〔8〕

髪の毛をある程度まで乾かすと、
登喜子が横たわるベッドに近づく。
私がそばまで歩いていくと、登喜子が顔だけ横に向ける。
その顔に浮かぶ、少し不安げな表情。
(初めてだもの、当然よね)

不安を和らげる為、声を掛けようかとも考えたがそれは止め、
そのまま行動に移ることにする。
まず、自分のバスタオルをゆっくりと外し、自分の全てを登喜子にさらす。
登喜子の目に私の裸体がうつる。そしてそのまま、
横たわる登喜子の右脇に座る。体を登喜子のほうに向け、
登喜子の肌を覆うバスタオルに右手をかける。
風呂敷包みをあけるような感じで、ゆっくりとひろげていく。

登喜子の絹のように滑らかで、まるで光沢があるかのような肌が私の前に広がる。
ほんのりと薄いピンク色に染まったその肌は、誰かに愛されるのを待っているかのようだ。
動くことなく、見られるがままになる登喜子。私を信用している証拠だろうか。
体全身を隅々まで見ていると、登喜子の目と、私の目が合った。
そのまま、その目に引き込まれるように登喜子の顔に顔を近づけ、唇を合わせる。

これから行われる行為の開始の合図であるかのように、それはすぐに終わる。
私は、登喜子に微笑みかけると、自分の体を、登喜子の上に移動させる。
被さるように登喜子の体と自分の体を密着させていく。
そして、顔を動かし、登喜子の顔の周辺に私の口を這わせていく。
柔らかく、ぷよぷよとした弾力のある頬、ぞくっとする感覚を私に与えたうなじ、
軽く息があたっただけで体を震わせ、声を漏らす耳。その全てを愛したかった。
登喜子の望みをかなえる為に…。

「…兵藤さん、私を好きにしてください。私を、狂わせて…ください」
耳元で囁く登喜子の声。そうするにはどうすれば良いか、私は知っている。
少しずつ、登喜子に行っている愛撫に激しさを加えていく。
すでに硬くなった部分を持つ胸を、押しつぶすように両手で掴むと、
ちぎらんばかりに揉み始めた。同時に、口を責める。登喜子の舌を私の口で吸う。

口を外す度に聞こえる苦悩のような声。決して快楽を得ているような声ではない。
初めて受ける行為に、まだ、体がついてきていないようであった。
それを気にすることなく、私は自分の行っている行為を続けていた。
二つのふくらみの頂にある突起を、指でつまんだり、手のひらでつぶしたり、
指の腹で触れたりして、弄びつづけた。たまに、ふくらみ全体をなでたり、
揉んだりしながら、口は、登喜子の舌を攻めつづけた。

(変わりはじめた…)
それは直感であった。だが、直に触れ、まるで自分が登喜子になっているかのような感覚がある。
その感覚が告げている。自分が与える刺激が登喜子に快感を呼び起こし始めていると。
苦しそうに鼻で息をしている。私の体の体重が全て登喜子にかかってい。らかなりつらいそうだ。
一度、口を外し、自分の体を体も登喜子からどかし、脇にずらす。
私の体から解放された登喜子は、短距離を全速力で走り終えたかのように、
汗ばみ、体全体で息をしている。胸と肩が大きく上下している。

当然、このままでは終わるはずがない。
汗ばみ、髪の毛が張り付いている額に口付けると、右手を閉じている大腿部の付け根に持っていく。
黒い茂みに手が触れると、身をよじるよう動く登喜子。
そのまま奥へと手を進めると、指の先に感じる熱い液体。
ほんのわずかな量ではあったが、確実に登喜子は感じていたのだ。
それを確認できただけで、いとおしさが倍増する。
自分を受け入れ、感じてくれているという事実。
それがさらに私を登喜子を愛そうとする動機と化す。

自然と脚が開かれていく。登喜子も、私がそこにたどり着くことを望んでいる。
指先で触れるか触れないかのぎりぎりのところで、割れ目をなぞっていく。
「ふぁ、はぁぁ…」
可愛い喘ぎ声が耳に届く。小刻みに震える体。
そのまま続けている私の愛撫に答える登喜子の秘部。
わき出でる液体の量が確実に増えている。
今度は、指全体を使って、登喜子を愛し始める。
それに伴って、クチュクチュという音が聞こえてきた。
その音が私を、登喜子を極度の興奮状態へと導き始めた。

隠れていた突起物が、充血し、その姿をそとに出してきている。
指でそれを弄び始め、私は、顔を下げ、湧き出でる液体の源泉に唇をあてる。
舌を伸ばし、源泉の奥深くを探ろうとする。
「あぁぁ、はぁっ、いやぁ」
登喜子は初めて感じるその感覚に戸惑いを感じている。
怖いような、もっと感じたいような、不思議な感覚。
もっとその感覚を確実に感じられるものにしようと、私は、指を、
口を、体を動かし、登喜子を愛していった。

「うん、はぁ、きゃぁぁ!くぅぁあああ…!」
登喜子が初めて意識を無くすほどの感覚を得たとき、
私も、同じような感覚を得ていた。愛しいと感じるものを愛する時、
自分も同じ感覚を味わえるようだ。

大きなダブルベッドの真中で、体全身で息をしている二人。
先に私が体を持ち上げると、横で幸せそうな顔をしている登喜子に、抱きついた。
行為の間中、私はずっと無言だった。言葉がその雰囲気を壊しそうだと思ったから。

「登喜子、これでいいの?」
「…はい。私、幸せです。兵藤さんにこんなに愛してもらえて」
「そう、良かった…」
言葉だけかもしれないが、とりあえず登喜子から、
別れたショックから立ち直るきっかけを与えられたことを聞けた。

「兵藤さん、明日お仕事なんですよね?」
「そうよ。でも、お昼近くからだから大丈夫よ、心配しなくて」
「もう、私大丈夫です。別れた彼氏より素敵な兵藤さんと出会えたから…もう平気です」
「そう。それを聞けて、安心した。もう、寝ましょうか?」
「はい…」

裸のまま抱き合い、お互いを感じあったまま私たちは朝を迎えた。
カーテンを開けると、まるで私たちを祝うかのように、
明るく、澄み切った夏空が広がっていた。



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