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サラマンダー /
Reign of Fire /
Die Herrschaft des Feuers

Rob Bowman

2002 USA 140 Min. 劇映画

出演者

Matthew McConaughey
(Van Zan)

Christian Bale(Quinn)

Izabella Scorupco
(Alex Jensen)

見た時期:2002年8月、ファンタ

2002年 ファンタ参加作品

後記: 日本のタイトルはサラマンダーなのだそうです。何だかベルリンの繁華街にある靴屋さんの名前みたいで迫力がありません。

ストーリーの説明あり

何のために作ったのかは良く分からない作品ですが、アクション映画としては骨太で、充分楽しめます。筋の矛盾を考え始めたら切りがありません。マシュー・マコノヒーはオープニングのフレイルティー 妄執につぎ、ファンタ2作目ですが、全然違う演技で、アクション・スターとしても実力充分です。クリスチャン・ベイルもアメリカン・サイコともコレリ大尉のマンドリンとも違う演技をしています。

矛盾だらけの筋の方ですが、2064年、ロンドンの地下工事現場で火を吹く恐竜が発見されます。その時主演の1人クインの母親が殉職。女性でもこういう現場で男性と肩を並べて働く程度に世の中は発展しています。話は20年飛び、世界は全て焼き尽くされ、廃墟。クインは成人してクリスチャン・ベイルに変身。わずかにブルク(城、要塞)のような所に生き残った人が細々と暮らしています。その不便さはケビン・コストナーのウォーターワールドといい勝負。火を吹く恐竜は空を飛ぶことができ、大きさはかなりなもの。口からは火炎放射器のように火を吹き、その辺にある物は全て焼き尽くしてしまいます。人間はただただ恐竜に出会わないように祈るだけ。

そこへ世界中が焼き尽くされたのでどうやって大西洋を渡って来たかは分からないのですが、米軍の兵士が大勢やって来ます。その態度は戦後すぐの進駐軍を思わせますが、地元の人に投げてよこすのはチューインガムでも煙草でもなく、果物。廃墟では水や生鮮食料品が貴重品。軍人を率いるマコノヒー演ずるところのファン・ツァーンがクインに協力を求めます。チャンスは1つ。多くのメスがいるのにオスは1羽しかいないというところに目をつけ、そのオスをやっつければ、子孫が育たないだろうというわけです。すでに人類はほとんど食い尽くし、食糧がないので恐竜の間で共食いが始まっていると言うのです。

観客は別にそんな与太話は信じなくてもいいのです。要は大空を大きな顔をして飛びまわる恐竜を、蟻のように小さな、しかもあまり頭数が揃っていない人類がやっつけるという話です。恐竜、正確に言うと鳥盤目の恐竜は人間や鯨と違い、亀やおたまじゃくしのように産み落とされた卵から生まれるという設定。オスをやっつけてもどこかに受精卵があって、そのうち次が生まれるのではなんて、小学校の理科の授業を思い出しては行けません。恐竜には数十トンなどというのもあるそうですが、この作品に登場するのも小型の飛行機ぐらいに見え、トンの単位で考えた方がいいようです。航空力学の原理から言ってこの大きさで空に飛ぶにはエンジンが無いと難しいようにも思えるのですが(ペリカンとは違うからね)、中学の理科のことは忘れましょう。鳥盤目の恐竜、手っ取り早く言えば鳥の形をした恐竜は草食で、人間の肉などは食べません。ベジタリアンなのです。深く考えるとボロの連続ですが、そういう事をきれいに忘れさせるぐらいの大スペクタクル映画です。私たちの親の世代も空襲で焼け野原になってからむっくり起き上がって、また大都市を再建したなあ、とふと思い出しました。英国人クリスチャン・ベイルも人類のために起きあがる、というか、立ち向かうのだから(それも2度も)、私たちも困難に遭遇した時には参考にさせていただきましょう。

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