ハリソンは艦に収容され、未来の牢屋みたいな所に入れられ、ドクターが血液検査。
彼は、私の目的が知りたければ、艦に積まれた魚雷を調べろと言う。
適任者として、キャロルが付近の無人の星で調べる事に。
キャロルは、父である提督の不穏な動きを怪しみ、身分を偽り艦に乗り込んだのだ。
何だか忘れたけど、他の人が空いてなくて、ドクターが同行する事に。
魚雷には仕掛けがあって簡単には開かないが、
何とか開けると中には冷凍冬眠した人間が。
カークはハリソンに、あれは何だと問い詰める。
ハリソンによると、彼らは遺伝子操作で産み出された人間を上回る存在だと言う。
!!!優生人類じゃん!!!つまり、こいつカーン!?
私の本当の名はカーンだと言うハリソン。
やっぱり!!!
人類は彼らを危険視し、冷凍冬眠させたが、
マーカス提督によってカーンだけが目覚めさせられたのだ。
提督は彼を利用しようとしたが制御できず、まとめて始末しようとしていだ。
TV版では、ナポレオンらと並び称される歴史上の人物だったカーンだが、
本作のカーク・スポックはピンと来てない様子。
カーンは、私の言う事が信用できないなら、今から言う座標を調べろと言う。
カークは取り合わないフリをしつつ、都合良く降艦させたスコッティに連絡。
酒場で悪態をつきながら飲んでたスコッティは、カークの命令に怒りながら、
結局座標の地へかけつける事に。そこで何かを目撃する。
一方、スポックは、ニューバルカンと言う地へ連絡。
通信に出たのは、もう1人のスポック。つまりレナード・ニモイの方だ。
前作に続いての登場だが、かなりヨボヨボな様子。
新スポックは、旧スポックに、カーンについて聞く。
未来について聞くのは危険な行為と承知の上なら教えようと言う旧スポック。
カーン・ヌニエン・シンは、旧スポックらが出会った最強の敵だったが、
最後には倒したと言う。
そうこうしている内に、艦の前に、見た事もない新型艦が現れる。
つまり5年間の調査飛行開始の段階で、
エンタープライズは最新鋭ではなかったと言う事らしい。
マーカス提督は余計な事に気付いたなと攻撃体制。
そうはさせじとキャロルが反発するが、
娘がいると知った提督は彼女を転送収容してしまう。
やむなくカークは、降伏するようなフリをしてワープで退散。
しかし、敵は新型艦なので、ワープの最中に追いつかれてしまい、攻撃を受ける。
だが、その新型艦もなぜだか機能停止。
実は、カークから聞いた座標に停泊する新型艦を見つけたスコッティが、
ひそかに乗り込んでいたのだ。
苦戦中のカークは、敵の敵は味方だと、カーンに助けを求める。
カーンが出した妙案は、新型艦に乗り込んで、中から破壊すると言うものだった。
そんな無茶ななんて言いつつ、
カークとカーンが宇宙服を着て、エアロックから射出される事に。
だが、少しでも角度を誤れば、永遠に宇宙をさまよう事になるのだ。
スポックらが角度を指示するが、浮遊する破片とかに接触し、
カークがコースからそれ、連絡が取れなくなる。
すると、信用できないと思ってたカーンが、カークに接触し、軌道修正。
新型艦のスコッティが間一髪エアロックを開け、無事到着。
一行は提督の所へ向かう。
ついていくカークは、スコッティにフェーザーを撃つ用意しておけと指示。
本性を現したカーンは、提督の頭を握り潰して殺害。
艦のスポックに、カークらと交換に、仲間の乗った魚雷を送れと要求。
スポックは、バルカン人はウソはつかない、君の魚雷はすべて送ると約束。
カーク、スコッティ、キャロルは生還するが、スポックが送った魚雷が大量に命中。
新型艦は地球に向けて墜落の危機に。
それはエンタープライズも同様だった。損傷でエンジンが作動しないのだ。
スコッティは、エンジンルームの中心の軸みたいなのがずれていると言うが、
致死量の放射能で中に入る事ができない。
をいをい、それはまさに、カーンの逆襲のクライマックスと同じ!
