GOURMET LABORATORY
 
プリンは人気メニューの一つです。
 クレーム・キャラメル
 (おなじみプリンの作り方)


クレーム・キャラメル。通称カスタード・プリン。別にことさらなことはないのだけれど、敢えてマリオ流を紹介することにしました。



クレーム・キャラメル、いわゆるプリンの作り方はリクエストの多いルセットの一つです。別にことさらなことはないのだけれど、敢えてマリオ流を紹介することにしました。私たちがどんなところに気を配っているのかが分かれば、多少はおうちでもに作りやすいかも知れませんね。

とりあえず材料を示します。

マリオの<クレーム・キャラメル>
材料
(6人分)
牛乳500cc(バニラの風味をのせておく。バニラ豆を煮出しても、ナチュラル・エッセンスでもよい。)
砂糖100〜125g(マリオでは110g)
全卵2個 卵黄4個 型に塗るバター少々。
材料
(キャラメル用)
砂糖100g〜110g。 水少々。
煮溶かすための湯 50cc(作業中別の鍋で沸かすとよい。)
器具 好みの型6個。(マリオでは陶製およびガラス製。もともとは、これ全部を大きい一個の型に作っていました。)
ボウル2個。(卵白と卵黄を分けるもの。およびクリーム調理用。)
牛乳用鍋1個。(適度に大きいもの)
キャラメル用鍋2個。(小さくてよい)
泡立て器。木製スパテュール(木杓子。牛乳を焦がさないため。)
スプーン大小一つずつ。(クリーム用とキャラメル用)
断熱用アルミホイル。(型のフタにもする)

作り方その1

あらかじめ型に薄くバターを塗り、キャラメルを敷く。

キャラメルの作り方は簡単です。でも、ここがかなり重要なポイントで、問い合わせが一番多い事柄です。なお、キャラメルは高温で危険ですから作業中は子供を近づけないでください。

  1. 砂糖を鍋に入れ少量の水を差して火にかけます。ある程度勢いのある火で鍋を動かしながら手早く煮溶かします。白濁して沸騰しますが、火力を下げずにそのまま鍋を揺りながら煮詰めつづけて水分を飛ばします。この間、スプーンや木杓子は用いません。

    この作業、鍋のヘリに付いた砂糖が焦げないよう、うまく火と鍋を操るのがコツですが、うまくゆかないようなら湿らせた刷毛で撫でてください。

  2. やがて色づいてきたら火力を大きく絞ります。鍋の余熱で砂糖は泡立ち色づき続けますが、慌てず落ち着いて対処しましょう。少し鍋を傾け、その傾きをなめらかに回転させたり、中の溶けた砂糖をゆらゆら回転させ、ほどよく混ぜて熱ムラのない均質な加熱を実現するよう努めます。
    湯を加えるとはげしく沸騰する。
    やがて砂糖はかなり色づき、泡立ちもぐっと少なくなると思います。また、火を絞るときそのような適度な弱い火を実現してください。

  3. 弱火のまま先の要領で更に加熱を続け、やがてほどよい色加減になったら火から下ろし、あらかじめ横に準備しておいた湯をスプーンで2度ぐらいに分けて加えます。

    適度な濃度。キャラメルは割に深い焼き色。湯を加えると、瞬間、はげしく沸騰しながら飴と水が混ざり合います。時に飛び散りますから用心が必要です。

  4. すぐに火にかけスプーンで混ぜ、少し煮詰めて濃度を整えます。加減は<少し濃度を感じる程度>なのですが、温度計を用いるほどでもないので手応えで覚えてください。できあがりは型に流します。冷ますと緩く固まります。

キャラメルを型の底にしく。ポイント
キャラメルの焦がし加減は好みで調節してください。正しく作れば、どんなに赤味が濃く深くても、黒味を帯びない限り苦味はあっても焦げ臭い味は生じません。一般には、アーモンド酒のようないい香りが強く立つときが頃合いで、これはかなり色が深いと思ってください。なお、深く焼いたキャラメルはその分甘さが少ないことは心にとめておいてください。

