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地球を守れ! /
Jigureul jikyeora! /
Save the Green Planet!

Jeong Jun-hwan

2003 韓国 118 Min. 劇映画

出演者

シン・ハギュン
(ピョング - )

キム・ヨンチャン
(ピョング、子供時代)

イェ・スジョン
(ピョングの母親)

チャン・ヨンジュ
(ピョングの父親)

ファン・ジョンミン
(スニ - アクロバット)

ソン・ジョンファン
(スニの父親)

ペク・ユンシク
(カン・マンシク - 化学工場社長)

イ・ジェヨン
(チュ - 刑事)

イ・ジュヒョン
(キム -刑事 )

見た時期:2004年8月

2004年 ファンタ参加作品

ストーリーの説明あり

アジア系の作品の中で1番テンションの高いのがこれ。気合が入っているどころの話ではなく、もう見てくたくた。ドタバタコメディーがここまで行くとは・・・お富さん・・・。

エンタの神様はねるのトびらの出演者を寄集めて作ったかのような作りの SF です。特殊効果はナショナル・キッドか、ウルトラマンかという程度。ところが・・・

・・・凄く恐いのです!

最初はエンタを見ているような乗りでした。ドランクドラゴンの塚地のような乗りのピョングが登場。《思い込んだらどこまでも》のコメディー・タッチのサイコパス。アシスタントにはちょっとおつむが弱そうなスニ。楽しく笑ってちょっとブラック・・・程度だろうと思っていたのが甘かった。後で思うに、この時フランス映画のベルニーを思い出すべきだった・・・。

今年の韓国作品は気合が入っているというのが全体的な印象ですが、その中でもこれは1番恐かった!最初は恐いという雰囲気で始まらず、かなり先までドランクドラゴンの乗りだったので、すっかり騙されてしまいました。ドランクドラゴンの塚地は、三波伸介のようで、怒らせると恐そうですが、主人公がだんだんそういう恐い乗りになって来るのです。体型は似ていますが、インパルスの堤下よりドランクドラゴンの塚地の方が怖いでしょう。ああいう風になって来るのです。怒りを全開にしてからはもうどうやったら映画館から逃げ出せるかそればかりを考えていました。

大筋は化学系の企業社長カン・マンシクのことをエイリアンだと思い込んだピョングが社長を拉致、監禁し、ガールフレンドのスニと協力して自白に追い込もうとするというものです。カン社長が閉じ込められ苦しめられるシーンはコメディーとはいえ、変態村に近い恐さがあります。ピョングとスニの精神状態が普通でないと観客には分かるので、どこまでエスカレートするか分からず恐さが2乗、3乗されます。

拷問の方法は一見幼稚なのですが、本人の痛み、苦しみはさぞかしと思われるシーンが何度もあり、笑いが徐々に凍り付いて行きます。最初はアンメルツに似た液体を擦り付けるというものですが、ご丁寧に先に足に傷をつけてからやるのです。ドイツ人にはおなじみでないので、単純に笑うのでしょうが、日本人はあれが生傷に擦り込まれると思うと一緒に痛さを感じてしまいます。これは序の口。エスカレートしますぞ。

この事件を一匹狼のような刑事が追うのですが、その刑事とのやり取りが最初はアンジャッシュの空き巣のはち合わせのような雰囲気。暫くは笑っていられるのですが、この刑事がやられるシーンで凶器に使われる物が恐ろしいのです。蜂にアレルギーの人は見ない方がいいです。命に関わりますぞ。

頭が弱いのだろうと思って馬鹿にしていると、目的に一直線に進むピョングとスニに圧倒されます。カン社長は自分が置かれた状況のカフカ的不条理に苦しめられます。彼の苦しみは変態村と共通するだけでなく、以前ファンタで見たフランスの映画とも共通する不条理の連続。このフランス映画では隣に住む身なりもきっちりしたフレッド・アステアのファンだという老紳士に拉致され、苦しめられる若者を描いていました。地球を守れ!は最初環境汚染の原因を作る会社社長を自然保護運動を推進する純粋な若者が拉致という図式なのですが、軌道を逸するようになるのです。

今年はファンタにテーマが共通する作品が複数出るというおもろい傾向があるのですが、緑の党の扱いそうなテーマが行き過ぎて脱線する話を2作見ました。いずれもう1本もコメントします。通しのパスを買った人でも80本程度出る作品の約半分しか見られません。ですからもしかしたら共通のテーマの作品は数本出ているのかも知れません。

この《緑の星を救え!》(英語のタイトル)ですが、2時間近い時間を取ってあり、観客は見終わるとゲンナリ。くたびれ切ってしまいます。最後の落ちも笑えない。この作品で監督が何を言おうとしていたのかまだ考える余裕がありません。とにかく恐い作品です。恐い物を見たい方にはぜひお勧め。

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