種子と蒔くもの
戦争の作用とは、何だろうか。第二次世界大戦でも、また、現在の戦争でもそれは、変わらない。
国家間の紛争を武力によって解決するという行為である。
暴力の有害性が、また戦争という行為の非人間性が繰り返し問われていたとしても、国家は世論を戦争へと駆り立て、多くの市民もまた政府の戦争への傾斜に同調して行く。現在の世界は大戦前夜の世界に酷似していると言われている、否、最早その端緒は開かれているのではないだろうか。
国家の論理の前に個人的な情緒が抹殺されて行く、この胸苦しい予感は既にこの映画、「戦場のメリークリスマス」の中に克明に描かれていたのだ。

この映画は戦争中の日本軍の捕虜収容所で起きた、国家間の文化的衝突が個人にもたらした作用を、英国側の視点で書かれた原作に基づき日本人の監督が撮った、不思議な映画である。

以下は極個人的な角度からこの映画を紐解いた戯言である。
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