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2009 ロストメモリーズ /
ロストメモリーズ /
2009 Lost Memories

Lee Si-Myung

2001 Korea 133 Min. 劇映画

出演者

Jang Dong-gun /
チャン・ドンゴン
(坂本正行 - JBIエージェント)

仲村トオル
(西郷将二郎 - JBIエージェント)

Seo Jin-ho /
ソ・ジノ
(Oh Hae-rin / オ・ヘリン - 不令鮮人作戦リーダー)

チョン・ホジン
(キム・ジュンファン - 不令鮮人行動大将)

Shin Goo /
シン・グ (高橋)

Ahn Kil-kang /
アン・ギルガン
(Lee Myung-hak / イ・ミョンハク - 不令鮮人)

見た時期:2002年8月、ファンタ

2002年 ファンタ参加作品

ストーリーの説明あり

うらやましいですね、最近の韓国は。またまた凄いアクション活劇を持って来ました。史実を変え、2009年現在日本に占領されている韓国という設定。全編日本語で、韓国の俳優がみな長いテキストを日本語でこなしています。文法や語彙が似ている国の言葉というのは、発音が微妙に違い、全く関係の無い国の言葉、英語、ドイツ語などを習うより骨が折れます。

SF なのですが、あまり SF っぽくしないで、あたかも数年先の話、という風にしてあります。実は映画では1909年からがらっと歴史が変わっているのですが、それを知っているのは観客だけ。1909年にヒットマンが伊藤博文をしとめそこなったという設定です。史実では1909年10月26日ロシアの大臣と会談するためにハルピンの駅に降り立ったところを、韓国人安重根に殺されています。安重根は独立を目指していました。伊藤博文は当時韓国植民地化に向けて着々と動いていたので、標的にされたのでしょう。

2009年、一応平和に発展し、ソウルは東京、大阪に継ぐ第3の大都市、経済的にも繁栄しているということになっています。日本は大戦でも連合国側についており、敗戦経験はなし。原爆は広島・長崎でなく、ベルリンに落ちて戦争終結(近くにフランスやイギリスがあるから、ベルリンに落ちるわけはありませんが、そこはフィクション)。伊藤博文が植民地にしてしまったので、韓国という国は存在せず、日本人の態度はデカイです。標準語は日本語、それで韓国人も日本語を話すということになっています。この辺を見ていてシビアーだなあと感じたのは私1人でしょうかね。ドイツに住んでいると、自分の話す言語が自国で認められていない人がいたりするので、フィクションだとのんびりもしていられません。

さて「日本の植民地になってそれでいいと思っているのか」と考える韓国人のグループがいて地下組織を作っています。この人たちが集中的に襲うのが井上財団の所有している韓国シャーマニズムのシンボル月霊。以前韓国学の授業を暫く取ったことがあるのですが、韓国では日本よりシャーマニズムの伝統が強く残っていて、このあたり映画の筋にも説得力があります。偶然井上さんと同じ名前を悪者の財団に使っているので、井上さんはいい迷惑ですが、話はこのあたりから SF 色が強くなって来ます。

途中、財団襲撃のシーンなどではマトリックス顔負けの撃ち合い、日本の映画で見たようなハング・グライダー、ロープのアクションがあります。あれ、かっこいいのにあまりアメリカ映画では見かけません。こういう上辺の魅力の他に、韓国人と日本人の間の友情、親子関係などにも時間を割き、キャラクターが薄っぺらにならないように配慮しています。日本人が日本家屋に住み、奥方が着物姿というのははじめちょっと面くらいましたが、日本が敗戦を経験していないという仮定に立つと、そういうのもありうるかと考え直した次第。いろいろ考える材料の出て来る映画です。かなりお金がかかっていますが、かけた甲斐はありました。それにしても最近の韓国は乗っています。

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