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ブレイクアウト /
Trespass /
Bajo amenaza /
Transgressão /
Reféns

Joel Schumacher

USA 2011 91 Min. 劇映画

出演者

Nicolas Cage
(Kyle Miller - ダイヤモンド商人)

Nicole Kidman
(Sarah Miller - カイルの妻)

Liana Liberato
(Avery Miller - カイルとサラの娘)

Emily Meade
(Kendra - アヴェリーの友達)

Ben Mendelsohn
(Elias - 強盗団のボス)

Cam Gigandet
(Jonah - 使用人、強盗)

Dash Mihok
(Ty - 強盗)

Jordana Spiro
(Petal - 強盗)

Tina Parker
(警備会社の女性)

David Maldonado
(警備会社の男)

見た時期:2012年4月

要注意: ネタばれあり!

見る予定の人は退散して下さい。目次へ。映画のリストへ。

Trespass は立ち入り禁止、通り抜け禁止、不法侵入などという意味で、元々はフランス語。映画では押し込み強盗なので、そのものずばりのタイトルです。

★ パクったのか

90年代後半に Stag という作品を見ました。間もなくそっくりのブラック・ユーモア系の映画ベリー・バッド・ウェディングがキャメロン・ディアス主演で作られました。結婚寸前に馬鹿騒ぎをやった男たちが、売春婦を2人ホテルに呼んでパーティーをやっていたら、1人が事故に近い状況で死んでしまい、後始末に追われるという筋でした。ディアス版では Stag には出て来ない女性ディアスが中心に話が進み、終わり方も少し変えてあるのですが、プロットの重要部分はかなり似ています。

Trespass もそういう感じで、2011年春のファンタで見たスペインのスペイン一家監禁事件とかなり似た作品です。リメイクと銘打っているわけではなく、脚本も別な人の名前で出ており、もしかしたら使用料を払ったパクリで、書いた人の名前を出さないという契約なのかも知れません。偶然にしては似過ぎているところはキャメロン・ディアスの作品と共通しています。

★ 似ている点

 ・ 金持ちになった3人家族が最近大きな新しい家に引っ越して来た。
   スペイン版ではちょうど今引越しの最中。アメリカ版では少し前に引っ越している。スペイン版の父親は実業家風。アメリカ版はダイヤモンド商人のニコラス・ケイジ。

 ・ 娘が反抗期で、妻は家族で食事をしたいのに、娘は外出したがる。
   スペイン版ではボーイフレンドと外出したがり、アメリカ版では女友達とパーティーに行きたがる。

 ・ 豪邸に強盗が入る。
   スペイン版では男だけ、アメリカ版にはジャンキーの女が1人加わっている。

 ・ 強盗は当然ながら金目の物を狙う。
   スペイン版では金を狙うが家には無く、父親を連れてお金を下ろしに行く。アメリカ版では強盗が前半しつこく父親に「金庫を開けろ」と言い、「ダイヤモンドや現金をよこせ」と言う。そこで父親が徹頭徹尾断わるところがアメリカ版の売りなのかも知れません。

 ・ 家族はかなり抵抗する

 ・ 強盗の中で仲割れが生じ、計画が狂い始める。

 ・ 家を調べに来た警官が死ぬ。

 ・ スペイン版には家にパニック・ルームのような部屋があって、そこを開ける開けないで家族と強盗が揉める。
   アメリカ版は代わりに金庫を開ける開けないで長く揉める。

★ 相違点

 ・ スペイン版は強盗が東欧人。アメリカ版は外国人ではない。アメリカ版には女性も入っている。

 ・ アメリカ版にはスペイン版に無い妻の浮気現場を撮ったらしき写真が存在する。妻の知り合い(使用人)が強盗の1人。

 ・ 最後スペイン版は家族が死ぬが、アメリカでは全員助かる。その代わり金と家は失う。

★ 気の抜けたコーラ

スペイン版は家族が必死で抵抗するところが見せ場で、俳優のネームバリューで持たせたりしていません。冒頭家族がどういう風に結びついているかが良く説明されていて、その家族が死ぬため観客も悲しくなります。それに対しアメリカ版では家族の結びつきが弱く、出演者が一生懸命愛だ、何だ言ってみても、物質主義に陥って、スペイン版ほどの絆が表現できていません。1つには舞台に使われる家が豪華ではあっても寒々としているためではないかと思われます。

ニコラス・ケイジ、二コール・キッドマンという旬を過ぎ、次のピークをまだ作っていない2人の出演のため、全体的に間が抜けています。2人とも気合を入れていません。特に監督とキッドマンはあまり相性が良くないのか、キッドマンは契約通りの義務を果たしているだけという印象です。ケイジと監督はまあまあ息が合わないというほどひどくありませんが、ニコラス・ケイジが気合を入れるともっと凄い作品ができることを知っている私たちにはやや不満が残ります。3人はかなり以前からの知り合いだそうで、個人的にも付き合いがあるとか。となると一体どこでボタンをかけ違えたのでしょうか。

スペイン版を見始めた時私はそれほど大きな期待をしていなかったのですが、リメイク風の Trespass よりは良かったです。

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