カークはスコッティを気絶させ、単身エンジンルームへ入ってしまう。
中心の軸みたいなのをけっとばして、元の位置に戻し、再び動くように。
既に大気圏に突入していた艦だが、エンジンが回復し、墜落は回避される。
だが、ブリッジのスポックにスコッティから連絡が。今すぐ来てくれと。
何があったか察知したスポックは、エンジンルームへかけつける。
いやーん、これって、カーンの逆襲の裏返しじゃん。
あの時は、スポックが死ぬって事前に聞いてけど
(ジェネレーションズのカークの時も)、今回は本当に不意討ちです。
もう、いろんな事が頭をぐるぐる回っちゃう。
たぶんSF的な技を使って助かると思うけど、
リブートで設定変わったから、本当に死んじゃうかも。
次回作製作が決まったって聞いた気がするけど、カーク抜きって可能性もあるし。
ひょっとしたら、
旧スポックがパラレルワールドの存在と言う設定を生かしてカークを救うとか?
ガラスごしに弱ってるカークを見るスポック。
冒頭のシーンで、カークが命令違反を侵してスポックを助けた時、見捨てるべきだった
逆の立場だったらそうしたとドライに言ったスポック。
だが、現実のカークの死を前にして、明らかにショックを受けてる様子だ。
君はあの時論理的に言ってたが、俺は怖いと言うカークに、何も出来ないスポック。
そしてカークは死に、スポックは怒りの感情を爆発させ、カーーーーン!と叫ぶ。
(カーンの逆襲ではカークが叫んだ)
スポックは感情を抑えてるはずだけど、カークとスポックの関係はこれでいいんです。
ロスの街に、カーンが乗った新型艦が墜落。
ビルをなぎ倒し、人々は騒然とする。
スポックは、あんな事で死ぬカーンじゃないと、自らを地上に転送。
実際に生きていたカーンは、どこかへ向けて走る。(逃げてる?)
スポックがそれを追跡。
スターウォーズに出てきた何とかスピーダーみたいなのが飛びかう未来都市で、
カーンはスピーダーに飛び移る。スポックも飛び移り、その上で格闘に。
一方、カークの死にショックを受けていたドクターだが、
机の上のトリブル(TV版にも出た未来のペット)が蘇ったのに気付く。
そうか!カーンの血を輸血すると、生き返るんだ!
その手で来たか!(ちょっと違和感あるけど)
しかし、採血したカーンの血はすべて使ってしまった。
カーンを死なせてはならないが、今のスポックは殺しかねない勢いだ。
艦は地上のスポックらを見つけるが、スピーダーが早すぎて、転送収容できない。
だが、あちらへ転送する事はできると言うウフーラ。そう言えば、こんな人もいたね。
転送されたウフーラが麻酔でカーンを気絶させると、
怒りに燃えるスポックは殴る殴る。
ウフーラにカーンを殺してはダメと言われ、え?てな様子のスポック。
カークは病室で目覚め、状況がわからない様子。
心配するな、死んでたのはちょっとの間だけだと言うドクター。
TV版でも何度も死者を蘇らせた事だし。(ただし、赤シャツはあまり蘇らない)
カーンは、他の仲間と共に再び冷凍冬眠させられ、どこかへ移送される事に。
カーンの仲間は魚雷ごと新型艦に撃ちこまれたかに思えたが、
スポックの指示でドクターが全員取り出していたのだ。
私はそれほど冷酷ではないと言うスポック。
そして今回の活躍が評価されたカークらは、
5年間の調査飛行(つまりTV版の舞台)に抜擢される。
最後はいつもの「宇宙。それは。。。」と言う文句と、
TV版のテーマ曲と共にエンディングへ。
と言うわけで、冒頭は、カークとドクターが惑星で大騒ぎを起こし、
スポックが論理的な判断で危険を冒すと言う、いつか見たようなシーン。
スポックファンが多いけど、個人的には旧作時代からカーク、
あるいはドクターの人間味がお気に入り。
