注意：　ネタ部分！

★　身近な所を疑え

真犯人は身近にという原則が当たります。事の始まりは棚から牡丹餅が振って来たヘレン。麻薬の大金が入ったので、娘を捨てて夜逃げしようと麻薬仲間 のレイ とお話中。それを偶然聞いてしまったアマンダの叔父がまずいと思い警察の知り合いの捜査課長に相談。あろうことか捜査課長はアマンダの叔父と一緒に狂言誘 拐 事件を演出。どうせ悪に手を染めているから濡れ衣も一緒に着せてしまえという話がまとまり、ディーラーに罪をおっ被せることになります。

狂言の銃撃戦を演出し、片棒を担いだ麻薬犯も片付けてしまいます。子供は崖から落ちたことにするため、人形と子供の体重ぐらいの石だけを放り投げま す。元々の計画ではこれで終わり。捜査課長が子供を引き取り、責任を取って辞職し、ほとぼりが冷めた頃にボストンから他所に引っ越すことになっていまし た。片棒を担いだ刑事2人もアマンダの叔父と同じ意見なので揉め事は無し。全てはアマンダが将来麻薬中毒になってしまわないように、まともな教育を受けら れるようにと考えてのことでした。

深く考える性質のパトリックが事件後不審に思い、叔父に色々聞いていることが分かり、パトリックに告白されるのを恐れた刑事レミーが覆面強盗を装っ て酒場でパトリックと会っている叔父を殺しに来ます。しかしパトリックにレミーの素性は見抜かれ、その上酒場のバーテンが強盗だと思ってレミーを撃ってし まいます。レミーは間もなく死亡。

アマンダの隠し場所は引退した捜査課長の家だと踏んで、パトリックは課長の家に向かいます。アンジーは反対で、そのままにしておけと言います。原則 通りに動くパトリックと、実を取りたかったアンジーはこれを機に関係悪化。幼馴染、恋人としての関係は破綻。無事見つかったアマンダは母親の元へ。

誘拐事件の時に既にマスコミの寵児となった母親ヘレンは子供が無事戻って来たので再びマスコミのスター。事件解決後はアマンダは人に世話をしてもら い、改めて 男 友達と出歩く生活。子供の将来を本気で心配するのみではなく、十分な保護を与えていた捜査課長は逮捕。叔父も共犯で逮捕。その妻にヘレンは出入り禁止を言 い渡します。アマンダの将来を気にしていた2人の刑事は共に死亡。周囲にはアマンダの将来を案じた人がパトリック1人になってしまいます。そのパトリック にアマンダの世話を任せてヘレンは外出。アンジーと別れたパトリックはアマンダと話している最中に、ヘレンがアマンダの人形の名前さえ正しく知らなかっ たことを発見。杓子定規に捜査課長を逮捕させたのが正しかったのか今頃になって考え始めます。

捜査課長、刑事、アマンダの叔父などが苦労してアマンダを守ろうとした美談と、やっていない罪を着せられ命を落とした麻薬ディーラー。これまで 100嘘をついていたので101回目に濡れ衣を着せていいのかという問題も浮上。しかし彼の売りさばく麻薬でどれだけの人間が命を落としたか、あるいは生 活が破綻したかも考えなければなりません。

というわけで、それらしい雰囲気の中、白黒つけにくい事件で大きな問題提起をして終わります。問題に振り回されたり大見得を切らない、静かに抑えた演出はちょっ とその辺の俳優が試しに監督をやってみたとは言えない深さがあり、クリント・イーストウッドと比較してしまう所以です。

本来ヒーローでなければ行けない主人公の探偵が弱そうで、自信に溢れておらず、何となく怪しそうなレミー刑事もどういう風に動いているのかつかみに くく、モラルの権化のようなフリーマンもどんな役割を果たしているのか見えにくいといったやり方で伏線は上手に隠してあります。女優陣も通り一遍の役ではないのです が、微妙さを出せる人を揃えています。監督としてはまだスタートを切ったばかりのアフレックにこれだけの人が協力しているのは、業界ではアフレックの腕に 信頼があったからなのでしょうか。

次の作品にも期待してしまいます。