〔5〕

(なぜ動けない?!)
私は頭の中でイノから離れるようにと命令している。
なのに、なぜか動けない、それどころか、イノを求める自分いる。
このところ、友華の体を求めてしまう自分がいて、
何とか理性が押しとどめてはいたものの、いつもその気持ちは、燻っていた。
イノに求められ、それは友華の時と異なり、制御不能になっているのだろう。
イノに対して、友情以上の感情を抱いていないから、どこかで
彼女を傷つけてもいいと思っているのかもしれない。
(私は友華を愛してる。…のに、イノのことを拒否できない)
キスだけなのに、私の体はすでに反応していた。
私は、下半身がわずかに湿りはじめているのに気づいていた。

イノの舌は、一通り私の口の中を散策し、満足したようだ。
が、そのまま、口以外のところを求める行動を取る。
イノの口がそのまま首筋に当てられ、下へ下へと動かされていく。
「ふ、はぁ…」軽い喘ぎ声が出るのを止められない。
イノの両手が動く。Tシャツの下に手をいれる。
背中に何とかもぐりこませ、ブラジャーのホックを外す。
締め付けられることから解放された胸は、
イノの手によって全体を包み込まれた。

軽く揉まれる。初めての体験。おもわず声が出た。
「あ、あぁ…」再び口をその唇で塞がれる。
強くなっていく快楽を求める欲望。
イノの愛撫を止めることができず、
私はもう、なされるがままになっていた。
イノが連れて行ってくれる甘美な世界を思い、
すでに目の焦点は合わなくなっていた。
おとずれる快楽の波にこの身全てを浸そうとする。

そんな私を見て、暴れることはないと判断したのか、
イノは体を動かし、私の運動服を脱がし始めた。
上半身を抱きかかえられ、Tシャツを脱がされる。
脱がすと同時に、首から下への口での愛撫が始まる。
鎖骨のあたりを念入りに、唇が這っていく。
思わず後ろに倒れそうになり、私は、中腰になっている
イノの背中に手を回し、その身を守る。

イノの手が、私の背中に回され、キスをしながら、
ゆっくりとふたたびタオルの上に寝かされる。
上半身への愛撫が続く。口を這わされ、
触れるか触れないかの位置を持続しながら、
その手が全てを触れていく。
「イノ…」私は何がいいたいのかもわからないまま、
イノの名前を呼ぶ。
「明、私、明の全てが欲しい。そして…」
そういいながらイノは立ち上がり、
着ているもの全てを脱いでいった。
「私の全てをもらって欲しい…。見て…」

イノの体は、同性の自分が見ても、見とれるものだった。
すらりとした脚。腹筋で引き締まっている腹部。形のいい臀部。
大きくもなく天へと向かう胸。小柄な顔。モデルのできるくらいの身長。
共学だったら、周りの男達が放っておく筈がないスタイルのよさだ。
まだ、どこか子供らしさが残る友華や、自分の体とは、与える魅力が違う。
(イノ…)私は、思わず手を伸ばしてイノに触れる。

「あっ…」
腹部を触っただけなのに、まるで電流が体を通ったかのように
反応するイノ。(これだけで感じてる…)
(触れたい!感じたい!感じさせたい!!」)
そんな欲望が私の頭の中を占めていく。
友華へのさまざまな思いが、いつのまにかにすみに追いやられている。
自分が自分でなくなっている。それでもいい。ただ、快楽を追求したい…。

「明…はっ、あ、ああ!!」
私は、すっと立ち上がり、イノを抱きしめていた。
その形の良い胸を、手の平で押しつぶす。
体の全てを味わおうと、舌でイノを感じていく。
友華へ抱いていた肉欲の全てを、イノにぶつける。
荒々しい、綺麗なものを壊すような激しい愛撫。
自分が壊れていくのを感じていた。…が止められなかった。

「もっと、もっとして!明を私に感じさせて!」
その言葉に答えるわけではなかったが、
私は、イノの全身をくまなくキスしていく。
それは、優しく、触れるようなキス。
両手は、それとは対照的に、激しく胸をもてあそぶ。
押しつぶしたり、下から抱えたり、頂点を指でつまんだり。
何をしても、私を感じてくれるイノ。
それを見て、私は自身も快楽を感じている。

体の隅々に触れていく。
イノの秘部の周辺も丹念に口で愛撫する。
イノのそこは、すでに透明な液体で潤っていた。
それが私を感じてくれた証と思うと、
イノをもっと、感じさせたくなった。いかせたくなった。
私は、両手でイノの腿を大きく開き、一番私を感じたいであろう
その場所に、口づけをする。感じる液体の感触と、女の匂いが、
私をさらに興奮させていく。

