〔6〕
私たちは全裸のまま洗面所で抱き合っていた。
互いに触れ合う頬、腕、胸、腿に、陰毛…。
まるで、触れあっているところがひとつになっているような、
そんな感覚がある。足元から頭のてっぺんまで、まるで全身の
神経が剥き出しになったような、どこを触れても
「ピリリ」っとした心地良い刺激に襲われそうだ。
そのままでいたかったが、お湯がバスタブから溢れる音がした。
続きは後にする。二人して風呂場の中に入っていく。
「わぁ、ほんとに広いですね!」
「まぁね。父親が風呂場は一日の疲れを癒す場所だから、
『絶対譲れん!』と他のスペースを削ってつくったから。
母親も、私も、広いお風呂が嫌じゃないから、反対しなかったけど。
まさか、こんなときに役立つとは思わなかった」
そういうと、登喜子の顔が真っ赤になっている。
「なに赤くなってるの?別に二人で十分に入れる広さって意味だけよ」
「そうですよね…」
両手を胸の前で組み、縮こまる登喜子。
自分だけ先走ってしまったと、反省しているかのようだ。
「なわけないでしょ…」
そういって、顎に手をあて、顔を上に向けると、
軽く唇にキスをする。
「言ったでしょ。登喜子の心も体も救うって。
あなたが望むことをしないわけないでしょう?
ほら、言って。どうして欲しいか」
「私、初めてなんです。だからどうしていいか…」
「初めてでも、何かしたいって思うものよ。何でもいいから言ってみて」
「……」
「えっ、なに?」
蚊が泣くような声で囁かれ、聞き取ることが出来なかった。
すると、登喜子は、誰も聞いていないにもかかわらず、
両手を私の耳元に持ってくると、ひそひそばなしをするように小声で呟いた。
「わかった」
それを聞き私は頷く。彼女の望みをかなえはじめる。
まず、登喜子をイスに座らる。私は、登喜子の後ろで、ひざをつく。
タイルが冷たく感じたが、徐々に体温で暖められていった。
シャワーの蛇口を開き、肩からお湯をかける。
「熱くない?」
「ちょうどいいです」
「じゃぁ、今度は頭の上から…」
そう断りを入れてから、シャワーを頭のほうへ持っていき、
髪の毛を濡らしていく。セミロングよりは短めの髪の毛が、
登喜子の顔と首へばりついていく。その姿がとても色っぽく見える。
「髪の毛を洗うね」
シャワーを止め、普段私が愛用しているシャンプーをポンプから手にとり、
その手を登喜子の髪の毛に移動させる。
「いい香りですね」
「そうでしょ?リンゴの香りなんだけど、甘すぎないし、好きなの」
自分が選んだものを誉めてもらえて、ちょっと嬉しくなる。
登喜子の頭皮に触れる。人の髪なんて洗ったことがない。ちょっと緊張する。
頭全体をマッサージする感じで、指の腹で頭皮に触れていく。
気持ちよさそうな登喜子の顔をみて、欲情が湧きあがるがわかる。
とりあえず、はやる気持ちを抑え頭皮全体にマッサージをほどこす。
続けて、コンディショナーをすませ、体を洗う番になる。
「どこから洗って欲しい?」
「上半身…」
「なんてあいまいな。まっ、いいでしょう」
ボディソープを手に取る。手のひらを擦り合わせ泡立てると、
そのまま鎖骨のあたりに手を移す。
ボディーソープを体の上に広げていくような感じで、
登喜子の体をソープだらけにしていく。首から、腕へ。
そして背中を手のひらで洗ってから、わきの下あたりへ移動する。
「きゃっ、くすぐったい!」
「こら、動かないの。じっとしていないと洗えないでしょ!」
ちょっと怒った振りをする。「がまんするの」と口を登喜子の
耳のそばに持っていき囁く。
「はい」素直な返事が返ってきた。
もう一度ソープを手にとると、今度は胸の下あたりに手を置き、
そのまま上に移動していく。胸のふくらみを手のひらで優しく洗う。
「くっ…」何かをガマンする登喜子をみて楽にするように伝える。
「力を抜いて。我慢する必要は何もないの。あなたはここでは自由だから」
ここを愛撫するつもりはない。そのまま自分の胸を洗うかのように、
手のひらでなでていくと、手をそのまま下半身に移動させようとした。
「座ったままだと洗いにくいね。立ってもらえる?」
「スッ」とイスから立つ登喜子。私は手をお尻にあてる。
私はひざをついたまま動きながら、大腿部から、
足の指先まで、体の隅々まで手で洗い上げていく。
そして、もう一度、下から戻るような形で大腿部にたどり着くと、
あまり開いていなかった大腿部を両腕で広げる。
登喜子は抵抗しなかった。
顔を真っ赤にし、私を見ることも出来ずにいる。
わずかだが、確実に感じつつある女の喜びに、
胸を何度も上下させている。(待っている…)
そう思った私は、彼女の希望を最後までかなえた。
「あっ…。いや…あ、あ〜っ!!」
指と、手のひらとで敏感な部分を洗い始めたら、
登喜子が喘ぎ声を発し始めた。
ここだけは他の部分とは違い、丁寧に、何度も何度も
繰り返し手を往復させ、指で細部に触れていく。
力を入れることなく、泡とそれとは別の液体とが混ぜながら。
登喜子の手が私の頭の上に伸びると、そのまま髪の毛を掴む。
そのままだと、倒れてしまいそうな感覚が生まれているのだろう。
私は頭をつかまれるままにし、洗う行為に専念する。
それをどれくらい続けた頃だろうか。登喜子の体が緊張する。
ひざが「ガクン」と折れ曲がる。何とかそれを両腕で抱きとめる。
目を閉じ、今得た快感に酔いしれる表情をする顔が私の横にある。
体全体で息をしている。私は登喜子の体をタイルの上に横たえ、
少し冷ためのシャワーをゆっくりと全身にかけていく。
胸の上下がゆっくりとなり、登喜子が薄目を開け、
私の姿を探そうと顔を動かす。目が合ったとき私は告げた。
「最初のご希望をかなえましたよ、お嬢さん」
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