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蕎麦湯ぶれいく

羅臼湖トレッキング

2013年10月2日

 7時朝食。羅臼湖トレッキングツアーガイドが8時前に迎えに来るので、いささか慌ただしい。自家製ドレッシングで食べる生ハムサラダや、塩鮭、玉子焼き、ロールキャベツ、塩辛、キンピラ、昆布の佃煮、ふきの煮物など、さあ、これを食べて活力付けなきゃ。

 急いで着替える。持参した小さなリュックに、軍手、ペットボトルの水、セーター、雨具、タオルなどを入れる。

 7時50分にロビーへ行くと、ちょうどガイドさんが到着。車に乗って、すぐ近くにあるツアー会社の事務所に行く。ここで用意してくれた登山用の長靴に履き替える。トレッキングする道はぬかるんでいるそうで、長靴を履かなければ到底歩けないとの事。

 再び車に乗り込んで出発。今日はスッキリと晴れている。絶好のトレッキング日和・・・と思われたが、山へ入っていくに従って霧が立ち込めてくる。知床峠でトイレ休憩したが、ここからの風景は霧でまったく見えず。ガイドさんの言うところでは、ウトロ側が晴れて、羅臼側が曇りという典型的な天気なのだそうだ。

 羅臼湖トレッキングの入口まで車で行って下車。ガイドさんが入山箱に入っている書類に記帳する。今回の参加者は、あとは大阪からいらしたという年配のカップル。山に慣れているらしく服装もしっかりしている。ガイドさんは、どことなく三谷幸喜に似た人物。熊の生態を研究していたこともあるという専門家でもある。歩き始める前に熊に関する注意事項の説明がある。なにしろ知床というところはヒグマの生息地であり、いつ熊と遭遇するかわからない。野生動物のいるところに人間も一緒に生活させてもらっているのだという感覚。現に私の泊まっているホテルの裏手にも昨日、熊がやってきたとのこと。羅臼湖トレッキングは街なかというわけでもないから、特に注意が必要だ。個人でトレッキングをしてもかまわないのだが、やはり、もしもの事を考えるとガイドさんに付いてもらった方が安心だ。

 それに登山用の長靴を貸してもらえるというのが何よりもいい。こんなものを購入して東京から持っていく手間を考えたら貸してもらった方がどんなに楽か。それは実際に歩き出して実感する。ここは登山用の長靴でないと歩けない。道はぬかるんでいるどころか、ところどころ水たまりになっている。長靴を入れると半分ぐらいまで水に浸るところもある。注意しながら一歩一歩進んで行く。

 四つの沼を巡りながら羅臼湖を目指す。足場は悪いが、ところどころ木道も出来ていて、それほど歩きにくいというわけでもない。アップダウンも少なく、登山をしているという感じも少ない。ところどころでガイドさんが、植物や動物、知床の自然についての解説をしてくれる。

 約一時間半ほどで羅臼湖到着。天気はときどき日が差したりはしたが、基本的に曇り空。「こういうのを、幻想的な風景と思ってください」というガイドさんの言葉に、思わずニンマリ。本来は羅臼湖でお弁当でも食べたいところだが、熊が食べ物の匂いを嗅ぎつけてくるとも限らないので持ち込み禁止。これはやむを得ない事だろう。

 羅臼湖で休憩して、元来た道を戻る。行きは登りの急坂で下ばかり見ていて気が付かなかった道。下りではよくわかるのだが、ここは黄葉した木がアーチのようになっていて、そのきれいな事。これでもう今シーズンの黄葉は満足した気になる。

 また車で事務所まで戻り、長靴を返して「お疲れ様」。宿まではそれほど遠くないので歩いて帰る。まだ13時なのでウトロの街を散歩することにした。部屋にリュックを置いて、街まで歩く。道の駅[シリエトク]で土産物を見てから、ペレケ川へ行く。ペレケ川はウトロの中心部を流れる川で、ここでも鮭の遡上が見られるとガイドさんが話していたから。なんのことはない、昨日バスから降りたバスターミナルの横を流れていた川だ。そしてここでたくさんの鱒や鮭が遡上している姿を目撃することとなった。こんな光景は今まで見たことも無かったが、本当だったんだ。強い流れに逆らいながら上流へ上流へと登って行く。その姿には感動すら覚えた。それをカラスやカモメが狙っている。こりゃ、熊が出てきてもおかしくないよなぁ。

 鮭の遡上に刺激されたこともあって、港のオロンコ岩に登るのに挑戦。これは昨日のクルーザー観光のクルーが、「あの岩には階段があって登れますよ」と言っていたので、上る気になったもの。岩の登り口まで来ると、ちょうど降りてきた人が「もう足がガクガクだ」と言っていたが、臆せずに登る。階段の数を数えながら登ったら233段あった。しかしここは上った甲斐があった。絶景ではないか。昨日はくすんだ色をしていた海も、オロンコ岩の上から見下ろすと積丹半島のシャコタンブルーにも負けないきれいな色の海。港の先の灯台へは『あまちゃん』のオープニングのアキのように、走って行きたくなる。

 さすがに疲れてきたので宿へ帰る。コーヒーを入れてもらい、宿のテラスでいただく。

 貸切露天風呂を16時に予約しておいたので、鍵を貰って入りに行く。オホーツク海が見える気持ちのいい風呂だ。湯上りは昨日に続いて今日もサッポロクラシックビールをプシュ。うんめぇ〜。山歩きの後はとくにビールはおいしい。

 18時夕食。今日のメインは豚肉と野菜の蒸ししゃぶ。これを鰹節の出汁につけていただく。これがおいしいの。豚肉もおいしいのだが、なんといっても野菜。野菜が甘い。これは東京で口にする野菜とはまったく別物。北海道の野菜を食べてしまうと、もう余所のは見劣りがしてしまうほど。やはり北海道の秋野菜は格別だ。ほかにも、ブリのお造り、タラバガニなど。絶品だったのはエイヒレの煮物。軟骨まですべて食べられるようにしっかり煮込んである。おいしいなぁ。締めはてっぽう汁で今日もブランド米のゆめぴりか。デザートの黄色いキウイまで食べてお腹いっぱい。

 夜になったら雨が降り出した。雨音を聴きながら、今日も昼間の心地よい疲れと夕食でいただいた日本酒・しれとこの水の酔いも手伝って、早めに就寝。

 夜中に一度だけ目が覚め、温泉に入る。雨音はまだ聞こえていた。

10月5日記





















静かなお喋り 10月2日

静かなお喋り

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