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Kissing ジェシカ /
Kissing Jessica Stein /
Kissing Jesica

Charles Herman-Wurmfeld

2001 USA 97 Min. 劇映画

出演者

Jennifer Westfeldt
(Jessica Stein - 出版社に勤める女性)

Heather Juergensen
(Helen Cooper - 画廊経営者)

David Aaron Baker
(Dan Stein - ジェシカの兄弟)

Robert Ari
(Sidney Stein)

Tovah Feldshuh
(Judy Stein - ジェシカの母)

Scott Cohen
(Josh Myers - ジェシカの上司兼元恋人)

Jackie Hoffman
(Joan - ジェシカの同僚)

Hillel Friedman
(ラビ)

見た時期:2002年11月

ストーリーの説明あり

ベルリンというのは人口に対するゲイの比率が高く、まあ、分かり易く言えば、ゲイだからと言って生活に困る事が他の町に比べ少なく、好奇の目で見られる事も少ないです。それでこの間の市長選ではゲイの市長が保守党を破って当選しています。彼の政治手腕はここでは討議しませんが、何かと小うるさい事で有名な国で社会がここまでリベラルになったという点は評価してもいいかと思います。

レズビアンの女性も似たような状況にあるので、ベルリンで暮らしている女性たちはそれほど大きな問題は抱えていませんが、公に自分はレズビアンだと言う人はゲイの男性に比べて少ないようです。

それに比べアメリカではまだこんなにこだわりがあるのか・・・と思わせるような映画を見ました。

感想。「あれ、もっと自然にできないものか。」

★ あらすじ

ニューヨーク。ジェシカという若い女性がブリジット・ジョーンズ風にシングルの生活におさらばしたいと願っているところから話が始まります。現在ボーイフレンドはいないのですが、母親がお見合いのごとく次から次に夫候補を紹介するのに辟易しています。会社の同僚なども気を使ってくれて夕食に1人シングルらしき男性を呼んでくれたりするのですが、当てがはずれ、実はその男性にはもう誰かいたなどという失敗談も。上司のジョッシュは彼女の元恋人ですが、女たらしでいつの間にか隙間風が吹き、現在は別れています。そのまま同じ会社にいると色々トラブルもあるようで・・・。

あと少しで30歳、独身だった兄弟もいよいよ結婚、というわけで絶望しかかっていた時、出会いの広告に遊び半分で応じて女性と知り合うことになります。ジェシカはレズビアンではありません。

相手のヘレナは男狂いの女性。機会あるごとにセックスにおぼれていますが、こちらもまた何か不満が残り、女性を試してみようということになった次第。これを演じている女性2人は自分で脚本を書いて、同じ話を舞台でも演じていました。

ためらいながらも2人は知り合って、いろいろ試した結果パートナーになり、とりあえずはめでたし。周囲の戸惑いが結構長く描かれています。ジェシカは周囲に何も言わずヘレンと付き合いを始めていました。職場にはジェシカを意識する女たらし自意識過剰男の上司がおり、自分抜きでジェシカが幸福そうだと知るや是が非でもジェシカを自分の物に、と張り切ります。母親からは望まない男を押し付けられそうになっていたのですが、ついに思い切ってジェシカはヘレンがパートナーだと告白。母親には意外とすんなり受け入れられます。

いろいろ小うるさいヘレンに対し、何事も当たって砕けろのジェシカ。母親に打ち明ける前、「こんな事言えるわけない」とためらい身内の結婚式にヘレンを招待しなかったり、と何となく分かるようなエピソードがいくつか出ます。何でも試してみてから物を言うジェシカの青春体験談です。ジェシカの家庭が金持ちの信心深いユダヤ人の家なので、実際はもう少し話が難しいのではないかと思います。

見ていて最初ジェシカのキャラクターが弱いので、つまらないと感じました。最後まで見てみるとジェシカのキャラクターが1番あっさりしていて感じがよかったです(ヘレンとジェシカは結局2年ほどで別れ、ジェシカは物書きになります)。というのはヘレンとジョッシュのあくが強すぎ、自意識過剰ぶりが鼻についてしまうのです。ヘレンはレズビアンだから相手がみつからないのではなく自意識が強過ぎるから。会社で結局ジェシカにプロポーズして断られるジョッシュも自意識が強過ぎるから1人の女性に落ち着かないのではないかと思え、この作品の焦点は実際は全然ゲイ・レズビアンの話ではなかったように思えます。

ベルリンの同性愛の人の中にもたまにはやる事が派手で、自意識のモンスターみたいな人もいますが、多くはパートナーをみつけて地味に幸せに暮らしています。男性が2人でも結局は夫婦みたいなもので、どちらかがどちらかの世話をしていたり、町では普通の風景になっています。1年に1回クリストファー・ストリート・デイというのがあって、その日だけは派手な格好をして町を練り歩きます。

ベルリンではこのテーマはそこまで町に溶け込んでいるので、Kissing ジェシカを見た時はわざとらしさが目立ってしまいました。ある程度人口のバランスを考え、子孫を残すことができれば、あとは誰が誰と暮らしても良いのではないか、という考えに落ち着き始めた町に住んでいると、自由化先進国のアメリカが今頃なんでこんなに大騒ぎするんだろうと考えてしまいます。アメリカではニューヨークとサンフランシスコがゲイのメッカと聞いていたので、驚いてしまいました。こういう作品を見ると、ドイツは他の人を「静かに放っておく」国になったと感じます。

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