「あぁぁぁ〜!!」
待ち望んだ行為に、イノは叫ぶ。私はそんなイノをもっといかそうと、
秘部への行為を休まずに続ける。触れたくなり、指で触れる。
味わいたくなり、口で吸い付く。感じさせたくて、舌を内部に挿入する。
(中を感じたい…)熱く、舌を中へ招き入れようとするそこ部分を、
私は大切なもののように愛しく感じた。普段は隠されたそこは、
隠されるだけにふさわしい、神々しさを放っている。

しばらく、口での愛撫を続けた後、私は顔を離し、
イノに快楽を与える、愛しき場所を見つめる。
「いや、明、そんなにじっと見ないで…」
その恥じらいがある言葉とは別に、
その部分は新たな液体を生み出す。
(入れたい…)
なぜそんな感情を持つのかに疑問視する気はない。
新たに生まれた欲望が命ずるままに、私は動く。

床に横たわるイノの体に覆い被さるようにし、
再びキスをする。お互いの胸が押し付けられ、
得も知れぬ快感が生まれる。そのまま、顔をずらし、
イノの胸を口で触れる。食べるような、そんな動作を繰り返しすことで、
乱れるイノの表情を得る。

私は、右手をイノの秘部にあてる。全体をなでるようにする。
液体が指に潤いを与え、潤滑油のような役割を果たす。
そして、待ち望んでいるであろうその場所に、私は人差し指を挿入する。
「うっく。はぁ、ああ!」イノの喘ぎ声が一段と高くなる。
第一関節まで入れると、内部の感触を確認する。
体のどの部分より熱くたぎるそこは、私の指も、
意識も、全てを溶かしそうになる。

ゆっくりと、ゆっくりと、奥まで入れてゆく。
途中、指の進入を拒む部分を無理矢理こじ開け、
人差し指を全てイノの中に存在させる。
指はそのままにし、私は再び、イノの全身を愛撫する。
汗まみれのその体は、イノのにおいがする。
それすら愛しい。どこに果てがあるかわからぬ
快楽を追求したい。ただ、それだけを体が求めている。

指をそのまま動かさないでいると、内部の締め付けが、
より奥のほうへ指をいざなう感覚が起こる。
ゆっくりと人差し指を抜く。その行動が
新たな快楽を生んだのか、イノの腰が動いた。
今度は、指を中指と人差し指と2本にして、
挿入を試みる。潤いが、それほど難しくなく、
2本の指の挿入を許す。指に全ての神経を集中させる。

「イノ、いかせてあげる…」
そう耳元で囁いてから、耳に軽くキス。私はゆっくりと指を動かし始めた。
動かすたびにイノの声と、腰が動く。どうすればイノがより感じるかを
イノを観察することで、学んでいく。
指を真っ直ぐにしてゆっくり挿入し、少し指を曲げて、
一気に入り口まで引き抜いていく。
その行為を繰り返し行うとともに、口で、その存在を
表に出してきた突起をもてあそぶ。

「明、いい。もっと、もっと、あぁ、いく、私、いっちゃう、はぁ、あぁぁぁ…!」
徐々に早くした指の動きに比例して、イノは激しく腰を動かし、
そして、硬直し、全身を震わせたかと思うと、一気に脱力する。
目を閉じ、今まさに得た絶頂に幸福の表情を隠さないイノ。
汗ばむ胸の間に顔をうずめ、早くなっている鼓動と、
イノの体温とを感じる。

肉欲の呪縛からまだ逃れることが出来ない。
イノは、自分の手によって、エクスタシーへと導いた。
が、自分はまだ。下半身に残っていた服を脱ぎ、
自分の秘部へと指を運んでいく。
そこはイノと同様、液体で潤っていた。
指でその部分に触れてみる。初めて自らで触れたそこは、
イノのものとはまたちがう感触だった。
触れたときに得る、快楽の大きさ。
体がかなり敏感になっている。
少し触れただけで、喜びを感じる。

イノの目が開く。自慰行為を行っている私を見て、動く。
「明、今度はあなたが感じる番よ…」
イノもまた、私の全てを愛し始めた。
二人の体は互いの欲望を満たすためだけに動く。
私はイノを求め、イノもまた私を求めた。
互いを何度も絶頂に導きあう。
私は何度も頭が白くなる感覚に陥った。

眠ってしまったようだ。
目を開くと、あたりはすでに暗い。
電気のついた部室。ここは、陸上部で管理しているから、
先生達がここに来ることはないが、
それでも、この時間まで残っているのはまずい。
気づくと、すでに服をきたイノが、濡れたタオルで、
私の体を、大切なものを磨くように、拭いてくれている。

「明、目がさめた?」
幸福に満ちたイノの顔がそこにある。
「気持ちいいでしょ?汗かいたから」
そういって、全身を拭ってくれる。
タオルの冷たい感触と、冷めゆく事の余韻に、
自分のしてしまったことを考えるだけの余裕を与えられた。


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