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The Tournament

Scott Mann

2009 UK 95 Min. 劇映画

出演者

Ian Somerhalder
(Miles Slater - トーナメントに参加する暗殺者、サディスト)

Kelly Hu
(Lai Lai Zhen - トーナメントに参加する暗殺者)

Scott Adkins
(Yuri Petrov - トーナメントに参加する暗殺者)

Liam Cunningham (Powers)

John Lynch (Faruk Samier)

Craig Conway

Iddo Goldberg (Tech Rob)

Andy Nyman (Tech Eddie)

Rachel Grant (Lina Sophia)

Bashar Rahal (Asaf Sadiq)

Sebastien Foucan

Thomas Craig

Velizar Binev (持ち主)

J.J. Perry

Camilla Power (Sarah Hunter)

Ving Rhames

(Joshua Harlow - 暗殺者、前回トーナメントの優勝者)

Robert Carlyle

(Joseph Macavoy - アル中の牧師)

見た時期:2009年8月

2009年ファンタ参加作品

ネタバレ予告

このページだけでは完全にばれないようにしてあります。次のページに行くと、大半ばれます。

バトル・ロワイヤルを見ていないので比較ができません。バトル・ロワイヤルを知らない私がふと思い出したのは、マルチェロ・マストロヤンニの華麗なる殺人。戦いの枠も、ルールも多少異なるのですが、それでもいくらか共通点があるように思いました。

落ちは全く違います。

★ トーナメントの概要

7年に1度トーナメントが行われます。優勝者の賞金は1000万ドル。2位以下は昇天。参加者は30名。トーナメントの会場は、主催者が居住者に無断で世界中の町の中から勝手に選び、トーナメントが行われる間外界との連絡が遮断されます。町に設置されている監視カメラなどは操作され、外の人には町で何が行われているか分からないようになっています。期間中町でとんでもない事故や事件が起きても外からは救急車も、消防車も、警察も、何の助けも来ませんし、そういう出来事の報道もありません。

トーナメントに参加するのは世界最優秀の殺し屋。参加すると1人が勝ち、29人が死ぬことは全員承知。主催者は安全な場所に別な参加者を集めています。そちらの会場は大きなカジノで、別な参加者というのは世界有数の金持ち。優勝者が誰になるかに大金を賭けます。トーナメントの模様は町にある監視カメラで逐一カジノに中継されます。

これがトーナメントの概要と前提条件なのですが、世界最優秀のヒットマンが7年に1度29人死ぬというのは、ヒットマンを使うこともあるギャンブラーにとって意味のあることなのかと、早速突っ込みを入れてみました。そのようなプロットの穴も感じられ、前提条件がきっちりし過ぎているようにも思えたので、パンフレットを読んでいた時は、パターンにはまった退屈な映画かと思っていました。実際にはかなりハイ・テンションなエンターテイメント作品に仕上がっています。冒頭枠をきっちり決めてしまったのは、ストーリーが進むにつれ枠から外れてしまうプロットだったからです。さすが「規則は破るためにある」英国です。

★ 公開されるか

有名な俳優が出演しているので一般公開されるのではないかと思います。スターも出ているのにインディー系らしく、資金集めには苦労した様子です。しかし力強い出来なので、興行的に成功するかも知れません。あまり小さなスクリーンで見ない方がいいです。中程度から大きなスクリーンに向いています。

★ 殺し屋の顔ぶれ、前提条件

のっけからおもしろく作られていて、すぐストーリーに入ってしまったので、どの俳優がどの役を演じているかいちいち見ていませんでした。現役、世界最優秀のプロの殺し屋が30人、前回の優勝者が1人出演します。それぞれ自分の得意部門があり、マシンガンを撃ちまくる人、パルクールの達人、カンフーを使う者など様々です。ハイテク機器も使い慣れています。顔ぶれは国際的で中国からケリー・ユーも参加しています。

秘密裏にトーナメントを企画する団体に参加申し込みを行い、最優秀の30人が参加を許されます。許可が出ると、特定の日、特定の町に来るように指示があり、その日に合わせて世界中から集まって来ます。試合開始前に参加者の体内にはあらかじめセンサーが埋め込まれています。全員がパルムに似た小型の受信機を持っていて、他の参加者が近くにいると認識できるようになっています。

マシンガンやピストルが多く使われますが、特別制限は無いようで、バズーカでもナイフでも手榴弾でもカンフーでも、何を使ってもいいようです。公共の場所で撃ちまくってもいいらしく、ディスコの銃撃戦では客を多数巻き込みながら大勢の殺し屋も死んで行きます。外界から隔離された町の中では文字通り何をやってもいいようです。