作り方その2

さて、キャラメルが冷えて固まる間にクリームを作ります。

  1. 牛乳を火にかけ、材料を計量して砂糖と卵をボウルに入れ強くかき混ぜます。牛乳が煮立ったら、混ぜながらボウルに加え、(バニラ豆を用いるときは1分ほど煮出す。)こし器で別の容器に漉しとります。牛乳は焦げやすいですから用心が必要です。

  2. アルミホイルのフタ。漉しとったクリームは、表面に浮いた泡を丁寧に除き、しずかに型に流し込みます。加熱時にクリームの表面が焦げないよう、型の一個一個にクッキングフォイルなどで作ったフタをかけます。またこうすることでプリンの保存性をよくすることができます。

  3. 最後に加熱です。
    加熱は、深めの金属製の平皿またはバットに型を並べ、熱湯を注いで深めの湯煎にし、180〜200度ぐらいのオーブンで行います。25分程度。20分あまり経ったら調理用縫い針をさして内部の温度と加熱の進み具合を確かめ、残り時間を決めて下さい。(時間は陶製、ガラス製の型の場合。アルミカップでは時間が多少短くなります。)

  4. 見込んだ時間になったら再び針を刺し、火の通りを確かめて、オーブンから取り出します。針にクリームが付かず、十分熱ければOKです。

    なお、この時、湯煎はそのままにしてサランラップなどで平皿ごと覆って水分の蒸発を止め、更に上からクッキングフォイルをかけて放熱を抑制して低温加熱を続ければ、より安全に加熱を終了でき、保存性もより高まります。

  5. 荒熱がとれたらフタをしっかりしたまま、放熱のよい金属製の平皿やバットに並べます。冷めたら冷蔵庫でさらに冷まします。

ヒントとテクニック

提供
提供はプレーンなままで十分おいしいと思います。オレンジや焼きリンゴのようなキャラメルとの相性のよい果物との取り合わせを試みるのもいいでしょう。

プリンを型からはずすのは簡単です。スプーンの背で型との境目を押しながら一周すると、ひとまずプリンと型が離れます。お皿を型に伏せて型とともにひっくり返し、今度は、型と皿両方を押さえて水平に素早く小さな円運動をします。作業台の上で滑らせるように行うとうまくゆきます。

要は負担をかけずに型の底に空気を入れることです。ほかにもいろいろな方法があります。私の見習い時代のキッチンではもっと乱暴なやり方(片手に持って強く振る。)が一般的でした。ご自分の環境に応じて工夫してみてください。

<ス>が立つ。
<蒸し器で作るけれど鬆(ス)が立ってしまう。>という話をよく聞きます。これは、熱した水蒸気のほうがオーブンの熱気よりも放出する熱量が大きいからで、「蒸し器は温度が低いから安全。」と過信するのは間違いです。加熱が過ぎたり、調理温度が高すぎるとスが立ちます。

蒸し器が手っ取り早い操作の楽な道具であることは確かです。そして、ガラスや陶製の型なら急な加熱はある程度緩和されると思います。しかし、よい仕上がりを望むなら、蒸し器の場合も、湯煎や型にフタをするなどの熱クッションはやはり必要だと思います。

早めに食べる。
今紹介しましたのは<クレーム・ランヴェルセ・オー・キャラメル>。つまり<キャラメル風味のひくり返しクリーム>です。このやり方は提供時に美しいのですが、反面、底に敷いたキャラメルがクリームの水分を吸いますから、密閉して作ってもそう長くは風味や舌触りを保てません。その点、キャラメルを用いずにポットに密閉して作り、食べるとき別途にキャラメルソースを添えるようにするとある程度風味や食感が保てます。しかし、いずれの手法によるにせよ、簡単なお菓子ですから頻繁に作ってできて間もないものを食べるごとを勧めます。

なお調理であまった卵白ラング・ド・シャーなどにしてみてください。

最後になりました。クレーム・キャラメルはそのルセットに作り手による違いはあまり無いようです。つまりいい材料がありさえすれば簡単に巨匠たちと肩を並べるおいしいプリンができるんです。なんだかうれしいですね。それではボナペティ!

2004年9月25日 マリオ 

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