4月6日、花咲線(根室本線)

根室まで、日本最東端の根室本線は、花咲線のニックネームで呼ばれています。人家のあまりない、ゆるやかに起伏する自然のただなかを、ひたすらに東に向かう孤高の鉄路です。19年前の冬に乗って、感激してしまいました。今回、釧路から網走へのルートも考えたのですが、この線の魅力と、端っこまで行きたい気持ちが勝ちました。
 8時15分、釧路発。たった1両編成のディーゼル、ワンマンカーでした。はじめは数人乗っていた乗客も、駅に止まるごとにひとり、ふたりと減って、僕らだけの専用車になってしまいました。ただ、ワンマンカーといいながら、運転手さん以外に補助の方が乗っていました。直接うかがった訳ではないのですが、どうもトラブル時の補助要員のよう。そのトラブルとは何か、だんだんわかってきました。鹿です。

 このあたり、ここ何年か鹿が増えすぎて、事故が多発しているそうです。実際、根室までの間で、何度も線路を横断する鹿を見ましたし、急ブレーキで列車が止ったこともありました。トップの写真のように、列車に慣れてしまって、なかなか逃げません。逃げるのも、横に逃げればいいのに、先へ先へと走っていくのです。線路のあるところは走りやすいのだろうと、補助の方がおっしゃっていました。下の写真は、不幸にも事故にあった鹿の屍骸を、カラスやオジロワシ(!)が食べにきている様子です。
 そんなことで、なかなかゆっくり座席にすわっている気分になれない区間でした。厚岸湾のあたりは、湾と沼と湿地が入り混じり、複雑な自然環境と、様々な鳥たちが目を楽しませてくれました。下の写真には、タンチョウと白鳥が写っています(撮影;永田博子)。そんな自然の中を東へ東へと辿り、10時40分、根室着。
Back  Next