4月3日早朝、北の大地へ
「カシオペア」12号車の展望ロビーカーから

 札幌行きの「カシオペア」は、最後尾(1号車)の「カシオペアスイート」展望室タイプが特に人気で、走り去るパノラマ展望をほしいままにできます。「カシオペア」そのものが1編成しかない上、札幌発上野行きの上り列車では、牽引する機関車が前をふさいでしまうので、下り列車で一室しかない展望室タイプは、取ろうと思って取れるキップではないのです。でも、ある区間だけその展望を体験できるのです。青森駅と函館駅は、連絡船があった当時の、終着駅型(櫛型)の路線構成になっていて、両駅でスイッチバックするためにこの区間、津軽海峡線区間だけは頭と尻尾が入れ替わり、12号車の展望ロビーカーが最後尾になるのです。これを見逃す手はありません。がんばって4時前に起き、僕らの部屋の1号車から延々と歩いて12号車に来て見ると、だれもいない!今日は、鉄っちゃん系はお乗りになっていないようで・・・まだ闇の中でしたが、走り去るヴィスタを僕らで独占することができました。写真は4時14分、五稜郭駅を通過しているところです。レンズを窓ガラスに固定させて、夜景モードで撮りました。この4分後、函館に停車。
 函館を発つと、気になるのは大沼越しに見る駒ケ岳の雄姿です。僕は裾野のきれいな山が特に好きですが、駒ケ岳はまた格別です。この日は雲も低く、夜明け前で、ぼんやりとボリウムを認めた程度でした。

駒ケ岳
自分たちの部屋に戻り、だんだん明るくなってくると、列車は真っ白な世界を走っていました。下の写真は霧氷の樹海をゆく車窓です(撮影;永田博子)
霧氷の樹海
 さて、我々の部屋は、1号車2番の「カシオペアスイート」メゾネットタイプで、例の展望室タイプの隣です。上階と下階があるので使い勝手がよく、違うレベルの展望も楽しめてゴキゲンでした。「スイート」は、ルームサービス等、係りの人がたびたびやってくるので、入り口のある中間階と視線の高さに差があり、プライバシーの上でもよくできています。空間の分節という意味では、ホテルのツインルームの窓際空間をカーテンでしきるような展望室タイプは、「スイート」とは呼び難いと思います。写真は、左から、上階。向かい合わせ、3人掛けのソファーがベッドになります。テレビ・洗面台・トイレ・シャワーもあります。テレビでは、現在位置のナビ画面も表示でき、旅人心をくすぐります。写真中央は中間階にある入り口。右が、下階でツインベッドがあります。窓台の高さは、プラットフォームとほぼぞろ(同じ高さ)でした。いずれにせよ、日本の寝台車の中では、最高によくできた空間といえると思います。2000年、ブルーリボン賞受賞。
「カシオペアスイート」
 食堂車で朝食をとり、車窓を北海道独特の四角っぽい家が占めるようになると、高層の建物も増え始めて、8時54分、札幌着。キーンと冷えた空気が出迎えてくれました。
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