番外編
kuro*sanji
外せない鎖
3
ギンは隣の部屋の様子を伺いながら待っていた。
もう夜があけようとしているのに、
扉は閉ざされたままだ。
あれから・・・、
アーロンはサンジさんの得意客となった。
これでもう指名は5度目だ。
アーロンはいつもサンジを激しく責め立てている。
無防備にほうり出された体に残る、
さまざまな痕。
死んでいるのではないかと思えるほどの無惨な陵辱。
サンジさんは何もいわずに、
出かけていく。
オレは恐れる。
いつか本当にサンジさんはあの男にヤり殺されてしまう。
アーロンでなければ、
違う他の誰かに。
オレはそんなサンジさんを見たく無い。
ここにいる限り、
サンジさんは救われない。
・・・助けたい。
サンジさんをここから逃がしてやりたい。
オレはクロに雇われた只のボディガード。
クロに恨みはねえ。
第一、ここは娼館だ。
男娼にいちいち情を移してなんぞいられねえ。
オレも新入りの男娼をタダでヤらせてもらえる時もある。
そいつらをどうこうしようなんて思っちゃいねえ。
でも、サンジさんは・・・。
サンジさんだけは別だ。
オレはあの人を見ていたい。
これ以上、
サンジさんを傷つけたくねえ。
一度も見たことのねえサンジさんの本当の笑顔。
商売用の媚びた笑顔は知っているけど。
あの人は心から笑ったことはねえ。
最近、サンジさんは不安定だ。
本人は気づいていないだろうけど、
常にまとわりつく淫猥な空気。
体だけじゃねえ。
壊れかけているのは、心だ。
この前は部屋の隅で膝をかかえてうずくまっていた。
だけどサンジさんは何も言わねえ。
オレが「仕事です」と言うと、
笑顔を浮かべて、
「まってろ、クソやろう」
と言う。
なんでそんなに無理するんだ。
ずっと世話をしているオレにすら、心の中を見せてくれねえ。
無理ねえか。
オレの仕事はあんたを男の元に連れていき、
見張ってまた連れ戻す仕事だからな。
あんたはボロボロだろ。
まともな神経のヤツなら耐えられねえよ。
「ん・・・んん・・・ん−−−−っ」
サンジはくぐもった声を上げつづけていた。
ヒイヒイうるさいと言われ、
口にはサンジの体内に埋め込んで楽しんだ張り型がくわえさせられている。
アーロンの精液がたっぷり絡まったソレをサンジは懸命にくわえていた。
「自分の中にあったモノをくわえるのはキモチがいいだろう?」
逆らってはいけない。
サンジは耳まで赤くしながらも、必死で頷いた。
「本当にお前は淫乱だな」
アーロンが満足そうに笑い、
勃起させたまま拘束してあるサンジの性器を強く握りこんだ。
「んんんんんっ」
一度もイけてないサンジは痛みと気の狂いそうな欲望に身悶えした。
イキたい。
イカせて。
ただ一時の快楽を求めて、体をしならせる。
それは限りない苦痛と快感。
サンジは両手を一まとめにして拘束され、
高く釣り上げられていた。
下肢は大きく開かされ、
アーロンの精液をたっぷりとふくまされた上に、
巨大な張り型を挿入されていた。
「ケツを締めろ!!!
落とすと、罰を与えてやる」
アーロンは罰を与えたいのだ。
サンジは懸命に耐えようとしていた。
その張り型は自分が選んだ。
一番突起の多くて太いもの。
怯えながらもそれを見せられて頷いたサンジに、
アーロンは満足感を覚えていた。
この男娼は必ず自分を更に苦しめて辱めるものを選ぶ。
まったく楽しませてくれるぜ。
すぐにイっちまうので、イけないようにしてあるが、
もうイきたくてたまらねえらしい。
目も視点が定まらねえし、
涎も垂らしっぱなしだ。
少し触れただけでも、
ぶるっと体を震わせている。
ケツに刺してやった張り型を指で弾いただけでも、
身を震わせて、
ガチャガチャと鎖を鳴らす。
全身がアナひとつに支配されている。
こいつを嬲るのは楽しい。
クロの奴、
かなりふっかけてきやがったが、
買い取るのはいくらだったか・・・・。
考えておくか。
ガターン。
アーロンは物音で我に返った。
「・・・んんんん」
サンジの声が高くなる。
派手な音をたてて、
床に張り型が落ちたのだ。
アーロンがサンジを放置してしばらくは耐えていたが、
いつまでも我慢しきれるものではない。
長時間の拡張で開ききった穴からは、
アーロンの精液が大量にこぼれ落ちている。
サンジは恐怖に震えながら、
アーロンの言葉を待った。
濡れた瞳がアーロンを見上げている。
怯える瞳とは裏腹に、
勃ちきったサンジのモノは天を突き、
塞き止められていても、
かすかに液を垂れ流し続けていた。
サンジはアーロンがしようとしていることを見て、
身を捩って抵抗した。
だが、それは淫行を更に激しくさせることにしかならない。
落とした張り型に鎖を巻き付けたアーロンは、
その端をサンジの性器にからませた。
「・・・んんん・・・・んんんんん」
目を見開いて苦痛を訴えるが、
サンジにはそれが更にアーロンをあおっているものだとは分からない。
無情に離された張り型の重力で、
サンジの性器も床に向かって強く引きしぼられる。
「生温い罰をありがたく思え」
アーロンはそう言ってサンジに背後から重なると激しく抽送を始めた。
既に理性を手放し、
意味不明の喘ぎ声をあげつづけるサンジの腰を掴み、
容赦なく動かした。
前後左右に揺れる張り型とサンジの性器を視界に止め、
いろいろ動かして遊んでみる。
男娼を喜ばせる必要はない。
イかせてやればつけあがる。
こいつは資料によれば、
つけ上がるタイプらしい。
結構、今まで好き勝手しているようだ。
客を誑かしたり、
夢中にさせたり。
当然の報いだ。
今日は、イかせねえ。
ハハハ。
思い知らせてやる。
アーロンはサンジの性器に繋げている鎖を強く引いた。
「このままココ切っちまってもいいし、
ヤリ殺してやってもいいんだぜ。
寛大なアーロン様に感謝しろ」
サンジは薄れ行く意識の中で、
アーロンの声を聞いた。
・・・死ぬもんか。
オレはまだ、死なねえ。
オレの体なんてどうなってもいいんだ。
淫乱で最低な体。
男に見られるだけで反応して勃っちまうような体。
汚れて、いくら洗ってもキレイにならねえ。
こんな体なんていらねえ。
・・・だけど、
死なねえんだ。
死ねねえんだ。
まだ・・・・。
もう、死にてえよ・・・。
だけど、
まだだ。
まだ、死ねねえ。