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番外編
kuro*sanji
外せない鎖
 

1
 
 
 

パーティー会場には大勢の男や女たちがひしめきあっていた。
ここは密輸王ミホークのパーティー会場だ。
月に一度、
彼の関係者を集めて行われる。
マフィアの頂点に立つという男のパーティーだけあって、
警備の方も厳重だ。
一目でカタギではないと分かる目つきの鋭い男たちが立ち並ぶなか、
さまざまな娼婦や男娼が動きまわっている。
また裏取り引きも同時にすすめられていた。
ヤクの取り引き、
武器の取り引き。
いろいろなテリトリーをめぐっての駆け引き。
一見平和に見えるパーティーだが、
さまざまな取り引きが行われていた。

クロは男娼を連れてきていた。
クロの娼館で一番の売れっ子のサンジだ。
バラティエ惨劇の生き残りとかで、
安値で買い受けた。
ナマイキなガキだった。
ナマイキなクセに客受けがいい。
悪いのは性格だけで、
見てくれも抱きごこちも良い。
感度も抜群で男を楽しませるガキだ。
年は今年で17・8になるか。

サンジはスカして立ち、えらそうな態度でタバコを吹かせていた。
まったく、相変わらず生意気なやつだ。
だが、いつの間にか、
男を手玉にとることを覚え、
大物専用の男娼になってきた。

最高級の服を買い与え、
最高級のマナーや立ち振る舞いを仕込み、
最高級の教育すら受けさせた。
大物が連れて歩きたいと思わせるように。
ある程度のわがままは聞いてやった。
殺しの方法や百計についての知恵までつけてやった。

今日の客はアーロン。
大物だ。
気にいると、金に糸目はつけない。
気にいると続けて指名する。
だが、残酷なセックスをするというのでも有名だ。

「待ってろ」
クロはそう言うと、
アーロンを探しに出かけた。

サンジは無表情にその後ろ姿を見た。
今日の客、
アーロンにはよい噂がない。
気に入ると、
死にそうになるまでヤられたとか、
一晩中ヤるとか、
嬉しくねえ話ばっかりだ。

サンジは付き添いのギンを見て苦笑した。
オレが一人で帰れなくなることを想定して、
コイツをつけてやがる。
クロはバカじゃねえ。
あいつがギンをつけた以上、
オレが立てねえくれえヤられるってことだ。

「サンジさん・・・」
ギンはおずおずと話かけた。
サンジはクロの抱え子の中でも最高級の男娼だ。
ギンはサンジが幼いころから面倒を見てきた。
クロに雇われてすぐ、
仲間と折り合わず、
殴られて血だらけになってた自分を優しく手当てしてくれた子供。
一目で男娼だと分かった。
質の良さそうな肌、
質の良さそうな髪。
自分とはかけはなれた生き物。
差し出された白い腕。

あの瞬間に自分はこの人に魅入られたのだ。
自分にはこの人しかいないのだと思う。

サンジさんを守りたいと思う。

だけど、毎日、毎日、ただ見てきた。
男に抱かれるサンジさんを。
妖艶で淫らな肢体を。

アーロンについて、
オレが独自に調べた情報。
気に入る程、酷くすると。
サンジさんがたぶらかせるような男じゃない。

「大丈夫だ、ギン。
それにまだ気に入られるかどうか分からねえだろ」
サンジは心配そうなギンに笑って答えた。
相手が気に入ったら、
キツい目にあわされる。
相手が気に入らなかったら、
お前が悪いと言ってオシオキされる。
おんなじなんだよ、
オレにとっちゃ。
この日のために、
オレはしばらく客を絶ってた。

「そいつか」
振り返ると、アーロンが立っていた。
サンジは無言でアーロンを見上げた。
魚人といわれるだけあって、
人間離れした容貌だ。
・・・でけえな。

アーロンはじろじろとサンジを見ると、
クロと何か相談をした。
それからサンジについてくるようにとあごをしゃくると別室へ向かった。

サンジは無言で後をついていった。
このパーティー会場には「それ用」の部屋も準備されているのだ。

サンジはその部屋に入ると、
静かに扉を閉めた。
 
 
 
 
 
 

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