「文学横浜の会」

 読書会

評論等の堅苦しい内容ではありません。
小説好きが集まって、感想等を言い合ったのを担当者がまとめたものです。

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2023年10月09日更新


「火垂るの墓」サブ「アメリカひじき」野坂昭如

担当者 金田

「掲示板」に書き込まれた内容

「火垂るの墓」レジメに代えて

 小説らしいテーマにしたいと思い、思案したが、浮かぶのは過去に自分が取り上げた作ばかり。

今の世相を感じると、何処の国も軍事費増の動きで、この流れはやみそうもない。
原因はロシアのウクライナへの軍事侵略や北朝鮮の行動に影響されたからに違いないが、5年後、10年後、世界はどんな景色になっているのやら。

そこで思い浮かんだのが「火垂るの墓」だ。


戦争の愚かさを主題にした小説は多くあるが、何故か浮かんだ。
作者の野坂昭如についてはその他の小説を読んだ記憶はないが、この作だけは覚えていた。

野坂昭如は、もうマスコミ上でその名を聞くこともなくなったが、我々の世代では知られた作家で、と言うよりテレビによく出ていたタレント的な人物との印象しかないが、この時代にこの作品を読むのもよかろうと思いテーマ作とした。

とはいえ、手元に本はなかったので急遽購入した次第である。

「火垂るの墓」はそれほど長くないので、余裕のある方は「アメリカひじき」も、好き嫌いはあるだろうが、併せて皆さんの感想を!

以上 金田 記

まとめ

担当:金田

野坂昭如は、もう世代によっては耳慣れない作家だが、幸いと言うかメンバーの構成からいっても身近な作家(或いは人物)の一人だったのではないか。

野坂の小説についてはその文体からして「読みづらい」との書き込みや意見も多かったが「慣れれば読める」との意見もあり、
特に今の時代にあっては「如何に読みやすく書くか」も重要なポイントだが、書く内容によってはこのような文体も「有り」との意見もあった。

「火垂るの墓」についてはアニメを観て知っていたが、今回初めて原作を読んだ方も何人かいた。
内容は作者の実体験を元に書かれたもので、戦争末期の混乱の中で、両親をなくした幼い兄妹の死に至る過程をリアルに描いており、
一部に兄を死なせる必要はなかったのではとの意見はあったものの、これからも読まれてほしい名作、との評価だった。

作品で描かれた世界は二度と起きてはならないが、残念ながらただ安穏としているだけで、そうした事態とはならない、とは言えない。
それは肝に銘じるべきだろう。

「アメリカひじき」については主人公の敗戦直後の社会風俗をフラッシュバックしながら20年後の主人公・俊夫と妻・京子の、
アメリカからの客人・ヒギンズ夫婦を接待する滑稽譚だが、俊夫の西洋人に対する鬱屈した心情が見える、との意見が複数あった。
無論ポン引きまがいの接待についてはやり過ぎ、との意見もあった。

一方、身内に戦争の犠牲者になった多くの人間がいるのにも関われず、終戦直後のアメリカ兵に対する接し方は、物不足であったにせよ、なんとも日本的ではないかとの意見もあった。
以上、金田

◆10月読書会
 ・日 時;10月 7日(土)17時〜19時
 ・場 所;神奈川県民センター内、1502会議室 (リアル)
 ・テーマ;「火垂るの墓」『アメリカひじき・火垂るの墓』野坂昭如 新潮文庫、等
   担当者:金田
 ・出席者(リアル)順不同、敬称略
  阿王、遠藤、金田、篠田、寺村(港)、福島(由宇)、鶴見(山口)、河野、清水(いまほり)、佐藤ル(石野)
  野田(十河)、森山(大倉)、中谷(池内)、中川(野守)、酒井(里井)、高木、岡井*

  注)岡井さんは見学に来られた方です。

 ・「掲示板」からの参加(敬称略)10/8現在
  遠藤、石野、里井、上終、由宇、池内、克己、成合、港、山口、和田、保坂、いまほり、大倉、野守、、十河、

◆11月の読書会
 日 時:11月 4日(土)17時〜19時
 場 所:神奈川県民センター内、会議室
 テーマ:「ヘリオトロープ、沈丁花」、吉屋信子『花物語(下)』河出文庫に掲載。
 担当者:酒井さん

(文学横浜の会)


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