4月6日、春国岱ネイチャーセンターと風露荘

 納沙布岬からバスで根室に戻り、11年前に春国岱の付け根にできたネイチャーセンターへ。19年前に来たときは、春国岱の砂丘の只中に展望塔だけ出来ていて、雪の中を歩いていった記憶があります。

 今回も行けるところまで歩いてみようと、荷物を預け、双眼鏡を借りてフィールドに出ました。天気は、雪こそ降っていなかったものの相当の風で、特に砂丘地帯へ降りていくと、冷たいオホーツク海を渡って吹いてくる寒風が、体感温度をどんどん下げていきます。海上にも鳥影が多かったのですが、そんな寒さで、細かく識別する余裕がありませんでした。それでも木道が敷設されているので足元はよく、森林地帯の入り口まで歩きました。下の写真は、間近に見えたタンチョウです。
 根室は、植生の垂直分布が縦に圧縮されて、海抜0メートルで高山の環境が見られます。そんな森林を歩こうとしましたが、「熊に注意」の看板。体も冷え切っていましたので、そこで引き返すことにしました。枯れた針葉樹の枝先に止っていた大きな鳥、たぶんオジロワシが、僕らに気付いてバサッと飛び立ち、森の奥に消えました。

ネイチャーセンターに戻ってみると、レンジャーの富岡さんが出迎えてくれました。先ほど荷物を預ける時に名前を書いておいたところ、僕の名前に気付いて、出てきてくれたのです。彼とは、19年前に鶴居のサンクチュアリを訪ねた時に名刺交換をしており、それを覚えていてくれたのには、こちらも恐縮してしまいました。
 しばらく昔話などをしていると、こちらも19年ぶり、風露荘の高田勝さんが迎えにきてくれました。高田さんは、鳥好きが高じて東京から根室に移住し、民宿を経営しながら執筆活動をされている作家です。前回は雪のクリスマスで、夜遅くまで、鳥や自然の話をしていました。高田さんの運転する車で風露荘に着いてみると、昔と変わらぬ佇まい。ほんとうに19年前にタイムスリップしてしまったようでした。そしてこの夜も、素敵な話を聞かせていただきました。

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