12月28日、京都、詩仙堂

 曼殊院を後に、街と里の間を歩いて、詩仙堂を訪れました。曼殊院で刺激された建築的な感覚が、ここでは見事に減圧されていくような心地よさを覚えました。時間のリズムを引き延ばすような鹿威しの音が、夢の時間に入って行ってしまいそうに響きます。そこで自分を強引に建築に引き戻そうと、スケッチブックに向かいました。(上の絵)  スケッチを始めると、ここの建築が、庭を切り取るフレームにすぎない事が見えてきます。これはこれで、日本建築の原型のひとつだろうと考えながら、鉛筆を走らせていました。

  実は28年前、学生時代の古美術研究でここに来ていて、やはりスケッチをしているのです(下の絵)。この空間には、静かに座って、ゆったりした時間を過ごさせる何かがあるのかもしれません。ただこの時は、鉛筆デッサンの表現や技術をスタディーしている気持ちが強かったようです。

 今日は冷たい雨。参拝者も少なく、庭をぐるりとまわって、静かな時間を過ごすことができました。


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