"FRP製品の作り方(実写版)"

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型偏及び製品偏を読んでいただき、大体の手順がご理解いただけたと思います。次に実際の製品写真をお見せしながらFRP製品の作り方の概要を説明いたします。


これが何かはわからないとおもいますがプレート状の製品です。
結構小さい物ですが、それなりに手間はかかります。
それでも"いいつや"してるでしょう。


プレートを製作した型です。型は最終的に鏡面状に仕上げます。型の仕上り具合がそのまま製品に反映されますから、手抜きをすれば製品にそのまま出てしまいます。
右側の写真で、手前側は型仕上げ前、奥側が型仕上げ後です。光沢が違いますよね。

型製作の時に説明しましたが、これがこの製品の木型です。元々モデルがありましたので、それを利用しました。


離型剤として使用するワックスで特にお勧めするのは、天然カルナバ蝋配合のものです。FRP専用ワックスとしては"ミラーグレーズ"があまりにも有名ですが、カーワックスで代用する場合は"シュアラスター"系がベストです。最初の製品が脱型できれば、あとはワックスを塗布して拭取る作業を一回すればOKです。

製品を作る場合に、まず型にはゲルコート樹脂と言う専用の表面材を塗布します。
コンプレッサーを使用した塗装が望ましいですが刷毛塗りでもかまいません。 刷毛塗りの場合はむらなく均一に塗布しましょう。
最低2時間は放置して乾燥させます。暖かい場所で乾燥させれば効果的です。弱めの熱でドライヤー等を使用しても効果が有ります。その際ドライヤーを30cm以上放して行ってください。

表面材が乾燥しましたら、ガラス繊維を樹脂で塗り固めます。
まず樹脂に硬化剤を添加して良く混ぜます。そして、ゲルコートを塗布してある型の表面に下塗りします。ガラス繊維を使い易い大きさにちぎりながら型の上に置きます。
通常、ガラス繊維はガラスマットと呼ばれるガラス繊維を適当な長さに切ってあるものをのりで固めた不繊布状の物とガラスクロスと呼ばれるガラス繊維の紐を格子状に織り込んだものがあります。カバー類の積層にはガラスマットのみで良いでしょう。ガラスマットには#300、#450、#600と番手が有り、数字が高くなるほど厚くなります。厚いガラスマットを使えば少ない積層回数ですむと思うかもしれませんが、厚いガラスマットは気泡を含み易いので不良を起こし易いです。手間はかかっても薄いガラスマットを使用しましょう。目安として#300のガラスマットで積層した場合、2回で製品厚み1mmです。

ローラー、または刷毛で塗ります。ガラス繊維は樹脂を塗る前は白色ですが樹脂を塗ると半透明になり、直線状の繊維がウエーヴ状になります。ガラス繊維に樹脂を含ませて浸透させるのでこの作業のことを含侵(がんしん)作業と言います。この際、樹脂をあまり塗り過ぎないようにします。刷毛等で樹脂を少しずつ塗りながら刷毛等で良く撫でて樹脂をなじませます。ガラス繊維を塗り固めた表面が乾燥しましたら、上記の作業を、その製品の求める耐久性に応じて繰り返し行います。

樹脂がなじんだら刷毛の先でたたくようにして、樹脂の中に混入している空気の泡(気泡)を潰すようにします。本職は専用の脱泡ローラーを使用します。これは気泡を抜く作業なので、脱泡(だっぽう)作業と言います。この脱泡作業が確実に行われていないと成形品の中に気泡が残り、後でそれが膨張してフクレやワレなどの不良が発生してしまいます。
脱法作業が終了したら1時間ほど放置して硬化させます。暖かい場所で乾燥させれば効果的です。弱めの熱でドライヤー等を使用しても効果が有ります。その際ドライヤーを30cm以上放して行ってください。

積層作業が終了しましたら丸一日放置します。ちょっと触ってみると固まったように見えても樹脂の芯まで固めるために最低一日おこなってください。

硬化乾燥した製品の周りには、ガラス繊維の"バリ"が出ています。鋭く尖った部分も有りますから、トゲが刺さらないよう充分注意して、必ず軍手等を使用して脱形作業をおこなってください。


型のフランジ部分からはみ出した製品のバリを少しめくるようにして力を入れます。すると型のフランジ部分と製品のフランジ部分の縁が切れて隙間が出来ます。そこに西洋(食用)ナイフやへらのような物を差し込んで、フランジ部分を一周まわして、型と製品を外す準備をします。最後にバールのような物でテコにするようにしながら、ぐっと力を入れ引き抜きます。

(刃物やカッターナイフ、先の鋭い物は型を痛めますし、けがの元ですから使用しないでください。本職も使用しません。)

型から製品がうまく外れましたか?型の仕上げが悪かったり、離形剤の処理がテキトーだと型と製品が癒着してしまって、"おしゃか"になってしまうこともあります。

私自身も駆け出しのころは何度か失敗を繰返しガックリきたものです。そうならないように特に離形剤の処理には気を付けてください。また、アンダーカットと言って巾着のように奥にいくほど広い形の物は抜くにも抜けません。ほんの少しでも有ると失敗するので型を良く確認しましょう。

3−4脱型・・・・型から製品を外します。

製品はディスクサンダーを使用して必要な寸法にカットします。

電動工具を扱う際は普通、軍手等は使用しません。衣類や軍手がディスクサンダーの回転部に巻き込まれない様充分注意しましょう。

ちょっと一服その前に! いや〜、やっと製品の完成です。一般の方が作られても、本職が作ったとしても手間暇のかかる仕事です。表面塗装をする場合は、ここからサンドペーパーで表面を研磨して脱脂(油分を取り除く事)してから塗料を塗布します。ゲルコート品は表面をきれいに掃除して、ワックスでつや出し等行なって完成です。とりあえずここで一服というところですね。ただし!、

FRP製品の製造材料は引火性が強い物が多いので後始末をきちんとして作業場とは別の場所で一服してください。本当にお願いしますよ、火事は恐いですから。

FRPとはなにか?〜ここまで読んでいただいた方々へ

簡単ではありますが、FRP製品を作る際の手順についてご説明致しました。

日ごろ実際作業していてもそれをマニュアル化する事は非常に大変でした。

文才無い私の説明が皆さんに伝わりますように祈っております。

イラストも子供の絵のようでほんとうにWEBにアップして良い物かどうか悩んでしまいました。

そのうちに更新したいと思います。

FRP製作とはとはどんなものなのかお分かりいただけましたか?

また、このページを読まれてどのような感想を持たれましたか?もしよろしければおやじ!96Mまで、ご感想をお聞かせください。

ktj-k-o@muf.biglobe.ne.jp

たった一個の製品が出来上がるまでにはこれだけの工程が必要です。

何と製造効率の悪い仕事と思われる方もいらっしゃると思います。

ですが世の中には何でも何千、何万個も作れば売れる。

また何万個も必要な商品ばかりではないのです。

日本の代表的な工業製品である自動車でさえ、最初はモックアップと言って木材や粘土で原形を製作します。

プラスチック製品を大量生産する場合は金型が必要になりますが費用も相当かかります。

FRP製品の場合、型は樹脂型ですみますので、初期投資が少なくすむため、形の変更が予想される試作段階で多く採用されますし、

毎年のようにデザインが変わってしまう大型のプラスチック製品、レーシングカーのカウルや皆さんが乗られている自家用自動車のスポイラー類、

ディズニーランド等のアミューズメント施設のオブジェやデコレーションなどにも使用されています。

このページを読んでいただいてありがとうございました。

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