カークはスポックを守るために命令違反を侵す事に、微塵の疑問も感じない。
一方、スポックは、例え自分の命を守るためでも、命令違反は看過出来ないと、
わざわざカークを陥れるような報告をしてしまう。
TV時代に何度も見た光景で、こうした口論を経て、
難事件を解決するのが、宇宙大作戦の醍醐味だ。
そして、冒頭の口論がクライマックスで生きてくる訳。
カークは命令違反で降格になるが、ハリソンと言う謎の敵を追うため艦長に復帰。
このハリソンがカンバーバッチと言う人だが、言うほど出番は多くなく、
もっぱらカークスポック中心に展開。(個人的にはそれでOK)
割に予備知識なしに見たが、
旧シリーズからのファンを驚かせるシーンが3箇所もあった。
1つ目はハリソンの正体。
まあ、正体を明かす前に、ヒントがあって気付いちゃったけどね。
2つ目はまた出た旧スポック。かなりヨボヨボです。
3つ目はクライマックスの意外な人の死。
それは旧シリーズの裏返しだが、
結局生き残った者のとる行動が同じと言うあたりもツボ。
旧シリーズを知らなくてもテンポ良い展開は楽しめるが、
この3点は旧シリーズからのお付き合いに対するご褒美かな。
結果として、この映画って、ひょっとしてあの作品のリメイク?と思わせる事に。
個人的には、あの作品がシリーズで一番好きなんだけど、
脚本家もそうだったんだろうね。
この後、ようやく艦は5年間の調査飛行に旅立つ事に。
活躍の場が狭まるような気もするけど、まあ、何とかしてくれるでしょう。
見る前はノルマ的な側面もあったけど、上出来です。
▼
「スター・トレック BEYOND」を見た。(2013年米)
リブート版スタートレックの第3弾。
カーンの逆襲を焼き直した前作はかなり面白かったので、
続く本作にも期待がかかり、やはり見るしかありません。
1作目から欠かさず劇場で見てます。
ジェイムズ・T・カーク エンタープライズ船長(クリス・パイン)
スポック 副長(ザッカリー・クイント)
ドクター・マッコイ (カール・アーバン)
モンゴメリー・スコット 機関士(サイモン・ペグ)
ウフーラ 通信士(ゾーイ・ザルダナ)
スールー 操舵手
チェコフ 科学士官
ジェイラ 惑星にいた異星人
クラル 敵の親玉
マナス その手下
クララ 救助を求めた女性
パリス提督
フィネガン 基地の責任者(HEROSのマット)
起:カークとスポックは現場を去ろうかと考える。
承:敵船団の襲撃を受け、艦は惑星に墜落してしまう。
転:惑星から脱出。
結:敵の野望を阻止し、カークらも現場に留まる。
@カークは惑星間の衝突を治めるため、代理人として訪問するが、交渉は決裂する。
カーク船長はディナクシ星を訪問。
長らく敵対関係にあったフェノピアン星が友好関係を築きたいとした為、
カークが代理人として訪れたのだ。
友好の印として、古代の遺物アブロナスを土産に持っていくが、
怪物みたいな姿の住人は納得しない。
集団でカークに襲いかかるが、実は恐ろしい外見の割にペット程度のサイズ。
とりあえず退散と考えたカークは転送収容されるが、
小さな怪物もついてきてしまい、転送室は大騒ぎ。
出迎えたスポックは、遺物を倉庫に収容するのだった。
A艦はステーションに到着。
方向性を見失ったカークは現場から離れる事を決意。
大使の死を知り、スポックもバルカンへの帰還を考える。
艦はヨークタウンと言うステーションに到着。
基地と言うより、未来的な都市で、多くの人々が暮らしていた。
艦は透明の通路を通って入港するので、人々の足元を行く形に。
これは見た事ない光景だ。
ここで乗員は休暇をとる事となる。
乗員の家族が迎えに来ていて、スールーは男性と肩を組んでどこかへ行く。
