「文学横浜の会」
読書会
評論等の堅苦しい内容ではありません。2020年10月17日
「外套」ゴーゴリ
担当(川島)
今回、読書会の本を選ぶに当たって、4冊ほど候補があったのですが、『外套』について考えていたときに、ゴーゴリの他の作品は読んでいないし、ゴーゴリについても何も知らないということに気づき、ゴーゴリについて調べてとても驚きました。
これほどの現実を写し出す厳しい目を持ちながら、30代後半から神秘主義の影響を受けるようになり、帝政と農奴制への崇拝を表明するにまで至って、進歩的な批評家ベリンスキーからの決別宣言が出されるほどになってしまいます。しかも最後は宗教と現実のロシア情勢への絶望から精神的危機に陥り、断食に入り、42歳で悶死してしまいます。
これは『外套』の主人公アカーキー以上の悲劇ではないかと、『外套』を初めて読んだとき以上の衝撃を受け、ゴーゴリの謎を解くべく、課題図書を『外套』にきめました。
今回、その謎はあまり解明されませんでしたが、『外套』を読み直して、その素晴らしさに改めて感動し、皆さんの感想にも大きく励まされました。文章の筆致もリズミカルで素晴らしい表現力だと思います。
ただ、多くの方が幽霊にこだわっていらっしゃるのに驚きました。私は、初めて読んだときには、なんで幽霊が出てくるんだろう?と思いました。今回読み直して、幽霊が救いになっているなとは思いました。確かに日本の幽霊と比べて陽性で、おどろおどろしくないですね。ゴーゴリは初期の頃、幽霊の作品をよく書いていたそうですが。幽霊好きなんですかね。
ロシア文学は長いし、名前もよみにくいしと私も敬遠組でしたが、この『外套』と11月のチェーホフを同じ時期に読んで印象が変わりました。ロシア文学って意外とスマートだなと思いました。
今回、ロシア文学史とロシア史を少しですが、勉強しました。農奴制を基底にしたロシア帝政への抵抗文学はゴーゴリ以前から受け継がれていたようで、確かにそういう思想や運動がロシア革命に結実したのでしょう。
私は『死せる魂』などを読み、ロシア史ももっと勉強してゴーゴリの謎を追求して行こうと思います。
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以上 川島 記
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