冒頭カウントダウンがあり、一斉に殺し合いが始まります。

★ 主催者とカジノ

外界から遮断された町では、普段警察が交通の調整に使うような監視カメラや、店内を映すカメラがトーナメント中継に使われています。中継画像は大きなカジノの大スクリーンに映し出され、世界を支配する巨大コンツェルンの持ち主と思しき金持ちが何十人か集まり30人の参加者に掛け金を積んでいます。刻々変わる状況に合わせて掛け金も次々変わって行きます。こちらのメンバーも国際的です。

主催者にはいくつかの権限が与えられているようで、参加予定でなかった一般人が知らずにトーナメントに飛び込んでしまった場合などは、即断で有無を言わせず参加を強制します。

後半にはもっと驚くような事情が飛び出し、前回のチャンピオンも試合に飛び込んで来ます。それまでに既に何人か死んでいて、生き残っている殺し屋は30人を切っているので、問題なしという判断です。

★ 予定外の参加者で枠を外れる

さすが英国。元から予定の枠をはずすつもりで作っていました。ただ30人が死闘を繰り返し、今年のチャンピオンが選ばれていれば、B級アクションの下に分類されます。The Tournament はひねってあるのでB級アクションの中では一流と言えます。

偶然何も知らずにトーナメントに飛び込んでしまったお邪魔虫は飲んだくれの牧師。完全なアル中で、お金にも困っている様子。よれよれ、くたくたの牧師をカーライルがいつものように楽々と演じて見せます。

30人の参加者は例外なく体内にセンサーを埋め込まれているのですが、1人賢い男がいて、体内からセンサーを取り出してしまいます。それをダイナーズのコーヒーの中に無造作に放り込んだら、それがカーライル演じる牧師のカップに入ってしまったのです。(殺し屋などという頭を使う職業に就いていながら、1人しかこういう考えに至らなかったのは不思議です。29人は従順にセンサーをつけたまま戦っています。)

間違ってカップに入ったセンサーをカーライルが手違いで飲み込んでしまったのではなく、意地汚く他所の人の食べ残しに興味を示したのが行けなかった・・・。カーライルは哀れっぽく、まじめに演じていますが、これは英国風のユーモアではないかと思い、笑ってしまいました。

主催者が予定していなかった展開になり、センサーをはずした男は自由に動き回れるようになります。探知機を持っているので、他の殺し屋が近くにいるとすぐ分かりますが、自分は察知されません。代わりに察知されるのは牧師のカーライル。

間もなく参加者の一部も、カーライルも、主催者もこの手違いに気づきますが、ここであっと驚く決定が下ります。主催者はこの一般人も参加者と認め、無理やり殺人競争に参加させてしまいます。ここからカーライルはケリー・ユーと行動を共にし始めます。

★ 2人目の予定外の参加者

前半に登場する前回の王者ジョシュア。前回の受賞を改めて称えるためにカジノの大スクリーンに映し出されます。巨漢のヴィング・レームス。堂々たる貫禄です。

その彼が欠員ができた後半追加で参加します。彼の参加申し込みは主催者からすぐ許可されます。7年前 大金を貰い、悠悠自適の引退生活に入っていたジョシュアですが、今年は復讐のための参加です。30人の中に、最愛の妻を殺した暗殺者がいるためです。それが誰なのか分かっていていなくても、もし彼が今年勝てばそいつは仕留めたことになります。

★ 予想の枠から外れるショーダウン

この先を詳しく書くとネタばれになってしまいます。この作品の場合、このあたりで止めておかないとせっかくの楽しみが殺がれてしまいます。

やがてジョシュアの探していた相手は見当がつき対決になるのですが、その先にさらにおかしな話があり、ジョシュア対妻の暗殺者の話が出る頃から、予想外の方向に向かいます。それにどうやってオトシマエをつけるのかという謎が生じます。

前半は殺しの方法の陳列棚、後半はちょっとひねったストーリーとなり、まあ順当と思われるショーダウンに向かいます。B級アクションにしてはきっちりした批判精神も発揮されています。ファンタでひねた作品を見過ぎている私たちは、結末がさっぱりし過ぎている、現実はこんなものじゃないという気もしますが、最近不条理尽くめですっきりしない作品が多々ある中、たまにはこういうすっきりした結末もいいかと思いました。

★ ジョシュア

この先はネタばれになるので、別なページに書きます。

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