バードン・グリップの真贋(しんがん)・・・ジョン・ラドレーの手紙

オーバーラッピング(バードン・グリップ)は、1897年ごろ、全英オープンに6回も優勝したハリー・バードンが試行錯誤の末、ようやく完成させたというのがゴルフ界の定説である。
 ところが、真実は違うようである。全英アマ選手権に2回優勝し、マッチプレー55連勝の記録を持つ、文学の教師でもあるジョン・ラドレーは、1878年のウェールズ・アマ選手権に勝ったころから、右小ゆびを左人差しゆびの上に重ねる「オーバーラッピング」で試合に臨んでいた。

 1890年の夏の「シッスル・カップ」で、ハリー・バードン(まだ20歳のルーキー)と名乗る若者と対戦し勝っているが「もしそのとき、彼が私と同じグリップでゴルフをしていたならば、絶対に気づかないはずがない。私の記憶では、彼はナチュラル(野球)グリップでボールを打っていたように思う」

「ゴルフと共に歩んだ人生は、いま思い返すだに幸せすぎるものだった。ゴルフから実に多くのことを教えてもらったが、唯一、自分が考案したグリップによって多くの人がプレーを謳歌する姿に触れると、いくらか恩返しが出来たように思う」

 バードンは自分のグリップについて自著「How to play Golf」の中で、「利き腕の力を弱めることによって、実は左腕の能力が生かされ、ようやく左右の腕が思いきり振れるスウィングが実現したのである」と触れている。自分が考案したとは、どこにも書いていない。この握りに「バードン・グリップ」の名称を献上したのはアメリカのマスコミである。

 詳しくは、「ナイス・ボギー」夏坂健著 講談社発行をお読みください。

・6番ホールに戻る。
・練習場に戻る。