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テイク・マイク /
Like Mike

John Schultz

2002 USA 99 Min. 劇映画

出演者

Lil' Bow Wow
(Calvin Cambridge - アフリカ系の孤児)

Morris Chestnut
(Tracey Reynolds - バスケットのスター選手)

Jonathan Lipnicki
(Murph - アングロ・サクソン系の孤児)

Brenda Song
(Reg Stevens - 東アジア系の孤児)

Robert Forster
(Wagner - コーチ)

Eugene Levy
(Frank Bernard - マネージャー)

Crispin Glover
(Stan Bittleman - 孤児院の管理者)

その他現役のプロのバスケットボール選手とスポーツ記者

見た時期:2002年12月

以前「子供用の映画だといって手を抜くか」という話をしたことがありました。その続きです。

今回見たのは テイク・マイク。孤児院の子供が MJ というイニシャルの入った魔法の運動靴を授かり、苦難にもめげずバスケットボールの大スターになるという話です。本物のバスケットボール協会が後押しをしており、プロ選手も出演しています。

できあがったのは努力、手抜き、そして不運のミックスされた作品。

出演者の中にはベストを尽くしている人が何人も見られ、キャストも豪華です。重要な脇役にジャッキー・ブラウンのロバート・フォースターとアメリカン・パイのユージン・レヴィー、チャーリーズエンジェルのクリスピン・グローヴァーが出ています。フォースターとレヴィーはタイプの似た中年男性ですが、ダブらないように1人が温厚な人物、もう1人がにぎやかな人物を演じています。

まずいのは脚本。これだけの人材を揃えたのならもう少し気の利いた演出を、その気の利いた演出をするために、もう少し気の利いた脚本をと望みたくなります。子供相手だからと軽く見ていない子供映画はたくさんあります。そういう事を考えてスチュアート・リトル 2 を見た時のように腹を立てました。

さらに運が悪かったのは主演の選択。以前にもこういう失敗作を見たことがあります。Tom's midnight garden といい、おもしろいストーリー、バランスの取れた演技のしっかりした脇役がそろっていたのですが、主演の少年がずっこけてしまいました。主役だというので舞い上がってしまったのか、あるいは主役の荷が重過ぎたのかも知れません。ただニヤニヤしているだけで、役者としての動きが凍り付いてしまったという感じでした。

それと似たような現象がこの作品でも起きています。主演の少年が張り切り過ぎて周囲から浮き上がってしまい、妙な目配せや状況に合わない笑顔が鼻について来ます。こういう役をこなせそうな子役がたくさんいるという事を考えると、「子供だから仕方ない」というのは説明になりません。運動神経はなかなか良さそうで、そういう点ではバスケットボールの選手という役に適していますが、演技力が全然だめです。実はこの少年、3歳の時からステージに立ちラップをやっているという芸達者な人で、現在15歳ぐらい。ですから大勢の人間を前にしてビビることは無いと考えられます。 元気はいいのですが、笑い方が人工的、ストリート・ダンスは型が決まっていない、というわけでドイツ語に訳したテキストを聞き、彼の動きを見ていると中学校の学芸会に見えてしまいます。ラップのアーティストだということですから、英語でしゃべるところを聞いたら評価が変わったかも知れません。あるいはショーマンであるということと、演技をするというのは別な次元なのかも知れません。でもそうなるとオスカーにノミネートされたウィル・スミスは両方できたなあ・・・などと余計な事を思い出してしまいます。

スチュアート・リトル 2 は前に書いたようにあまり高く評価できませんが、主演の少年ジョナサン・リピニツキーはちょっと見直しました。スチュアート・リトル 2 と全く同じ出で立ちで出て来ますが、テイク・マイクでは孤児。彼は子供ながらプロだなあと思いました。今回の主演は彼ではなくて、リル・バウ・ウァウ。リピニツキーの役は孤児仲間のマーフ。そこをちゃんと心得て出過ぎず引っ込み過ぎず。この子は将来主役と脇役を上手に取り替えながら成功するかも知れません。

準主役のモーリス・チェスナットもなかなか良いです。スタントを使ったのかも知れませんが、バスケット選手らしく見えますし、カルヴィンとの友情などを上手に出しています。ですから主演に例えば陽だまりのグラウンドに出演した子供でも連れて来れば良かったかと思います。

ストーリーはお説教型の教育映画。ですからゲリラっぽい笑いのマウス・ハントシュレックなどと比較することはできませんが、タイタンズを忘れないとか、セイブ・ザ・ラストダンス など、お説教的な部分がありながらも、見せ場がある映画もあります。その辺をはずしてしまったのは惜しいです。

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