映画のページ

Alhambra

考えた時期:2002年10月

最近よく行くようになった映画館があります。アラビア語のアルハンブラという名前です。「最近よく行くようになった」と書きましたが、実は以前時々行っていました。その時はおんぼろ場末の映画館でした。座り心地の悪い固い椅子。そこでモンティー・パイソン3本立てを見た時はさすがに背骨がキシキシ。1つは未来世紀ブラジルだったので実質4本分ぐらいの長さです。当時は映画好きのおじさんが1人でやっていて、サッカーの試合のある日は客が入らず上映中止などということもありました。この映画館なぜか気に入っていました。不況、大手の躍進の中かなりしぶとく生き残っていましたが、ついに年貢を納め、取り壊し。このニュースを後から聞き思わず涙、合掌。

ベルリンにはクラシックな映画館というのがいくつかあって、アルハンブラもその1つでした。「クラシックな映画館ってのは何のことだ?」と聞いて下さい。活動写真の上映に合わせて作られた映画館のことです。クラシックというのは私が勝手に付けた美辞麗句。普通の人は「古臭い映画館」と言います。映画が上映されている間、サウンドが無いのでピアニストが舞台に上がって横っちょで音楽をやる、ああいう映画館のことです。聞くところによるとアルハンブラはかつては一流映画館だったそうで、すばらしい写真も残っています。実は私の住んでいる区にも大通りがあって、以前は映画館が少なくとも2つありました。ですから、以前ですとうちからバスにも地下鉄にも乗らずに数分で映画館に行けたということです。残念ながら私はずっと後にここに引っ越して来たので、映画館は死に絶えており、亡骸は両方ともアルディーというスーパーマーケットになっていました。アルディーというのはドイツで1番有名なスーパーのチェーンで、映画館を買い取ってスーパーにしてしまうので、私は暫く恨んでいました。ある人に「映画館がつぶれたからアルディーが買い取ったんだ」と当たり前の順序を説明されるまで、アルディーは映画館殺しだと思っていました。濡れ衣でした。

映画不況が祟って、私の区から映画館が一掃されてしまったのですが、今度区が合併され隣の区にあったアルハンブラは「自分の区にある映画館だ」と胸を張って言えることになりました。ですが不況がたたって取り壊し、どこかの大手と合併したのか、買い取られたのかで新装開店と聞いていました。これまで市の南側にある映画館のただ券に当たることが多かったので、これといった理由も無しに北の映画館からは足が遠のいていましたが、最近ここでも各種のサービスをやり始めました。それで秋に入ってから行くこと数回。気に入っています。上映中1番気分がいいのは、Cinemaxx というポツダム広場にある映画館。ここではファンタも行われ、1番大きく、設備が良く、座り心地のいいホールが使われます。アルハンブラはその次か3位ぐらい。なかなか良いです。そして従業員の中にトルコ人もいます。私の区はトルコ人人口の多い区ですから、地元の人を雇うのが当然。私は Lokalpatriot です(Lokal は地元、Patriot は愛国者。地元びいきといった意味です)。ですから地元の人が働いている自分の区の映画館に行けるのならそちらを優先したい気分になります。がんばってサービスして下さい。がんばって行きますから。

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