スールーは本作でゲイとして描かれたと報じられたが、
これだと仲の良い兄弟くらいにしか見えない。
一方、スポックは恋人ウフーラによそよそしい感じ。
それを察したドクターは、女性が私が悪かったと言う場合は、
男の方が悪いのだと忠告する。
そんなスポックをバルカン人が出迎える。
スポックは、彼らに伝えられたニュースにショックを受ける。
別の未来から来た存在であるスポック大使が死んだと言うのだ。
元祖スポックであるレナード・ニモイが亡くなったので、こういう手をとった訳。
拠り所を失ったスポックは、ニューバルカンへ戻るべきと考えるようになる。
一方カークは、5年間の調査飛行の3年を過ぎ、目標を見失っていた。
それで、艦をスポックに任せ、自らは副提督となって現場を退こうと考えていたのだ。
だが、提督はこれには否定的で、カークには現場こそふさわしいと忠告する。
B救難信号を受け、艦は星雲に向かう事に。
だが、無数の小型宇宙船の襲撃を受ける。
そんな中、近くにある星雲から救難信号を受ける。
唯一無事だったクララと言う異星人に助けを求められ、艦が救助に向かう事に。
カークとスポックは互いに話があると言うが、バタバタして結局言えないままに。
艦は星雲に突入するが、小さな宇宙船団が現れて攻撃を受ける。
GIジョーでナノマシンと言う兵器が出てきたか、それの宇宙版と言う感じ。
後にそれぞれが1人乗りの宇宙船だとわかる。
敵宇宙船は次々と艦に突き刺さり、大混乱に。
C艦は崩壊し、惑星に墜落。
乗員たちは脱出ポットで脱出する。
カークは、敵の狙いが交渉に使われた遺物だと知る。
艦は激しく損傷し、ワープコアと言う部分がちぎれる。敵宇宙人は艦内に侵入。
艦はさらに崩壊していき、円盤部を切り離すが、そこさえも崩壊。
カークはあちこち走り回ってて、船長代理を勤めたスポックは乗員に脱出を命ずる。
無数の脱出ポッドが射出され、スポックもドクターと共に脱出する。
一方、カークは敵の狙いが例の遺物だと気付き、何やら手を打った上で脱出。
ボロボロになった円盤部分は付近の惑星アルタミッドに墜落する。
円盤が墜落する光景はピカード版の映画でもあった。
何にせよ、映画序盤のあっという間に艦が痛々しいほどにバラバラにされてしまう。
旧作にとらわれない展開と言うのは承知していたが、これはやり過ぎ。
何を無茶苦茶してくれんの、と言う印象です。
D乗員の大半は捕虜にされ、一味は遺物を探す。
一方、難を逃れたカーク、スポック、ドクターらはそれぞれ別行動。
多くの脱出ポッドも惑星に到達するが、大半が敵一味に捕らわれる。
主要メンバーで言えば、ウフーラとスールーが捕らわれ組に。
スポックとドクターのコンビは、ちょっと離れた場所に不時着していた。
スポックは腹に金属が突き刺さる重傷。
ドクターは会話で注意をそらして金属を引き抜く。
その痛さにスポックは、「君らの言葉で言えば、くそったれだ」と言う。
さしものスポックも弱るが、何とかドクターが移動させる。
スポックが艦隊を辞める気だと知ったドクターは、
カークは君がいないとダメだと言うだろうと忠告する。
カークはクララやチェコフと移動。
彼らは円盤部に到着するが、完全に機能停止していた。
実は仲間を捕らわれたクララは敵と通じていて、カークの行動を報告。
カークも気付いていて退散する。
Eスコッティは異星人のジェイラに助けられる。
彼女も惑星に墜落して脱出出来なくなった存在なのだ。
1人はぐれたスコッティは、敵一味に捕らわれそうになるが、
ジェイラと言う異星人に助けられる。
ジェイラもまた、この惑星に不時着し、脱出できなかったと言う。
彼女は100年くらい前の連邦の旧型艦フランクリン号を家にしていて、
