「文学横浜の会」

 読書会

評論等の堅苦しい内容ではありません。
小説好きが集まって、感想等を言い合ったのを担当者がまとめたものです。

これまでの読書会

2022年06月06日更新


「春にして君を離れ」アガサクリスティー

担当者 後藤

1選んだ理由

読書会の本を選ぼうとして真っ先に浮かんだのがこの本でした。
何年か前に「アガサクリスティー」にしてミステリーでない本ということで興味本位で手にした本書でしたが、どうしてミステリー以上にミステリーで!?ゾワゾワさせられっぱなしでした。
「春にして君を離れ」というタイトルは、シェイクスピアの詩の一節から抜き出したもので、英語では「Absent in the Spring」というようです。
ご参加の見識ある皆様とともに、この作品の内容を深く理解したいと選びました。

2読書会のテーマ

1 )解説の栗本薫の書き出しのままに、みなさんは本作品を読んで
怖いと感じましたか?哀しいと感じましたか?それともそれほど怖いとか、哀しいと感じる人に共感できずにいますか?とお聞きしてみたいです。

2 )さまざまな感想をお聞きしたいです。

3作者

アガサ・クリスティ
出典: Wikipedia
アガサ・クリスティ
Agatha Christie
アガサ・クリスティ
ペンネーム?メアリ・ウェストマコット(Mary Westmacott、別名義)
誕生?1890年9月15日
イギリス、デヴォン州トーキー
死没?1976年1月12日(85歳没)
職業?推理作家
国籍?イギリスの旗 イギリス
ジャンル?推理小説
代表作?『アクロイド殺し』
『オリエント急行の殺人』
『そして誰もいなくなった』
デビュー作?『スタイルズ荘の怪事件』
アガサ・メアリ・クラリッサ・クリスティ(Dame Agatha Mary Clarissa Christie、DBE、旧姓:ミラー (Miller)、1890年9月15日- 1976年1月12日)は、イギリス生まれの推理作家である。発表された推理小説の多くは世界的なベストセラーとなり「ミステリーの女王」と呼ばれた。日本語表記は「クリスティ」「クリスティー」がある。

1971年、大英勲章第2位 (DBE) に叙され「デイム・アガサ」となる。英国推理作家のクラブであるディテクションクラブの第4代会長。

まとめ

テーマに関する会員の意見

1 )解説の栗本薫の書き出しのままに、みなさんは本作品を読んで怖いと感じましたか?哀しいと感じましたか?それともそれほど怖いとか、哀しいと感じる人に共感できずにいますか?とお聞きしてみたいです。
・私にとっては怖いとか哀しいというよりは痛みを感じると言うのが一番ぴったりします。ある意味でジェーンは私自身のように思えるからです。
・物語は、ある性格的な偏りを持った具体的な個人と、それにさざ波のように影響されながら紡がれていく家族の形の、ひとつの物語としてとても面白い。しかしこの物語で、恐ろしいとか哀しいとかの表現は大仰すぎるのではないかと思います。
・怖い・哀しいという言葉にはいろいろな意味が含まれているのでしょうが、僕は今回、「哀しい」を選びました。
・怖いというより哀しい夫婦だなと思いました。理由は、25年も一緒に暮らしてきているのに、妻の独りよがりな価値観や対応にも、とことん話し合うことなく向き合わない夫。それは本当の優しさではない。子ども達には、父親としてひとりひとりに向き合い感謝されてはいるが。
・答えることのできない大きな問いを突き付けられているように感じた。
・二点において、怖いと感じました。一つ目は、日常というものの怖さです。もう一つは自己満足と自己欺瞞というものの怖さです。
・ジョーンの心の内の様々な変化、変容がリアルに書かれていて、「仕方ない」と感じた。この仕方ないというのは、妥協であり、納得であり、諦めの意味が包含されている。

2 )さまざまな感想をお聞きしたいです。

・さすがミステリー作家。心理描写が鋭く、読者を追い込んでいく。
・4つの怖さが包含されている。
 サスペンス的怖さ、自らがジョーンみたいに生きてやしないかという怖さ、全てを知り尽くしているロドリーの怖さ、敢えてロドニーを主人公にしたアガサ・クリスティーの怖さ。
・この本は僕自身に改めて人の義務を教えてくれた様な気がする。
・改めてアガサクリスティーという作家の力量に驚かされる作品でした。
・人は理解しがたいものだよね、という想いを今さらのように深めさせてくれる作品
・家庭内における「妻対夫と子供3人」の長い間の葛藤。
・この夫婦は仲睦まじく、幸せな夫婦であり、家庭であると私には思える。これはこれで一つの幸せの形であると思う。

その他多かった意見としては、

・この家庭は確かに夫婦間、親子間でぎくしゃくしている点もあるが、それを差し引いてもなお幸せな家族である。
・ジョーンのような他者の意見を聞かず、自らを正当化しようとしている女性はごまんといる。
・タイトルの付け方がうまい。
・表紙の絵が印象的である。
などが寄せられた。

以上 遠藤 記

「掲示板」に書き込まれた内容

 ・出席者(リアル)順不同、敬称略
  荒井、遠藤、金田、河野、篠田、中谷、林、原、森山、山下憲、藤原、寺村、野田

 ・「掲示板」からの参加(敬称略)06/05現在
  遠藤、清水、藤原、寺村、荒井、中谷、和田、杉田(佐藤直)、金田、十河(野田)、石野(佐藤ル)、森山、成合

◆7月の読書会
   日 時:7月2日(土)17時半〜
   場 所:かながわ労働プラザ内、会議室
       JR石川町駅、下車
   テーマ:「桃子」(『つめたいよるに』収録):江國香織:新潮文庫
   担当者;阿王さん

(文学横浜の会)


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