あかね

五月五日

何処なのでしょう…ここは…。

 端午の節句です。
 流石にもう鯉幟やら鎧兜という外見ではないのですが、何となく飾らないとならない気になるのは、やはり『親心』というものでしょうか。
 わたくしにとって、ハザマさんは実の子同然の存在なのですが、勇人さんからも『そろそろ子離れしないと』と言われてしまいましたし、我慢する事にしました。
 …そういう勇人さんこそ、ハザマさんには相当甘いと思うのですけど。
 ハザマさんのあの嫌そうな顔が面白いんですけどね。
 …まあ、これは知らぬが花というものです(笑)
 今はケイトさんという、格好のからかい材料がありますし。

 それにしても、あの二人は傍で見ていると、どうにもじれったい気持ちになります。
 どう見ても相思相愛なんですけど、ケイトさんは相変わらず片思いだと思い込んでいますし、ハザマさんはハザマさんで現状に満足しすぎというか……。
 勇人さんの時のような、奥手を行過ぎてもはや笑うに笑えなかった状況よりはマシみたいですが。
 本当に最近の殿方は少々情けない気がします。困ったものです。

 先日、日本アルプスに旅立った木之元さんから便りが届きました。
 どうやら現地から出したもののようですね。
 写真に写っている周囲の様子が明らかに登山道ではないのと、幸さんの表情が心なしか青ざめているのが気になる所ですが…。
 木之元さんがいる限り命の心配はないと思うのですが、連れが子供という事を忘れて獣道を突き進んでいない事を祈るばかりです。

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