そこで地球人の言葉を覚えたのだ。
ここで連想したのが、映画1作目のビジャー。
前作がカーンの逆襲のリメイクだから、
本作はビジャーのリメイクと言うのもあり得るのではと。
結果的にはビジャーのリメイクと言う訳ではなさそうだけど、
本作のポスターには1作目を模した物がある
(カーク、スポック、アイリーアが並んでた物のアイリーアがジェイラに変わってる)
のも妙な因縁か。
ジェイラは家族を、敵のボスであるクラルの部下マナスに殺されたと言う。
Fその後、一同は合流。捕虜にされた乗員たちも救出する。
一方、一味は遺物を入手し、それで生物兵器を起動。
ステーションを全滅させようとする。
その後、カークとチェコフ、スポックとドクターは、
それぞれこのジェイラの家にたどり着く。
一方、クラルは乗員を脅して遺物の在りかを聞き出そうとしていた。
カークが持ち去ったと言う可能性もあったはずだが、
脅されて異星人である乗員シルが白状。
彼女の後頭部はエイリアンのフェイスハガーみたいになってて、
足を開くと小物を隠せる様になっていた。脱出寸前にカークが委ねたのだ。
クラルはその遺物を利用し、生物兵器を起動できると知っていた。
実験台にされてシルは殺されてしまう。
その後、カークらは捕らわれた乗員らを救出する作戦を決行する事に。
スポックがウフーラに贈ったバルカン鉱石のネックレスで居場所が判明すると言う訳。
カークはジェイラの所にあった古いバイクで走り回ってて撹乱。
ジェイラの家自体が屈折を利用して透明になる仕掛けで隠蔽されていたのだが、
同じ原理でカークが複数人見えて、敵は影の方を攻撃すると言う寸法。
(偶然本物に当たったりはしない)
その間に、乗員が15人くらいずつ転送収容される。
2〜3回転送したら、大半が転送された形に。
そんだけしか助からなかったのか。それとも見えてない所で延々と転送していたのか。
残るはジェイラとカークのみに。
ジェイラは親の仇であるマナスと高い所で対決し、突き落として倒す。
カークは転送可能だが、ジェイラの場所は隠蔽されていて無理。
カークがバイクでジャンプして、同じくジャンプしたジェイラの腕を空中でつかみ、
一緒に転送収容される形に。艦内で復元されて床に落下。
カークはこんな転送は二度とごめんだと言い、ジェイラは私もだと言う。
G一味がステーションへ向かったと知り、墜落していた旧式の艦で追跡。
音楽で小型宇宙船の隊列が乱れ、大半が爆発。
残った数隻を艦が追跡し、体当たりで倒す。
クラル一味は惑星を脱出し、ヨークタウンへ向かっていた。
生物兵器でそこを全滅させ、足掛かりに宇宙全域を攻撃しようと言うのだ。
何とかせねばと思っていると、ジェイラが私の家を使ってと言う。
墜落したままでちょっと傾いた旧型艦を発進させる絵は、まさにヤマト。
崖の上から落下して加速をつけ、反転すれば大気圏を脱出できると言う。
失敗すれば墜落だが、もちろん間一髪反転して大気圏を脱出する。
ヨークタウンへ向かう敵船団を発見。
蟻の群れみたいな仕組みで、互いに信号を送る事で距離を保っていた。
この状態を崩すには、信号を乱せば良い。
艦に残されていたラジカセで大音響のロックを流すと
(これは地球のクラシックか?てな会話あり)、乱れた船団がぶつかって次々自滅。
この手法はヨークタウンにも連絡され、大半を倒す。
それでも無事だった数機がヨークタウンの通路に突入。
艦が先回りして浮上し、そこへ体当たりさせる形で全滅させる。
私の家が壊れる!と叫ぶジェイラ。
Hだが、一味の親玉は行方不明。実は彼が死んだとされた旧型艦の船長だと知る。
遭難して見捨てられた彼は、復讐の時を待っていたのだ。
だが、敵艦にクラルの姿はなかった。
