「文学横浜の会」

 読書会

評論等の堅苦しい内容ではありません。
小説好きが集まって、感想等を言い合ったのを担当者がまとめたものです。

これまでの読書会

2024年 2月06日更新


「みずうみ」シュトルム

担当者 中根

「掲示板」に書き込まれた内容

読書会に当たってのレジュメ

前回取り上げたトーマス・マンの『トニオ・クレーガー』にはシュトルムの「ヒアシンス」という詩の一部が挿入されています。トーマス・マンは同郷ということもあってシュトルムを大変尊敬していました。ちなみに、シュトルム(1817年生)とトーマスマン(1875年生)とは58年の年齢差があります。
 シュトルムという名前に、はるか昔の学生時代に読んだ「みずうみ」を直ぐに思い出しました。湖と人のシルエットのようなものが絵画のように印象的なイメージとして残っていて、シュトルムにある種の懐かしさを覚えて、今回取り上げてみようと思いました。

 今回は会員の皆さんにお聞きしたい問いかけは特にありません。自由に読後感を述べていただければ、それで結構です。
 あえて言えば、皆さんの多くが既にお読みになっていると思われる、『友情』(武者小路実篤)や『こころ』(夏目漱石)などと比較してみるのも一興かと思います。

シュトルム『みずうみ』のまとめ

掲示板の発言者が17名、リアルでの参加者が私を含めて16名でした。
今回は会員の皆さんへの問いかけを特に設けずに、自由にコメントしてもらうことにしました。

今回に限ったことではないですが、『みずうみ』の読後感として、多様な受け止め方がされていることが改めて認められました。

抒情的で美しい詩的な文章や、若き日のエリーザベトとの実らなかった恋を年老いたラインハルトが回想する(おそらくは)切ない思いなど、大人向けの質の高いメルヘンチックな要素を賞賛するコメントがある一方で、例えばエリーザベトとエーリヒの結婚が妥当であり、ラインハルトが身勝手だとする見解や、その他のキャラクターたちの振る舞いやエピソードへの疑問視、時代背景の欠落など、ネガティブな見方もありました(社会風刺がないわけではありませんが)。

いずれにせよ、当日私見を述べましたが、シュトルムはその本質は詩人であって、その作品は必ずしもロジック的なものではなく抑制された情緒的なものであり、ストーリーやキャラクターが象徴的な意味合いを持っているために、上述したネガティブな見方がなされるのも、その意味で当然のことだと思います。

◆2月読書会
  日 時: 2月 3日(土)17時〜19時
  場 所:神奈川県民センター内、会議室
  テーマ:「みずうみ」シュトルム、新潮文庫、岩波文庫
  担当者:中根さん
  出席者:(リアル)
  阿王、遠藤、金田、河野、篠田、寺村(港)、藤原(上終)、中谷、中川(野守)、中根(保坂)、野田(十河)、
  酒井(里井)、佐藤直(杉田)、林、福島、森山(大倉)、

 ・「掲示板」からの参加(敬称略)2/3現在
  克己、池内、野守、里井、上終、成合、いまほり、由宇(ふくしま)、藤堂、石野、港、山口、金田、十河、杉田、森山

今後のスケジュール

(1)3月の読書会
   日 時: 3月2日(土)17時〜19時
   場 所:神奈川県民センター内、会議室
   テーマ:「水車小屋攻撃」エミール・ゾラ、岩波文庫
   担当者:篠田さん

   <担当者より>
   短編集『水車小屋攻撃』(岩波文庫)の八編ある中の表題作となります。
   各種通販やオークションに出ていますが、手に入りにくい方は、岩波文庫なので、お手数ですが図書館でお借りすることをお勧め致します。

(2)4月は「文学横浜、55号」の合評会となります。
   日 時:4月 7日(日) 9時〜18時
   場 所:かながわ労働プラザ  JR石川町駅、下車

(文学横浜の会)


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