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スタスキー&ハッチ /
Starsky & Hutch /
Starsky & Hutch - Die Zwei stehen ihren Mann

Todd Phillips

USA 2004 101 Min. 劇映画

出演者

Ben Stiller
(David Starsky - 刑事)

Owen Wilson
(Ken Hutchinson - 刑事)

Snoop Dogg
(Huggy Bear - 町の顔役)

Fred Williamson
(Doby - 上司)

Vince Vaughn
(Reese Feldman)

Juliette Lewis
(Kitty - リースの女)

Chris Penn
(Manetti - 署内の制服警官)

Amy Smart
(Holly - チアガール)

Carmen Electra
(Staci - チアガール)

Paul Michael Glaser (Starsky)
David Soul (Hutch)
Will Ferrell (Big Earl)

見た時期:2004年月

テレビ・シリーズ刑事スタスキー&ハッチは見た覚えがありますが、あまり熱心に見たわけでなく、同じ時間に他に見る番組が無かったからというようないいかげんさでした。ですから劇場映画の方もさほど大きな期待はしていませんでしたが、予告編はわりに良くできていて、タダだったら見てもいいか、と思っていました。すると望みがかなって、タダ券が当ってしまいました。この日は何とダブル当選で、2本見ることができました。

まだ何も知らない人のために言いますと、スタスキーとハッチというのは2人の刑事の名前で、ハッチはハッチンソンを縮めた言い方です。テレビはほとんど覚えていないので、ここでは最近できた映画の方で話を進めます。時代はテレビに合わせて70年代。2人は警察というという機構に上手く適応できないはみ出し刑事。

スタスキーは規則はいかりや長介以上に几帳面に守る男で、それが思い通りに行かないと癇癪を起こす危ないタイプ。ハッチは規則というのは一応の基準で実際には寛容の精神を大々的に発揮して、本題から大きくカーブを切るという性格で、人当たりが良く、暗黒の世界でも友達ができてしまうという人なつっこい人。時々職務中運命の出会いをした現金をくすねるのが趣味。

ここまで極端にしなければバッド・ボーイズがこの2人と似ています。ただ、バッド・ボーイズでは犯人逮捕のために強引な事はするけれど、それは犯罪撲滅という大義名分のために・・・という理屈を挙げています。ハッチはその辺の箍が緩んでいます。

それほど優秀な作品ではありませんが、1度ぐらい(できればタダで)見る事ができればそれなりに笑えます。2人のコンビはなかなか良くて、私があまり好きでないベン・スティラーも個性を充分生かしたはまり役。しかしもっと良かったのは私が全然好きでないオーウェン・ウィルソン。この人は愛想笑いをしているようで、うそ臭さが漂い、好きでありません。1度だけシェリル・クロウも共演の物凄く恐いスリラーを見た事があるのですが、そちらの方が地ではないかとかんぐっているぐらいです。ジャッキー・チャンと組んで2度もアクション・コメディーをやりましたが、あちらでもチャンの方が性格が正直に出ているような感じで、ウィルソンは上辺だけという印象を拭えませんでした。そのウィルソン、ハッチ役では自然に見えます。

俳優という商売は難しいです。本来は私生活、本当の性格と全然違う役も演じなければ行けませんが、スターともなるとイメージも売り物なので、更正した元薬中が更正した元薬中を演じるとそれらしくていい、などと考える輩もおり、そういう事をやらせる場合も多いです。

ハッチ役ではウィルソンはイメージも上手に生かして、いいかげん男を演じながら、近所の子供の面倒を見る好青年という顔も見せ、それがあまり嘘臭くないのです。インチキをやったり闇世界と上手に渡り合いながら、時々自分が刑事だという事を思い出して、容疑者を追うという匙加減がうまく行っています。

