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バッドボーイズ2バッド /
Bad Boys 2

Michael Bay

2003 USA 147 Min. 劇映画

出演者

Martin Lawrence
(Marcus Burnett - 麻薬捜査刑事)

Will Smith
(Mike Lowrey - 麻薬捜査刑事)

Gabrielle Union
(Sydney Burnett - マルクスの妹)

Theresa Randle
(Theresa Burnett - マルクスの妻)

Bianca Bethune
(Megan Burnett)

Scott Cumberbatch
(Quincy Burnett)

Tevarus Smalls
(James Burnett)

Joe Pantoliano
(Howard - 警部、マルクスとマイクの上司)

Jordi Mollà
(Hector Juan Carlos Tapia - キューバ・マフィア)

Gloria Irizarry
(Dona Maria Tapia - タピアの母親)

Peter Stormare
(Alexei - ロシア・マフィア)

見た時期:2003年10月

要注意: ネタばれあり!

このところ トゥームレイダー2ターミネーター2などとシリーズの2作目がよく登場しますが、これもバッドボーイズの2作目です。ターミネーターと同じく、1作目を見ずに続編を見るということになってしまい、そのうちに1作目も見なければと思っています。

ドイツでは評判が悪いのです。あのキル・ビルがいい評価を貰っているのにこちらはわりと下向きの点がついています。暴力が問題になっているのですが。

ドイツはセックスについてはあまりうるさい事を言わず、暴力シーンの方が自粛なども多いです。キル・ビルはもはやスプレッター映画と言って良いほどの血飛沫。血の海という名前がふさわしいです。しかしピストルは第1部ではほとんど使われません。

それに比べバッドボーイズ2バッドは火器の見本市かというぐらい撃ちまくり、主演の2人は防弾チョッキが衣裳です。ドイツ人が一般に火器には用心深い国民だという事を考えるとなるほど納得が行きます。最近元傭兵だった男が弁護士事務所を襲い、3人の弁護士に風穴を空けて殺した事件があったのですが、その時のジャーナリストの論調でも、その辺を歩いている男が火器を持っているのは尋常ではないというスタンス。この男は本当に風穴と言ってもいいぐらい大きな損傷を与える武器を使っています。普段はそういうのなし、というのがドイツ。ですからバズーカまで出て来る バッドボーイズ2バッド は嫌われたようです。

さて、世間から嫌われている記事は後で読んだ私は、バッドボーイズ(1)を見た人からいい評判を聞いていたので、バッドボーイズ2バッドの券が当たったと聞いて喜んで行きました。ウィル・スミスは見るたびにいいなあと思う俳優の1人。本職の歌手の方もなかなか。アフリカ系アメリカ人の元気のいい人が出るアクション・コメディーも最近ジャンルとして形をなしてきましたし、共演に2人ほど注目の俳優が出ているので期待して行きました。

普段始まる8時より半時間早く始まるので、どうしてかと家を出る前に時間を調べて唖然。宣伝や予告と合わせると3時間。

Dolls と同じく、とにかく長いです。普段ならきれいに削ってしまうところを丁寧に描いているので、無駄に長いのではありませんが、危ないです。あと1歩で退屈になる寸前。筋はいたって簡単。これは作戦として良かったかも知れません。おかげでアクション・シーンはたっぷり見られます。ギャグの応酬かと期待していたのですが、それは控えめ。ユーモアという視点から言うと、MIB の2作の方がおもしろいです。バッドボーイズ2バッドは本格的アクション映画に冗談を入れたという仕上がり。ですからアクションの方は力入れています

前半気になったのがカメラの位置。普通の作品に比べかなり低くしてあるので、観客は地面に限りなく近づいた気分になります。臨場感を出そうとしたのかも知れませんが、運転席にいるドライバーの頭の位置より低め。ゴーカートに乗っているような感じで行けません。その上カメラがやたら動くのでせわしい。これは従来通りの方が良かったかと思います。後半はそういうこともなくゆっくり見ていられます。

アクション・シーンがとにかく長いのですが、これは観客も結構良くついて行け、無駄ではありません。印象に残るアクションとしてはターミネーター 3 のトラック・シーンや デッドコースターの高速道路の事故シーンがありますが、バッドボーイズ2バッドは連続して追いかけるシーンをカメラの切り替えで端折らず、それなりの存在価値があります。