一方で、残された記録から、
フランクリン号の船長バルタザール・エディソンがクラルだったと判明。
クラルらは任務であの惑星に不時着したが、
艦隊は死亡したものとして捜索を中止してしまう。
見捨てられたと感じたクラルは、惑星にあった技術で生き長らえ、
復讐の機会をうかがっていたのだ。
I敵はタワーで兵器を作動させようとするが、カークが捨て身で阻止。
カークはスポックに助けられ、生物兵器は宇宙に放出される。
クラルはヨークタウンのタワーに上り、
そこから生命維持システムを利用して生物兵器を拡散させ、
中の者を全滅させようとしていた。
そうはさせじと、カークもタワーへ上って妨害。
クラルは装置ごとステーションの外へ排出される。
そこで生物兵器が作動して、クラルは死亡。
一方、カークも宇宙に放り出されそうな状況にあった。
小型船でかけつけたスポックが間一髪救出。
カークは君がいないとダメだと告げ、スポックはハッとするのだった。
Jカークとスポックは結局船に戻る事を決意。
ジェイラも連邦に迎えられ、艦も再び建造される。
レナード・ニモイとアントンに捧ぐ。
一件落着し、提督はカークを副提督に就ける用意が出来たと言う。
だが、カークは思い直したと現場に留まる事を告げ、
提督はさもありなんと言う顔でこれを受け入れる。
一方、スポックも艦隊に留まる事を決意し、ウフーラとも寄りを戻す。
クルーが集まって、カークの誕生日パーティをする事に。
ジェイラもまた、今回の活躍が評価されて艦隊に入れる事に。
地球の文化に憧れていた彼女には、この上ないほうびだ。
カークはスポックに、そう言えば話があると言ってたなと聞く。
するとスポックはごまかし、おおむね伝わりましたみたいな事を言う。
スポックの方もカークに話があったはずと聞くと、
カークもまた伝わったと言う。おおむねな。
まさに、あうんの呼吸みたいな感じで、細かい事は聞かず。
その後、早回しで艦が建造される様子が描かれ、
再び調査飛行が再開され、オリジナルのテーマ曲で締め。
宇宙、それは。。のセリフは、カークだけでなく、クルーが少しずつ語る形に。
レナード・ニモイと事故死したチェコフことアントン・イェルチンに捧げられる。
と言う訳で、5年間の探索の旅も3年目に達し、
カークは自らの方向性に迷いを覚える。
一方、スポックは、自らの指針たるスポック大使の死を知り、
故郷バルカンへ戻るべきと考える。
つまり、主要キャラが規定路線を外れようとする訳。
そんな中、救難信号を受けた艦はとある星雲に向かうが、
それが敵の罠で、攻撃を受けた艦は大破してしまう。
ピカード映画版にも艦の墜落があったが、本作では痛々しいほどバラバラにされる。
冒頭の主要キャラの路線変更もあって、
往年からのファンとしては、何を無茶苦茶やってくれてんのと言う印象です。
惑星に不時着したカークら主要キャラは、都合よく2名ずつに分かれて行動。
実は本作はここからが面白い。
カークは1人でも(実際はチェコフも一緒だけど)派手に立ち振舞い、
スポックはお約束の様にドクターと行動。
協力しつつケンカする様は、TVシリーズを彷彿させます。
スコッティは惑星にいた異星人と親しくなり、協力し合うように。
この異星人のキャラもなかなか魅力的。
惑星にはなぜか連邦の旧式艦が墜落していて、
それを使って脱出するヤマトな展開も面白い。
前作でカーンの逆襲をリメイクしたので、
本作では1作目のビジャーを登場させたのかとも思ったが、
そこまではやってないみたい。
オリジナルを彷彿させるキャラの活躍に思わず興奮させられたが、
物語的な目新しさは弱く、シリーズになじみのない人にはやや退屈かも。
そして、ひいき目の私からしても、前作には劣る印象です。
|