2人のコンビはリメイクとしてはうまく行った方ですが、そこへもっとオモロイ人を呼んであります。見せ場を作るためにはカルメン・エレクトラ以下チアガールを大勢動員。私はカルメンのファンですが、宣伝写真などを見ると他の共演者とちょっと違うポイントがあって、魅力的です。スタスキー&ハッチが更衣室でブロンドの女性から証言を得るシーンはお笑いサービス。さらにスヌープ・ドッグが俳優として登場。なかなかカリスマ性があって凄いです。この人はくだらない映画にしか出ないことにしているのかも知れませんが、前回見た時は一応歌手の役で、彼のシーンはクールでした。今回はみっともない格好をさせられるのですが、それが他のシーンと対照をなしていて、ちゃんとした服を着て出て来ると、グルと言ってもいいほどのカリスマ性があります。さらにビンス・ボーンがオモロイ悪役。

ちょっと前にジュリエット・ルイスはアメリカ映画ではろくな役を貰えていないと書きましたが、スタスキー&ハッチでも何のために出ているのか分からないような役を貰って、最後には海に落っことされてしまうという災難も。クルーズ、トラボルタ系の宗教に凝っているのでそういう点は好きではありませんが、俳優としては素晴らしい個性を持った人で、ブルーベリーでは魅力を発揮していました。

しかしそれでもフィリップス監督に呼んでもらったんでしょうか。彼女ちょっと前にも同じ監督の Old School に出演。そこではウィル・ファレルが主演で、共演はオーウェン・ウィルソンの弟のルーク・ウィルソン。

さて、あって無いような筋は、麻薬事件。70年代の話です。規則違反が多いので警察がもてあましているはみ出し刑事2人が無理やり組まされスタスキー&ハッチというコンビ成立。個性の強い男たちなので2人の間での喧嘩も絶えませんが、署内でも時々揉めます。そういう中、土左衛門の捜査を命令され、事件が麻薬取引事件に発展します。犯人は最初から分かっていて、それがボーン。彼は町の裏組織を取り仕切っていて、新発売の無臭コカインを大々的に販売する予定です。闇世界に信頼できる筋を持っているハッチはハギーという顔役に頼んで情報を貰い、徐々に核心に近づいて行きます。しかしスタスキーが勇み足をやりたがるので、ある日大失敗をやらかし停職。しかし敵の手は刑事暗殺未遂事件にまで発展。バッジを上司に預けたままですが、身を守るために捜査続行を迫られます。幸いハギーの協力があり、犯人は観客だけでなく、警察にも分かり、ボーンはトンズラ。ヨットと車のチェースの後めでたしめでたしで終わります。

最後にテレビのスタスキーとハッチが映画の2人と全く同じ衣裳で現われるのがご愛嬌。軽い軽い話です。

さて、テレビと映画では多少話がずれています。スタスキーの母親は有能な警察官で死んだということになっていて、息子のベン・スティラーは墓参りに行きます。テレビで死んだのは父親。ハッチとの出会いもテレビでは割に早く、映画ではこの水死体事件のあたり。夜型で仕事には眠い目をこすって来るのが古いスタスキーで、この役は映画ではハッチの方に回っています。周囲、現実を見る能力が無く、1人浮き上がってピエロになってしまったりする性格はややテレビから受継いでいるかも知れません。

ハッチはのんびりぐうたら型で署に10時になって現われもう仕事をしていたスタスキーと喧嘩になったりします。ややテレビとずれています。人間関係にはそつがなく、杓子定規のスタスキーより事件の核心に迫りながら、人には気づかれないというのが特技。近所の評判も良く、少年の面倒を見ています。現実がよく分かっていて、妥協すべきところはすぐ妥協してしまいます。刑事としては柔軟過ぎることもあり危ない人ですが、その能力のおかげでスタスキーを窮地から救うことも何度か。

スティラーもウィルソンも最近好調で、2人はズーランダーというあまり意味のない映画でも共演してライバルを演じています。あのコンビよりはスタスキー&ハッチの方が愉快です。これまで嫌いだったウィルソンですが、容姿、ヘラヘラしたイメージのキャラクターを生かして行けば私も気に入るかも知れません。

私も見ながらヘラヘラ笑い、1日を終了。しかし最近あまりにもリメイクが多いので呆れています。テレビの作品を映画に持って来たり、元テレビの作品を映画にした後、テレビに引き継いだり。アメリカというのは特に人口の少ない国とも思えないのですが、誰か新しいストーリーを新しい登場人物で考える人はいないんだろうか。

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