筋は簡単。ばらしますが、ばれてもどうということはありません。「いや、見るまで知りたくない」という人は退散して下さい。目次へ。映画のリストへ。

バッド・ボーイズの2人は警官。長年の友達ですが、割れ鍋、とじ蓋コンビで、ローレンス演じるバーネットは普通人。妻子がいて、考え方も普通。スミス演じるローリーはエキセントリック。シングルで、目下バーネットの妹シドニーと兄に隠れてデート中。男2人はマイアミで麻薬捜査を制服組として担当。妹はアンダーカバーで兄と恋人に隠れておとり捜査の最中。誰にも事情を話していなかったので、バッド・ボーイズは彼女が事務職だと思い込んでいました。ところがある日制服組とおとり捜査の担当官がはちあわせして、現場は混乱。これで妹の仕事が2人にもばれてしまいます。

この間適当に3人の私生活なども紹介。シドニーはキャリア志向で、絶対にこの捜査を成功させるのだと張り切っていますが、兄は渋い顔。危険です。

危険の元凶は2人のマフィア。ペーター・ストルマーレの方は皆さん名前を聞いただけで震え始めるでしょう。今回もロシア・マフィアのアレクセイを演じています。対するはキューバ・マフィアのタピア。演じるはスペイン人ジョルディ・モリャ(モジャ?)。パズルNadie conoce a nadie/Nobody knows anybody)の主演だった人です。パズルはなかなかの力作スリラーで、スペイン語映画が豊作だった2001年のファンタに出ていました。アレクセイのシマをタピアが乗っ取るため2人の間は対立。その上警察が捜査をしているので、警察とタピアもゴタゴタ。

このタピアに近づくのがシドニー。おとり捜査はこちらから見ていると割にずさんで、シドニーは平気でバッドボーイズと屋外で話したりするので、マフィアに見られて大丈夫かと思ってしまいます。そしてアレクセイとタピアの争い、タピアの家族関係まで出て来るので話が長くなってしまいます。

このマフィアは何をやっているかと言うと、葬儀屋と結託していて、死体にエクスタシーを詰め、棺桶に現金を詰め、海上葬だと称して棺桶を船で沖へ出して、カリブ海に沈めます。正式な手続きを踏んでのことです。それを棺桶に取り付けてあった浮きで海面に浮き上がらせ、別な船で回収。こういう形で闇商取引が行われています。マイアミ警察はそれを察知し、核心に近づくところでした。おとり捜査の方も別方面から同じ結論に近づいています。ところがローリーは法律を守るということにあまり関心が無く、脱線するので、自動車事故はブルース・ブラザーズ並の規模、上司のジョー・パントリアーノはピンクパンサーのインスペクター・ドレフュス並に部下の不始末の責任がかかって来て爆発寸前。気を静めるために東洋の方法を取り入れてみたり、心理講座を受けてみたり、苦労しています。相棒のバーネットも同様。パントリアーノは達者な役者ですが、この気の毒な上司ハワード役はぴったり決まっています。私は見ていませんが バッドボーイズ(1) からの続投です。

マフィアがそういう事をしているというのは映画の冒頭で紹介されるので、ネタばれではありません。要は捜査がどのように進んで、悪人がつかまるかというだけの話です。

見ていてあのウィル・スミスでもこんな事をやるのかと驚いたのが、法律無視。自分の手でおとしまいをつけるとばかり脱線します。見ていて戸惑うのはそれを応援する人がいること。ただの警官が「自分でけりをつける」と言い出したら、FBI だの CIA だのからどんどんベテランの志願者が出てしまい、バズーカまで持ち出しての小戦争状態。警察のシーンでも盗聴などに許可を取っていなかったりと、よく考えると背筋が寒くなるよう事をやります。ウィル・スミスは確か以前にこういう事の犠牲者になる弁護士の役をやっていたように思うので、余計戸惑います。ミステリーを読んでいると、CIA、FBI など公的機関でもかなり無茶をやっているようですし、フィクションだと思って楽しんでいると、後に小説の材料になったのかと思うような実際の事件に出くわすので、首を傾げてしまいます。

バッドボーイズ(1) 以降俳優としても大いに出世したウィル・スミス。普段は好感の持てる人なので、ちょっと失望。ドイツ人のジャーナリストもその辺で点を低くしたのかも知れません。主演の2人が公私混同、悪人を捕まえるためなら規則無視という態度に考え込んでしまいました。警察、役人などの仕事をしている人は、一応法律を守るというスタンスで動くべきではないかと思うのです。現実はそう簡単ではないのは当然ですが、ヒーローを演じる主演、それも全米を代表する明るいスターが堂々と法律を破っていたのではやはり子供に合わせる顔がなくなると思うのです。

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