第7回「ファンタジーを科学するPart2」
 
 
 
 
  前の「ファンタジーを科学する(第4回)」の続編って事で
話を進めさせてもらいます。今回の題材は
「魔法文明のそれなりに発達した世界に機械文明が出現する事はありうるのか?」です。

  前回は「機械文明=銃」という風に範囲を狭めて書きましたが、
今回は「機械文明」といったらごく普通に我々が暮らしている
「機械文明」のことです。

  魔法文明とは、その根幹が「魔法」という不可思議な力によって
成り立っている世界です。
  誰もが皆「魔法」を使えるとは限らないでしょうが、「魔法」を使う事が出来ない人でも、
だれしも「魔法」の恩恵に一度はあずかることはあるでしょう。
  こういう世界では「魔法」はとても普遍的なものでどこにでもあるもの、
と考えた方がいいんじゃないでしょうか?
(我々の世界ではどこへ行っても必ず「機械文明」の産物である機械を
目にできるのと同じ事です)

  「魔法文明」の世界では「魔法」は決して珍しいものではありませんが、
何故か「魔法」使いと呼ばれる人種は胡散臭い人種だと
思われがちです。
  ……おそらく、どんなにありふれているとは言えど
「魔法」を使えない人から見れば「魔法」は所詮
「魔」の「法」ですから、得体の知れないものだと思われても仕方がない、
と言えるでしょう。

  確かにそれ自体は得体の知れないものですが、とても役に立つ、ということで
きっと「魔法文明」に暮らす人々の生活の中にはそれなりに「魔法」が浸透しているでしょう。
  ……人間という生き物には、あるもの(それが、人間に害を与える可能性があったとしても)
がとにかく便利(言いかえると「効率的」ということになりますか)ならそのものを
使ってしまう、という性質がありますから。
(この性質に関してはあえて証明するまでもないでしょう。
排気ガスを撒き散らす車や、事故が起こると恐るべき災害を引き起こす
原子力発電所などを、我々がその危険性を認識しながら使い続けている、
といった事から人間のこういった性質が見えてきませんか?)

  こういう訳で「魔法文明」に暮らす人々は恐らく「魔法」の便利さに慣れきってしまっている、
と考えた方が無難じゃないでしょうか?
  便利な「魔法」が存在するのに、人は面倒にもわざわざ機械などを
作り出そうとするでしょうか?

  この問いに対する回答は二通り考えられるでしょう。
1.人々が「魔法」の便利さに慣れきった世界では恐らく機械文明は発達しない。
2.「魔法文明」では、「魔法」を使える者が「魔法」の強大な力で「魔法」が使えない人々を
支配している。そんな中、その支配を拒む人々が「魔法」に対抗する力として
「魔法」が使えない人々が機械を発明する。
(何だかこっちの方はやや「ロードス島戦記」っぽい世界観ですね。
  最も、「ロードス島戦記」には殆ど機械と呼べる品物は登場しませんが)
  あと、もう一つだけありうるとしたら「違う世界からいきなり機械がやってくる」
なんていう御都合主義っぽい展開もありえますが、それはいわゆる
「事故」とか「偶然」で片付けられる特別な現象であって、
私の考察の域を出るものです。
(「事故」や「偶然」ならどんな事だって起こせますからね)

  まあ、どちらの説をとるにせよ、そうして生み出された「機械」
が「魔法」以上に便利かつ有益なものでなければいけませんからね。
「魔法」の力はとてつもなく大きいものです。
(正直言って現代の我々の科学より遥かに強力だと言える側面もあります)
そういった「魔法」に打ち克つだけの有益性を秘めた「機械」
の開発……。そう簡単な事ではないでしょうね。
  ただ、「魔法文明」の世界では「錬金術」も立派な科学の一つである、
と考えると……どうなんでしょう……?

(「錬金術」は最近これを扱うゲームが増えてきたおかげで
だいぶメジャーになってきていますが、その実体について
知っている人はどのぐらいいるのか……?
というわけで、「ファンタジーを科学するPart3」
では、「錬金術」をテーマに取り上げて私の知りうる限りの事を
語ってみたいと思います)

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