★　監督

ボイルの過去の作品は複数見ましたが、そちらの方がスラムドッグ＄ミリオネアよりおもしろいです。

★　キャスト

役目を十分果たしているのは主人公兄弟を演じた2人とクイズ・ショーの司会者。

★　物語

一般の小説とやや違う作りになっています。先に枠をきっちり決めてしまって（スラムの少年の人生を描く）、それに役立つツールとしてクイズ番組を持って来ます。ですのでクイズの答が奇跡的に連続正解であっても「ありえねー」と文句は言いません。作者の本職は外交官だそうで、プロの作家のルールとは違う発想だったのかも知れません。

★　コメント

なぜこのテーマを英国人が扱うのかは疑問です。スラムドッグ＄ミリオネアはインド人からは嫌がられたようです。以前にもボンベイを舞台とした外国の資金の入った作品が作られ、下層階級の現状を訴えていました。ドイツでの評価はとても高かったのですが、私はいくらか疑問を持った記憶があります。スラムドッグ＄ミリオネアの原作はインド人。インドの映画産業は世界一の規模なので、インド人監督に作らせてみたらどうなっただろうとも思いました。

よその国の貧しい生活を描くために遠出させ、オスカーの大盤振る舞いをするのはちょっとはしゃぎ過ぎではないかと思った次第。インド人の監督も娯楽作品ばかりを作るわけではないので、インド側からのアプローチだったらどういう風に表現しただろうかと好奇心が沸きました。