「文学横浜の会」
読書会
評論等の堅苦しい内容ではありません。2020年11月12日
「ワーニア伯父さん」チェーホフ
担当(成合)
11月の読書会『ワーニャ伯父さん』作チェーホフのまとめです。
掲示板への書き込みありがとうございました。一日一日掲示板を開けるのが楽しみでした。コロナ禍に老身を危ぶみ難聴もあり、リアル会に出られず申し訳ありません。
つい最近までチェーホフの劇が演じられていたとあり、ありゃ! と思いました。東京も日々遠くなり、出かければ小旅行。入場料はテレビの方が安い、と思っているうちに関心もなくなり、やっと目を開いた今日はコロナ禍。皮肉なものだと思います。しかし、掲示板で知り得たことは大きいです。
『ワーニャ伯父さん』は『森の精』の改作だそうですが、改作で成功、絶賛された。その一番が結末を「自殺」からソーニャの言葉、「生きていきましょう」とのこと。納得しました。皆さんの感想にもある如く、その通りだと教えられました。『かもめ』で分からなかったことの一つも、これで分かったようにも思えました。
ロシア(ソ連邦)のことは今以って私には分かりません。永く農奴制の社会であったということを聞いています。『山椒大夫』の世界を想像し、であればこそロシア教会への信仰も篤かったのだろう、と想像するのみです。「そのありのままの世界」(浅丘)を描き、「絶望に耐えて生きなければならない人たちの姿を描き出す劇へと変貌したチェーホフの進境」(遠藤)。心境ではない「進境」の言に頷きました。
「作品の題が『ワーニャ伯父さん』。なぜワーニャ伯父さんが主人公なのか、最後のソーニャの言葉まで読まないと分からない」(藤村)のも同感です。「ワーニャとソーニャの生き方にそれでも生きるという人間の強さ」(金田)、「尊さ」(清水)がある。「今もそこかしこにソーニャ・ワーニャ伯父さんの気配が感じられる」(藤村)と。故に100年後の私たち、時代や風土が違っても共感できるものがある、のだと思います。
「脚本ありきでではない。役者ありきだった。近松もシェイクスピアも」(浅岡)、と教えられたのには脳天に雷の響きがありました。大事なことを忘れていました。しかし、並みの才能ではない。天才故にと言って私は逃げるしかありません。その雷光で見えたものがありました。「女優のオリガ・クニッペと結婚」です。「かもめ」が分かった気がしました。
そしてコロナ禍です。以前より、孤独死、一人家族、誰とも話すこともない老人の毎日、と語られています。現実に我が身となり、コロナ禍で檻の中の獣のような毎日。定年となったセレブリャーコフ、医者のアーストロフの嘆きが他人事とも思えません。
「どうにかしなければいけないと思います。ソーニャ、ワーニヤ、今まで通りではいけないんじゃないか」(川島)、の問いもまた、誰もが模索されていく課題であろうと思います。そのことを、きっと「神様は覚えている」と思います。
最後に「トルストイズムから脱却」という言葉がありますが、どのようなことでしょうか。どなたか教えてください。参考になる本などがありましたら、お願いします。
名のみ知るチェーホフでした。それのみを頼りに課題本として提案させて頂きました。失望された方には、申し訳ありません。お詫びいたします。私には大きな収穫でした。まだ書き込みのない方、ひとことでも有り難いです。思い付かれた時にでもお願いします。
以上です。ありがとうございました。
・「掲示板」での参加者
以上 成合 記
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